別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

2008-08-31 | 自然や花など
水たまり


  水たまりができていた   
  自転車で抜けると 飛沫が上がる
  
   水晶などのわれたるやうに  
  
         景色がゆっくり流れていった
 
 
 
 

          
        蜘蛛の巣にとまる滴    煌めくドット 
        ステーションネックレス
        真珠の飾り   レース編み  蜘蛛の涙目
 
  
   降るというよりは流れるのである まるで大空の洪水だ 
   神経も何もかきむしるようにひっきりなしに
   屋根のナマコ板を騒然とならしている  

  モームの、理性を打ちくだくほどの雨。  夕べも 激しく降った。 

 

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デルフト物語り

2008-08-28 | アートな時間

  きのう フェルメール展 へ行った。 長雨がようやくあがって、 青空に 「デルフト風景」 のような雲が湧いている。   
  丹念に描かれた絵は こころを惹きつけてやまない。 光と翳の効果、 空間の処理、 慎重に考え抜かれた構図。 入れ子のように奥へ誘い、 衣裳の襞や翳の豊かさ。 なにより色彩の美しさに息を呑む。 時間がとまる。 静謐な絵に心安らぐ。
 真珠の耀き、 ヴァージナルやリュートも聴こえそうだ。 思いがけず小さな作品でおどろく。  描くように観て 勝手な想像をめぐらせる。

            -☆-

小路  「小路」 1658~1660年頃
  画家がふだん見慣れている何とない眺めを、 考え抜かれた構図や色彩で豊かなものがたりにしている。 

  右の建物が画面を分割しそうだが。   薄曇りの光の中、 手をついて遊ぶ子ども、 刺繍をする女性、 露地を片付けるもうひとりの女性。 
 細部まで見ていくと、 窓ガラスの格子にも夏の陽が散らばる、  煉瓦の描き込みもこまやか。 赤や黄色の味付け。
 
 見飽きない、 壁やアーチの白がリズムを生んで 露地をぬけ 空き地を抜けて 遠くの空へと運んだ。  フェルメール・ブルーは、 甃に、木戸に、 女性のエプロン、 木立や屋根のうえに。 隠し味のようにこぼれている。 雲間の遙かなるウルトラマリンブルーもあった。 縦約54㌢・横約44㌢
  
   「リュートを調弦する女」 1663~1665年頃
  押さえた色合いのなかにも、 無量の、 いぶし銀のような魅力がある。 好きな作品。 手前に椅子の飾りだろうか。 無造作に置かれたものと。 不思議な陰が均衡を破る。  翳は微妙にトーンを変えて。
 外光に浮かびあがる人物が調弦の合間、 ふと見せる横顔、 耳飾りのまろやかな光り、 その頬にも触れてみたいと思った。  縦約51㌢・横約45㌢

リュートを調弦する女   


 「ワイングラスを持つ娘」1659~1660年頃      「手紙を書く婦人と召使い」1670年頃 

ワイングラスを持つ娘 手紙を書く婦人と召使い  

 (左) 赤がここにも効果的、衣裳・ステンドグラス。ターバン。 耳飾り。 テーブルのオレンジ、 黄色。 縦約78㌢・横67㌢
 (右) 机にかけてある厚地の布  壁の絵  一方からの光り  複雑に分けられる画面  それぞれの質感  床の模様  丸めた手紙  印章?など 約72・約60㌢  

ヴァージナルの前に座る若い女


 「ヴァージナルの前に座る若い女
         1670年頃 

  真贋取りざたされたが、 椅子の背もたれのウルトラマリンブルー。 1670年前後に流行したらしい髪飾りも決め手となって◎
 
髪型も似ている
 「レースを編む女」 に 制作年が一致。 キャンバス地の縦糸横糸のムラまでよく似ている、 絵の幅もほぼ同じ と。 縦約25・横約20㌢

 

 

 

  マルタとマリアの家のキリスト 

  前後したが 2階がフェルメールコーナーで、 一番目に展示されている。 珍しく宗教画  

  「マルタとマリアの家のキリスト」 1655年頃

   縦約160㌢・横約142㌢
  フェルメールの作品中最大かつ 最も初期に描かれた

 やわらかな筆致に惹かれる。 マルタを中心に。
 かいがいしく働く… 女性の美徳とされた。
 
  

 
 「ディアナとニンフたち」1655~1656年頃

ディアナとニンフたち修復前  ← 修復前

 月と狩りの女神
  神話による  

  明るい背景(空)は別人により後世加筆されたもの という。 今回展示された修復後の作品↓。 
 洗浄の結果、 背景は暗くなっている。 全体の色も落ち着いている。

修復後     

 

 

  
 

       -☆- 

 まず フェルメールの絵ばかり並べてしまった
 光の天才画家とデルフトの巨匠たち  フェルメール展 
 
 ほかに レンブラントに天才と称され、フェルメールの師であったと伝わるカレル・ファブリティウスや、デルフトに特有の技法を確立させたピーテル・デ・ホーホなど展示 (チラシによる)
  
     フェルメールに影響を与えたデルフトの巨匠たちの作品

  さらに  すぴかさん(1) (2) 、 Takさん(1) (2) のページに 詳しく載っています。 

  図録は買わなかった。 実物の色は 胸に留め、   絵はがき 号外など参考に

 

 

  
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見慣れぬ客

2008-08-27 | 夢見鳥
       ホトトギスの葉の上で
 

  上野から帰ると  玄関前で見慣れぬ客が待っていた   
  イチモンジチョウなら ラインは白    
    こっちは 瑠璃色だ   

    フェルメールを見てきたばかりの眼に  
       なんと調子の良い ウルトラマリンだこと 
      

  

   ちょっと 翅が傷んで          湿った落葉のような裏側   

 

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何の花?

