pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

如月の三枚看板 喬太郎+文左衛門+扇辰@銀座ブロッサム1階4列センター

2010-02-12 23:48:41 | 落語・講談

一度は聴いてみたいと思っていた柳家喬太郎さんご出演の落語会に行ってきました。

さすがに新富町は仕事の後に行くには遠く、駅の階段を猛ダッシュしたものの、ブロッサムについた時には既に前座の入船亭辰じんくんの「たらちね」がロビーまで聴こえていました。一緒に走ってる人もいて、ちょっと嬉しかったです。

「たらちね」は10分ほどで終わり、次に出てきたのはなんと喬太郎さん!トリかと思ってたのに意外。落語家さんの人気ランキングでは志の輔さんと1・2を争っているのですが、やはり落語の世界では先輩後輩の順番が厳しいのかな。走ってよかった~とつくづく思いました。

さて、喬太郎さん。人気のわけがよ~くわかりました。しなやかなんです。そんなにお年ではないのに髪は柔らかなグレーだし、お着物はパステルカラー。95キロのふくよかな体から醸し出す雰囲気はなんともソフト。どちらかといえば硬派な志の輔さんや志らくさんとくらべると女性受けしそうな感じですね。マクラでも、「相武さきちゃんが新幹線の中でシューマイくれた夢みちゃった」と、でっかい体でそれはそれは嬉しそうにおっしゃってました。

喬太郎さんの演目はたいこもち一八の「たいこ腹」。たいこもちといえばヨイショ。

「される身になってヨイショは親切に。」遊び飽きた若旦那が次に興味をもったのは「鍼」。最初はあっちこっちぶすぶす刺してみたけどつまんない。やっぱり生きてるものじゃないと・・・と、猫に。それでもあきたらず、思いついたのがたいこもちの一八というわけです。もう、喬太郎さん、踊るののけ反るの、すごいサービス精神でした。

3席目は入船亭扇辰さん「徂徠豆腐」。この演目は志の輔さんで聴いたことがありましたが、角刈りで思いっきり江戸っ子風の扇辰さんの豆腐屋さんもとてもよかったです。まだ貧乏だった荻生徂徠が、恩を受けた豆腐屋に恩返しをする噺ですが、豆腐屋さんが火事で全焼した豆腐屋を立て直してもらったことよりも、徂徠が極貧浪人から柳沢吉保に抜擢され立派な学者になったことを喜ぶところでほろっとしました。豆腐屋さんが、食い詰めて一日冷ややっこ一丁しか食べていない徂徠に「にぎりめしを持って来ましょうか。」と申し出た時、「豆腐なら売り物だから後で金を払えば済む。しかし、めしをめぐんでもらうと乞食になるから断る。」と言いきった姿に感動した豆腐屋さんは、それならと、毎日おからを届けるのです。清貧学者と江戸っ子の心意気に涙。扇辰さんがリアル豆腐屋さんに見えました。きっとこういう人を玄人好みというんじゃないかなあなんて思いました。

仲入り後は、橘屋文左衛門さん「らくだ」。マクラなしで、いきなり「おい!らくだ~!」と、本題に入ってびっくりしました。文左衛門さんもはじめてでしたが、なんというか、凄味がありすぎてちょっとショーケン(テンプターズじゃなくて最近の迫力のショーケンね。)に睨まれてるみたいでこわかったです

「らくだ」という噺自体、ちょっとシュールというか怖い噺ですが、死んだならず者の「らくだ」の兄貴分に翻弄される屑屋さんがお酒を飲まされてどんどん変貌し、やくざの兄貴分と立場逆転していく過程がものすごくスリリングで面白かったです。文左衛門さん、本当にどんどん酔っ払い状態になっていって、恐ろしい表現力。身ひとつでここまで表現できるって、落語って本当にすごいなあと、またまた感動してしまいました。

懲りない私は明日も志らくさんの会にいってきま~す当分落語熱に浮かされそうです。