別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

スターはどちら?

2007-04-30 | 自然や花など

  遊歩道の好きな花を…    せ・め・て 見れば… 
    うなだれるつぼみ    糸のように細いやわらかな花びらも 思い思い 
     それぞれの考えは   絹のひかり…


 ハルジオン

   うぶげをまとって 春紫苑  
  知らぬ間にうちの庭にもある 
  花のしおらしさに惹かれたけれど  何処にでもしぶとく生きる 畠の醜草シコグサ。  
  茎の和毛は波状で、 葉にあるのとは ひと味ちがうのです。 
 冬枯れの庭で青いロゼットのまま、 じっとしがみついてきた。 
  ああ…  憎めないよ    春女苑 ハルジョオン の名もある

  紫苑といえば 襲カサネの色目。 表が薄紫、裏は青。 あるいは、表に紫、裏は蘇芳スオウ。 
  これは 秋のよそおい。

  

シラーベルビアナ  
 遊歩道には スターだっている。
  ハッとする青さでやってきた

 そこだけが夜べのあかり

  名前が分からないで居たら ルピナスさんが教えてくれました。

 ベツレヘムの青い星 
  なんと すてき!


 魔法の杖で舞い降りた星々は

   シラー   ペルビアナ

 襲の色は 藤の色 
      
 表は薄紫、 裏は青。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

二人のクローデル 

2007-04-28 | アートな時間


    いよいよ 「二人のクローデル」 展がはじまった。
       (川口市立アートギャラリー・アトリア  5月27日(日)まで)

  姉、 彫刻家 カミーユ ・クローデル。  弟は詩人で外交官 ポール・クローデル  

    4月27日 基調講演から (覚え書き)     熱心なファン  Hさんへ 
                著作権もあるので  ほんの少し。

  「ジャポニズム(日本趣味)を超えるもの ~クローデル姉弟の藝術」 
              京都造形芸術大学名誉学長  芳賀 徹

  姉の周りにあったジャポニズム。 
  ポールを介し、ドビュッシーと知り合う。 彼は北斎の浮世絵「神奈川沖波裏」 を譜面台に置き、交響詩「海」を作曲。 カミーユも 彫刻 「波」 を制作。
  日傘を差し掛けられるカミーユの写真からもわかる。 後ろには 花鳥画の屏風。 
 
 フランスの小説家で浮世絵を仏に紹介したエドモン・ド・ゴンクールの日記にもある。
 アルフォンス・ドーデの家に呼ばれ クローデルという女の子にあった。 彼女は日本刺繍(大きな花柄)を施した胴着のようなのを着ていた。 かわいらしく子供っぽく見えた。  と、

 姉に浮世絵の面白さを教えられ、日本にあこがれた。 外交官となり赴いた弟 ポール・クローデル。  
      
  公人としての働きはもちろんのこと、 自国の近代化のかげで、 これほど日本を愛し、 日本的魂のうるほひに惹かれた外国人が、 かつて、 あっただろうか。 
  日本人に 普通のひとでさえも宿しているような魂のうるほひを、見つけた。 そしてポールも感じ、 俳句のような短歌のような 短かい詩を作る。 
  
   ・水の上(ヘ)に 水のひびき 葉のうへに さらに葉のかげ 
   ・はるばると わが地の涯ハテより来りしは 初瀬寺ハセデラの白牡丹ハクボタン 
     そのうち一点  淡紅のいろを見んがため

  これらを集めた 「百扇帖」。  芭蕉以上に純化した簡潔さで ついにジャポニズムを超えたと思う。 ほか 「どどいつ」は 美しい絵入りで刊行。 詩人大使は藝術家や学者とつきあい「能」 「歌舞伎」 「文楽」を研究し、 神社仏閣を訪ねた。
               
