pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

立川志の輔独演会@銀座ブロッサム1階17列下手

2010-02-27 23:06:34 | 志の輔らくご

正月PARCO以来1ヶ月ぶりの志の輔らくご。

前座は志の春さんの「元犬」

志の輔さんの前座は志の春さん率が高く、いままであんまり私とは相性が合わない気がしていましたが、今日の噺はとっても良かったです。白い犬が、願かけをして人間になり、奉公にでる噺です。口入屋の上総屋さんに羽織を借りて着方がわからないというところで、「羽織が着られないっていうのは前座も同じ」というところではちょっと素になってて面白かったです。目指せ真打!なんか、犬の気持ちがいじらしかったです。

志の輔さん一席目は「バールのようなもの」
マクラは当然のようにバンクーバーオリンピック。カーリングと女子フィギュアを話題にされていました。特にフィギュアの「芸術点。」これは人によって基準がちがうよね~と。突然小噺をいくつか披露。これが面白かった!「この噺のうち、どの噺が金でどれが銅って、みなさんわかりますか?」う~んさすが。わっかりやすい!
「バールのようなもの」は、志の輔さんの新作落語の中で一番好きな噺です。何気なく使っている言葉、おかしくない?という発想に目からウロコです。「女のようなやつ。」と言ったら女じゃない、「ダニのような」と言ったらダニじゃない、「ハワイのようなところ」と言ったらハワイじゃないだろ、とご隠居さんに教えられた男。スナックで知り合った女の子のことを奥さんに問い詰められて、「あれは妾じゃない。妾のようなもの。」と言ってしまい、奥さんにボコボコにされてしまいます。妾だけは、「~のようなもの」をつけると意味が倍増するというオチ。先日の談春さんの落語でも思いましたが、落語って、誰かがもっともらしく話したことに感動したあわてものが、自分でちゃんと消化しないまま、受け売りで他の人に話して失敗するというパターン多いですね。耳が痛いかも。。。

仲入り後は「百年目」
3月が目の前のせいか、お花見の噺。「芸者」のことを「迎車」と勘違いするほど堅物で通っている大店の番頭さん。実はひそかに芸者や幇間と遊んでいました。ある時、船で花見にでることになり、酔っ払った番頭さんは船から土手にあがり、顔を扇でかくして芸者や幇間と鬼ごっこを始めます。そこで偶然主人である店の旦那と遭遇し、あろうことか旦那をつかまえてしまって大慌て。いそいで帰って眠れぬ一夜をすごします。あくる朝、主人に呼び出された番頭さんは。。。叱られるどころか、旦那から「旦那」という言葉の意味、番頭さんのこれまでの苦労や努力へのねぎらい、また、来年には店を持たせるので、どうか辞めないで欲しい。。といったことを静かに言われます。この旦那さん、すごい。あれだけの醜態を見せられたのに、一言も小言を言わず、しかも当の番頭さんを海よりも深く反省させ、これまで以上の忠誠を心に誓わせてしまうのですから。こっぴどく叱られるよりも、ズシーンと胸に響いたんでしょうね。。。

桜がずうっと咲きそろった土手で、家族や長屋の人たちや、俳句を詠む老人がそれぞれにお花見を楽しんでいる。その前をすべるように通り過ぎる賑やかな宴会の船遊びの光景が浮かんできました。