別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

新春狂言

2012-01-28 | アートな時間

新春狂言  万作・萬斎の世界

解説:石田幸雄

一、 昆布売(こぶうり)
大名      野村万作
昆布売     高野和憲 
後見       中村修一

 (あらすじ) パンフレットから
 供を連れずに出かけた大名。 たまたま通りかかった若狭の小浜の召し(献上)の昆布を売る男を脅し、 太刀を持たせて供とする。 はじめはしぶしぶ従っていた昆布売りだが、大名が油断した隙に 太刀を抜き、逆に脅された大名が昆布を売ることになる。 物など売ったことのない大名は、昆布売りにさまざまな注文をつけられ…。
 立場が逆転した昆布売りと大名。 

昆布召せ こぶ召せ おこぶ召せ…  若狭の小浜の 召しのこぶ… 

 昆布売りに脅されながら、  謡節や浄瑠璃節、 踊り節にて売りあるく大名。  
 浄瑠璃節では つれてん つれてん… 三味の音 (自分で歌う)が入り、 
踊り節では  しゃっきしゃ  しゃっきしゃ  しゃっき  しゃっき しゃっきしゃ… と調子が良い。 これは、 あらかじめ学び全員で合唱していたので気分も高まる。 脅したつもりが 脅されて… 大名が哀れで可笑しい。 中世の流行歌謡が取り入れられている。

二、 仁王(におう)
 博奕打    野村萬斎
 何某      石田幸雄 
 参詣人    月崎晴夫 
  〃      中村修一 
  〃      村井一之 
  〃       内藤 連 
 男       野村万作 
 後見      高野和憲 

 博奕で負けつづけの博奕打が、 財産も尽きてしまい知人に相談すると、 博奕打を仁王の格好に扮装させ、 仁王が天下ったと触れ回って 信心深い人々から供え物を騙し取ろうと提案する。 早速仁王の相を作って待っていたところ、 期待通り参詣人が次から次へとやってきて、さまざまな願い事をかけては供え物を置いていく。 味をしめた博奕打はそのまま次の参詣人を待っていると… (あらすじ パンフレットから)

 光背をつけ、 金剛杵(コンゴウショ)を手に仁王像になりきる賭博打、 迫真の形相だ。 それがかえって可笑しい。 かっと見開く眼  口を開いて阿形の仁王。 参詣人がつぎつぎ現れて願い事をしお供えをする。 名作だ、 まるで生きているようだ と。
  痛めた足をひきずって来る男  動かないはずの仁王が、 こっそり動く。  
 不審に思った男は ためしに…  あとは ご想像ください。 

 このあたりの~ ものでござる~~   抑揚をつけ 歌うように

  狂言は 想像のせかい。 装置も 音楽も無い。 集中して見つめよう。 演目はそれぞれ短いが、 美しく  面白く 楽しいもの(野村万作) である。
 磨かれた技をみるのは、やはり気持がいい。 朗々と名乗る声が隅々まで通る。 すり足や  舞台上の着替 (ものみ)や 後見のこと。 前日夕刊に載った 萬斎さんの「きょう.げん.き!!」足袋の話(狂言の足袋は黄色、 生活感あふれる、地に足のついた狂言の登場人物にはぴったりなのである)など思いながら愉しんだ。 伝統芸能を味わう、 こころゆたかなひとときだった。
  揚幕 橋懸 老松 鏡板。 目付柱のこと。

 狂言講座では すり足、 演ずるのもむずかしい茸の動きなど  子どもたちと女性が舞台上で体験した。    


 
 

 

 埼玉会館の彫刻 

 鏡面に 歪んだけしきが映っていた。 

 

 

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雪降れり

2012-01-24 | 自然や花など

 頂いた写真…

 

  「二上山をバックにして  石舞台です」

 

 

   「2枚目は 雪の明日香村。  後ろの森は甘樫丘 それより右手に畝傍山…  後ろに二上山と左に葛城山が連なって…」  飛鳥寺の裏手から石舞台にむかう丘の上から とある。 水墨画のように美しい。 限られた時間のなかでも、 さすが絶好の機会を捉えていてすてきだ。 見はるかす山々に万葉歌が谺します。 

 Hさん ありがとうございます。
   


   雪掻いてゐる音ありしねざめかな  万太郎

 

   夕べこちらも 雪になり 
   朝は 5、6㎝積もっていた 
   ほそい枝は 雪の重みでたわんでいる 
    日中の気温5℃ 庭の雪は融けなかった
         

   
   

 

 

 

 

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冬深し

2012-01-18 | 自然や花など

   冬ふかむ父情の深みゆくごとく  龍太

 しみじみと 冬を味わいたい

庭の蝋梅。 ことしはどこも花が多いようだ。  散歩に出るとよく匂う。 
 枇杷の花は梢から、 暖かそうなキャメルのコートを着てそっと出てくる。 


 

大変だあ  来年の干支が もう顔を出してる   怖いなあ…

  天敵だ    でも 落ちついて見れば 猿の腰かけ?
   雨はまったく降らないし  カラカラだよ

  秋、 錦を誇ったニシキギが 今は枝の翼(ヨク)ばかりが目立つ

 

  新芽の用意も忘れずに

   きびきびと万物寒に入りにけり    風生
   日をうけて寂たる寒ンの扉かな    蛇笏

 きりりとして 冬は身がひきしまる。 
 三門の大きな扉が目に浮かんだ。

 


