別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

サイカチの実

2010-12-26 | 自然や花など

  公園を通ると根元にりっぱな莢が落ちていた。 これがサイカチか…
  種は見あたらないが 多分そうだろうと思う 

  … 火星が出てゐる

   木枯らしが皀角子(サイカチ)の實をからから鳴らす。
   犬がさかって狂奔する。
   落葉をふんで
   薮を出れば
   崖。
          高村光太郎 火星が出てゐる より抜粋


  木枯らしが厳しい、 サイカチの実も寒さに震える。


 いつのまに黄なる火となりちりにけむ青さいかちの小さき葉のゆめ          
                     北原白秋 「桐の花」
 

     小さき葉の夢、  白秋の感傷… 
 

    また いただいた詩には


   田中冬二 「秋の夜」

  もう うすさむいし
    ・
    ・
  莢の木のあたり 女の咳がきこえる
  障子をあけてみれば
  誰のかげもなく
  ひっそりとして
  巻煙草をつつむうすいぎん紙のような
  秋の夜が ひろびろとねてゐる

  さいかちという音が詩心を起こさせるのかもしれません。
風に吹かれて莢がカチカチ擦れ合う光景もなぜか懐かしい と ルピナスさんちで京さんが。


  残りの莢は 梢でカラカラと鳴っているだろうか
   見あげてみても蛙の耳まで届かなかった。  
  

   青いサイカチ

 

 


 

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伝統の美

2010-12-23 | アートな時間

2階テラスからの眺め

  今年3月開館の「大宮盆栽美術館」へ行った
  盆器、水石、絵画資料、歴史資料など鑑賞。 

  盆栽には大自然が詰まっている。 私は虫になり根元を這いまわり、 おずおずと見あげ、山あいの路をゆくようなきもちになった。 下草がそよぎ 樹齢何百年の幹の荘厳さに圧倒され、 盆器のなかに今なお生づいている大自然にひれ伏した。    
 ブナ林を散策する心地がし、 風を感じ、 虫や鳥のうたを聴きながら落ち葉の匂いを嗅ぐ。 そんなことを思いながら臨場感もたっぷりに心を充たした。 冬枯の山もみじには枝先の繊細な陰がある。
 小さいなかに宇宙を感じる。 長い時間と広さがつたわる空間、 大自然が凝縮されこめられている。  樹齢250年、300年の松。 100年の楓。 風格あるうつくしい姿に感動する。 何代も受けつがれ守り育てられるいのち。 くりかえされ四季をかさねる。 

 鑑賞の壺 ①根張り ②幹のようす。枝ぶりが描く輪郭、全体のバランス。 ③葉の光沢や個性的な形。 紅葉。 ④年月を経て幹の一部が枯れて白色化しそのままの形を残す舎利シャリ。 枝先のものは神ジンということ。
 白い肌と緑葉のコントラストも美しい。 

  コレクションガイドより 魅力の一端をお楽しみください。

 

盆栽緑地公園で蟻になって

   「福づくし」 新春を祝う浮世絵と盆器 も観られた

 縁起の良い鶴亀、 とくに亀は甲羅に藻などが生えている蓑亀。
 福寿草、七福神や宝船。 盆器に松竹梅の文様。 龍や鳳凰。 唐子に牡丹などあしらわれる。

  パンフレット部分

 ・二彩壽字蝠雲文木瓜鉢 ・青磁蓑亀文六角鉢 ・色絵松竹梅文六角鉢 ・赤絵金銀彩鳳凰文丸鉢 など 
 器の美も堪能する。

   -☆-

  

 帰り 竹の涼しさに誘われて 思わずなかに入った。 
  「氷川の杜文化館」 
 能楽、日本舞踊、 三曲(琴、三味線、尺八)、茶道、華道などの伝統文化の活動拠点となる文化交流施設。

  謡や仕舞のお稽古があるそうだ。 パンフレットを貰い中庭に出る。 垣の組み方も魅かれる。 いろいろ調べたがとうとう解らない。  

  

 

   建仁寺でもなく 清水でも鉄砲垣でもない。

 

 

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ピーヨ

2010-12-23 | 自然や花など

  先ほどより ピーヨ ピーョと騒がしいので外を見ると ちらほらロウバイが咲き出している。

  親を呼ぶのか青味のある灰色も若々しく、 幼鳥のようだった。 

 

    
   蕾があるよ~  みんなお出でよぅ… 
  鋭く叫んでみても だーれも来やしない 
    これからは ひとりで生きてゆくんだよ……
 

  

