別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

季節のにほひ

2005-12-25 | 別所沼だより

  町のなかでは何もがちっとも季節を微妙にをしへてくれないといふけれども、僕たちなど町のことしか知らないので、道の上にうつる影のいろにも、建物のいろにも、花や鳥の教へてくれるのとかはらないこまかい季節のうつりかはりを感じます。それから、女の人たちの服装などは、きっと雲の色や空の色よりも、僕などにははっきりと時間を教えてくれます。 それから、もののにほひが…          
                             深澤紅子様       立原道造 (抜粋)

 

           

  北の風に枯れ葉がおどり、 鴨や都鳥が噴水とじゃれる冬、 あたたかい陽の匂いがした。 メタセコイアの落葉がふわふわと毛布のよう、 それを鳩や鶺鴒がつついている。 灯りをともしたヒアシンスハウスに人影が揺れる。 楽しそうに談笑する3人を寒そうな雲が見ていた。 

 立原道造の写真を初めて載せます。ハウス建設中、新聞の紹介記事が掲示されていました。

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主に似て

2005-12-19 | 犬のブロンコ・ダン

 12月20日は誕生日(1987生) どうです? アップで撮ると威風堂堂、小型犬も獅子に見えようというもの。 デパートの入り口だって守れる。
 穏やかないい表情は、健康で上機嫌な証拠です。 

 思えば18年、大病せず家族を守ってきた。 言葉はないが目と目で会話もできる。 嬉しければ瞳を輝やかせ、微笑むようだ。 悲しいときは身体中でしょんぼり、口元に寂しさがにじむ。 じつに表情豊かである。おかげで、こちらも良く笑う。

 叱られるかも知れないが、犬にも十一面ある。 怒れば牙出の相、鼻に皺寄せ歯を見せる。飼い主といえど要注意だ。ときに瞋怒(シンド)相だってある。鋭い目つきでにらまれた。反面、細やかに慈悲の相となり、気持ちを汲みかよわせ、幸せを分け合う。 
 
 犬は、我が身を映すのか。「蛙さんに良く似たワンちゃん」などと言われた。どういう意味だろうか。 スマート?  臆病? 人見知り? うるさいの? 綺麗好き? 鼻がきく・・・

 気にして見ると、どの犬も飼い主にちょっと似ている。 顔つきだったり、性格だったり。 ご主人似や、奥さん似だったりして可笑しかった。 そっくりなのもいた。
 猫はどうだろうか  
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かり出され

2005-12-13 | 犬のブロンコ・ダン

 HI! ブロンコ・ダンです。日がな一日こたつのなか。赤外線は目に悪いんだって。 知ったかぶりの母さんの忠告なんか聞きませんよ。 身体中に温風浴びて、常夏です。 なんかの丸焼きになってます。 ときどき畳の上で躯を冷やし、水分補給も怠りなくジャブジャブ飲んで まめに用足ししてます。

 いい気分で寝てるのに、いきなり散歩の付き合い。 駆りだしといて、
影法師かっこいい…  なんて写真撮るのに夢中だね。 
 主役はこっちだって言うのに、 鼻先だけかよ!!
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噴水に遊ぶ

2005-12-08 | 別所沼だより

 

噴水に遊ぶみやこどり

           
               公園で    立原道造    

        僕が 噴水を見ていると
         飛沫の向こう側に
         人が噴水を見ている
           ここの午後は町のどこより
           太陽が人の背中をやさしく光らせ
           しづかに時間が風とじゃれてゐる  

 

 

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みやこどり

2005-12-06 | 別所沼だより


  三週ぶりの別所はすっかり冬の装いです。 鴨といっしょに白いものがたくさんいました。ユリカモメです。古代、都鳥といわれました。 嘴が細く足が長い。ほとんど真っ白に見えますがよく見ると背や翼の上面はうすく青みがかった灰色で、 先端だけすこし黒いのです。 カモメに似ているけれど、嘴と足が赤くてキュート。 ギューイ、ギーィッと鳴くと本には出ていますがあまり声が聞こえません。


  都鳥の歌は万葉集には 
 たった一首、


 舟競(ふなぎほ)ふ堀江の川の水際(みなきは)に 来居つつ鳴くは都鳥かも 
   大伴家持 巻20・4462


 真っ白な羽色と赤、 特に映えます。 都鳥と言えば隅田川、 伊勢物語第九段です。杜若とともに忘れられないお話。

 
   むかし、をとこありけり。そのをとこ、身をえうなき物に思ひなして、京にはあらじ、あづまの方に住むべき國求めにとて行きけり。 (中略) 
 白き鳥の嘴(はし)と脚と赤き、鴫の大きさなる、水のうへに遊びつゝ魚(いを)をくふ。京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。渡守に問ひければ「これなむ都鳥」といふをきゝて、 名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと 
 とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。 
 


