pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

狭き門より入れ@PARCO劇場F列下手

2009-08-30 18:32:39 | 観劇/コンサート

[作・演出]前川知大

[CAST]佐々木蔵之介 市川亀治郎 浅野和之 中尾明慶 有川マコト 手塚とおる

「狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きく、その路は廣く、之より入る者おほし。生命にいたる門は狭く、その路は細く、之を見出すもの少なし。」(『マタイによる福音書』7章1314節)

私は無宗教(母は仏教徒、父は神道、大学はプロテスタント、結婚式はカトリック総本山・・・)なのですが、この聖書の言葉はA.ジイドの小説などで何となく知っていました。で、正統派の堅い話かと思いきや、客席に入ると舞台の上にはコンビニが。そう、このコンビニこそが現在の世界と次元の異なる新世界との間に存在する「狭き門」だったのです。そしてそのキイは・・・

設定は柔らかくても、内容は結構ドキッとさせられるものでした。まさに新型インフルエンザの猛威が世間を騒がせている中、「謎のウィルスの蔓延であとちょっとでこの世は終わり・・・」などというすっごいブラックな設定がまんざら空想でもなくなってきているような恐怖感に襲われ、開演したらとろうと思ってたマスクを、最後までとることができませんでした。

蔵之介さん亀治郎さんが登場すると、思わず「お屋形様!真田殿!」と言いたくなるのはもうビョーキですね。柴本幸姫様からもお花が届いてました。勘助様からのもあったのかな・・季節柄、お花の目録のみになっているものも多かったです。

ストーリーはSF仕立てで、映画「マトリックス」や「オーロラの彼方に」を彷彿とさせる場面もありました。そこにいる自分と異次元の同じ場所にいる兄弟が対話する。そんな不思議な光景が舞台上で照明のあてかただけで表現され、納得させられてしまう演出はすごいなあと思いました。

蔵之介さんのの内面がどんどん変化していく様が凄かったです。やっぱりすごい役者だわあ・・・浅野和之さん、中尾明慶くんは、いるいる、こういう人、コンビニによくいる。。というはまり役。初めて拝見した(・・と、思います)手塚とおるさんの存在感がすごかったです。亀治郎さんに負けていません。怖い・・・佇まいも発声も本当に冥界の人っぽかったです。

聖書でも、「救いにいたる狭き門」は、やがては閉じられるのです。その時、蔵之助さんは・・・・どう生きるか。深~いメッセージを感じてきました。終盤の鬼気迫る演技ますます目が離せません。蔵之助さん、テレビでも存在感たっぷりですが、やっぱり舞台で観たい方です。

帰りに、関係者専用エレベーターに誘導されたのは仲村トオルご夫妻だったような・・・背の高い、素敵なカップルでした。

 


派遣のオスカル

2009-08-29 23:35:49 | テレビ番組

chat noirさんから「おもしろそうなドラマがありますよ~朝海ひかるさんもご出演です!」と教えていただき、さっそくNHKを。

田中麗奈ちゃんがオスカルの心を持った派遣社員です。彼女が企業の中で、正社員との格差に耐えながら矛盾や差別に敢然と立ち向かっていくドラマのようです。

その麗奈ちゃんと同僚の派遣さんが愛読しているのが「ベルサイユのばら。」朝海さんはどうも重役らしい。「アントワネットのように美しい方」と言われているらしく、イメージ映像ではアントワネットの階段降りの扮装。お似合いだわ~きりっとしたスーツ姿よりドレスがお似合いなのに。

鈴木杏ちゃんもこだわりの漫画家でご出演。来週は山本耕史さんも出るらしいですよ~アンドレか?!