               -☆-

 パリで日本敗戦の報に接し、 高貴な日本文化の喪失を嘆き、 再生を願って 「さらば、日本!」 を「フィガロ」紙(1945.8.30)に発表した。

   日本人は貧しい。 しかし高貴だ。 世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ  
 
               -☆-

  講演は内容も深く、 熱く。 話し足りないと思われる様子、 こちらだってもっと聴きたい。 訳詩がすてきでした。
  … 時間なんか 無ければいいのに。
  ほかに 姉に寄せる弟の思いなど。

   今 日本は豊かだ。 しかし、 こころは貧しくなった。 
 「国家の品格  藤原正彦著」 からも 思い出される 

  日本人一人一人が美しい情緒と形を身につけ、 品格ある国家を保つことは、 日本人として生まれた真の意味であり、人類の責務と思うのです …  

     過去記事1    2     
    カタログから  1926年(大正15)の 四風帖 をお目に掛けます。
    冨田渓仙 画、 詩 ポール・クローデルによる墨書。

  展覧会へはこれからです。  川口市に感謝しながら…

  

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

万華鏡の中

2007-04-25 | アートな時間

1アルチンボルド ウェイター 2金子國義 花咲く乙女たち 3ルドン ペガサスにのるミューズ 
4伊藤若冲 付喪神図ツクモガミヅ  5ソーントン 薔薇 フローラの神殿より 
                                   写真 パンフレットより

    澁澤龍彦   -幻想美術館-     埼玉県立近代美術館
  フランス文学者、小説家、美術エッセイストである澁澤龍彦(1928-1987)の没後20年を記念する展覧会。  以下パンフレットより引く

  既存の美術史の枠にとらわれない、多くの美術家たちを紹介した。マニエリスムの時代からシュルレアリスム、近世から同時代の日本の美術家まで。 澁澤が紹介した美術家の作品を展示し、その嗜好や視点を探ります。

 また、1960年代は三島由紀夫や土方巽、唐十郎など、文学や演劇、美術の先鋭たちがジャンルを超えて緊密に結びつく時代でした。澁澤の周囲には、引き寄せられるかのように芸術家たちが集まり、一種のサロンの様相を呈していたといわれています。そのような交友のなかで、澁澤龍彦が時代をどのようにリードしてきたかを検証し、その美的視野の全体像を提示しようとする展覧会です

            -☆-

  ここには、 蛙が 偏見や狭い視野により いままで近づくことの無かったものがある。 異端や偏奇と思われていた芸術を、文化を新たに見つめることができた。  それらが大変面白く、 エネルギッシュに迫ってきた。
 澁澤龍彦の魅力と重なって、 どれも惹きつける。   今では好もしくさえ映る。 少しは成長したということだろうか。 

 前回の シュルレアリスム展 謎をめぐる不思議な旅 に次いで 達人の審美眼に埋もれた。 眼も心も まったく忙しい。  あれもある! これもある!
 この部屋に 澁澤龍彦がいて様々に色を変え 形を変え展開するもの、 プリント、 水彩、 ブロンズ、リトグラフ、 エッチング、インタリオ、招待状、コラージュ、オブジェ…… まさに万華鏡の中に入ってしまったような気分で  とにかく3時間 息つく閑もなく  面白かった!  もういちど見たい。 これほど多くの作品を よくぞ見せて下さいました。  堪能しました。    作品:約250点 資料:約50点   
   
 ノスタルジアとは、 まことに阿片のようなものだ。 それは言おうようもなく甘美で、しかも物悲しく、 ひとを酔わせる働きを持っている (…) もしかしたら、ノスタルジアこそ、あらゆる芸術の源泉なのである。もしかしたら、あらゆる芸術が過去を向いているのである      澤龍彦

