別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

微笑み

2012-12-21 | 自然や花など

    

  柘榴の実は熟すと割れて、 中からルビーのような赤い実が現れる。 
                       
  あたかも賢者の額から 思想がはじき出たかのようだ…
      (ポール・ヴァレリー   柘榴)    

皮が厚い石榴は、ひとの額のように堅い、 賢者の額から思想がはじき出る… 

 
        簪も櫛もなき髪笑む石榴  草田男


髪に 簪も櫛も飾らぬひとの微笑み…

       
         熟れざくろ濃き朝霧を噛んでゐし    鷹女
   
 霧を噛む石榴… 自然もこころも大きい 

     

   あはは… って 笑っているようなザクロ
   豪快なザクロと
  

 

 

 


 

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居心地のよい家

2012-12-18 | 別所沼だより

 明るい窓と 木の香り 心が落ちつく…
 建築家で詩人 立原道造の居心地のよい住まいです。
ヒアシンスハウスへ 初めていらっしゃる方のために、 ご案内いたします。

場所
 埼玉県さいたま市南区 別所沼公園内

交通
 JR埼京線 中浦和駅から徒歩5分
 JR京浜東北線 浦和駅から徒歩20分

開室日 
  水・土・日・祝日 午前10時~午後3時
       ※外観はいつでもご覧になれます

 

 

 地図など 詳しいことはこちらです。

   

 

 

 

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敗荷

2012-12-17 | 自然や花など
 

 荷は蓮のこと、それは知っていましたが 

敗荷(ヤレハス)  破蓮(ヤレハチス)  秋の季語  これは知りませんでした。

   敗荷の茎面白や水の綾    虚子
  亀の居て破れ蓮の水うごきけり  草城  

 歳時記をたどると
「秋が深まって、青々と茂っていた蓮の葉が破れ、落莫とした秋の蓮田となる」 

さらに 高橋睦郎さんの「花をひろう」によって 
 「蓮が秋風によって葉の緑色が失われ、破れたさまを晒すのを指す」 と学んだ。

 そこで 辞書を引くと、ハスの葉のうえには珠のような露が光っていた。 
  何とうれしいことだろう。 

  荷葉=荷衣 (カイ)  ハスの葉 
  荷花・荷華(カカ)=荷蕖(カキョ)  ハスの花 
  荷気(カキ)=荷香(カコウ)   ハスの花のかおり   
  荷珠(カシュ)=荷露(カロ)   ハスの葉の上の露 

 

 

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雰囲気

2012-12-15 | 別所沼だより

  このところ氷点下つづき、  きょうは曇り すっかり冷え込んでいる。一日ストーブをつけた。  
  走る人は絶えないけれど、 ヒアシンスハウスを目指すひとは少ないようだ。 暮れの忙しさと戦っている。 ときおりパラパラと降った。

 人間であるよりは、 はるかに妖精に近いような雰囲気を、あたりに漂わせながら、 空中を飛ぶような身軽な歩きかたで 動きまわっていた。 建築家詩人の、なかば少年のような姿、含み笑… 中村真一郎

(恋しくて来ぬ 啄木郷  )  立原道造についても書かれています。



 「道造さん おはようございます」 
 ドアを開けると 戸惑うような詩人の写真があった。 わたしの今年最後のガイドです。

 ・句会(春月)のため。  「とてもよい木の香りがしますね」 「素材は何ですか」 
 入ってすぐ微香に気づく… うれしいですね。 さすがに 五感を研ぎすませて雰囲気のよい方々、 男女 五名。  

  ・ガイドのTさん  季語の話題をひとしきり。 
  ・小さな女の子が入ってきて スタンプを押して帰る。 パパは外で見守っています。

 ・N先生。 上梓された「月橘の香り」について伺う。 芭蕉の師、 北村李吟「俳諧 埋木」のことなど幅広く、 生徒ひとりのミニ講座はもったいない。 文芸全般にわたり楽しみであった。 
   来室 11名。 

 綺麗になった別所沼、 涙ぐましい努力をして
水面の枯葉を掬っています。



 

 なにか貰えそう…  いっせいに集まってくる。

 

