別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

茶筅梅

2009-02-18 | 自然や花など
薄紅の萼もいじらしい

  風はまだまだ冷たい、 春は戸惑いながらやってくるようだ。 百花の魁。 梅の香に包まれて、 万葉の歌人たちに思いを馳せる。 白梅、紅梅、八重や枝垂れなど雅に咲き乱れて。

  大宮梅まつりでめずらしい品種をみつけた。 すでに 花は終わりと見まがうばかり。 吸い寄せられるように近づく。 
  華やぎをよそに静かな佇まいのこれは…
 花弁が退化し、 雌蘂や雄蘂だけが咲く、 茶筅梅(チャセンバイ)というそうだ。 なるほど茶筅の先に見えた。 しかもかなり使いこんでいる。 寂びた色も奥ゆかしいが、 茶目っ気たっぷりに意表をついて驚かせる。 地味な花を見落とさないでよかった… 写真を見ながら心底そう思う。 

遠州糸  

   園内は 白加賀が多い。 45品種650本もあるらしい。 「豊後」 「八重野梅」ヤエノバイ、 青みがかった「月の桂」、紅白染め分けの「春日野」、「遠州糸」。 ずばり 「見驚」ケンキョウなどというのもある。

  
  古今集から
 
   色よりも香こそあはれとおもほゆれ たが袖ふれしやどの梅ぞも  よみ人しらず
   君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をもしる人ぞしる      紀友則

    
    やはり  紅梅…  逆光の中で 胸が痛むほど美しかった。 
     陶器祭りも賑わった。 ことしは 湯冷ましをゲット。 

 

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ミモザ

2009-02-16 | 自然や花など

 

   ミモザが咲いた
 
 
   小さな にぎりこぶしが

      パフのように開く

   銀鼠の葉が 

      羽根のように翻る

 

  

  ミ モ ザ     たとえば

    ☆ 星屑   ☆ 檸檬味の金平糖   ☆ 人形の耳飾り  ☆ 月の雫

       

     

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数本の柱

2009-02-15 | 別所沼だより

   冬枯れて 見渡す限りもの寂し…   そんなところを期待してやって来る。 
   ところが 季節はずれに暖かく  ぼうっと霞んでいます。 
 

 

  沼を一巡りするころ  木立の影も美しくきまる。 午後の4時30分。 
   見あげる木々が墨画になった。 横山 操の絵のような 寂寥感が好みです。

  自然の造形、 遺構のような数本の柱。  線描はそのままで  モノクロに写る。 

    

  

    もう一周…    新緑の頃 を思って

         青葉若葉に野山のかげろふ時
         ああ植物は清いと思ふ
         植物はもう一度少年となり少女となり
         五月六月の日本列島は隅から隅まで
         濡れて出たやうな緑のお祭…  (後略)     高村光太郎

 
   「うぶな、こまかな仕掛に満ちる…  小さな葉っぱは 世にも丁寧に畳まれて」
    あざやかな意匠に変わる。  ひとときも目が離せない。

         

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今朝の客

2009-02-14 | 夢見鳥

  暖かな朝です。  やあやあ  しばらく… 
   お元気でしたか、  お待ちしてました。 ことしはもう来ないかと…

    太ってる   覆面してる…  やはり鋭い目つきの シメさん。 

 しめしめ…

 腮アゴが黒くて 髭のよう。 おかげで強そうに見えるけど  とても臆病。 あたりを気づかって、 慎重にようやく向日葵を銜えました。 種をバチッと割る音がしばらく続いて

  淡いきれいな衣装から、 お客は雌と判定。  首巻きはグレー、 つばさに青みがかった黒と白や暗褐色。 嘴は淡い肌色で、 尾羽の先が真っ白です。 雄は頭と頬に濃い茶褐色がある。

 

 

  ようやく目が合ったね! いつも 独りね     メジロさんも ようこそ

     この方のページに  鮮やかなシメの写真があります。     

   ご近所の河津桜がことしも見頃です。

   去年のご紹介はこちらへ

 