コメディー仕立てながら、今日的な問題をずばっとついている感じのドラマです。わが職場にもいろんな雇用形態の人たちがいて、同じ仕事をしているのに責任の範囲や賃金の格差に疑問を感じることもあります。戦力になっていない正社員が有能な派遣よりずっと高い賃金をもらっていると嘆く麗奈ちゃんに、同僚の派遣さんが「正社員がいっぱいもらいすぎてるんじゃないのよ。社会や政治の問題なのよ。」と言っていたのが心に残りました。

今夜は筒井道隆くんが、財政再建団体転落を目前にしたある市
の建て直しを描いたドラマ「再生の町」に出ていました。(市長はなんと吉田栄作さん!)今期のNHKドラマ、私好みで見逃せませんわ~朝ドラと大河が私には今ひとつ乗り切れないので、この金・土のNHKドラマと日曜の「官僚たちの夏」がたのしみです。あ、あとは「ダンディ・ダディ」の鹿賀パパですね。

 


ダンス・オブ・ヴァンパイア千秋楽@帝国劇場2階B列下手

2009-08-26 22:03:03 | 観劇/コンサート

             

             ヴァンパイアダンサー新上さん

ついに東京千秋楽!正真正銘、最後の舞踏会に行ってまいりました。これで終わり、今度こそ終わりと言いながら、とうとうまた魅惑の帝劇通いをしてしまいました

今日はのっけからまさかのアクシデント。開演時間になっても客電が落ちず、なんだかオケピがざわついています。オペラでのぞいたら、指揮の西野さんが受話器を耳に深刻な表情。オケのどなたかが「きた!」と、小声で言ったかと思ったら、チューニングが始まりました。でも客電落ちず。緊張が走ったら舞台袖からクコールさんが登場。ちょっとした千秋楽のごあいさつのあと、

「音響トラブルがありましたが、なおったそうですので、まもなく始まります。」さすが「困った時の駒田さん」です。さっと機転をきかせてつないだんでしょうね。そして10分遅れで開演。浦井君が通路から現れた時にはいつもはない拍手が沸き起こりました。

あーびっくりした~

幕が開くと役者さんたちは絶好調です。シャガールがサラのおしりを叩く時にレベッカのおしりも叩いちゃったり、マグダのところに夜這いに行ったシャガールが、棒を持ったレベッカに追いかけられて逃げるシーンでは逃げ切れず殴られるし、ヴァンパイアダンサーズの新星、元ミストフェリーズ@CATSの蔡さんはミストフェリーズジャンプを8回連続で跳ぶし、浦井君は宙ぶらりんの教授救出に2度もチャレンジするし、圭吾さんは入浴シーンですごい技(両腕で美脚セクシーポーズをキープ)もう凄いの何の。

ワタシ的に今日の千秋楽で一番凄かったのは、伯爵のソロ「抑えがたい欲望」でした。いつもにも増してものすごい説得力とオーラ。神々しいほどです。泣くところではないし、泣けるような作品じゃないにのに、何故か涙が出てしまいました。祐一郎様素敵すぎです。惚れ直しました。

帰りにご一緒したchat noirさんとも話しましたが、祐一郎さんのような方って、いないですよね。演技がどうとか動きがどうとか言われても、あれだけのオーラを放って2000席を圧倒する力。あの方に変われる役者をまだ想像出来ないです。2階にいてもズバーン!!ときました。

カーテンコールのご挨拶は東宝のHPでまもなくアップされると思いますが、ヘンリー6世準備のために博多には行かない浦井くんのご挨拶が印象的でした。「こんなに舞台と客席が一体になれる作品は、ほかにはありません。」私もそう思います。盆踊り、楽しかった~なんか・・・燃え尽き症候群になりそうです。


天翔ける風に@東京芸術劇場1階N列センター

2009-08-25 23:59:53 | 観劇/コンサート

TSミュージカルファンデーションの「天翔ける風に」を長女と一緒に観にいきました。

この劇場の芸術監督に就任した野田秀樹さんの「贋作・罪と罰」をミュージカル化した作品ですが、今拓哉さん、戸井勝海さん、剣持たまきさん、阿部裕さん、照井裕隆さんなどの東宝ミュージカル常連さんたちがぞろっとご出演。

そのせいか、どーもレ・ミゼラブルやミス・サイゴンのシーンとかぶって見えてしまって困りました。幕末だっちゅうのにジャベール阿部裕さんが橋の上で絶望してたり、何人ものアンジョルラスが赤旗を振り回してるような幻覚におそわれたり・・すいませんビョーキです。