    

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憧れの家

2012-01-14 | 別所沼だより

 ハウスのあたりに鳩が群れて、 何か貰ったのでしょう。 枯草の上を啄んでいる。
 冬の日が温かい。 12月10日から、 ひとつき以上も降らなくて砂埃が舞いあがる。  鳩もバサバサっと、 飛び交う。 

 

  朝一番 窓越しに 親しげな笑みを浮かべるひと。
  「前に伺ったことがあるのです」  ニット帽の青年を思い出せない。
  「あの時の家ができたので、 きょうご報告します」 

 そうそう  夏の盛り、 建築家を伴って施工主の若い夫婦と 両親とで訪ねていらした、 しあわせなご一家だ。  探し当てたという風に柱を撫で、 硝子戸を楽しげにひき、 瞳をかがやかせていたのを思い出す。
  一階は土間で 大谷石を敷いてね…  素足であるく。 大谷石は蓄熱するので冬でも気にならない。 雨戸はなく、硝子戸に… 電車の中から木造の黒い家が見えたらボクの家です。 通ったらぜひ寄ってください。  ピン… ポン押してみて下さいね。 ガイドにも住み心地のよさが想像できた。 木立に囲まれるモダンで快適な家。 

・ 男性。 詩人の家はあこがれ。 晩年はこんな家で暮らしたいと 誰もが思うでしょう。 設計図が見たい。  図面はないの、 欲しいなあ… 外からも内からも 細やかに鑑賞された。 開放感あふれる家の思いが伝わる。

・ リフォーム中。 メジャーにカメラは必需品。 30代前半。パンフレットを勧めると、それより聴くほうが頭に入ると メモまで採って嬉しいこと。 
 ヒアシンスハウスと呼ぶのは何故?  もっとも多い質問です。
  あらためて (今までに調べ 判ったこと) 
 ヒアシンスは安政年間に渡来、 明治時代には風信子(ハヤシンス)と呼ばれる。 ほか「夜香蘭」の表記。 そのうち「風信子」がひろく用いられたが広まらず、大正までに「ヒアシンス」「ヒヤシンス」に落ち着く。 ガイドの亡きOさんは  立原がこだわったのは「風信子」。 
 モダンな匂いのする、 漢字表記、 語感ではないか。 ギリシャ神話の美少年ヒアシンサスも、 道造のセンスにフィットしたと思われる。  
          -☆-
「こだわって 造る…?」 とガイド。  即座に 「違います 心が豊かと言って…」 
 朝一番に会ったというのは、 たぶん従兄弟です。 
  血筋ばかりかすてきな感性も繋がっている。

・ 同年の6名。 ひとりが去年のヒアシンス夢まつりに参加。 皆さんに紹介したいのでお連れした。 女学生に戻って真剣に聞いてくださった。
 遠方の方も、 夢祭りの案内を希望して記帳。

 

・ お似合いのカップルは1時間以上滞在。 こういう家が造りたい。 コーナー窓の前は海です、 後ろは山で。 庭で遊ぶこどもの姿も 室内からぐるっと見わたせる。 おじいちゃんもおばあちゃんもここに座って。 振り向けば 山の学校にゆく子どもたちのようすも窺えて。 これが理想、 夢が広がります。 

 きょうも  嬉しき出会いがたくさんあった。
  来訪者 26名  ありがとうございました。
    

 

  正面の木立に囲まれた小さな家  あれが詩人で建築家の
  立原道造のヒアシンスハウスです。

      ヒアシンスの香りは

     風に乗ってゆくには重すぎて
     蜂蜜のように甘い雲となり
     まるでおだやかな夢のように
     甘美に眠気を誘うように
     香りに酔った者の頭にしみとおる

      ヘルマン・ヘッセ 「花の香り」  

  

 

 

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南天

2012-01-09 | 自然や花など

 たわわに実る南天。  
 1月3日、 奈良県桜井市談山神社から 聖林寺にまわると鮮やかな珠実が迎えた。

 色彩の乏しくなった隠れ里で 赤い実は鳥でなくてもすぐにみつかる
そこここで見かけた  ことしの粒はとくに大きく感じられる 
   


 


  談山神社で 巫女さんに会ったばかり
   緋色の袴が目に焼きついている

談山神社

 その色におなじ南天だ


  木の実降り 鵯(ヒヨ)鳴き天平観世音  秋桜子

 

 南天は難転…  災いを転ずると どうぞ復興がはやく進みますように

 回廊を渡って ようやく ようやく  国宝十一面観音に会える  
 動悸を鎮め おそるおそる額ずいた 
 気高いおすがたを一心にながめ 安らかな気持になる

 

 

  門前に 「大界外相」の碑とともに 万両が現れる
 大界外相は 結界のしるし
    

聖林寺境内から三輪山を望む

  聖林寺境内から三輪山をのぞむ  

    味酒(ウマサケ) 三輪の山 あをによし 奈良の山の…
 
  町並のはるかむこうに Hさんは住んでいる 
 
 

 

 

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光あれ

2012-01-07 | 別所沼だより

 1月5日、 うっすら雪化粧の 銀閣寺  

 銀沙灘も 向月台も  
  美しさに身がひきしまりました

   本年も どうぞよろしくお願いいたします
    初心にもどって ゆるやかに参ります

   ここちよい風と 音楽と 光みちる日々を…


    

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