別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

雨の水彩画

2009-06-28 | 自然や花など

        

        そっちの方が 甘いかい…  
        うす紫のふらここが サワサワ揺れて
        蜜も香りも ほしいまま    

           耳元で羽音をひびかせ
           蜜蜂はラベンダーへ音楽を贈った

           蒸し暑い  昼さがりだった

                   -☆-

  にわかに 埃っぽい匂いがして 大粒の雨が降ってきた
   舗道を叩く雨が 
    ちいさな水たまりに波紋をひろげ アブクができる
   

   煙るミドリ  ノウゼンカズラや昼顔の点描  雲の流れ
    雨が即興で描いた風景画は
   アクセントにアジサイ 木苺 アガパンサスなど   
   
   それぞれの表情を追う   
      水分をたっぷり含ませて 筆を走らせる           
                

 

 

  やがて アブロチンが 灯りをともし
  


   エンジェル・トランペットが やさしく聞こえるころ

  

   雨はアウトラインをなぞって 急いで水彩画を仕上げたのだった
   

  
 

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御用達

2009-06-27 | 自然や花など

    雀…  今日も♪♪  今日とて 

       棕櫚… なんかチクチクするなあ

     雀…  (キョロ キョロしながら) だれも 見てないよね

       棕櫚…  オイ オイ  痛いじゃあないか
             入れかわり立ち替わり やって来ちゃあ 

                        この有り様よ…      

      シジュウカラや  カワラヒワ 
                こっそり ごそっと 引っこ抜いていく                                          

           屋根の上の四十雀

      御殿は できたかな   

   

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シジミ

2009-06-25 | 夢見鳥

     

  うっとうしい梅雨空をあっといわせて 飛びこんできた鮮やかな黄色  蛇の目菊。  波斯菊 ハルシャギク ともいう。
 この 波斯… (ハシ) ハルシャは 中国におけるペルシャの古称。  初めて知った。  

  知らずに近づいたが、 花の色にそっくりなシジミまで。 ドキドキしながら 震える手でシャッターをおした。 開帳30ミリほど。 

 大あわてで設定を間違え、 うまく写らなかった。 シミジミ… 悔しい。
 翅裏は淡く、 濃いオレンジのラインがことのほか美しかった。  

  ベニシジミ よ …  また 逢えるだろうか  ふつうの蜆蝶ならば よくみかける

 別所のシジミチョウは こちらへ

 

   

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サプライズ

2009-06-25 | 自然や花など

  今朝、 秘密の森までアガパンサスの写真を撮りに出た。 茎を高く伸ばして、 未だ蕾がちであった。 でも、 このあと、 素晴らしいこと、 すてきな人に出逢った。

      

  朝顔に似ているが、 葉は丸くて 裂けてない。 花は房咲き。  毎年寒くなっても咲いている。 撮影 2006/11/20 
  この花は ずっと分からないでいた。

                     -☆-

   ちょうどこの花の手入れをしている方がいらしたので、 背中越しに伺うと琉球朝顔と教えてくださった。 なんでも 宿根で、 高く這いあがり横に広がり、 丈夫で、 夏の朝顔とは異なるようだ。 結実しないことにも、 驚いた。

  凌霄花のようかな。 茎の横から根が出て。 切りとって土に挿すと次々増えていくらしい。 初対面にもかかわらず、お庭まで招じ、 苗を2本くださった。 早くもクレオメが咲いている。  「夕方になると もっときれいですよ」 と残念そう。 
  ほんとうに 黄昏れどきが一番、 花の色も浮き立って見えますね。
   

 お断りして 写真を撮った。 「花が好きなのね。 よくご存じ… 」 そう仰って ピンクのサルビアやヒオウギのルビーのような種もいただいた。 楽しみに育てようと思う。 


 

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恋文

2009-06-21 | 夢見鳥

  気がつけば  蝶が三頭  音もなく戯れている  
   ヒラヒラと  舞い上がり  
     下降しながら 重そうに翔んだ    

  ザクロの花にやすんで、 何か確かめる  
  ゼラニウムでさえ 
  

   二つ折りの恋文が 花の番地を捜している   
                         ジュール・ルナール 「博物誌」


  
ゼラニウムは虫除けになる… ヨーロッパで窓辺を飾るのはそのため
     
    
  うちのゼラニウムは  独特の変な匂いがする 
   お世辞にも  よい香りとは思えない
     それでも ナミアゲハ
は好みのようだ 

              除けるのは  蚊だけ… か
   
     
 

 

