別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

愛蔵品

2010-05-29 | 別所沼だより

  

 立原道造が青春の日々を過ごした文京区弥生にある 立原道造記念館 
 向かい側は 東大弥生門です。 

  立原道造が遺したものたち 愛蔵品を中心として」  
           2010年9月26日まで 立原道造記念館                    
  開館日
 木・金・土 日曜・祝日 
          午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)

              -☆-

・少年期に蒐集した多数の 「東京市電乗換切符」(初公開) 切符の意匠もたのしい  
・三年連続受賞の辰野賞銅牌
・懐中時計 ・マリアの厨子(立原没後 母トメの依頼で水戸部アサイが遺品を整理、 最晩年の南方への旅から持ち帰ったまま置かれていたバスケットの中に入っていた)  ・旅に携えた二種類のカバンやバスケット  病をおしても出かけていた強靱な精神におどろく。 駆りたてていたものは…
・立原の逝去を知らせるハガキ
  わかっているはずなのに、 中にハガキが現れると俄に胸が熱くなる。 哀しいセピア色だ。 

  ながいことなんのおとづれもなくもう五月になつてしまふ。 風が僕の膚ハダに吹くときに、 それは何とこころよいこと! プラターヌも芽がのび、 ポプラの緑も濃くなつた。 あたらしい紺の背広のことなど夢みながら、 毎日毎日はたらいてゐる。 外光の強くなつた硝子張のアトリエで――。     立原道造

 新しい背広のことなど夢みながら ネクタイにもこだわった
 
道造はおしゃれなひと。 背広は自からデザインして特注した。 リボンのような ボヘミアンネクタイなど展示。 

 大学に入った頃から 今までの狭い三畳の二階の自室から 自宅三階の屋根裏部屋に移った。 「バー コペンハーゲン」 と名づけ隅々まで屋根裏の美学によって設計されていた  さながら詩的空間。 狭い場所のイメージだが、 実際はかなり広いらしい。  北欧へのあこがれ…
 「床に古びたテエブルや椅子を置き、 針金を渡して黒い布を下げた仕切りの向こうに本箱や寝台が置いてある… 」 「表に面した窓の擦りガラスに 堀さんの 『硝子の破ワれてゐる窓 僕の蝕歯よ…』 の詩が 楽書きのやうに斜めに鉛筆で書いてあったり…」 (出典 宇佐見 斉 「立原道造」) と 「若さが装飾されていた(室生犀星)」。

               -☆-  

水彩画「学園ノ小春日」1931年頃 弁護士としての仕事のかたわら、記念館の設立、 運営をなさった故鹿野琢見さんのことばも響きます
 
 日本一小さな記念館ではあるが、 ダイヤモンドのように輝きを放つ建築であると自負する… 
 

  24歳8か月で夭折した立原道造の世界が、 小空間にちりばめられて 今なお輝やきを失わずにある。
 日記帳をうめる几帳面で それはそれは細かな文字に、あらためて立原道造の息づかいを感じます。 透明な魅力の、弱々しげな鋭い感性の 詩のことばや パステル画、 建築設計図、 書簡などに会える。  

  画像は 「学園ノ小春日」 絵葉書から 一七歳の頃の水彩画  
       一部にパステル。

 (調べたり 見てきた蛙のメモです。 
     まちがいがありましたらごめんなさい) 

 

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ニゲラ

2010-05-24 | 自然や花など

  クロタネソウ

   二日つづきの雨で、 花々は生気を取りもどした。
   通りに面して かたちのおもしろい花が覗いている。 ひかえめだが、 せめてみれば…  変わった花だ。
   花をまとめる総苞が、 糸のように繊細で目立つ。 さらに 噴きあがる水のようなかたちの、 グリーンをのせている。  
   
 調べると 

 ニゲラ  または クロタネソウ
南ヨーロッパ原産、 江戸時代に渡来。 花後、 風船状の果実をつける。 ドライフラワーになるそうだ。

黒い種子には芳香があり、 紀元前の地中海沿岸諸国では、 パンやケーキの香りづけとして、盛んに利用された。 

 どんな香りがするのかな
花言葉は  未来、 夢で逢いましょう
   Nigella は、 ラテン語で Niger 黒い  …  黒い種… クロタネソウ

             -☆-

  

   薔薇は濡れる舗道に花びらを落とし 道行くひとを呼びとめている

     

  「ボリジ」ですと月草さんから頂きました

    繊毛に  ちいさなしずく   何のはな?

