別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

散歩

2008-07-28 | 自然や花など
二日続けて雷が来た

  運動不足解消  筋力アップ  持久力  速歩…  どれも関係ない
  いつもカメラを持って  時計を見ながら 足任せ。 そぞろ歩きも 結構忙しいのだ   
  眼はキョロキョロと落ち着かず、 怪しいそぶり、 物音に惹かれ横道にそれる。 行き止まりかと思えば拓けていて。  いつか新たな散歩コースができる。 
     
  

            暮れてゆく巣を張る蜘の仰向きに 草田男

            夏萩の花ある枝の長きかな     立子   

   まったく気づかないで 花だけ撮ったつもり、 拡大すると 蜘蛛まで入ってる。
   写真を見るとは 風景を読むこと。 予期せぬ物語が詰まっている。 

 

小学校の木槿

    
                花木槿

           人に面(オモテ)も見すまじき
           けふの心のかたくなを
           しかはあれどもよしとする
           ゆふべは白き花木槿(ハナハチス)

                     三好達治

  
  
  長く咲く と思ったのは、次々咲くのでそう思っただけ、 ほんとうは一日花 夕方にはしぼんでいる

 これと八重は我が家の木槿   

   
  一方  少しずつ色の違うサルスベリ  約100日咲く うす色  とは限らない

   遊歩道の百日紅     

   
    あでやかに主張するトランペット         内気なエノコログサも輝いて 

トランペット フラワー  踊る猫じゃらし

  いくつかあるコース。 いつも右回りではつまらないので、 今日は逆回り。 方向が変わると、思いがけないものを発見したり 物語も異なってきて、 落差も楽しい。

 

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暑中お見舞い

2008-07-26 | 別所沼だより

 

        ようこそ…     お部屋は      
      よく冷えております

   

 

  

       お飲み物は
           何にしましょうか 

    でも、  暑いときは やはり   熱いお椀

  

    その縁に  お庭の
     みどりを 青々と湛えて

 「雲丹ふかし」 
 漆器の闇に 「海苔」の雲。 
その薫り  波の音まで運んできそう

ミニより 小さな「マイクロトマト」   「冬瓜」の梳く薄衣ウスギヌも奥ゆかし 

  見つめると 
 
       夜釣りの灯なつかしく水の闇を過ぐ    冨田木歩(モッポ) 

   お椀のなかに夜釣りの火…  しみじみと浮かんできます (画像 7/16二木屋)

  

               -☆- 


   みなさま  暑さにめげず  
      せめて マーク・ ロスコの作品で お凌ぎください


 

            

              Mark Rothko  Untitled 1953

 
       

    

         Mark Rothko
              Woman Sewing, c. 1934
    

    Mark Rothko   とても好きです      

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Oh !

2008-07-25 | 犬のブロンコ・ダン

 

  華奢で  ちいさな背中   生まれてきて どれくらい?  

 

  炎天下  音もせで  だーれ          ねえ  こっち向いて

      どこから来たの

  ラグビーがいないので 小さな庭に今日もお客がやってきた。  蜥蜴クンは 家族を増やしてゾロゾロお散歩。 ひっくり返って赤いお腹を見せてくれる。 こちらに気づくと いっせいに! 縮みあがってご挨拶。 ムクドリが闊歩したり 鴉もときどき見て回る。 

  黒い揚羽や青筋あげは、  語らいかける静かな時間   わずかなしあわせ  

 

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自画像

2008-07-22 | アートな時間

 

 この絵のまえで おもわずにっこりしてしまう。 素直さとユーモア、 いい味がでています。  
 女流画家  丸木スマさん。

   
  顔にソバカスがいっぱいあって 何とかしようと思ったがどうにもならない。 
  それで私はせめていっしょうけんめいに働いて、 その埋め合わせをしておりました。

  自分をすこしも美人だとは思わないが、 絵を描くようになって 少しは見られるようになったのではないかと思います。 もう死んでもよいと思っていた頃の顔と、 もう少し生きて、すきな絵を一枚でもたくさん描こうと思ってからの顔は、 自分でもわかるほど変わって、生き生きとしてきたのではないかと思います。 

 

  ほんとうに 美人より輝いている。 好きなことに没頭すると 表情も明るく いい顔になってくるのね。 
  自分でもわかるほどって  とてもすてきです。

 そのほかの作品は 別所沼だよりのここにあります。 ほとんどが大作、 会場では、 絵をひきたてるように素朴で洒落た額に納められ、 或いはセンス良く表装されている。 例えば、 中廻、柱は代赭、 一文字に質の良い縞柄、 淡い三色の太線で囲まれると、 さらに素晴らしく見えました。  図録も絵はがきも額がない写真で残念に思う。 晴れ着は作品の一部となって完成する。