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梅暦

2009-02-11 | 自然や花など

  

  いただいた絵はがきから     福田平八郎   「梅と竹」
  
  木の花は、 濃きも薄きも紅梅 に 竹、 変化する色と配置。 見えないところを想像する。 

   梅に思いをめぐらせて…
 梅返し 濃い桃色の小紋を染め返したもの。  
 襲の色目 梅襲、 表は濃い紅、 裏は紅梅色。 ほかにも 表は白で、 裏は蘇芳スオウともいう

 梅つ五月…梅の花咲く 陰暦二月の異称。  
    梅の色月イロヅキになると梅は青くて五月。 
 
 梅にも春  梅にも春の色添えて  若水汲みか車井戸 音もせわしき鳥追いや 朝日に繁き人影を もしやと思う恋の慾 … 
                          三味にあわせて  唄ってみて

こんなのも  
  梅の木学問  … 梅の木は早く生長するが大木にはならないところから、 進み方は早いが学問を大成させないで終わる人。 身に沁みる。 
  家紋に 梅鉢

 

  写真は去年の。  それぞれ 二木屋、 玉蔵院で 

  
    梅といえば名文がある。   

  梅の花の雄蘂を見るのは生れて初めてだった…
  彼等は一本一本が白金の弓のやうに身を反つていた 雄蘂の弓が 新月のやうに青空へ矢を放つた         (川端康成全集 第21巻「梅の雄蘂」 新潮社版)

  何度読んでも 感嘆する。 これいじょうの表現はない。 

 ・初花草 ・春告草……これほど親しまれ待ち望んでいる 春よ来い 早くこい 

    参照  古語類語辞典

 

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昇華する美

2009-02-07 | アートな時間

  6日の東京は、冷たい北風が吹き荒れてとても寒かったのですが、 春の陽につよく押されて出かけました。 

  ご招待をいただいてから、 蝦蟇もこの日を待ちわびていました。 暖かな落ちついた美術館で、 陶芸のせかいにゆっくり浸る。  いつしか 眼も心も忙しくなっていましたけれど。

  菊池寛実記念 智美術館(キクチカンジツキネン トモビジュツカン)
「加藤唐九郎・重・高宏-窯ぐれ三代」 展

 「やきもの」 について ほとんど知らないので いつも彫刻や絵をみるように楽しみます。 
 加藤唐九郎… これほど厳しいものとは…  知れば知るほど何も書けなくなってきましたが、 忘れないようにメモします。 

  二年まえの衝撃的な展観 も思い出され。 予習で 「やきもの」は、 土をつくるところから始まり轆轤をひき、 絵付けし、 釉をかけ、 不眠不休で(火入れから30時間、 ときには1週間も)焼き上げ」。 釉薬や炎の関係で思いがけない面白味がでる、 窯のなかで 何かが起る。 

  チケットの画像 上から
    唐九郎  志野茶盌  銘  貫道
    重    鼠志野茶碗  
    高宏    黄瀬戸花器
    

          -☆-

 意図するものと、 偶然がもたらす面白味、 窯変は物理や化学だと思える。                         神の手業も それを掬いあげる目やこころがなければ。 唐九郎は 何千も焼いたうちの、 これとおもう一点を残し、全てを壊してしまった。 
  いつか 絵を描くことは生きることに値する と読んだ。 鬼気迫る陶芸もおなじ。
 「古い窯の発掘調査をし、 膨大な資料を調べあげ、 権威も常識もくつがえした野人、 著した「陶器大辞典」のこと」 すべてが昇華される作品の群れ。 鳥肌が立ちました。 余計なことばはいりませんね。 どれをとるか 迷いますがご覧ください。  

    