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ここが

2009-06-20 | 別所沼だより

     一日 草はしやべるだけ
     一日 空は騒ぐだけ
     日なたへ 日かげへ過ぎて行くと
     ああ 花 色とにほひとかがやきと

    むかしむかし そのむかし
    子供は 花のなかにゐた
    しあはせばかり  歌ばかり
    子供は とほく旅に出た

    かすかに揺れる木のなかへ
    忘れてしまつた木のなかへ
    やさしく やさしく笑ひながら

    そよぎながら ためらひながら
    ひねもす 梢を移るだけ
    ひねもす 空に消えるだけ

            風のうたつた歌  その一   立原道造

              -☆-

曇りときどき晴れ、 夏雲がもくもくと顔を出す。 午後からヒアシンスハウス。 ひとときを 立原道造と杉浦明平の往復書簡集や詩などを読んだ。 

 開かれた窓にもたれ、 久しぶりで透明な抒情にひたる時間だ。 ガイドしながら自らが楽しむ。
  沼の風が 気持ちよく通り抜けた。

 横浜から 親子で。   入るなり 「ここが… 」 と感慨深げ。 思い焦がれていらしたのですね。 すぐわかりました。
 立原道造記念館でハウスを知って飛んできた。 結局 昼食を挟んで二度、来室。 ありがとうございます。 母娘でおなじ詩人に思いをよせる… なんてうらやましい。 ほんとうに お幸せそうでした。
   
  NHKさいたま放送局 ディレクターさん
   首都圏の「ゆうどきネットワーク」 で取材したい。
   いずれ 放送されるのですね。 楽しみです。 

  埼玉の友人と連れ立って 高崎から。 たのしい思い出を作ってくださいね。
会報 風の詩をご覧いただきまして、 ありがとうございました。

  うれしき出逢い  来客 29名

    

    

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露三題

2009-06-17 | 自然や花など

  輝やかな赤バベリア

             訳もなく  

  

   知的装いアガパンサス

                月の雫

 

   壺珊瑚は4月から咲き続けています

               露の玉

 

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準備中

2009-06-16 | 自然や花など
 アガパンサス   間もなくです 



    蝶が   蕾に戯れて

 



  パッと 咲いてみせましょう

 

 

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考える人

2009-06-14 | アートな時間

  家のクチナシを見ながら  国立西洋美術館の八重梔子も見頃だろう。 その時、 ロダンの彫刻も写した… 人体はかくも美しい などと思っていたら

 折良く きょうの日曜美術館は ロダン 新たな生命の探求者 

  「近代彫刻の父」 と呼ばれるオーギュスト・ロダン。 作品は 圧倒する生命力、躍動感にあふれている。 それは一体どこからくるのか
 番組は 無理な姿勢、 ポーズについて科学的に探っていた。

             -☆-

  思い出すのは ロダンの言葉抄。 ひもとけば よく理解できる。

  君の見ているその彫像でも、両脚、骨盤、胴、頭、両腕等は、同瞬間にでなく、時間のある連続の間に、 形づくられているのです。  (中略)
 … 見る人が私の彫像の一端から他端へ眼を移してゆくと、 彫像の姿勢の展開してゆくのが見えるのです。 
 
私の作品のいろいろ違った部分を通して、 筋肉の働きの発端から完全な成就までを追ってゆく事になるのです。 
 
  なるほど、 
躍動感の秘密  いきいきとした表現のもと。 想像がつなぐのかもしれない。 これは絵でも おなじことが言える。 そして 動きのある絵は、ひとを感動させる。 静の中にある動というようなもの。  

考える人(国立西洋美術館)          


   マロニエの木の前に置いてある作品 「考える人」について 
   (ポール グゼル筆録)
 
  この鋳銅はアメリカへ行くのです。 
  これを外の雨風にさらすのはわざとです。 薄暗い日の神秘の下に、 また太陽の輝きの下に この作が作る効果を見たいのです。 空気の作用は 彫刻に貴重な助力をしてくれます。 雨の水は 出っ張っている部分を洗い酸化させてはっきりさせるし、 塵や汚れは窪みの部分にたまって、それで深さを強めます。 全体の効果が得られる
   (高村光太郎 訳)
  
 アンダーラインは蛙が引きました。 自然に調和する彫刻。 
 そのときの感情で見えかたも変わる。 

 また、 バルザックの部屋着についても
 夜、彼の内心の幻影を追って、 部屋の中を狂おしく往来している感興に乗った文学者が着ていた袖広の部屋着。 
  髪を乱し、夢想の中に眼を喪失して彼の仕事部屋のなかであえいでいる
 芝居風の態度は 後世の人を賛嘆させることができる 

  その通りになった。


 西洋美術館のクチナシ 

    写真は2008年6月

  弟子カミーユの作品によく似ているロダンの作品、その検証など
  
   ロダンの作品が はじめて日本にやってきた日も思い出される。

 

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ここに幸あり

2009-06-12 | 自然や花など

  公園の菩提樹   見あげると 花が咲いている
   クリーム色の風    仄かな香り   レストランの人影も揺れて
  金曜日の午後  美術館  噴水の音  親子のおしゃべり

 

薔薇の花びらと菩提樹の花

  落ちている花を 拾って帰る
  大きさ 約7ミリ。 シューベルトの菩提樹を口ずさんだ遠い日が
   懐かしく思いだされた

          泉に添いて 繁る菩提樹
         慕いゆきては うまし夢見つ
         幹には彫(エ)りぬ ゆかし言葉
         うれし悲しに 訪いしそのかげ