    絵筆を執るすがたも  羨ましいくらい楽しげ
     百合の手まえに 赤い花を描いてますね。 黄色は何の花でしょうか

 

           後方の絵は 「内海の魚」と「庭先」

                             (画像: 丸木スマ展カタログから)

   画家のアトリエを覗くのは  実に楽しいと思います。

 

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炎夏

2008-07-19 | 別所沼だより

  うんざりするほど暑かったですね。 ハウスは炎天下、しかも無風で。 温度計をみる気にもなれません。 噴きでる汗を拭ってじっとするしかない。 

  午前中3名、 ほか鯰一匹。 突然の揺れに驚きました。 かなりの時間、 大樹もユサユサ、 ハウスはユラユラ たゆたふ小舟。 一時は、 とうとう来たかと思うくらい慌てました。 後で知ったのですが、 この辺りはさほどでなかったらしい。 臆病ですね。  

  珍しく、 きょうのガイドは午前中だけ、 昼から別の方が担当します。  午後は自由でラッキー。 blog御常連の O.Sさんがいらしてずっとお喋り。 全く初対面ながらコメント通りの、 心の深い、 パワフルな方でした。 手作りされたアクセサリーのおみやげもありがとうございました。

 

  

     帰路、 埼玉県立近代美術館に立ち寄り、  気になっている企画展
   「丸木スマ展-樹・花・生きものを謳う- を見ました。

 70歳をこえてから絵を描きはじめ、81歳で亡くなるまでの間に 700点以上もの作品を残したおばあちゃん。 「原爆の図」 で知られる長男の丸木位里と俊夫妻にすすめられて 初めて絵筆をとった。 天衣無縫、 色彩豊か、女流画家協会展や日本美術院展でもみとめられ、作品にあふれるのびやかな優しさ。
  元気よく育った木々や草花、可愛がっていた犬や猫、とりたての野菜、山里を行き交う鳥や虫たちなど、日々の暮らしで親しんだ生命あるものの姿を いきいきととらえました。

どれを取ってもかなわない。 おおらか、 感動は大きく広くとらえられ。 柿の実がひとより大きいこと。  豊かな色彩にほれぼれ、 ユニークな表現、 クレヨンで描いたうえに墨を流して出来る水滴、 色むらの味。 思いのままに描かれ、 構図などいわず、悩まず。 心に感じたままがひとを惹きつけている。 

 絵をはじめて、 それまで見ていたものを見直し、愕き発見し、新しいせかいを創造することを 楽しむようになった という 女流画家。 

  水彩、油絵の具、 墨、クレヨン、鉛筆、コンテなど、 素材を変え重なり合う色の複雑になるハーモニーが、 とても新鮮に映りました。  なんとこころよく響くことか。

 あじさい 1949

 

  梅が咲く   1952                  内海の魚 1954         

  

   母猫     1951                 めし      1950

  こころに感じたものがそっくりでている  いい絵に逢えました。  常識にとらわれている自分の絵とくらべながら、 収穫の多いすばらしい展覧会です。 人柄が出ている自画像も魅かれた。 

  別所で蝉の交響曲は聴こえませんでした。 スマおばあちゃんのように炎夏を楽しみましょう。  とうもろこし  きゅうり  せみ クリ 蛇…
    関東地方も 梅雨明けです。

 

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蓮池

2008-07-16 | 自然や花など

  今朝は五時起きをして、 行田市小針の古代蓮を見に行く。  ここから車で約1時間。 
 公共施設建設の折に造成工事したところ、 自然発芽して発見されました。 概ね1400年から3000年前のもの。

  行田蓮(古代蓮)は 花径25~28㎝、 葉心角120°~130°と小振り、 少しすぼめた傘を、逆さにするイメージです。 花は4日間。
  
 1日目 午前6時頃から咲き始め 3~4㎝開いた後、8時頃閉じてしまい 蕾の状態に戻る。 
 2日目 早朝より咲き始め 7時から9時頃には満開。 もっとも美しいときで ほのかに香る。 そしてまた 蕾の状態にもどる。
 3日目 二日目と同じ経過をたどり 最大に開く。 受粉した雌しべは黒っぽく変化し、 花の色も少し褪せる。 昼頃には閉じはじめ、 閉じかけたまま 夜を迎えます。
 4日目 朝7時頃、 完全に開花。 花弁は早いもので8時頃から、 昼にはすべて散ってしまう。


