今期お初のM!に、親友チェシャ猫さんと行って来ました。はりきってとっつかまえたかぶりつき席は、オケピにつきだした舞台のまん前。開幕のドクトル・メスマーとコンスタンツェのお墓探しシーンからドキドキ。
ヴォルフガングは山崎育三郎くん。高校生の時にこの舞台を観て魅了され、いつかこの役で舞台に立ちたいという夢がかなったというだけあって、喜びにあふれたものすごく「熱い」ヴォルフでした。今まで細くて華奢だと思っていた山崎くんでしたが、髪型のせいもあってか、結構がっちりして見えました。
演出もちょっとずつ変わっていました。しょっぱなでパパに貴族だけに許された赤いコートをたしなめられますが、以前は「返してこい」だったと思いますが、今日は「処分してこい。」と。捨てちゃうんでしょうかね・・・高そうなのに。(って、主婦根性丸出し)アンサンブルキャストも入れ替わりがずいぶんあり、市場でコロレド猊下の真似をする肉屋さんがすいぶん恰幅のいい方になっているのにびっくり。港幸樹さんがいい声で目立っていました。シカネーダー登場は。「ワタシーガ、ダレダカシッテルーカー?」と、変なガイジン風。シカネーダーって外国人の設定だったかな・・・・ここは圭吾さんの独壇場。
まだ今期の井上ヴォルフを観ていないのでなんとも言えませんが、山崎ヴォルフは本当にやんちゃ坊主みたいな感じで、無分別で無自覚で無鉄砲で、パパの築いたものを壊してしまうという感じがよく出ていました。パパ・市村さんも、ご自身もパパになったせいか、それとも私がそういう先入観でみているせいか、より説得力があり、単に自分の思い通りにならない息子を嘆くのではなく、深く息子の行く末を心配して心を痛めている感じがしました。あれじゃ心配するよね。コロレド猊下も圧倒的な歌声。やはりこの役は山口さんしかやって欲しくないです。
この作品はいろんな風に感情移入してしまいます。自由を求めてまだ十分ではない羽で飛ぼうとする息子、心配しすぎて子離れできない親、若い才能に嫉妬する権力者、孤独に耐えられない若い妻、弟を愛しながらも自分が逆境におかれることにどこか納得できない姉。。。
ヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」の物語のシーンには、本当にうるっと来てしましました。わかってはいるけれど踏みきれない父、羽ばたきたい息子の葛藤。「才能」の象徴、アマデ。今日の子役ちゃんは本当にお人形さんのように可愛くて、恐ろしいアマデでした。そこここで、アマデがヴォルフの運命をあやつっている感がありましたが、コンスタンツェの母と、再婚相手のトーアヴァルトが理不尽な契約書に署名させようとヴォルフの新居に訪れた時、アマデがさりげなく招き入れるような動きをした時にはぞっとしました。もうひとつぞっとしたのは、ドクトル・メスマーがヴォルフのしゃれこうべを見つけてコンスタンツェにお金を渡した時、彼女が歯を出してにやっと笑った時。愛していたんじゃなかったの~
ヴォルフがレクイエムに行き詰まり最期に「おまえも死ぬんだよ」という台詞がなんだか印象に残りました。そしてアンサンブルの重厚な歌声に包みこまれ、完全に入り込んでしまった感じです。
余談ですが、昨日携帯を変えて、キャストボードを写そうとしたらボケボケ。画素数は増えたのになんでよ~と半泣きでチェシャ猫さんに代わりに写してもらいました。終演後、保護シールをはがしていないだけとわかって大笑いでした。チェシャ猫さま、ありがとうさん。ご一緒できて嬉しかったよ
また一緒に遊んでね。