pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」@シアターオーブ1階13列上手

2013-11-28 21:47:44 | シェイクスピア

脚本 青木豪
演出 いのうえひでのり
音楽 岩代太郎
出演 森田剛、成海璃子、秋山菜津子、渡辺いっけい、 千葉哲也、山内圭哉、木村了、須賀健太、宮地雅子、 麻実れい、若村麻由美、生瀬勝久 他

【あらすじ】
 平安、近江国。源範頼(森田剛)は姿醜く、足が不自由で馬にさえ乗れない。幼名は鉈切り丸。範頼は木曾義仲を殺し、目の前で夫を斬られた義仲の妻・巴御前(成海璃子)の気丈さに、心奪われる。
 時は経ち、所変わって鎌倉。範頼の兄・源頼朝(生瀬勝久)は、弟・源義経(須賀健太)と家臣・梶原景時(渡辺いっけい)、和田義盛(木村了)に壇ノ浦の戦いの様子を訊ねるが、義経は安徳天皇の母・建礼門院(麻美れい)の生き霊に取り憑かれている。義経の身を案じ範頼は義経の京都行きを提案するが、それは義経を案じたからではなかった。その頃京では逃げ延びた巴御前は、範頼の母・イト(秋山菜津子)と出会い、範頼出生の秘密を聞き仇討ちの策を練るのだった。そこへ、義経に謀反の濡れ衣を着せて討とうと範頼がやって来るが、密使が討たれたと知り、義経に寝返るふりをする。

 天下を獲りたい。たとえ血まみれ地獄になろうとも、この世を言いなりにしたい。 すべてを手に入れるため、範頼=鉈切り丸は悪の限りを楽しむと決めた。望み通り天下を手中に治め、大江広元(山内圭哉)の記す歴史書「吾妻鏡」にその名を残すことができるのか......。それとも。。。(公式HPより)


 

今回は、いのうえひでのり演出ですが、劇団新感線の公演ではないんですね。シェイクスピアの「リチャード3世」を鎌倉時代に置き換えた作品。5年前のIZO以来の森田剛さん。この方、ますますシャープになった感じで孤独で狡猾でカミソリの刃のような源範頼、というよりリチャード3世でした。巴御前の成海璃子さんは21歳になったんですね~そして、あの3丁目の夕陽の須賀健太くんが義経とは!義経は神木隆之介くんとか滝沢くんとか、古くは志垣太郎さんとか、美しいタイプの役者さんが演じることが多いですが、須賀くんは社会の教科書に載っている義経の絵にちょっと似ていました。璃子ちゃんも須賀くんも頑張ってはいましたが、超ベテランの方々の中では、ちょっと硬い印象でした。

今回は女優陣が光っていました。健礼門院の麻実れいさん、北条政子の若村麻由美さん、範頼の生みの母、秋山奈津子さん。この3人は文句なしです。麻実さんは「生き霊」なのですが、この方が登場すると本当に舞台がしまる。どんな役でもなんて素敵に演じるのでしょうもう、うっとり若村さんは、こまつ座の舞台でもパワー全開で見直しましたが、今回はちょっとアレな頼朝をがっつり支える猛妻政子。この妻があっての頼朝という図がくっきり。そして、その頼朝を生瀬さんが怪演~いるいる、こういうおっさん!という、絶妙な「間」をお持ちでした。「いざ、鎌倉!」を、「いざ、キャバクラ!」って言いませんでしたか~聞き間違いかなあ・・・ そして弁慶千葉哲也さんのあふれる色気あの長い薙刀をくるくると振り回しての殺陣は素晴らしかったです。今回、渡辺いっけいさんと木村了さんの舞うような殺陣も目をひきました。いっけいさんはもともと劇団新感線の方だったんですよね。木村さんは今回結構おいしい役どころでしたが、とっても誠実に演じて好感が持てました。

実在の源範頼は温厚でおとなしい性格だったそうですが、この作品ではリチャード3世に置き換えられているくらいですから口先で他人を翻弄し、狡猾な手段でのしあがり、やがて転落するという激しいキャラ。なにせリチャード3世なので、生首と血みどろは覚悟していましたが、リチャード3世のオリジナルではアン王女にあたる妊娠中の巴御前の惨殺にはちょっと引きました。女性としてはあんまり観たくないシーンだったなあ・・・