  行田蓮    アメリカ黄蓮 ヴァージニア蓮  輪王蓮

  蓮は植物の中でも、 もっとも古いもののひとつ、 およそ1億4千万年前に、すでに地球上に存在したといわれています (以上 古代蓮会館パネル展示より)。

  清々しさに蒸し暑さを忘れ、 蓮の花は心を落ちつかせる。  仏様と蓮華、 蓮華座。 瓦当や仏像の光背、 台座にある蓮華文など、 今まであちこちで眼にした。 絵画や工芸に取り入れられて。 九谷や伊万里の蓮の花。  浮き葉にやすむ蛙は (蓮池に蛙 酒井抱一(Profileに拝借中)) の絵にそっくりで。 そのうえを、 低くもつれあいながらツバメが飛ぶ。 極楽浄土とはこんなふうか。 

   blog もののあはれの物語で拝見したのも、 大和文華館の 「一字蓮台法華経」。 経文全て、 一文字ずつ蓮台の上に書かれている珍しいものでした。 いろいろなことが繋がり拡がって 早起きはまさに 三文の徳 となり。 敷地面積14ヘクタール、 全部で 41種類。 行田蓮 約10万株、 世界の蓮40種類で 約2万株あるそうです。  

 こちらは蓮池の蛙  おしまい。

 

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華麗なる対決

2008-07-15 | アートな時間

   対決 巨匠たちの日本美術
  優れた芸術家をふたりずつ組み合わせ 作品の比較をする、 直接の影響関係がない場合でも、 対照の妙が見えてくる。 

  オモシロイ企画を素直にたのしもうと思ったが。 挑むような作品に圧倒され、 思いも熱く、 深くなってゆく。  

  対する巨匠が火花を散らすようで、 観るほうだって気が抜けない。 執念を感じるものやダイナミックな作品、 華麗な対決など。 
  この日、夜色楼台図はなかった。 猛暑に対決すべく、 心ゆくまで美の遍歴を試みる。  展示替えにあわせ通わなければ、 もったいない。 川音がきこえ 群鶏が騒ぐ、 3時間かけても まだ足りなかった。
 

  ・運慶 vs 快慶 (人に象る仏の性)  ・雪舟 vs 雪村 (画趣に秘める禅境) 
  ・永徳「檜図屏風」「梅に水禽図」 vs 等伯「萩芒図屏風」 「松林図屏風」 (墨と彩の気韻生動)  
  ・長次郎「黒楽茶碗 銘俊寛」「赤楽茶碗 銘無一物」
    vs 光悦「黒楽茶碗 銘時雨」 「赤楽茶碗 銘毘沙門堂」  (楽碗に競う わび数寄の美) 
  ・宗達「槙檜図屏風」「蔦の細道図屏風」「秋草図屏風」
    vs 光琳「竹梅図屏風」「白楽天図屏風」「流水図乱箱」  (画想無碍・画才無尽)  
  ・仁清 「色絵吉野山図茶壺」vs 乾山「色絵紅葉図透彫反鉢」 (彩雅陶から書画陶へ)
  ・円空 vs 木喰仏縁世に満ちみつ) 
  ・ 大雅「宜秋図」 vs 蕪村「課農便図」(詩は画の心・画は句の姿)
  :
  ・若冲「仙人掌群鶏図襖」 vs 蕭白「群仙図屏風」  (画人・画狂・画仙・画魔)  
  ・応挙「保津川図屏風」 vs 芦雪「海浜奇勝図屏風」 (写生の静・奇想の動)  
  ・歌麿「婦人相学十躰・浮気之相」 vs 写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」 (憂き世を浮き世に化粧して)  ・鉄斎 vs 大観温故創新の双巨峰)  (写真 チラシから)

    

     

  蕪村 「鳶鴉図」 詩情豊かな雪。 凌ぐ鴉。  雪… 墨でもって弧を描き角で攻めていく塗り残し。 強風に煽られる白い雪片のいきいきとした描写。 鴉の背中に降る雪、 融ける雪。 暴風雨に立ち向かう鳶の、すがた、 鋭い眼光。  ひっそりと暮らす詩人の、 大作。 
 光悦・宗達 「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」 下絵を活かす 絶妙なるバランス

      展示一覧  ヴァーチャル美術館

   もう一度 かならず見に来よう    きょうの ユリノキ

   

 

