別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

花の冠

2011-01-29 | 自然や花など

     すずしきうなじうなだれて
     さく日といへどおのずから
     香はかをるなれ水仙花
     たふとき人のひとりゐて
     友はなけれどひとの世に
     安んじたまふこころかな

              すずしきうなじ   三好達治


         

    ふいに 甘やかな香りが立ちのぼった

    清楚な佳人の細いうなじが 顫えている

   

    重なる6枚のうち  白い花びらは上の3枚  下の3枚が白い萼

 

  

   黄色い花冠も かわいらしい

     

 

 

 

 

 

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冬の樹

2011-01-27 | 自然や花など

 旧中山道を新都心へ向かう。 植込みのなかに 「ヒイラギモチ」をみつけた。 ガードレール沿いに柊のブロックは点々とつづくが、 ここともう一個所の塊だけが実をつけている。 
 別名  支那柊シナヒイラギ     柊擬ヒイラギモドキ   チャイニーズ・ホーリー)
  黐の木(もちのき)科 

 良く似たのに 西洋柊(クリスマスホーリー)がある。 そちらの方が棘が多いそうだ。

 

  藪椿の実も 弾けて道ばたに転がっていた
 

 


  芯が赤い ロウバイ (蝋梅)
  
  毎年 家で咲くのは 素芯ロウバイ  黄一色なの

 

   街路の赤い実    ちいさな明かり

   なんの木?

     迷彩柄に魅かれ求めた Tシャツとおなじ配色…
     蛙の寸胴なからだに着けて 今は運動している


   たくましい街路樹が 冬の讃歌を歌う…

 

 

 

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身に凍む

2011-01-24 | 別所沼だより

  よべのささやかな湿りが 寒気を運んだ。 身も凍むる心地して…(源氏物語)  別所に着く。  底冷えのなかクレーンで枝おろしをしている。  冷たい影が とても新鮮!
  シャッターを押してもこごえる指の感覚はない。  白い息で温めた。
  

 

  ひっそりと 黙りこくった別所沼  
  にぶい冬の陽…  静寂をやぶる電動鋸の音
 

   
     濃く淡く木々影落とす氷面鏡 (ヒモカガミ)     高浜友次郎


        氷の鏡で カモメが足を滑らせている    (1月17日)

 



 

 

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タネのドラマ

2011-01-13 | 自然や花など

  冬の夜 木枯らしに乾いた音でこたえていたサイカチ。 いま目のまえの莢を振れば たしかに kara kara…と鳴った。

  …… 鳴りてさやげば雪ふりきたる  (北原白秋)

  少しは降らないかな…  ようやく地面に落ちた莢はこれほど頑丈な皮に覆われている。 鋏をつかってこじ開けるほどだ。 実際、 種はどうやって発芽するのだろう。

 調べてみて サイカチの実と 幼虫のドラマにおどろき感動する。 自然の不思議に目を見張ったのだった。 
  莢の黒ずんだところにタネが入っている 

サイカチの種子はとても堅い。 種皮が傷つくまで、ほとんど吸水できない。 親木から落ちた実はそのままでは何年たっても発芽しないという。

 ところがサイカチの種子には サイカチマメゾウムシという日本最大のマメゾウムシ科の甲虫の幼虫が寄生する。 サイカチマメゾウムシが 果実(例の莢のこと)に産卵し、 幼虫が種皮をやぶって入るそのとき、 まとまった雨が降れば 幼虫は溺死。 一方、 種子は水をたっぷり吸って発芽できる。 
  サイカチからみれば 間一髪の恵み、 幼虫に降雨なのだ。  

  幼虫が皮を破って種に行きついたとしても  折良くまとまった雨が降らなければ 幼虫は種子の中味を食べつくし、 蛹になり成虫になり羽化する と。  (Wikipediaから)