森田剛さんは、この相当に体も心もバランスの悪い人物をバランスの悪い体勢のままものすごく熱演されていて、かなり大変だったと思います。劣等感を攻撃性に変えたかのような残忍さ、狡猾さ。。。そして何もかも否定され、絶望の中、血まみれで死んでいく範頼。なんの救いもなかったなあ。。。カーテンコールの森田さんも、もうへとへとというご様子でした。どんな感情移入もできない主人公。リチャード3世って、そういうお話なんですね。

そういえば、リチャード3世は岡本健一さんもやっていましたね。ジャニーズこういうのが好みなのかしら。。。

余談ですが、オーブのロビーから、東急東横店の解体の様子が見えました。こうやって壊していくんですねえ。。あそこが売り場だったんだなあ・・レストランのあったあたりかなあ。。と、しばし見つめてしまいました。

 


清須会議@ユナイテッドシネマ

2013-11-17 22:39:26 | 映画/DVD

原作と脚本と監督 三谷幸喜

キャスト
 
役所広司  大泉 洋  小日向文世  佐藤浩市
妻夫木聡 浅野忠信 寺島 進 でんでん 松山ケンイチ 伊勢谷友介
鈴木京香 中谷美紀 剛力彩芽
坂東巳之助 阿南健治 市川しんぺー 染谷将太 篠井英介
戸田恵子 梶原 善 瀬戸カトリーヌ 近藤芳正 浅野和之
中村勘九郎 天海祐希 西田敏行

あらすじ

本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)が後見に名乗りを上げた。勝家は三男の信孝(坂東巳之助)、秀吉は次男の信雄(妻夫木聡)を信長亡き後の後継者として指名し、勝家は信長の妹・お市(鈴木京香)、秀吉は信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方にする。そして跡継ぎを決めるための清須会議が開催されることになり、両派の複雑な思惑が交錯していく


小説「清須会議」を読んでから、今か今かと待ちわびた映画化。ビジュアルになるとさらにわかりやすかったです

もう、映画大好きな三谷さんが存分に遊んでいて、絵巻物を巧みに使った導入にわくわくしました。マジックアワーでも思いましたが、三谷さんて、映画好きのツボを本当によくわかっているなあと思います。

実在の人物なのでなんですが、ちょっとムムムな織田信雄は、伊勢谷くんがやるのかなあ~と思っていたら妻夫木くんでしたなんというか、もう、のびたくんみたいなキャラがぴったり。柴田勝家が役所さんと聞いた時にはイメージ違いなんじゃないかなと思いましたが、さすが三谷さん!むさくて加齢臭もあって(ごめんなさい!)一本気な柴田勝家にきっちりと仕上がっていました。お市の方は鈴木京香さんですが、教科書に載っている戦国時代一の美女、お市の方の絵とそっくりでびっくりしました今回みなさんかなりな特殊メイクありで、特に大泉洋さんの秀吉はかなり笑えました松姫の剛力彩芽さんあたりは、最初誰だかわからなかったです。眉毛ないんで(笑)この時代、高貴な姫はみんな眉毛そってたんですかね・・・それとも目と眉があのように離れていたのかなあ?農民出身の秀吉の妻、寧々さま(中谷さん)のぶっとい眉毛が可愛かったです。今回、女性群で一番キュートだったのはこの寧々殿ほんっとに可愛かったお市の方のお付きの方は最後まで誰だか不明でしたが、エンドロールでやっと瀬戸カトリーヌさんとわかりました。そうそう、大河ドラマで山口祐一郎さんがきっちり2枚目で通し、あまりのかっこ良さにファンクラブまでききた佐々成政は、市川しんぺーさんでした

本当に贅沢なキャスティングだって、天海さんがほんのちょびっとしか出ない忍びの「枝毛」ですよ~「素敵な金縛り」から、更科六兵衛さん(西田さん)も現役出演です。金縛りの時は霊でしたけどね。