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夏は夜

2008-07-12 | 自然や花など

  月のころはさらなり…
 猛暑の予報は35℃。 実際、 アスファルト舗装や建物の照りかえしで40度以上はある。 夕方5時、 出発直前にスコールが来て、 一層蒸してきた。 それでも、 すべて洗いあげたように清々しく、 瑞々しくなっていた。 会場の民家園で宵闇を待つ。 この場所で 昨年蓮の花に出会った。

  
  それにしても、 こんな時刻だ。  おおきな荷葉に雫を溜めて、 花はまぶたを閉じ眠りにつくところ。  水面に黄昏が迫っている。 18:42

 
 かつてのように乱舞するのだろうか。 久々のホタルはどんなかと、 ワクワクしながら落ち着かない。

  

 

  

  18:47  民家園の背景に、  雨上がりの雲と屋敷林。  大がかりな舞台装置である。 天上のコーラスまで届きそう。

       

  半月と塒へ急ぐ鳥が2羽  

  蒲の穂

  19:09 大きな蒲の穂、 綿毛がはじけているのがいくつもある。 このあたりに、 見沼ホタル保存会の方々が飼育箱から蛍を放った。 まだまだ… ぼんやり明るい。
  

  夏は、夜。 月のころはさらなり、 闇もなほ、螢の多く飛びちがひたる。 また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。 雨など降るも、をかし。 

  午後8時、 いよいよ闇夜になりぬ。
螢は草かげで 「ここよ…」 というように ポー ポーと光ってみせた。  一つ、 二つ…   歓声があがる。 「そこ…」 「こっち」、 溢れるほどの見物人。  乱れ飛ぶほどいないし、 これじゃ飛び立つ勇気なんか出ないだろうな。  立派なカメラの閃光、 携帯を向ける、 デジカメのモニターと。 最先端の灯火は、 かすかな情趣と心もとない灯りを、 まるで威嚇するように思える。 健気なホタルに、 あはれを催す。 写真なぞ撮れなかった。 
 モードを夜景にしてみたり、 ISOは400から1600まで、 さらに連写機能など。 いろいろ試しても、 全くお手上げ、 どうしてくれるの。 
 半月さえも、 少しふくれてきている。 

  帰りぎわ、 ようやく飛ぶのを見た。 ゆらり、 ゆらり…  むかし見ていた光景だ。 落ち着いて、 心のカメラだけに納めてきた。 鮮明な映像はひとりじめ。
  螢が棲める環境、 小さな生物のゆくえ、 自分たちの未来のためにも、 きれいな地球をとりもどしたい。

  

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色いろ

2008-07-11 | 自然や花など

  ミニバラ    コーヒー  オベーション

      

           

  
     おとなの赤だ  茶系   沸騰するコーヒーが醸す色味   
       この透ける色を使いたい    油絵を描くときに 

 

                      -☆-

 

 
 
茄子紺  年中あるけれど  夏の色
 
 
   
 
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木下闇

2008-07-07 | 別所沼だより

  きのうのこと

 
      木の暗を音なくて出づ揚羽蝶    誓子

  ふわっと飛び立ちました。 
  この場合は、 やみ…、 或いは このくれ… と読むのだろうか。
  
  猛暑の別所沼、 さすがに弁財天の木陰は気持ちよさそうです。  
  蝶が紫陽花に隠れてる、 昼間も暗い「木下闇コシタヤミ」、 昼寝をしたり、読書をしたり。  涼を求める日曜日。 
   ・木暮る(コグル)  ・青葉闇  ・下闇  ・木暗し(コグラシ)  とも。

   

  

  藤棚のもとで休んでいる、 我が物顔の牡丹臭木ボタンクサギです。

 

  きれいだけれど、 しぶといくせ者。 バタフライ フラワーの仲間だなんて 信じられませんね。

 

 

 炎天下を駅まで。 少しの蔭をさがし歩くと、 電飾のような不連続がすてきでした。 5月頃、 白い花に魅かれた白雲木の実、 つぶらな つ・ら・ら… 

 

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色と形

2008-07-05 | アートな時間

  七月一日 ブリヂストン美術館 岡 鹿之助展へ。

献花

 

  男装の麗人…  これは女性にたいして使う言葉だが、 若い日の写真をみてとっさに浮かんだ。  端正な面差し、 几帳面な絵肌、 細やかな文字の手紙。 
 どこからみても、 スマートな姿かたちの麗しい画家であった。 と、 気ままな感想。

  チューブから出したての絵の具は、 筆で画面をそっと叩くように置いてある。 キャンバスの荒い地肌が見える、 べた塗りしない。 鮮やか、 あまり白を使わず、 混色はしない。 隣の色を引きたてる。