主演はひょんなことから金貸しの老女ともうひとりの女性を殺してしまった三条英を演じた香寿たつきさんと坂本竜馬(またの名を才谷)演じる山崎銀之丞さんらしいのですが、アンサンブルさんたちのアクロバティックなダンスがすごかったです。ミス・サイゴンのクリスを演じた照井くんも狂言回し風のかわら版屋さんや「ええじゃないか」の群集、過激分子風の浪人(?)など何役もこなす大活躍でした。

今回は照井君、ライオンキングの友石さん、今拓哉さんめあて。今さんは「溜水石衛門」というちょっと不思議な悪役(?)。今までみたことのない役柄で、コミカルなようないやらしいような、それでいて高い志も持っていそうな、そうでもないような・・・

ストーリーはちょっと???なところがあったり、衣装が無国籍風だったり、通貨が現代の単位になっていたりですが、とりあえず幕末で「馬場先門」とか「日比谷」なども台詞の中に多く登場します。

「理想に生きて思想に殺される」というようなどっきりする台詞もありましたが、ストーリーよりも群舞に圧倒されたひとときではありました。

帰宅して林アキラさんのブログをのぞいたら、なんと林さんをはじめ坂元健児さん、今井清隆さん、東山義久さんもいらしていたとか!娘とおしゃべりしていて気がつきませんでした。残念!


志の輔らくごin下北沢/恒例「牡丹燈籠」2009千秋楽@本多劇場0列センター

2009-08-23 20:57:25 | 志の輔らくご

初めての本多劇場で、志の輔らくご「牡丹燈籠」を。

千秋楽だったのでネタバレしちゃいますが、幕が開くと志の輔さんが高座ではなく、舞台下手の縁台でうちわ片手に浴衣で座っています。なんか新鮮。

そして、縁台につんであるのは分厚い「円朝全集」。。お話はまず、何故志の輔さんが全編通すと20時間以上かかるというこの作品をやろうとしたかというきっかけから入りました。萩原新三郎とお露の悲恋~幽霊話だけがクローズアップされているけれども、この話は「牡丹燈籠」のほんのさわりのエピソードでしかないということに「円朝全集」を読んで気づかされたその衝撃が大きな動機だったそうです。

「すごいことに気がついちゃった!みんなぁ聞いて!聞いて!」・・という感じですね。

・・・ですが、さすがに20時間超えは大変だということで、第一幕は「人物相関図・解説。」これがすごい!ガッテン!のスタッフが作ってくれたという大パネルで相関関係を説明する志の輔さん。

わかりやすいんだけど、授業みたいでだんだん眠く・・・というところで、「人の話、聞いてます」と客席にツッコミ。さすがですねえ。。私、この前瑛太さんので観てるし・・と、たかをくくってましたが、シス・カンパニー版では出てこない主要人物・孝助なども登場し、その解説のポイントの仕方のうまいこと!それに気づかされたのは、2幕目の本編・落語「牡丹燈籠」です。

噺が佳境に入り、いよいよ聞いたことのない人物が登場した時、どういうわけか頭の中にあの大きな人物相関図が浮かんでくるのです!「あ~あれがあそこに名前のあったあの人で、そういう関係で・・」というのがすっきりわかっちゃうのです。すごいわ~これぞプレゼンの力ですね。

「すごい舞台装置も役者もなんにもないけれど、次から次へとみなさんの頭の中に、登場人物があらわれますよ。」という志の輔さんの言葉どおりの展開。はじめてこの噺が「怪談」ではなくて「あだ討ち譚」なのだとわかりました。すごいな~最後の最後に志の輔さんの「こだわり」も加味され、満足の3時間でした。

千秋楽のごあいさつには、実際に円朝の落語を速記で拾い上げ、記録したサカイさんという方の曾孫さんからのアンケートが読み上げられました。落語を文字に記録していたのは、こういう方たちだったんですね。そこにもまた感動しました。

お隣に座られたご夫婦は「すごい。このチケット代じゃあ安すぎるよ。」と、言い合っていました。私も本当にそう思います。10月には赤坂ACTで、正月にはPARCOで大きな高座が控えています。「それまであちこち出演しないかもしれないけれど、私を探さないでください。」と、大きく頭を下げている志の輔師匠。今日も満足させてもらいました。