印象的だったのは、この会議の鍵を握る知性のかたまりのような丹羽長秀(小日向さん)。ユニークすぎてめちゃくちゃになりそうなお話をぎゅっと締めている感じです。佐藤浩市さんまでがギャグな役回りですから戦国時代のやり方でしか生きられない旧臣たち、プライドなど関係ない!とばかりにどんどん人を惹きつけ、知恵をめぐらせ、押すところはグイグイ押し、引くところはさっと引く、しなやかな秀吉。時代を変えていくいくのはこういう人なんだなあと、まじめに思いました。

いろんな思惑や策略の応酬。あの人までもかあ・・・企業小説としてもみられそうな作品です。もう一回原作も読んでみようっと。


ライク ドロシー@本多劇場F列センター

2013-11-16 22:28:10 | 観劇/コンサート

作・演出倉持 裕

出演:
長澤まさみ、高橋一生、片桐 仁、塚地武雅、川口 覚、竹口龍茶、吉川純広、銀粉蝶

≪ストーリー≫
ひょんなことから、とある屋敷を訪れたヒロイン(長澤まさみ)と、ヒロインを助ける3人の小悪党(高橋一生、片桐仁、塚地武雅)。
4人は町の平和のため、屋敷に住む「魔女」と呼ばれる女主人をこらしめることに―
あたかもおとぎ話の世界の住人のような4人の男女が、それぞれが抱える欠落感を埋めようと、あるひとつの目的に向かって
絆を深めていく(公式HP)


「3人の従者を従えて、天敵に挑むヒロインの活躍を
シュールに、ユーモラスに、ファンタジックに描く、倉持ワールド全開の喜劇。
『オズの魔法使い』のドロシーのように、可愛くて勇ましい、魅力的なヒロインの誕生です」

・・・と、いうわけで「ライクドロシー」というタイトルなのだそうです。長澤まさみちゃんの主演とはいえ、わざわざ下北沢まで行っちゃったのは、蜷川さんとこのネクストシアターの星にして、シンベリンの弟王子、川口覚さんがご出演だったからです。シェイクスピア以外の舞台でどう演じるのか、とても楽しみ

登場人物は概ね「オズの魔法使い」どおりで、ドロシーは長澤さん(マッツという役)かかし、ブリキ男、ライオンなんだろうなあ・・と思われるのが高橋一生くん、片桐仁さん、塚地武雅さん。塚地さんがいい味。この人の雰囲気ってあったかくて本当にいいなあ2人の魔女は銀粉蝶さんが怪演。恐ろしくも可愛くてこのファンタジーにぴったりなオーバーアクション
「ほむんくるす、ほむんくるす、羊は空をとばない・・(だったかな?)」という、私の大好きな佐々木マキさんの絵本に出てくる魔術師ムッシュ・ムニエルの呪文がでてきたのにはびっくりでした。

川口くんは外側がマッツのお兄さんで中身が市長(魔女らしい)の息子スーラ、でも実は・・・という複雑な役どころで、スーラを演じている時とマッツの兄を演じている時では別人のようでさすが。ただ、基本、ファンタジックコメディーなせいかお話にはあまり深みがなく、せっかく役者がそろっているのにもったいない感じがしました。

長澤さんは本当に顔が小さく、バツグンのスタイル。本当に可愛いです。2度目の舞台ということでしたが、声もよく出て頑張って好感が持てます。終盤、高橋一生くんにかなりいい台詞があり、そこをもっと盛り上げればいい舞台になったのになあ・・と、ちょっともったいない感じがしました。

帰りの地下鉄、新宿3丁目で停車中に地震がありました。千葉が震源地でそちらは震度4とか。
「ただいま大きな地震がありました」というアナウンスに心臓がバコバコして、思わず友人たちにLINE.
情報を教えてもらってちょっと安心しましたけど、やっぱりこわい。寄り道せずに直帰しました。こわい~

 


StarSありがとう公演~みんなで行こう武道館~@武道館アリーナC4ブロック

2013-11-11 23:47:19 | 観劇/コンサート

  