   ※ ボリジです… 胡瓜のような香りの葉も お花もサラダにいれたり砂糖漬けにします。 紅茶やワインにお花を浮かせてもすてきです。

   月草さん!  ありがとうございます。  
  

   

      浮子のような チロリアンランプと 

       アブチロン

       灯りのようなアブチロンが  同じ仲間とは知らなかった 

 アブチロン  年中 咲いている
 

   

 

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五月のそよ風

2010-05-22 | 別所沼だより

  病床にあった詩人は 最後の春に、
   
    五月のそよ風を ゼリーにして持ってきてください    

  看護婦から鏡を借りると窓のそとに麦の青さを見、 五月の風をゼリーにして食べたい と注文した。 ファンには緑が哀しくうつる季節ですね。 
風にふかれて水面はゼリーのようにふるえました。 
 晴れのち曇り  26℃ 昨日ほど暑くありません。 全ての窓を開けて涼風が気持ちよく通り抜けました。

 保育園児の遠足のようだ、 若い両親や家族につきそわれて天使がぞくぞくと集まってくる。 風に乗ってときおりとどく笛の音。 さあ 今日はどんな出会いが… わくわくしながら待った。

 

  ハウスの周りにオキザリスが咲いて クローバーの甘い匂いもします。

 ・ 浦和にお住まいの友人の案内で 京都からご夫妻で。 
  詩人立原道造のフアン。 将来を嘱望されていた建築家と知ってびっくりされた。
  中学生のころ描いたパステル画や詩よりも詩的な手紙もご紹介。
  ご遠方からありがとうございます。 うれしいです。 

 ぼくの半身は詩を考へ もうひとつの半身は建築を夢みる   立原道造

  
 ・90歳 沼を一周だけ走ります。 亡き奥様の腕時計をしてハウスは何度目か。でも、説明を聞くのははじめて。 詩人の家とはつゆ知らず。 戦争体験を話された。
  自称無口の常連さんと意気投合、 基地問題など幅広く語り合う。  

 ・熊本から千葉の友人と。 こころから感動され、 熱い思いが伝わってくる。 ヒアシンスハウスとおなじ家を建てたいそうだ。 十字の切抜きのある椅子も作って。 持参のメジャーで細かな採寸。 ご遠方からようこそいらっしゃいました。 

  ご同席の永峰さんから 
 「まさに 立原道造が願ったのは ヒアシンスハウスでお客さまと このようにたのしく語り合うことでした…」 
  気がつけばそのようになっていて たのしいお話は尽きなかった。
 『写真を撮ってもいいですか 』  
 「どうぞ 皆さまのヒアシンスハウスです」 
  ほんとうに わざわざいらしたのですから ごゆっくりご覧ください。
  古い知人のようにうちとけて 記念の撮影会。

     

 

     ……
    
     ああ 陽ざしがかくれる かげが
     しづかにひろがる 風がやはり吹いてゐる
              
                立原道造    初夏(抜粋)



 うれしき出会いは15名。  とくに熱心な方が多い日です。
 
                 -☆-

 皆さまから たくさん学びました。

 「フランク・ロイド・ライトの建築を見に現地を訪ねた。 家具調度など身のまわりすべてに及ぶデザイン、その芸術家魂をみました」
  
 風信子荘の旗… 兄のように慕っていた神保光太郎に在室を知らせるばかりでなく、 もっと深い意味がある。 「風は 立原にとって重要なキーワード」  
 「週末を過ごすための ふつうの住居になぜ旗を掲げるのでしょう。
 かれは風信をおくるつもりだった…  旗は風にひるがえり 彼のレーベン(命 ・人生)を送るかのよう」  
   
  ・テキスタイルや照明やカトラリー、 景観までデザインしてしまうライト、 その気持よく分かりますね。 境界はない、 すべてを自分の絵にしたい…
  ・詩人のレーベンはうつくしい音楽になって はてしなく流れてゆく。 のこる命を知っていた詩人を思うと 胸が苦しくなります。

  みなさま ありがとうございました。

  


  

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ばらまつり

2010-05-17 | 自然や花など

 サラバンド

    明るい目の覚めるような朱色で     花は 「サラバンド」

  サラバンドは 
  17~18世紀にヨーロッパで流行った舞曲   その名をいただく薔薇
  ゆるやかな三拍子で 花は踊るようだった

           -☆-
  
  日曜日  与野公園 ばらまつり  
  園内面積5,500㎡  3015本  110種類もある。 多くのひとでにぎわった。 花の名をメモするのも疲れ 好きな色やかたちのを写した。 

アシュラム 赤、黒赤色、紫味ある黒紅、緋赤色、暗赤、明るい赤、ローズを含んだ赤、光沢のある緋赤色
 朱色、 輝くような朱色、 オレンジ、薄いオレンジ、オレンジピンク、 茶がかったオレンジ、やわらかな杏色

  ピンク ローズピンク、ソフトピンク、マジェンタピンク、 澄んだピンク、サーモンピンク、濃いピンク、温かいピンク、桃色…  


  ラベンダー色、深い紅紫色、淡い紫、 紫色、あざやかな紫色  

  深い黄色、濃い黄色、明るい黄色、淡い黄色、純黄色、赤味のある淡黄色。  

  青みがかった白、 象牙色、 白、クリーム白色、

  クリームベージュ… バニラ・パフューム  古風な色味

 深紅がびろーどのような薔薇など さまざまな表情と微妙な色合いで魅了する

 

 

      

 

 

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めずらしい花

2010-05-15 | 自然や花など

マユミの花

 
    散歩でみつけた植物です  さわやかなグリーン
    淡い黄緑の小花がびっしり   何の木?