夏休みもあとわずか・・・

2009-08-22 23:31:39 | 

わが地域の公立小中学校では、今年から夏休みが8月24日までとなり、25日からは学校が始まります。まあ、気を失うほど暑かった教室にはすべてクーラーも完備されたそうなので、ゆとり教育終了で授業時数が足りないとなれば、仕方ないのかもしれませんね。

だんだん季節感がなくなるなあ・・みんな宿題終わったのかしら。


ダンス・オブ・ヴァンパイア@帝劇2階J列センター

2009-08-18 19:51:10 | 観劇/コンサート

          

           ロビー奥のクロロック城模型です

 

・・・前回で「本当にごちそうさま」と言ったにもかかわらず、またおかわりしてしまいました。欲望は罪だと教え込まれたはずなのに、堕落をもたらし破滅へ導く伯爵の誘惑に勝てず5たびの帝劇へ。。

今回は初演再演いくたびかの帝劇通いでも一度も観たことのなかった泉見アルフレートでした。(浦井くん可愛いんだもん)・・・が、本当に泉見くんも観ておいでよかった~なんか、いいんです。なんというか、同じ台詞、同じ動きでも、全く違うアルフレートでした。目も口も大きくてくっきりした泉見くんのコミカルな演技がとってもいい。

そして、「サラへ」では、ちょっとマリウス@レ・ミゼラブルを思わせるような表現力。のびのある素敵な歌声でした。

今日のクコール劇場は、「今日は何の日だったかな~・・米の日じゃないし・・そうだ!原作のロマンポランスキーの誕生日だった・・」でした。伯爵様はもう、毎回ですが文句なしです。2階だと遠慮なくオペラでガン見できるので、伯爵シーンはお地蔵さんのように不動でオペラグラス固定状態。美しいわ~なんて素敵なまなざし、なんて素敵なお声。あのオーラ・・・何度も思っちゃ書いてますが、この作品って、山口祐一郎さんの良さを300%出してる作品だと思います。この世のものではない人物、マント、思いっきりのロングトーン。。。サラならずとも咬まれたい欲望にかられますです。そして東山竜彦さんをはじめとしたコウモリのダンス素敵すぎ。ダンスシーンの中で、赤いブーツを履いたサラが出奔する前に現れ、マントを翻しながら踊るコウモリダンスが一番わくわくします。どのコウモリも素敵すぎて目がクルクル。このシーンだけでもいいから何回も観たい!終わらないで~と心の中で叫んでる私。

泉見くんは、あまりの滝汗のせいか、フィナーレはカツラじゃなくて地毛でした。また行きたいけど、もう千秋楽の日まで日程的に無理だし、楽のチケットは既にプラチナ化しているようなので、あきらめて再再演を待つことにします。

楽しかったな~舞踏会。

もうすぐというところで、ヒラヒラ飛ぶコウモリ発見。(23区内なんですけど。)思わず「リー君!」と叫ぶあやしい私でした。今夜お風呂に伯爵がきたらどうしよう。


今年も蝉GET!

2009-08-14 23:39:57 | 

お盆だね~テレビは明日の終戦記念日がらみが多いねえ・・などとみんなでのんびり夕飯を食べていると、にゃお~ん!ドドドド!バサバサッ!!とすごい音。

どしたと思ったら、チャメが2階ベランダでセミをつかまえて、1階のリビングまで見せにきたらしいのです。「ほらあ!つかまえたんだよお!」と言わんばかりにまだバタバタしているセミをボールのようにいたぶるいたぶる・・・

「こらあ!チャメ!だめでしょ!」と叱っても聞きゃしない。まあ、ネズミやゴキブリを半殺しにして飼い主に見せにくる猫も多いらしいので、セミならましかな。。と思いつつ、瀕死のセミは夫に頼んで(怖くてさわれません・・)外に出してもらいました。何年も土の中にいて、やっと地上に出て飛べたと思ったら猫にいたぶられ・・セミさん、ごめんなさい。。と、ご冥福をお祈りしました。合掌。