  都会的な匂いのする作品は、 題材別に分けられ
・海 ・堀割 ・献花(花籠。 自分の思いを特定の人に捧げる意味合い) ・雪 ・燈台 ・発電所 ・群落と廃墟 ・城館と礼拝堂。  
 最終章 「融合」では、 前述八章のテーマを組み合わせ、 窓辺の花と遠くの街、 建物、 段丘など。 廃墟の前景にアマリリス、 窓やカーテン。 遊蝶花 も。
 古い街並み。 形象化する建物。 雲。 

    色が形に先行する…  
  自ら語るように、 冴えた色。 明度や彩度の対比。  宝石箱からこぼれ落ちる色彩の粒。 華やぐ点描。 リズム。
  パンジーがいくつも登場する 「三色菫」 「三色スミレ」 「三色すみれ」 「パンジー」。 落ち着いた色彩の「遊蝶花」など小品の数々。 ピサロ、 スーラー、 シニャックの点描とも異なる点描表現を、 みることができた。

   
 
 風景画を見て、 静かなものがたりを聞くような…   舞台に立つような感覚になる構成… など思う。 戻って略歴を読むと、 何となく繋がった。

  「劇評家の長男として生まれた」  劇場で たくさん観ていたに違いない。 実際、画家として舞台にかかわったこともあるらしい。

   HPで 主な作品が見られます。   なんと言っても  遊蝶花(下の写真左)。

  遊蝶花は… レミ・ドゥ・グルモンの詩から 
   シモオヌよ、そなたの髪の毛の森には…  一度読んだら忘れられない詩です。

  シモオヌよ…  
    春の庭には苧環、 遊蝶花、 
    唐水仙、 匂いの高い阿羅世伊止宇。  (訳 上田敏)  抜粋
 
      右写真も  タイトル 「遊蝶花」。    

    

  「魚」も 印象深い。

 

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ヤブカンゾウ

2008-07-02 | 自然や花など

  早起きをして見てきました。 忘れ草… 今年も忘れず 櫻の木の下に咲いています。  (さいたま市浦和区 見沼代用水西縁に 800mつづいている)

 この花を身につければ憂いを忘れられると信じていたのですね。
 自生していたのを、 近所の方々が守っていらっしゃいます。 万葉ファンには嬉しいこと。 TVの取材もあり首都圏ネットで放送されるようです。 
   
  忘れ草垣もしみみに植ゑたれど醜(シコ)の醜草(シコクサ)なほ恋ひにけり  巻12・3062

   やはり 効き目はありません。 恋の憂いは忘れられやしない。 
    醜草…  などと。  あでやかです。

  週末には咲きそろうことでしょう。     昨年のようす 

   朝の6時、 散歩のひとがたくさんいました。

 乳茸刺 

 (上) 斜面に 乳茸刺 チダケサシ。 アスチルベの仲間で、 雰囲気はそっくりでも、 色は淡く、姿もスッキリ。
 (下) 園芸家が育てているヤブカンゾウ。 その向こうに屹立するのは トリトマ。 よく目立つ個性的な花穂。 トーチリリーとも呼ぶって。 草丈150㎝ 印象的です。


 

      花言葉    「あなたは私を楽しませる」    朱がかった茶色はつぼみ、 開花すると黄色。 筒形の花が下から順に咲き上がっていく。   美しくて  おもしろいひと…

 

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夏は白

2008-07-01 | 自然や花など
         西洋美術館のくちなし
 
      今朝咲きし山梔子の又白きこと        立子
      驟雨くるくちなしの香を踏みにじり       夕爾

  
 
  
 
    遊歩道の半夏生

  絵の具を掃いたような半夏生。  今日は 夏至から11日目の節気 半夏生。 

 

       竹煮草

  夏は 竹煮草に惹かれます。 葉は、 大きな菊のようで裏が白っぽい。 小さな白い花がたくさんついて、 若緑から白いはな、 やがて薄茶で終わるのも好きなのです。 目立たない花の、 やさしいグラデーションも古風で良い。

     葉裏白うそよぎて暑し竹煮草        水明
     机辺一日まなこけぶれり竹煮草      澄雄

    風に揺れると 音がするので 別名 囁草 ササヤキグサ。    占城菊 チャンパギク。 
   地味な色遣いながら背は高い。 2mくらい、  絵になる。

      あのたけだけしき草に 臈たけた花… (青柳志解樹)

   まさにそんな感じだ  優美な貴婦人が立つ。


 
           

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