舟こぞりてといったところが面白い。みな遠い旅をしてきて心細くさびしかったのですね。 
 また、都鳥は冬の季語です。  


 
嘴(くち)あかきあはれまづ見よみやこどり        久保田万太郎  




  都鳥物語めくものもなし                 
秀好
  川の面にこころ遊びて都鳥               高浜虚子

 
  時折しぐれるなか 白い羽と赤い脚の対比は、きょうの寒さを際だたせていました。
  つめたい水に寒そう。 メタセコイアの色も深まってきました。 ミヤァ ミャー とか鳴くので「みやこどり」と呼んだとか。

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猫の絵

2005-12-04 | アートな時間
 昨日は、友と鎌倉文学館へ。

 「開館20周年記念 文学都市かまくら100人展」 鎌倉に暮らし、仲間と集い、鎌倉の自然や風土を愛し、作品に描いた文学者たちの思いが、鎌倉を文学のまちへと高めていきました。夏目漱石、芥川龍之介、与謝野晶子、里見 、大佛次郎、川端康成、三島由紀夫など (パンフレットより)

 直筆原稿や初版本、愛用品など展示されている。このうち何冊を読んだだろう。これから学ぶことが多すぎる、途方に暮れる。大間に合い、できるだろうか…

 文学館は前田侯爵家別邸だったところ。入り口の招鶴洞、趣ある洋館、前庭から見る由比ヶ浜、バラ園など写す。 紅葉はあまり良くない、日焼けしたような白っぽい赤だ。対照的に銀杏の黄金色が鮮やかだった。 

 夕暮れ近く小町通りをゆく。 20年まえ弟家族と歩いて。 お蕎麦がおいしかったことなど思い出す。 漱石の絵を見ながら、どんなときも猫をそばにおく義妹の笑顔が浮かんだ。
 ほかに、長谷寺、大仏殿、光則寺、鎌倉能舞台など巡った

    写真:夏目漱石画 「あかざと黒猫図」 130×32㎝
 帰宅後、 芳賀徹著「絵画の領分」を読み返す。 再発見もあった。

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マティスの金魚

2005-12-01 | アートな時間

 どうせ描くなら楽しまなくちゃ。いつもそう思ってキャンバスに向かう。気分は画面に反映する。 最初は乗らなくても描いてるうちに、色や形のさまざまを発見して、いいところを探す。
 だんだん面白くなっていく。気の持ちかたでくるくる変わるのだ。 

 待ちわびたマティスの金魚。 プーシキン美術館展 でようやく出会った。
 フォーヴィスム、野獣派といわれる画風。 大胆な色調、タッチ。 
 マチス・デュフィ・ブラマンク・ドラン・マルケなどが始めた。

 「金魚」1912年 気分を明るくする、この楽しく装飾的な絵に惹かれた。 鮮やかな色の組み合わせ。 手すりか椅子の背もたれか そのカーブが背景へといざなう。ゆたかに展開する。 平面的な背景と鉢の立体感。 水面にうつる金魚。 暗い部分とグリーンの位置、バランスなど絵を見ながら考えた。

 他に
サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め」ポール・セザンヌ 
 彼は ヴィクトワール山を30点以上描いた。 去年2月、眩しい光の中でこの山を見た。 乾いた土の色、オリーブのグリーンも、傘のような松もはっきり思い出せる。 

「池にかかる橋」 セザンヌ 幾何学的な筆遣い。キュビズムの予感。 
写真スタジオでポーズする踊り子」エドガー・ドガ 踊子の足と向き合う鏡の足が印象的。
刑務所の中庭」フィンセント・ファン・ゴッホ 高い塀に囲まれ狭い場所で運動する受刑者。心も晴れない。ゴッホによく似た人物の鋭いまなざし。そのひかり。
「白い睡蓮」クロード・モネ  モネは1899~1900年にかけて睡蓮の絵を18点描いた。
ジヴェルニーの積みわら」モネ  埼玉県立近代美術館では「ジヴェルニーの積みわら、夕日」1888-89年 がいつでも見られる。 こちらは夕日に染まる積みわら
ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」「黒い服の娘たち」オーギュスト・ルノワール
女王イザボー」「アルルカンと女友達」 ピカソ

 画家は何を思って描いたのだろう。 なぜこの彩り このかたち 絵のまえで心をなぞった。 模写をつづけよう。    今日から師走 風向きも変わった。銀杏舞い散る日 
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