  覚え書き
 宇野亞喜良  望遠鏡列車 
 谷川晃一    禅の研究
 
伊藤若冲  付喪神図     
 酒井抱一  春七草  秋七草
 
葛飾北斎  群盲象を撫でる   
 野中ユリ   狂王
 エッシャー  婚姻の絆
 マン・レイ  サド侯爵の架空の肖像
 エルンスト  振子の起源
 マグリット   扉がビロードのような夜に通じ……
 バルテュス  嵐が丘
 ゾンネンシュターン  人生の道化ランナー 足と頭の競走
 堀内誠一   フランスからの手紙 
 ワイエス    とうもろこしの茎と手押し車 
 アルチンボルド  ウェイター 1574年
 オディロン・ルドン ペガサスにのるミューズ 
    順不同

 詳細は こちら 5月20日(日)まで  パンフレット拡大

                  

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雨の言葉

2007-04-23 | 別所沼だより
 

  森は土の匂いと、 澄みきった緑の匂いがして 素直になれる場所だ。 沼の午後は肌寒い。 きのう、 半袖で102歳の義母を迎えたのが嘘のようである。
 冷気を胸いっぱいに吸い込んだ。 

      花すぎて花の冷えある昨日けふ       上村占魚 
       丹(ニ)の欄にさへづる鳥も惜春譜      杉田久女

 

  花の雪はほとんど消えて、 おびただしい蘂が埋めている。 メタセコイアの新緑を黒子のようにみまもる幹と、 赤い毛氈のコントラストがいい感じで油絵にしたいと思う。    

  水面は謐かだが、 ときおり漣が立つ。 若草がそよいで、大樹の芽がいっせいに暮れがたの曲を奏でるころ、 噴水も青白い息をしている。
 空が翳る… 飛沫は霧になって風にのった。 粉糠の雨の降るごとく、やがてジャケットを湿らせた。 


       わたしがすこし冷えてゐるのは
       糠雨のなかにたつたひとりで
       歩きまはつてゐたせゐだ
       わたしの掌テは 額ヒタイは 湿つたまま
       いつかしらわたしは暗くなり
       ここにかうして凭れてゐると
       あかりのつくのが待たれます
       
            -略- 

       知らなかつたし望みもしなかつた
       一日のことをわたしに教へながら
       静かさのことを 暑い昼間のことを
       雨のかすかなつぶやきは かうして
       不意にいろいろとかはります
       わたしはそれを聞きながら
       いつかいつものやうに眠ります
   
               (「雨の言葉」抜粋  立原道造)

 あれから 翡翠カワセミ に逢わない。 椋鳥が群れるそばで、 大きな眉のつぐみが、 しきりと向きを変えながら警戒している。  

        -☆-

   巷に雨の降るごとく 
   わが心にも涙ふる。
   かくも心ににじみ入る 
   このかなしみは何やらん?    
         (巷に雨の…  ポール・ヴェルレーヌ) 堀口大學 訳  


  そろそろ帰ろう…    
     噴水の霧は 麻の上着をちょっぴり重くした


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菊なの?

2007-04-17 | 自然や花など

 
  道路に面しているのに どんどん成長し  大株になった
 次々に 冬中咲きつづけ まだまだ続く いつまでも 
 二色使いの この花なーに  菊に似ているけれど  

     菊なの?   聞く菜よ!  



                    みんな仲間

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2007-04-15 | 別所沼だより
 日比野克彦氏  日々の新聞に 風信子荘を見つけました。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木の芽

2007-04-11 | 自然や花など
 
木々芽吹く中にも柿の枝踊り    桂郎 

  
古木の細くなった枝先で 薫るようにつややかなひときわ明るい柿の葉がすき 
   すこやかに 高く 

春雷やうす日来てゐる蓬原     石鼎
春の雷焦土やうやくめざめたり   楸邨


  一雨ごとに青みをまして 萌ゆるみどりこ。 つくしの佃煮のお礼に 木の芽をどっさり摘んで届けた。 
 いつもの習わし  会話もはずむ。
 いまごろお宅では 山椒を炊いている  
春の香りにむせながら おいしい佃煮の仕上げでしょうか