  志野茶碗「鬼ヶ島」  唐九郎

 形、大きさ、厚み、肌合い、色。 縁の曲線。 量感。

  これを日本一の茶碗と言ったひとがあって 「桃太郎」 とつけたがった。 その銘は 既にほかにあったそうで 鬼ヶ島になる。「唐九郎のやきもの教室 新潮社」

  ほか 唐九郎の 唐津茶碗が好み。     「唐津片口水指 銘 緑野リョクヤ」 
「絵唐津向付」 

     

   志野茶碗 「氷柱」 
            唐九郎

  つらら… つかの間にきえてしまうもの。 禅の修行が一番厳しい季節である冬に、 形があってなきがごときもの…
  (銘をめぐって 唐九郎)


    「鼠志野茶碗」  重 

     藍と 寂朱のいろ 

     窓にぬける景色
              好きです。

 

 
  展示の中に  boa!さんの所蔵品をみつけました。 

  「志野水指」   重

 やさしい丸みのある姿、 近づいて 角度をかえて。ふわり、やわらかな乳白に貫入が走り、 錆朱が見えかくれ、 陶工のこころ模様を浮かべます。 身近におかれ、季節ごとに醸しだす羨ましき空間を想像しました。 愛らしい耳たぶ。 

      -☆-

柳や花、蕪などあしらう、 草木の素朴な線描、 勢いのある剛い線に託された想いを重ねます。こころに余裕がなければ生まれない遊びや形。 釉薬による変化を楽しみ、 無造作にみえる芸術の、 作家の葛藤の痕をたどりました。 篦で削り、 盛り上げたりする、 自然に走ったような線 …こころのうちを覗きます。 触れてみたいけれど…  しばらく、 観る力を蓄えていかないと。
  伝統を超え、父を超え、祖父を超え… 三代の響き合いが楽しみでした。 
どことなく似てると思ったりしながら。           

    
    黄瀬戸花器
   高宏

  これに 大きな枝ものを活けたい。
        裾に 野草など散らして

     モダン、 若いエネルギー 

           -☆-

 レストラン「ヴォワ・ラクテ」のランチも美味しく。 胃が小さいひとにも、 ほどよい量です。

 午後の庭園を眺めながら クロムツのソテーはサフランソースで香りよく、 その黄色は木漏れ陽にとても映えました。
  夜ともなれば 満天の星でしょうね。

  boa!さん

  素晴らしい 一日をありがとうございました。

 学習も blogのおつきあいも NETのおかげです。  帰りは 大使館の間を抜けて 鳥居坂をくだり中学校を垣間見て、 麻布十番稲荷神社まで吹き飛ばされる。 とても偉い蛙さんに遇いましたよ。

    

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春の謎

2009-02-06 | アートな時間

        

  
  何と こまやかでやさしい色、 この絵は見ぬ世の友を彷彿とさせました。 作者がとつぜん目のまえに現れたようで心がふるえます。 筆づかいは人柄を伝えました。

 先日 引用の句は  

           籠りゐてはげしき心春を待つ      春


  はげしき心… 胸を打ちました。  作者の「春」 とは…  気になって調べましたが手がかりもなく、 とうとう図書館のレファレンスをお願いしました。 これまで何度かお世話になっています。 
  担当の方は資料を当たり、 関係先へ尋ね中間報告をくださいました。 ありがとうございます。 さらに、お調べくださるようなので楽しみにしています。

  詠んだのは、 画家の 「木下 春」 らしいとのこと。
  
木下 春(1892~1973) 福島出身 前田青邨門下の女流日本画家
  
 鎌倉東慶寺ゆかりの前田青邨 (1885-1977) 、 門下の 木下 春、 やがて俳人 富安風生に絵を教えるようになり、 春も句を詠むようになった。 詳しくはこちら

 東慶寺の離れに住んでいたこともあるという、 繊細な目は句にも表れている。 是非とも訪ねて、 作品が拝見できたらなんと嬉しいことでしょうか。 

     画像は 東慶寺HPより拝借しました。                           

 

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