20世紀の名住宅物語 第2回「埋め込まれた記憶~ル・コルビュジエ サヴォア邸~」
フランス・パリ郊外 森の中の白い建物は 宇宙船のようである。パリの自宅は厚い石の壁に小さな窓、 日中でもうす暗い、 息苦しさを感じていた。
週末はポワシー村の別荘へ。 まぶしい光がふんだんに取り入れられた。
ル・コルビュジエが75年前につくったサヴォア邸。 円筒形のガラスの壁を半周すると、車に乗ったまま家の中に入れる。
キッチンはとても使いやすくできている。流しの脇に、 洗い物をおくだけですぐ乾くよう、水きりの格子がはめてあった。 緑とともに… ため息が出る。 いすに座っていると、 ここが家の外なのか内なのか、 わからなくなるに違いない。 コルビュジェが追求したのは、 光によって演出される空間、人は次々と変化する陰翳を目の当たりにし、それを呼吸する。
ドアを開けるとうつくしい螺旋階段、 あるいはスロープをすすむ。 一歩一歩、 歩くたびに景色が変わる。 のぼるうちに、開けていく視界が魅力だ。
(その造形自体が視覚的に実に誘惑的な動きを内に秘めている。
コルビュジエは住宅は住むための機械である と。 光と緑、 曲線、 造形の美しさ、 まさに住む人が愉しむための住まいに惹かれた。 ル・コルビュジエがこだわった螺旋階段、 渦巻き・ 中心から外側へ拡張しつづける展示室、 スタートより 無限の広がりは 上野・ 国立西洋美術館に。
彼はドアがつくり出す空間の意外性に着目。 ドアを開けたときの驚き! ドアが導くシュルレアリスムの世界へ、 と、 誘う。
「住むための機械」 には 愉しさがふんだんに盛り込まれる。 視覚的リズム、 建物は五感に訴えてくる。
参考・引用 「再発見/ル・コルビュジエの絵画と建築」 林美佐 彰国社 より
写真 NHKTVから
検索すると 建築家の詳しいサイトがありました。