出演/井上芳雄 浦井健治 山崎育三郎

武道館な~平日夜はな~・・・とためらっていましたが、天からチケットが降ってきた(ウソばっかし)ので、木枯らし1号が吹きすさぶ中、九段下へ。

・・・・しかし、九段下から武道館までの道の暗いこと!たくさんの人が歩いていなければ、ちょっと物騒なほど暗い。。。でも、会場に着くと物凄い事に!1万人だからね~まずはグッズの列に並びましたが、階段を上がって幾重にも巻いている人の列にびっくりそれでも結構流れて前へすすめましたが、お目当てだった青いLEDリストバンドはSOLD OUT! 飯田橋で腹ごしらえなんかしなきゃよかった~ グッズ売り場は11時からOPENしていたという情報だったので楽々かと甘くみたのが間違いでした

でもまあ、あの混雑の中、悪友うさぎさんにも会えたし、ペンライトは買えたので気を取り直してアリーナ席へ。見上げると、天井桟敷まで人がいっぱい!そりゃあもう壮観そして、浦井君が「ホタルイカ」と命名したように、会場が暗転したときには降り注ぐような満天のペンライト実は、私が買ったのはポキン!がうまくいかずほとんど光らなかったのですけど、あの光につつまれてるだけですごい高揚感がありました。

そしてStarS!井上(プリンス オブ プリンス)くんはイーハトーヴの劇列車中、浦井君はMIWA中、育三郎くんはレミゼでマリウス中だというのにほんっとに熱いステージでびっくりしました。

アルバム曲(「Gleam」、「You Can't Stop The Beat」)で元気に幕が開き、続くミュージカルメドレーでは、やっぱり3人の本領発揮!3人で代わる代わるにトート閣下とルドルフ皇太子、そしてお前誰だ(笑)の人登場の「闇が広がる」では、浦井くんが怯えるルドルフから闇の帝王トート閣下に変身する瞬間の鋭さと鮮やかさにドキっとしました。浦井君はコンサート中ずっとと言っていいほど天然癒し系担当でしたが(まさかの「俺・健治」のふんどし・・・)、ミュージカル曲を歌い踊る時にキラっと、またギラッと光る姿に「役者」を感じます

井上くんは、もう、本当に言葉どおりのプリンス オブ プリンス昨日までサザンシアターで学生服着て、東北弁で、妹が牛肉食べるたびに「南無妙法蓮華経!」と言っていた宮沢賢治だったとは思えないほど、どこから見てもプリンスでした。

キュートな浦井王子、輝く井上王子、そして、一番年下なのにすごい安定感と色気のある育三郎王子まさか、育ちゃんの「やだねったら、やだね~♪」の氷川きよしが聴けるとは思いませんでした&、浦井くんのふんどし姿&再び井上王子の網タイツバーレスクの溢れる色気・・・・しかし、井上王子、美脚だなあこの人は結構男らしいのに女を感じる、いつも思うけど、宝塚の男役に紛れても全然違和感ないんじゃないかと思うものがあるのでありました。

武道館は音響がイマイチという評判も聞きますが、大音量の時は音が割れて聴きづらい時もちょこっと。育くんの奏でるピアノ1本で、3人で透き通るような美しい声で聴かせてくれたStarSだけの「明日にかける橋」それはそれは心に沁みとおりました。

いや、無理して行って良かったです入場時には、3人が1万人分手書きしたというサインがひとりひとりに配られました。1万枚の手書きってすごいです。家宝にしたいと思います。

一夜限りの夢のあとは、3人ともそれぞれの舞台に戻り、今日も頑張っているんでしょうねえ。。。浦井君は夜公演だから半日は休めるにしても、井上くんと育くんは昼公演からだとか。若いってすごいなあ

 


心配したでしょ!

2013-11-07 22:13:34 | 

                    補導直後の家出少年C

昨夜は台風以来顔を見せていなかったのらちゃん親子やら、そのおばあちゃんやら、あまりみたことのないWhat?マイケル風の大きな茶トラ猫などが家の近くにいて、猫会議でもあるのかな~と思っていました。

そんな時、ちょっと勝手口のドアを開けたら、2階にいたはずのチャメが、すごい勢いで外へ飛び出してしまいました!