8月16日(日)と23日(日)夜10時、NHK教育で放映されるETV特集「シリーズ戦争とラジオ」に夫の父が当時の証言者のひとりとしてインタビューを受けています。私も嫁としてではなく、暗い時代に米国と日本のふたつの祖国を持った日系2世たちが、終戦間近の日本でどんな役割を果たし、どんな気持ちでその時代を生きたのか、当時の記録や証言を通して客観的に知りたいと思っています。


こまつ座「兄おとうと」@紀伊国屋サザンシアター8列上手

2009-08-13 23:49:59 | 観劇/コンサート

少し早めに職場を出て、夕方のサザンシアターへ。2003年の初演、2006年の再演があり、今回は再々演だそうです。2006年の公演を観ましたが、今回は謝珠栄さんの振付で、ダンスも歌も増えていたようです。

やはり印象的な言葉がちりばめられた、素敵で、また時局にかなりストレートな舞台でした。

ダンス・オブ・ヴァンパイア初演でマグダを演じた宮本裕子さんが、5役もこなす大切な役回り(初演再演は宮地雅子さん)で、辻さん演じる吉野作造の「国家とは、憲法とは・・」という疑問に、庶民の実感を通した答えを導きます。「国家」をおにぎりにみたてるところが井上ひさしさんらしいです。

宮本さん、説教強盗に扮して包丁を振り回すシーンで「シャーッ!シャーッ!」と。。ダイレクトにヴァンパイア思い出してしまいました。また、宮本さんのマグダみたいなあ。。

戯曲を買ったら、新しく書き加えられた場面のコピーがはさんでありました。庶民の「なぜ」に答えようとする民本主義者・吉野作造。事務次官や大臣まで勤めた高級官僚の弟。それを支える賢くしなやかな妻たち。今回もやさしく強いメッセージをもらってきました。


怪談牡丹燈籠@シアターコクーン1階A列上手

2009-08-09 18:48:00 | 観劇/コンサート

大西信行

演 出

いのうえひでのり

出 演

段田安則、伊藤 蘭、瑛太、秋山菜津子

千葉哲也、梅沢昌代、西尾まり、保阪エマ

柴本 幸、森本健介、松澤一之、大河内浩

粕谷吉洋

真夏の定番、「牡丹燈籠」に瑛太くんご出演!ということで、ちょっとミーハーな気分で出かけましたが、周りを固める役者さんのあまりの上手さに圧倒された2時間50分(休憩15分)でした。

この作品は幕末~明治にかけての落語家、三遊亭円朝の落語をもとに劇作家の大西信行さんが戯曲にしたものなので、劇中にも円朝さんが効果的に登場します。この、円朝を演じる森本健介さんという新劇の役者さんがすごいです。本物の噺家さんかと思いました。

一幕は若いファン向け、瑛太さん演じる萩原新三郎と柴本幸さん演じるお露の恋と、死後、幽霊となって新三郎にとりつくお露と乳母お米(梅沢昌代)の怪談。二幕は、ひょんなことから新三郎の死によって大金100両を手にして逃げる下男夫婦(段田安則、伊藤 蘭)と、お露の父を殺害した愛人お国(秋山奈津子)とその恋人(千葉哲也)の因果応報の話になっています。

段田さん、秋山さん、梅沢さんに千葉さんとくればもう、何の心配もなく観ていられますが、今回伊藤蘭さんが出色です。庶民感覚のおかみさんですが、可愛くて働き者で、そして・・・ものすごく怖い女。。。。この作品に出てくる女はみんなすごーく強くて怖いです。・・・というか、女はみんなどこか強くてこわいのかも。

いのうえひでのりさんの演出とあって、保阪エマさんもご出演です。エマさんが出ると、そこだけ劇団☆新感線風になっちゃうのは演出なのかな?稽古場では、エマさんの指導で「ゆかたストレッチ」もあったそうです。