山椒の芽さざ波立てて拡ヒロごりぬ  桂子  


  牡丹も咲きだした   昨年の続きを仕上げよう    

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花の雪

2007-04-07 | 別所沼だより


 別所には、 めずらしい「鬱金桜」 も咲いている。 ショウガ似の 鬱金ウコンで染めたような黄色。 
 晴れ、ハウスの中は18℃。 お花見がてら68名の方がいらしった。 団体もあり、 はじめて大勢のまえで説明した。 真剣なまなざしが射るようにとどく。 道造と神保光太郎の交遊について熱く語った。


 ・ 入って来るなり 「はい! 四つ葉のクローバー…」 年配の男性はリピーターでしょうか。 うれしいプレゼントをくださった。 柔らかな緑に目を奪われお礼も言えないうちに
  「シャガも 咲き始めたのにね…… 」  と出て行った。
               風信子も無惨なすがたをしている。


 ・ 立原道造は24歳でなくなりました。 存命なら91歳くらい。
  「あ! わたしも91です」 息子さんの案内で来られた。 細面のきれいな、 男性にきれいとは失礼だろうか。 でもそう言いたいくらいに 背筋もピンとして 品が良い。


 ・ 建築家はこころから興じ、 熱心に採寸し、 写真を撮る。
 「彼が長生きしていたら すばらしい仕事をしたでしょうね」  プロの厳しい眼でみて、感嘆される。
  「設計図はありますか」  かならず聞く。  


 ・ 神戸に住む娘さんから聞いてきた。 ご本人が訪ねた日は休室だったそう。 彼女は道造の熱烈なファンで、 外観だけでも満足していたという。  
  わざわざいらしたのに ごめんなさいね。  曜日を確かめて、こんどこそかなえてくださいませ。
 ヒアシンスハウスのホームページは こちらです


 ・ 春休みも終わる。 小さなお客様もだいぶあった。 5坪足らずのハウスのこと、 いつまでも心に残りますように。
 

  鬱金桜    鬱金桜は八重咲き 


 しゃべり通し  声もしゃがれて 雪道を帰る。 花の橋懸かりをしづしづと歩いた。
  

       キャ !  ノンは入院中で  携帯のカメラで写した。 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  裸婦像と桜

 

    花ちるやおもたき笈オヒのうしろより  蕪村

    生涯は一度 落花はしきりなり      朱鳥

    空をゆく一とかたまりの花吹雪     素十 

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

な散りそ

2007-04-05 | 自然や花など

   きのうのこと…

 雷鳴と稲光り、霰まで降った。 
 それらが屋根のうえでまとまって握り拳くらいになると、ぐちゃっと落ちていく。
 突然の嵐 呆然とする。
 気温3度。 能登の方達はお花見どころではないのだと、お見舞いの言葉も悴んでいる。 

             -☆-

  花はいかに…  夜は散歩に出た。

 桜吹雪が濡れるベンチや 黒い土にアートを残していた。 

 水たまりに揺れる筏。 十六夜の月が薄墨色に染めあげて
 妖しく浮かびあがる花の塊。 優雅な情趣に誘われる。

   ためらいがちな夜半の月…  薪能も待ち遠しい。


      カメラは入院中、記録がなくて残念だ。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2007-04-02 | 自然や花など
        熊野那智大社の桜

 花とはふつう桜の花を言った  花は 華やかさとはかなさを あわせ持つ

 花の雲 花の輪 花朧 花明り 花便り 花の雨 花の露 花の陰 花の奥 花の色 花の粧ヨソオイ 花筏 花の門 花房 花の香 

   花づくしに  思いも広がる

                右は 谷中の桜


  ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな     鬼城
 天辺に水あるごときさくらかな     麦草
  硝子器を清潔にしてさくら時      綾子
  大いなる桜を廻り陽の移る      秩父
  日と空といづれか溶くる八重桜   水巴
 
  

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする