猛暑つづきで別所に来るのも久しぶりだ。 突風や雷予報も出ている。 お盆を控えてさすがに釣りびとは少ない、 滝のような汗をかいても走る人は切れ目無く。
お客を招き入れる内開きのドアを押して 「道造さん… おじゃまします」
小声で挨拶して中に入る。 部屋は杉や檜の爽快な香りで充満している。 東南の雨戸を開けると一陣の風が、 なにかチリリと鳴らした。 ふいのことでびっくりした。
みればコーナー窓のいちばん高いところに、 風鈴が下がっている。 気まぐれな風につきあって、 ときおり歌っている。
晩夏、 さまざまな緑に囲まれるヒアシンスハウス。 道造さんが好んだ緑系に暑さを忘れる。 心を取り戻して 風鈴の涼やかな音にひたる。 夏の風がハウスを吹き抜ける、 なま温かい匂いにのって蜻蛉まで入ってくる、 陽も翳もうごく。
極暑にも 「住み心地よい」家を ゆっくり堪能する、 幸せなガイドの一日。
鉢にも 可愛い風鈴が。 撮れなかったが、 ここに揚羽が留まった。
噴水が一其 戻って 澱んだ沼を救っている。
来訪三名 お暑い中、ほんとうにありがとうございました。
・ 建築科の学生。 女性は図面を引き熱心に寸法を採る。 外からもスケッチして帰られた。
(細やかな視点でしずかな学び。 ガイドもうれし)
・ 安全安心住宅勉強会から。 10月、 辰野金吾設計の東京駅復元工事が終わる、 この機会に、 帝大在学中に辰野賞を3回もとった立原道造とヒアシンスハウスを多くの方に知って頂きたい と。 勉強会で発信、 紹介してくださっている。 (ありがとうございます。 辰野賞に合わせ、 千載一遇のチャンスですね。
11月3日(土) 第8回ヒアシンスハウス夢まつりin別所沼。 ファンが大挙しておしよせる… 夢のようです)
ご自分の部屋は一部プロの手を借りたが、ほとんどを自身で造った。 やはり切妻片流れ屋根… と強調された。 風信子荘の由来などお話しする。 風 信子さんの荘かも知れないと。
・札幌から大きなスーツケースをもって若き男性、 帰省の途次訪ねて下さった。 上司に知らせたいと絵葉書購入。 建築家の眼で 感動しながら。
このころ突如降りだして、 雨が止むまでしばらく滞在された。 (ご堪能されましたか。
彼方より思い覚ましてヒアシンスハウスへ。 どうぞまたいらしてください)
アオコ大発生! 厳しい暑さに沼があえいでいる。
植物プランクトンなどが異常に繁殖、 水面の色を変えている。 朝のうちは北よりの風が南側に吹き寄せて、 ヒアシンスハウスの窓からは、 樹間に赤茶けた水面の色が哀しく映った。
午後気づくと、 青粉は北側に移ったらしい。 いつものおだやかな沼面に変わっていた。
いっとき降ったが、 期待するほど涼しくはならなかった。 八月半ばの蝉の声、 大合唱に命がたぎる。