今回マスコミでは瑛太くんが話題になっていましたが、段田さんの軽さと凄みのめりはりのある演技、秋山さんの妖艶、梅沢さんの説得力と伊藤蘭さんの体当たり演技、森本健介さんの絶妙な演技~落語から演劇へのシフトを感じさせる展開にため息!~がピカピカと光っていました。

瑛太くんは、旗本退屈男みたいな髪型で、ちょっと幼く見えましたが、顔が小さく姿勢はよく、声もよく出ていました。せっかくお侍さんなんだから、もう少し立ち回りなどがあっても良かったかも。たくさん舞台を踏むことで成長が期待できそうですね。年末のケラリーノ・サンドロビッチ演出の舞台にもご出演だそうですよ。柴本さんは気品のある武家の娘の雰囲気がよくでていました。恋わずらいで死んでしまう、お姫様キャラがぴったりです。

下手通路使いがたくさんあるので、これからチケットとられる方は、下手が楽しいかも。幕間にはカップ入りみそおでん、カップ入り団子などが売られていました。休憩は15分しかないので、この食べやすさはgood!でした。演目に合わせているんでしょうか?いつもは東急地下でオニギリ買うんですが、今日はためしにみそおでん300円也を購入。よいお味でございました。

23日には、志の輔らくご版「牡丹燈籠」を聴きに行きます。予習復習ばっちりですね。


クライマーズ・ハイ

2009-08-08 23:07:06 | テレビ番組

1985年8月12日、御巣鷹山に日航ジャンボ機が落ちてから、もう24年もたつんですね。これは横山秀夫さんの小説の映画化。愛とか恋とかを全くと言っていいほど排除(親子愛は別)した、とてもハードな作品でした。

なんといっても堤真一さんと堺雅人さんがいい!遠藤憲一さんもいい!地方新聞社というハードな世界の緊張感、緊迫感に圧倒されるとともに、あの24年前の夏を思い出しました。日航機がレーダーから消えたというニュース速報、地上から写した、垂直尾翼のない黒っぽい写真、奇跡の生還者に機内で書かれた遺書やカメラに残されたディズニーランドの記念写真。。。坂本九さんもこの事故の犠牲者でしたね。

その緊迫感がよみがえってくる映画でした。悲惨な現場を見て精神状態が不安定になり、車にはねられ亡くなった記者さんは、PTSD~心的外傷後ストレス障害ということだったんでしょうね。私も絶対ダメだと思います。

チェック!ダブルチェック!という言葉がキーポイントになるこの作品。北関東新聞社でこの事故の全権に抜擢された堤さんが大きな決断を迫られた時の苦悩と判断に、手に汗を握ってしまいました。

堤さんの次回舞台は『バンデラスと憂鬱な珈琲』・米国軍随一のネゴシエイター。映画は『孤高のメス』・市民病院の外科医長です。どちらも見逃せません!


ダンス・オブ・ヴァンパイア@帝劇1階F列センター

2009-08-06 23:17:40 | 観劇/コンサート

前回ですっかりはまってコウモリ仲間になった長女と、お城の舞踏会に行ってまいりました。

今日はアルフレート浦井くんの27回目のお誕生日なので、何かあるかなー・・と思ったら、幕間のクコール劇場で、クコールお掃除中に「すいません・・・トイレはどこですか?」と、浦井君登場。クコールさんは、場内放送と同じようにそれはそれは丁寧にトイレの場所を案内したあと、浦井君に「おめでとう。夜もがんばってね」と、かわいい花束をあげていました。そう、今日の浦井君はマチソワ頑張るんでした。大変・・・でも、サラとアルフ以外はみんなシングルキャストなんですよね。


今日はとなりが長女なので、客席からのアルフ登場も伯爵登場も、迷うことなくしっかり振り返って見届けました。アルフレートは下手中ほどのドアから入ってくるんですね。今まで後方からだとばかり思っていました。伯爵登場の後方ドア脇の席をわざわざとったという方もいて、やはりこの瞬間にときめいている人はたくさんいるんだなあと思いました。いろんな楽しみかたができます。

今日はE列の通路脇の席に大きな十字架を持ったおばさまがいて、ヴァンパイアたちが通路を走る時にやけにそこに反応していると思ったら、なんとその方はエリザベートのお姑さんにして浦井ルドルフ皇太子のおばあ様、ゾフィを演じた初風さんでした。