でも、大丈夫。首輪にロケーターつけてるし・・・・と結構のんきに構えて探しはじめました。ぴぴぴぴ・・・と音と光で反応した方角へ行くと、ご近所の庭に赤い光と猫の影。「いた~!!」と、さっそく呼んでみましたが鼻ふくらませて興奮している様子。瞳もまんまる。しかも、のらちびと一緒。のらちびはチャメより2回りほど小さく同じような柄なので、まるで兄弟のようです。のらちびは時々私にご飯をもらう恩を感じているのか、「ねえにーちゃん、いいの?おばちゃん呼んでるよ」というようにこちらに気をつかってチラチラ振り返っていますが、チャメはしっぽを立てちゃって欽ちゃん走り。あきらかに浮かれポンチ状態。いくら追っかけてもつかまりません。。。。。

仕方がないので勝手口や窓を開けて待つこと3時間。その間、大きな白黒おばあちゃんやら、美人のレイコちゃんやら、いろんな猫が「おばちゃん、大丈夫?心配だねえ・・・」というように勝手口をのぞいていきました。近くでチャメが「ナオ~ナオ~」と雄叫びをあげているのも聞こえますが、帰ってきません。静観していた夫もしびれを切らして探しに行ってくれました。「もう!車に轢かれたらどうすんのよ~

ちょっとあきらめかけたころ、開けておいたドアからす~っと灰色の影が伏せるように。。。いた!帰ってきた~しっぽには草の実がいっぱい。足は泥んこ。即刻お風呂でザブザブシャンプーの刑でした。

さっぱりすると、しばらくは必死で毛づくろいしていましたが次第に落ち着き、好き嫌いして残していたごはんをむしゃむしゃ食べて寝てしまいました。

いっぱい遊んで疲れたね。お母さん、ほんとに心配したんだよ。

娘たち(人間)は、「帰ってくるにきまってるっしょ!こんなに人見知りでビビリで好き嫌いの多い子が外で暮らせないって」と断言。そうかもね~とにもかくにもほっとしました。

でも、こうやって時々野生に帰るたびに、なんだか申し訳ない気にもなるのでした。

ロケーターは意味ないかもね、と、はずしてきれいな音のする小さな鈴にとりかえました。


イーハトーボの劇列車@紀伊国屋サザンシアター8列下手

2013-11-03 23:30:30 | 観劇/コンサート

〔CAST〕
宮沢賢治:井上芳雄         宮沢政次郎/伊藤儀一郎:辻萬長
宮沢イチ/未亡人:木野花     宮沢とし子/女車掌ネリ:大和田美帆
福地第一郎:石橋徹郎        福地ケイ子:松永玲子
淵沢三十郎:土屋良太        山男:小椋毅
神野仁吉:田村勝彦         少年:大久保祥太郎
売られた娘:鹿野真央        車掌:みのすけ

演奏:荻野清子

演出:鵜山仁
作:井上ひさし
音楽:宇野誠一郎 荻野清子

大正七(一九一八)年十二月二十六日、宮沢賢治は、故郷花巻から東京に入院している妹・とし子の見舞いを目的に上野行きの夜行列車に乗り込んだ。その手には大きな革のトランクが握りしめられ、たくさんの願いが詰め込まれていた。

「大好きな音楽を聞き、エスペラント語の勉強をする。そのためには家の重圧から逃れ、父の庇護の下を離れなければならない。
そして何よりも真の生き方を探すことである」

賢治は、東京に理想郷を求めては挫折を繰り返し、九度の上京の中でいつしか花巻に理想郷を見いだす。東京での出来事と上京する列車の中で賢治の童話から抜け出たような人物たちと織りなす夢のような時間が交差する。そして挫折の度に突然現れる背の高い、赤い帽子の車掌から手渡される「思い残し切符」とは......。


 

友人たちと3人で「赤坂ふきぬき」の美味しいうな重(おいしかった~)をいただいてから、サザンシアターへ。
宮沢賢治といえば童話作家で花巻農学校の教師、というイメージしかなかった私は、賢治が9回も上京していたことも、日蓮宗の熱心な信者だったことも初めて知りました。この作品は単なる賢治の評伝劇ではなく、賢治の作品世界に出てくる様々な登場人物が列車の中に現れ、お話を紡いでいくという形をとっています。父と子の確執、宗教論争など、かなり現実的な話も盛り込みながら、ファンタジックな味付けもある、とても不思議な舞台でした。この舞台の予習に「なめとこ山の熊」の朗読を聞いておいたのもよかったです。