 逆立ちで餌をとる。  お尻をひょいっとあげて バランスがいいカモ。


  大きな公孫樹の木を丸坊主にした冬…  (高村光太郎)

 イチョウはすっかり葉を落とし、 日向のメタセコイアも先端が透けている。
  なにもかもが冬の気配を纏ってきた。 
 寒冷のなかに一本の筋が通るような、 冬の雰囲気も悪くない。  

 

 

 

 

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ひよつと思ひぬ

2012-12-14 | 別所沼だより

          パステルに汚れし我手
       油絵の手の如くに
       ひよつと思ひぬ。   立原道造

 

  パステルと油彩と どちらも描いた詩人
 汚れた指先は まるで…

  今しがたまで描いていたのは 油絵だったかしら
  

 

  ゆさぶれ 青い梢を
  もぎとれ 青い木の実を

 

 

 ひとよ 昼はとほく澄みわたるので
 私のかへつて行く故里が どこかにとほくあるやうだ

            わかれる昼に   立原道造 

 

 (加工画像は 沼写真の輪郭抽出です)

 

 

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線だけで

2012-12-13 | アートな時間

丸沼芸術の森所蔵  ベン・シャーン展 -線の魔術師-                             
       埼玉県立近代美術館で  1月14日まで

   画像は拡大できます)

 リルケ「マルテの手記」より 《愛にみちた多くの夜の回想》 1968年

 「一行の詩のためには、あまたの都市 あまたの人々、あまたの書物を見なければならぬ… 」  リルケ「マルテの手記」 新潮文庫 大山定一 訳

 すてきなポスターをもらったとき 壁に飾ろうと考えた。
  震えるような線が忘れられない。 こころに届く画家の思い、 やさしさやつよさや哀しみをのせて走る線がこころを揺らすからだ。 筆は毛を間引いている。 ひたすら線に思いをこめて、 かすれたり震えるような線、 太くて力強い線もある。 線だけで描くせかいを楽しんだ。 深い思いが伝わる。

 「丸沼芸術の森」は ワイエスのコレクションでおなじみになった。 鉛筆やコンテによる作品、 油彩、水彩、 テンペラ、グワッシュ、 ドローイング、リトグラフなど ポスターもありベン・シャーンの魅力を紹介。 展示 292点。

  パンフレットによれば

 ベン・シャーン(1898 − 1969) 1930年代から60年代にかけて、アメリカで活躍した画家。 リトアニアのユダヤ人家庭に生まれ、8歳のときに家族とともにニューヨークへ移住。 移民の子として貧民街で育ち、 少年の頃から石版画工房で働きながら美術を学んだシャーンは、 一貫して人種差別や迫害、 貧困をテーマに制作。 ポスターや本の装丁など、グラフィック・デザインの分野でも活躍。
 描くものに対して、 つねに鋭い批判の眼差しと 深い愛情を投げかけた。

 「私は憎むものを描く。 私は愛するものを描く」

19世紀のフランスで無実の罪をきせられた大尉のこと、 第五福竜丸の被爆のシリーズを手がける。  「出航」「網元、日本の男」「ニュース報告」 「彼の妻-久保山夫人」etc。

    

 独特の線の魅力は、日本の画家やグラフィック・デザイナーにも大きな影響を与えた。 

← ポスター裏面

 「一行の詩のためには… リルケ「マルテの手記」 より) 《扉Ⅰ》 1968年

 

 

  

 

 

 

 

 

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秋と冬の

2012-12-10 | 別所沼だより

  午後の3時  晩秋の光が射して 水面に映える

 

   落ち葉が地面に散らばっていた

  がらんとした沼で  噴水はふっくらと歌うように しぶきをあげる

   秋と冬の あわひの時刻に…  

    

 



 

 

 

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冬の桜

2012-12-04 | 自然や花など

 群馬県南部 藤岡市鬼石(オニシ)の桜山公園に冬桜がみごろです。  

夏の猛暑に花が少ないとか。 なかなか寒くならなくて遅れて咲き始めたとか。
それでも染井吉野よりも少し小さめの淡いピンクの花が咲いていました。 
約7,000本の冬桜は、 国の名勝・天然記念物指定。