次回、行かれる方は十字架持参だと面白いかも!心なしか浦井くんもはりきっていたように思います。実はおばあちゃん子だったりして。あ、ゾフィはルドルフを厳しくしつけたんだっけ。。。

カーテンコールもみんなテンション高め。初風さんも、ちゃーんとみんなと笑顔で盆踊りやってました。浦井君のごあいさつはありませんでしたが、客電がついても帰らないみんなのために、最後には山口さんが浦井君をつっついて中央へ。浦井君、深ぶかと頭を下げていました。

これで本当にヴァンパイアごちそうさまです。4回も行っちゃいました。。。本当はもっともっと行きたいけれど、欲望にはきりがないので、明日からは真面目にお仕事頑張ります。


造花の蜜/連城三紀彦

2009-08-02 23:29:19 | 私の本棚

「ご予約された図書がご用意できました。」と、図書館からのメール。え??記憶にない。・・・と思ったら、2月に予約しておいたこの本でした。なんと半年も待ってしまった。メールには書名はなかったので、図書館のカウンターに行くまで本当にドキドキでした。

手にとってみて納得。朝日の書評だったか、王様のブランチだったかわかりませんが、少年誘拐事件のあまりに衝撃的な始まりに、すぐに読まなくっちゃ!と思ったわけです。本を捨てられない性分のせいで最近は本棚に余裕もなく、もっぱら近くの図書館のお得意さんになってます。

その誘拐の衝撃的な始まりとは・・・・

母親が幼稚園から「お子さんが蜂にさされたので、すぐに病院に行ってください。」と連絡を受け、病院へ。ところが、途中で園に確認の電話を入れると「そんな連絡はしていない。」驚いて園に直行して母親がその子の所在をたずねると、担任が言うのです。

「いいえ、お母さんと一緒なんでしょう?だって、さっき、お母さんが車で迎えに来て連れていかれたじゃないですか・・」と。。。。

これは、親にとっても園にとっても、ものすごーーい恐怖。怪談です。しかも、犯人が指定してきた身代金と子どもの受け渡し場所は、渋谷のスクランブル交差点のど真ん中。まー・・一気に読んじゃいましたよ。どんでん返しに次ぐどんでん返し。誘拐されたのは、誘拐したのは一体誰????まさかあの人がそんな目的でねえ。。。485p.時間をもてあました夏の午後のイッキ読みには最適の一冊でした。ちょっと最後のおまけが余計だったようにも思いますけどね。


ダンス・オブ・ヴァンパイア@帝劇2階I列上手

2009-08-01 21:40:19 | 観劇/コンサート

VISAの貸切日でした。前回でもう最後と誓いながらも、頭の中で鳴り続ける「モラルもルールもまっぴら~」という歌声と、「また行くにきまってるでしょ~」という優しい励ましに乗せられてしまいました。

今期はじめての2階でしたが、舞台全体がそっくり把握できて面白かったです。教授とアルフがクロロック城に到着する場面では、シルクハットにマントの怪しい人物が2階通路を歌いながら行ったり来たりするのですね。B席の最前だったので、目の前でした。

伯爵様、今日はサラに歌いかける曲「神は死んだ」で、ちょっと作詞したかも・・・断言できませんが、歌詞が違ったように思いました。でも、前回よりもさらにパワーアップしたような。一幕終わりは期待の「寄り目」でした。浦井君は、もう文句なしです。ヘルベルトから逃げて客席を走る時の悲鳴のすごいこと。ヘルちゃんに「騒ぎすぎ。」といわれていました。

「クコール劇場」では、「今日は貸切で挨拶がありますが、僕のはないので、今あいさつします。」と。客席からさかんに声がかかると、「誰だよおまえ。。」とつぶやくクコちゃん。

2階席。。。客観的に観るのにはいいけれど、客席使いで1階が盛り上がっている時にはちょっと寂しいかな。でも、カーテンコールの時も役者さんが2階に上がってくれて、みんなで盛り上げようという意欲がびしっと伝わってきました。