2008-08-23 | 自然や花など

  エキナカは楽しい お弁当に総菜、 ドレス、 バッグ、 お菓子、 本や。 なかでも惹かれるのが花屋さん。 一気に秋めいて、 上着が欲しい今日この頃、 こんな花で模様替えしたい。 「モカラ カリプソ 濃い色もお部屋に飾ると落ち着いた雰囲気に。 大きめのグリーンを合わせて… 」  と教えてもらった。 サンプルのグリーンはモンステラかな。  

 

臭木クサギとわかりました     ? 

?  ?

   道路沿いににある植物は、 葉が大きくて、 小さな花が甘いよい香り。 
 携帯で撮ったので見にくいですが。  何の花? 
  朝顔に似ている花、 以前から調べていますがわかりません。  葉は丸くて 裂けていない。 毎年寒くなっても咲いています。 撮影は 2006/11/20

 

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ワイエス

2008-08-20 | アートな時間

             Andrew Wyeth  :  GERANIUMS 

       
           黙って …     心でみてみる  

 

              窓外に 海が見える

 

                赤は  たったこれだけ

 

 

 

     

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必要な色

2008-08-16 | 別所沼だより

  灼熱の太陽が容赦ない。 プレゼントのペンケースに文庫本、 凍った飲み物、 保冷剤をたずさえ気合いを入れていざ出陣。 雨戸を開けるまでハウスはヒンヤリとしていた、それでも北側の温度計は、 朝から30℃を指している。 日誌をみると、 案の定減少気味。 なかに建築科の学生さんが京都からなどと。 期待する。 しかし、 お盆だ。

  釣り人はいつも元気で、 散歩やジョギングのひとも絶え間なく。 三方を開け放し 待った。  じっと待った。 来客用に家から団扇も持参して。 窓下にミントが 薄い儚げな花をたくさんつけた。 ペアの蜆蝶、 ツマグロヒョウモン、 モンシロチョウがときおり見舞う。 蜻蛉もたくさん。 

                       -☆-

 ヒアシンスハウス及び ヒアシンスハウスの会の活動は、 彩の国景観賞 「心に潤い部門」、 さいたま市景観協力賞 を受賞しています。

   2005年彩の国景観賞   さいたま市景観協力賞

                       -☆-

   午後2時  ここまで来訪者ゼロ。
  ひとり読書に精を出す。 うるさいほどの蝉時雨、 鬱蒼と繁る森をバックに瀟洒な小屋がある。 庵から覗く十便十宜図の老人になったと思った。
  しかし 熱い。 屋根が灼けて、 風も無く、 特に耳の辺りから上、 モヤッとして真綿にくるまれている。  室温33℃。 外気は40℃近いと想像できた。

                       -☆-

  雑誌に中村真一郎、 川村二郎、安藤元雄氏の対談があり、道造の詩について興味をひいた。
 
 立原の詩には 「文脈として通らない 自分の好きな餌だけを啄む… 彼の詩的世界の構成法…  言葉の拾い方にそれがあって、つまり、わざと極端に省略法をおし進めて 本当に必要な色や 必要な線しか取り出さない。 気に入った、自分の琴線に触れたものしか取り出さない。」 それがどういう脈絡でつながっているかはあえて線をひかずに点描的に出してしまう…  (安藤元雄)   抜粋

  詩にある爽やかで独特な魅力。 弱々しげな、 透きとおることば。
  何ごとにも 省略がだいじ。

                                                   -☆-

  最寄り駅の中浦和を出ると陸橋の上から、 メタセコイアが見えるそうです。 写真は先月いらしたOSさんから頂きました。 中浦和に行ったことはありませんが、まっすぐな道の正面が別所沼。 徒歩5分です。

 奥の緑が目印です   

  暑い盛りボランティアの方から麦茶をいただいて、 束の間のお喋り。 小説を書くそうだ。 これから読みます。 お化粧してないの の質問には答えられません。
  今日の日記、 余計な色が過ぎました。 短く伝えることの難しさ。 噴き出る汗。とにかく雷鳴が其処まで来ているので 急いで帰ります。

 

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夏帽子に蝉時雨

2008-08-10 | 別所沼だより

 

                
                  麦藁帽子       立原道造

                八月の金と緑の微風のなかで
                眼に沁みる爽やかな麦藁帽子は
                黄いろな 淡い 花々のやうだ
                甘いにほひと光とに満ちて
                それらの花が 咲きそろふとき
                蝶よりも 小鳥らよりも
                もつと優しい愛の心が挨拶する

                       
                        -☆-

 麦藁帽子…  淡い黄色の花のよう  このごろ見かけないけれど
 夏は かならず麦藁帽子を買ってもらった。 やさしい色と日の匂いを感じながら遊んだ。
    
       
 小母さんが うつむいて草を刈っている。  帽子の大きなリボンに
 花束を留めて  少女のようなうしろ姿がとてもすてきだった

                       -☆-

 ハウス前に 向日葵が咲いた。  
 夥しい種が、蜜蜂が群れるようにかたまって みんな蝉時雨を聴いている。  

  秋暑し、 噴水は眼にも涼しく  
   飛沫の向こう側でも 気持ちの良いシャワーを浴びている

 

    盛んに、 驟雨のような蝉の声。 メタセコイアの葉に下草の中にもたくさんの脱け殻を残していた。   
 
     聞くうちに蝉は頭蓋の内に居る        梵
     空蝉を見る妻の瞳(メ)のうるむなり      岳陽

  

    

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