  冬と春 二度咲く

 いまごろは 紅葉と桜の競演

   山茶花に紅葉

 桜山山頂より(標高591m)

 遅れていた冬桜も そろそろ満開のとき、 今週はいかがでしょう。

 旧 鬼石町は 俳人、長谷川零余子(ハセガワレイヨシ)の出身地。 
 公園のまつりには俳句大会も行われている。

 零余子は、 長谷川かな女と結婚、 浦和に縁があり、 
かな女の句碑が別所沼公園に建っている。

 

  山あいの冬桜

 冬桜は寒桜とも。  山桜の変種。

 

 

 

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風立ちぬ

2012-12-02 | 別所沼だより

   第十二回 朗読公演 
  堀 辰雄  風立ちぬ いざ生きめやも  14:00~
       彩の国さいたま芸術劇場 映像ホール

 朗読  武田久仁子
 音楽  フルート&ギター  岩濱眞規(「風のように」 作詞作曲)

・風立ちぬ

  Le vent se lève, il faut tenter de vivre. 

 冒頭に引用された ポール・ヴァレリーの詩、 心地よい音質と早さで朗読がはじまった。
 

 それらの夏の日々、一面に薄(ススキ)の生い茂った草原の中で、 お前が立ったまま熱心に絵を描いていると、 私はいつもその傍らの一本の白樺の木蔭に身を横たえていたものだった。

  朗読は抜粋し要約されている。 武田さんは 元 NHK東京放送劇団員とあった。 長年磨かれた技術で、 よどみなく、 声の調子を抑えたり、高めたりしながら、 堀 辰雄が描いた詩のようなせかいを広げてゆく。 音楽が場面ごとに臨場感や奥行を与え、 しずかに盛り上げてゆく。 節子と私のすがたが浮かぶようだった。 もっと聞いていたい。 

 口笛や挿入歌に導かれ想像がふくらむ、小説を深く味わうことができた。 堀が矢野綾子に捧げたといわれる鎮魂歌。 小説に表された うつくしい、いくつものかけらを拾った。 自然の描写であり、 彼女のしぐさや上品な言葉づかい… 私や節子の心理描写の。   

・トーク (八ヶ岳その白き輝き)

・曠野(アラノ)

忘れぬる君はなかなかつらからで いままで生ける身をぞ恨むる  (拾遺集)

 堀辰雄の王朝物といわれる四作のなかで 最も完成された作品。 
 原典(今昔物語第四の巻30)。 古語の解説もあったが、 より詳しく解った、古典を学んできてよかった。 


 堀 辰雄夫人 多恵子さんは 立原道造記念館の名誉館長であり、 ヒアシンスハウスをつくる会の発起人でもいらした。  公演のおわりに ヒアシンスハウス代表の北原さんの夫人が 多恵子さんを別所沼にお連れした日のことや、 一緒にウナギを召しあがったことなど楽しく話され、会場はいっそう和やかになった。 ヒアシンスハウスのことを全く知らなかった方たちにも 堀 辰雄と立原道造の交遊を心に刻み、 関心を寄せてくださったことと思う。 

 

 

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夢のひろがり

2012-12-01 | 別所沼だより

  海に浮かぶ一そうの帆船…  水鳥が颯爽とゆく。

   別所沼のほとりで育まれてきた 文芸同人誌 「孤帆(コハン)」をご紹介しましょう。

    

 風土と文芸が深い関係にあることはいうまでもない。
風光や土地柄が描かれていることで文芸作品が精細を放っているのである… 
          
 
(孤帆主宰 北原立木) 

  拡大

  ことし35号では 「ヒアシンスハウスと別所沼の風」として エッセイ、詩、短歌、俳句などある。 ガイドになって知り得たみなさんの個性的な作品を読むのは、 ことさら楽しい。

 モダンな表紙・カットは 高島 芳幸

 さらに小説、 若い方の作品もよかった。 ほか戯曲、書評など
 

「ヒアシンスハウス」の夢がひろがり、 新しい芸術の発信地になるよう願っています。 

 

 

 

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