 
  ヒヨドリは 花も蕾も大好きで 手当たり次第むしり取ってしまう。

 

 

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赤と白と

2010-12-21 | 別所沼だより

   曇り日の別所に カモメが来ていた
   去年はあまり見なかったが 白の賑わいも思い出す
 

   赤い帽子の幼子が ハウスの周りでかくれんぼ
  ほほえみ浮かべて ベンチの皆さんも鴎のようですね  


     

  
 裸になった銀杏  大地を刺す針のような メタセコイア 
  かたわらのピラカンサスが こころを和ませる

  赤い実の好きなオナガやモズはいないらしい

 風に揺れる 水辺のモビール
   ひっかかった枯葉がバランスをとった
  

   釣りびとも減った
    肌さむい一日  去年の日記を読みかえす

 

 

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落葉日

2010-12-08 | 別所沼だより

 

  雨に濡れたメタセコイアがあたためられ清々しい匂いを放った。 ヒノキチオールかしら、 針葉樹特有のさわやかな香りで森林浴。 
 
 ラクヨウビというのがあるらしい。 観測対象とする銀杏や楓の標本木のうち、 およそ80パーセントが落葉したと見えた日をいう。 風の有無は問わないとあった。 見あげながら別所の落葉日も近いだろうと思う。 

 落葉をふむと軽い音がする。 広葉のカラカラに乾いたのや小枝やドングリなどくだける音。 絨毯の上の逍遙もおもしろい。     

  それにしても 朽ち葉は面を覆いはじめている。

 

 

   水面の吹きだまりを  鴨がよけてとおった 

 

    静さに耐えずして降る落葉かな    虚子

  風に吹かれ絶え間なく降った

 

  いよいよ冬がはじまった

  木立が目立ってきた
  これから 自然のささやきに浸るのもたのしい。  

 

 

 

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花の家

2010-12-04 | 自然や花など

ウインターコスモス

  遊歩道に面する家は、 通りにもコンテナを出していて苗を育てている。 惹かれる花がたくさんあって散歩は急いでも長くなる。 今はウインターコスモスに藤袴、 ほそい花びらの淡い色のネリネなど。 シバの女王に逢ったのもこの場所。 
  センスの良い花々を眺めては、 どんな方がお住まいなのだろうと思いをめぐらせた。 
        

         

  花の宿はあちらこちらあって、 きょうはこの道、 つぎは東の方角などと楽しんで歩く。 季節ごとにオールドローズやニゲラなど品のよい彩りで、 美しくかよわげな品種ばかり植える家。 きっと風に揺れるさまを愛していて、 と 趣や価値ある選別に拍手を贈る。 
 主のしずかな気配も感じられて、それはたのしく嬉しい。

 
  

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ははそ

2010-12-02 | 自然や花など
       

   公園内、 茶室のそばの柞(ハハソ)の黄葉 
  「ははそ」とはクヌギやコナラの総称である。

 写真は クヌギの葉より丸味を帯びているので、 コナラかも知れない。 モミジや銀杏の明るさに対抗して落ちついた美しさだ。 柑子色  鬱金色 刈安色 山吹 樺色 黄土色 金茶  代赭色… など混ぜたような渋い色。 この、 こっくりした色が大好き。

 

        

  雑木林の、もっとも美しい季節が二回ある。 若緑のふきだすころの春と、橙黄色にもえる深秋だ。 そういえば、 万物すべて、生まれる時と、滅びる時に、 その美の極致を発揮するのではなかろうか。(足田輝一) 

   黄土色  刈安  代赭色       

    黄土色   刈安色   代赭色

               -☆-

 

     

  葉を落とした公園の皀莢  実があらわになった。 
  莢がふたつそろって 風にゆらゆら。
    

  公園を見晴らすモミジバフウは、威風堂々。 掌も大きい。

    をりとりてはらりとおもきすゝきかな  蛇笏

  風にもつれる細い薄の  思いがけない重さよ 
  尾花、 芒、 真赭 まそほ(マスオ)の芒。
 
 花すすき月の光にまがはまし深きまそほの色に染めずは  山家集

  真赭の芒、穂がつやつやと赤味を帯びている大きな芒。
 
 いかにせん結ぶ木の実を待たずして秋のははそに落つる山風 (海道記)

  12月にはいっても 暖かい日が続いている。
  しばらくは 薄や柞などの朝な朝なの変化を楽しもう。 

         

        遊歩道のクヌギ

 

 

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