         今日もよぎりぬ 暗き小夜中
         まやみに立ちて まなこ閉ずれば
         枝はそよぎて 語るごとし
         来よいとし友 此処に幸あり

         面をかすめて 吹く風寒く
         笠は飛べども 捨てて急ぎぬ
         はるか離(サカ)りて たたずまえば
         なおもきこゆる 此処に幸あり
         此処に幸あり

   あらためて読んでみると なんといい詩だろう 訳詞 近藤朔風。 「野なかの薔薇」 「ローレライ」なども。  まやみは真闇と、 いまなら分かる。
 幹には彫りぬ ゆかし言葉…  当時中学生になったばかりか、 「幹に」「はえりぬ」と思い込み、 歌いながら意味も分からなかった。 楽譜は仮名ばかりだった気がする。 深く知ろうともしなかった。

 いま、 調べると 「える」 は 彫る、鐫る のこと。
(1)彫刻する。ほる。きざむ。
(2)かたいものをくりぬく。えぐる。

 してみれば  幹には…「は」は、ワと発音して係り助詞
 幹には、 え(彫)りぬ、 ゆかし言葉… だったのね。 幹に刻まれた ゆかしき言の葉…

 ああ うれしい。 蛙は今頃になってようやく 彫りぬ… えりぬに気づく。
 調べ虫まで移っている。 こんな時こそ 「存命の喜び…」 でいっぱいになる。 「せめて見れば」 だったし、「ひとり燈火のもとに文をひろげて」 「日々に楽しまざらんや…」 と、 古典から学ぶことが多い。

 雑誌「いきいき」の枕草子に続いて、 今月から
  清川妙さんの古典「徒然草」 連載も始まったので、 
 大間に合いは、 いっそう嬉しく 幸せである。   


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紅いハナ

2009-06-12 | 犬のブロンコ・ダン
     隠れたって…   赤いハナが

          

   繁みの奥にのぞいてる
     夕まぐれ   涼風も心地よく

            一眠りする小猫   いつかの?

           

          こんなに大きくなって
            高くて 狭い塀のうえも  何のこれしき  悠然と

      (青木の葉が 邪魔だってば) 

                 

                眼鏡拭きから 抜け出てきたの?  
               MANHATTANER’S    by Takashi Kuge

             うしろの正面さん   元気かな…

 

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フローティングフラワー

2009-06-09 | 自然や花など

    

     切り花を 水まわりに飾った。  個室に香るクチナシ

   一重の花は いずれ実がつく、 それでクワイや栗など染める。 

   花で演出… 

    水に沈める 水中花もあるが
     茎がみじかいとき  ほどけた花びらは 浮かべて楽しむ

  きょう 花屋さんで目にしたのは  睡蓮のフローティングフラワー

     

    色あせないし いつまでも枯れない花。
     撥水性のある材質でつくってある 
            花びらにたまる滴が キラキラする

  
   種類が分からない紫陽花もあった

 

   
   何となく 新鮮に映る  

              

   いつもの花と 雰囲気がちがう   幽寂が匂うのも 好き   

  よく見ると  ふつうは中心が白っぽいけれど  これは縁のほうが白くて 
     淡い色も 暈かしも すてき  
     

      梅雨入りまぢか  やはり 生の花を浮かべてリフレッシュしたい
    

 

 

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つぼみ

2009-06-07 | 自然や花など

2008/7


         蓮の蕾のはなびらは、
         なかふくらみの紅いすぢ、

         さざなみ立てそ、 月夜には、
         蕋シベのにほひも張りつめる。

         鳰ニホのたまごの鳰のこゑ、
         生れぬまへの息もする。

                       北原白秋    蕾

                 -☆-

      まさに開こうとするつぼみの 緊張感  
        鳰の卵の中の新生の声に  かさねて   

    そろそろかな    開花情報も気になる

  鳰 ニオは カイツブリの古名  手許の詩集から
   鑑賞は 村野四郎…   なんだかうれしい

 

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フラスコの水

2009-06-01 | 別所沼だより


      白い静かな食卓布テエブルクロース、
      その上のフラスコ、
      フラスコの水に
      ちらつく花、釣鐘草。

      光沢ツヤのある粋な小鉢の
      釣鐘草、
      汗ばんだ釣鐘草、
      紫の、かゆい、やさしい釣鐘草…

                                          六月  北原白秋 (抜粋)


               
-☆-

  白いパラソルの女性が通る  ふわり ふわり  白い花
       
  バス停に 緑の翳が降りた  木洩れ日が差して ドラマのはじまり
  夏衣(着物)の婦人が 停留所まで小走りになる  

  白いシャツが似合う六月   チラチラ光る フラスコの水
     硝子の向こうに カワセミがいる
       
       

   

    翡翠は アジサイ色をしょっている 

                   
       

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