 
    よくみると 実のようなのがついています

         

    してみれば 花びらに見えるのは  萼?
    どうぞ 教えてください

 ※ 追記   
 「このきなんのき」掲示板で教えていただいて、 ようやく身元が判明しました。
 これは マユミの花 です  以前にも蕾は見ているらしいのですが、開花したのは初めて。 ようすが変わって想像もできませんでした。

  ルピナスさん、 トントンさん、 信州の人さん ありがとうございました。   

              -☆-

  ↓ たぶん イキシアですね  
       八方に広がるので 纏められていました

   


      いつも どこでも元気な 長実雛罌粟

             


   

 

 

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遊歩道の花

2010-05-11 | 自然や花など

  卯の花の匂う垣根…  
    花に芳香はないのですね
         匂いは白い色映えの表現 (花おりおり)

         押しあうて又卯の花の咲きこぼれ    子規

    白い花が群がり咲いている

   美術館の周りは 紅花トチノキ   
      巫女さんが持つ神楽鈴のようです
            

    

      ブルームーンさんが教えてくれたマロウ  
        花をお茶に   葉も食べられる  

 

    

      紫蘭咲いていささかは岩もあはれなり    白秋
 
         美しい紅紫にはかなわない



        

       八重のきんぽうげ   ラナンキュラス

 

 

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白いパステル

2010-05-09 | 別所沼だより

   沼に さわやかな風をおくるマーガレット   

    

       

  まっ白で清潔   花びらは糊のきいた木綿のよう  

  夏は白。 白といえどトーンはさまざま、 黄みのある白、 青みがかる白、 胡粉をまぜたような厚ぼったい白、 ミルク色、 生成り色、 灰色みのある白、 つやのある白…  

  Tシャツの白など、 沼のほとりはニュアンスのちがう白でにぎわっていた。

             -☆-

  弁財天のまわりは 紫蘭、つつじ、 牡丹臭木など紫系、 色合いのよく似た花ばかりだ。  柵が払われてカワセミを見なくなった。  

  日曜日 太公望であふれた。  写真を撮りに来ただけなのにガイドの癖が出て。 神奈川からいらした絵手紙のグループに近づき、 詩人を紹介しハウスへ案内する。 落羽松の気根を珍しげに描き、 ヒアシンスハウスの小窓やドアノブなどサラサラっと  喜んでくださった。

  風は青空に、 春でもない夏でもないような雲をのこしていった。 
   やわらかなパステルの白で…  

  

   

 

 

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咲く

2010-05-08 | 自然や花など

  イキシア 


   1月 ルピナスを植えました 

      1月19日

   
    5月8日 白だけが咲きはじめ ほかの色はまだです 

           ルピナス 昇藤

        花立  はなだつ   まるで塔のようです 
                      静かに たち現れました 
                                                 
                                      

  キンポウゲ

        紐解 ひもとく 
              つぼみは ほころび ほどけるように咲くのですね

       


       

        キンポウゲの花は enamel を塗ったように テラテラ光る         

         

     

         笑 ゑむ    
                 揺らいで  笑顔がこぼれた
                 あのひとの 匂うような微笑み


   「咲く」 は 古語では 「はなだつ」 「ひもとく」 「ゑむ」 という

     動作がはっきりして 咲くということが見えるようによくわかる      

 

 

 

 

 

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イキシア

2010-05-04 | 自然や花など

  しまって置いたちいさな球根を植えた。 細い葉がそよぎだして米粒のような蕾をたくさんつけていた4月。 雪にあったりしてヒヤヒヤしたが、 蕾は日増しにふくらんで

    

  どうやら開花。  
  みれば 南アフリカ原産のイキシアだ。  またの名を槍水仙
  勢いがあるのはその名のせいだ。

 
    

      
    夏日にもつよい
    陽にあたるとひらいて 翳れば閉じる    
    
    管理人はすっかり忘れていたが 去年の盆栽展でもとめたのだった。
        
  

 

      花言葉は 「誇り高い」 「秘めた恋」

   

  

     立ち姿も なかなかでしょう 
   
   みなさま  連休をいかがお過ごしでしょうか…



 

 

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