  詳しいHPは こちら にも。 
 春になれば家の莢からも、 サイカチマメゾウムシは出てくるのだろうか。 どうやらこの虫は、今は黒褐色になったちいさなソラマメのような豆(タネ)の中に卵を産むらしい。 幼虫は豆を食べつくし さらに莢を破って表に出てくるらしい。 幼虫もたいへんなんだ。

 

   

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種明かし

2011-01-11 | 自然や花など

  拾ってきた サイカチの莢。 
  大きい方で長さ22センチ 幅3センチある。 
   あたりを探しても 肝心のタネらしきものは落ちていない。

  扁平な種よ  今いずこ…   
   思いつづけて はたと気づいた。

 莢は二枚に割れたのではなく、 最初からこの状態ではなかったか。
そう考えて よくよく見れば…  注射の痕のような ほのかな膨れ、 色の濃い部分。  

    剥がしてみれば

 

    

  ようこそ! 楕円の粒がのぞいた。
  6㎜くらいの黒い種である。
  左右にふたつ見えるのもタネ、 
   こうして明かされる日をじっと待っていたのでしょう。 

 

 

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ここが ふるさと

2011-01-08 | 別所沼だより

  

         

    揺られながら あかりが消えて行くと
    鷗 (カモメ)のやうに眼をさます
    朝 真珠色の空気から
    よい詩が生れる

         Ⅱ

    天気のよい日 機嫌よく笑つてゐる
    机の上を片づけてものを書いたり
    ときどき眼をあげ  うつとりと
    窓のところに 空を見てゐる
    壁によりかかつて いつまでも
    おまへを考へることがある
    そらまめのにほひのする田舎など

     立原道造  「一日は……」  抜粋 

 

  よい詩が生まれる…  
 ことしも道造さんにつながれて すてきな出会いがありますように

  午前中 「見学の方は ひとりだけ…」 Kさんから引き継いで午後からガイド。 部屋の奥まで陽が射して ハウスの中はポカポカしている。 暖房はいらない。 新鮮な木の香 飾られた蜜柑で晴れやかに門出。
 
 
今朝も-3.7℃と厳しい寒さ。 キーンと音がしそうな冷気です。 陽だまりにカモメも鳩も仲よく日向ぼこ。 浮島のまわりの鳥たちが白い花のようだ。 


          


 Hさんから教えていただいた立原道造の手紙…

   僕にはほんとうのふるさとはどこにもないのです。
   ふるさとをさがしているのです。  浦和が僕に
   あたらしいふるさとを与へてくれればいいとねがひます。
   「さがしつづける者は見出す」 といふ希望にみちた諺を
   信じるならばいつか僕は帰郷することが出来るでせう。 (抜粋)
        昭和13年2月   深澤紅子宛 書簡   

 
 
 その魂が結晶したようなヒアシンスハウス。 居心地の良い空間…  ヒアシンスハウスを ことしもどうぞよろしくお願いいたします。

 

  来訪13名。

  南に 桜が一本植えられた。
  ここから眺める櫻はどんなだろうか  詩人とともに春が楽しみになる。  
  水辺のさくら を夢に見て。

 

  

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寒い朝

2011-01-07 | 自然や花など

  

   霜柱倒れつつあり幽かなり    たかし
   霜柱深き嘆きの声に溶け     朱鳥
   霜柱傷つきしもの青が冴え    楸邨

  今朝の気温 -2.5℃  別所に霜がおりた 

 

 奥の池には薄氷  睡蓮や落ち葉を閉じこめている

 

  陽が射して パリ パリと 割れる音がした 
  ヒビが走って模様ができる  白い糸の流れ

  おお寒…

 

 

  夏は青かったバッタが 今は枯色に紛れて
   こっそり 日向ぼこ

 

   猫も あたりに溶けている

  雑音に耳遊ばせて日向ぼこ      しづの女
  日に酔ひて死にたる如し日向ぼこ   虚子

  こんな心境か   うとうとと  日向は気持がよい 

 

 
   

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