時折現れては「この世に思いを残して逝った人が託す『思い残し切符』」を賢治に渡すまぼろしのような車掌が不思議な浮遊感を醸し出しています。・・・・そんな時、にわかに劇場に振動が・・・後ろの人が席を揺らしたのかな?と思ったら、いきなりグラグラっと揺れが来ました。ざわつく客席。でも、舞台上の役者さんたちは不安定な盆の上でも何事もないように演技を続けています。幕間に、「茨城で震度4の地震が発生しました。津波の心配はありません」のアナウンス。

いやがうえにも、震災を思い出しました。あの震災で亡くなったたくさんのひとたちの「思い残し切符」。だから今、この作品なのかなあ。

夜には楽天優勝!まさに東北で亡くなった人たちの「思い残し切符」が楽天の選手たちに渡ったんじゃないかと思う瞬間でしたね。

歌わない(ちょっとは歌ったけど)東北弁の井上くんの透明感と、辻萬長さんのどっしりとした存在感に今日もしてやられた私でした。でも、「星めぐりの歌」歌ってほしかったなあ・・・井上くんの歌、聴きたくなっちゃってStars武道館行くことにしちゃったじゃありませんか・・・

 


K-BALLET COMPANY Autumn Tour 2013白鳥の湖@オーチャードホール1階3列目下手

2013-11-02 22:11:46 | 観劇/コンサート

オデット/オディール:ニーナ.アナニアシヴィリ
ジークフリード王子:宮尾俊太郎
ロットバルト:遅沢佑介


 

以前から「バレエ観てみたい」と言っていた娘と一緒にオーチャードホールへ。実はこの子がまだ小学生の頃、石丸さんがハンス王子を演じた「オンディーヌ」に連れて行った際、水の精のバレエシーンを楽しみにしていたのに、あまりの音楽の心地よさにそのシーン手前で眠ってしまったという苦くておばかな経験がありました・・・で、だいぶあきましたが今回はリベンジ。

なんちゃって、本当の理由は私が宮尾俊太郎さんのジークフリート王子を観たかったからです。ごめんなさい

前にも書いたかもしれませんが、バレエダンサーである宮尾俊太郎さんにひとめぼれしたのは時代劇映画。踊っている姿を初めて観たのはミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ということで、あんなに好き好き言ってるくせに本業のバレエを拝見するのは今日が初めてというていたらく。・・・だって、観劇自粛といいながらジャンルを広げたらえらいことなるので、バレエと歌舞伎はできるだけ触らないように心掛けていたんです・・・

なんて言ってないで感想。ひとこと。・・・素晴らしかったです素晴らしい音楽に彩られながら鍛え抜かれた肢体がしなやかに宙を舞う、その美しいこと!もう、隣に座っている娘のうっとり感まで伝わってくるようでした。

宮尾さんは、もう完璧な王子。気品があり、優しさにあふれた、小さい頃から絵本や童話のなかで心に描いた王子様そのもので、もううっとりを通りl越してぼおっとしてしまいました

白鳥/黒鳥を踊ったニーナ.アナニアシヴィリさんは、 “世界のプリマ”と言われる方バレエ通のchat noirさんから、「黒鳥の32回転グランフェッテを見届けて」と、見どころを教えていただきましたが、まさに超絶でした。途中で数えられなくなりましたが、客席の興奮とご本人の満足の笑顔から、おそらく完遂されたのだと思います。この方が登場すると、舞台全体がオーラで包まれる感じでした。なんと3月に50歳になられたとかもう、びっくりしゃっくりです

オーケストラの演奏とダンスだけでわかるかなあ・・と思いましたが、十分に伝わりました。何度も何度ものカーテンコールの最後の方には、熊川哲也さんも大きな花束を持って登場。ニーナさんにしっかりと手渡していらっしゃいました。

ミュージカルとも歌舞伎ともなんとなく違う独特の「拍手のタイミング」があって、そこも興味深かったです。同じ列のおじさまが何度も「ブラボー!」を連呼していました。