pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

ハムレットQ1@PARCO劇場B列センター

2024-05-30 21:38:19 | 観劇/コンサート
作:Wシェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:森新太郎
出演:
吉田 羊 飯豊まりえ 牧島 輝 大鶴佐助 広岡由里子
佐藤 誓 駒木根隆介 永島敬三
青山達三 佐川和正 鈴木崇乃 高間智子 友部柚里 西岡未央 西本竜樹
吉田栄作

公式HPによればQ1とは。
 
『ハムレット』には三種類の原本があり、二つの四折版(Quatro)がQ1Q2、もう一つの二折本(Folio)がF1と呼ばれています。現在では、Q1(1603年刊行/約2,150行)が、Q2(1604~1605年刊行/約3,700行)の原型ではないかという説も多く、Q2は草稿版、F1(1623年刊行/約3,550行)が当時の劇団保管の演出台本で、Q2を参考に制作されたとも言われています。
 
さてQ1。先日の埼玉の熱い熱いほとばしるようなハムレットとは趣の異なる、落ち着いたハムレットでした。なにしろハンサム・ウーマン、吉田羊さんハムレットですから。数年前のジュリアス・シーザーはオールフィメールでしたが、今回は吉田羊さんのハムレットと飯豊まりえさんのフォーティンブラス(オフィーリアと2役)、王の従者以外は男性が出演していました。Q1なので上演時間は埼玉より1時間ほど短いですが、ぎゅっと凝縮されているほかは正統なハムレットでした。ただし、扮装はデンマーク王クローディアスやポローニアス、レアティーズ、従者など一部がスーツで登場ですが、ハムレット、王妃、オフィーリア、ホレーシオはクラシックな衣装でした。
ハムレット、吉田羊さん本当に男前でほれぼれ短くカールのかかった髪も黒い衣装もぴったり。ホレーシオ、牧島 輝さんは初見ですが、滑舌も良く、堂々とした頼りがいのありそうなホレーシオでした。ただ、あまりに前方席で観たせいか、学友には見えなかったかもクローディアスは吉田栄作さん。かつてめちゃくちゃ推してたせい(昔、めちゃくちゃ大きいポスターを自室に貼って崇めてました)もあるのか、どうしても兄王を暗殺してその妃までGETし、王位を簒奪するような悪人には見えなかった むしろ先王の亡霊はぴったり。亡霊もさいたまの亡霊のように饒舌ではなく、慈愛と気品、そして無念さが感じられましたやっぱり亡霊だからその方が私には好み。エコーも効果的だったし。
レアティーズは2枚目枠だと思ってましたが、ここは大鶴佐助さん。堅実な兄。剣さばきはすごく決まっていて、ハムレット負けちゃいそうでした
ぎゅっと凝縮されていると書きましたが、やはりオフィーリアを突き放す場面やフォーティンブラスの登場があっさりだったり、ローゼンクランツ・ギルデンスターンの最期がカット(?)されてたり、個人的に楽しみにしていた「あとは沈黙」「おやすみなさい、優しい王子様」がなかったことがちょっと心残りでした。やけに印象に残ったのは、オフィーリアの埋葬のシーン終盤、主だった登場人物が去った後、墓堀りがひとり残ってシャベルで土をかける音。シャー・・シャー・・やけに悲しみを誘う音でした。それから、劇中劇の担っていたアンサンブルの女性たちがシスターとなって埋葬に付き添う演出も素敵でした。ここでは歌も悲しみを誘います。ポローニアスと墓堀り役の佐藤誓さんはミュージカル・ジキル&ハイドで執事プールを演じた方ですね。美声も聴かれました。(一瞬、山路さんかと思いました)そうそう、羊さんがかつて演じたブルータスネタもさりげなく入ってて笑いました
 
生舞台のほかに内野さんや岡田くんバージョンの録画で予習したり、訳者の異なる戯曲を読んだりと、5月は自分的ハムレットまつりだったのでどうしても比較して観てしまいましたが、単独で観ていたらもう少し違った見方があったかなあと思ったり、いろんな解釈があることを感じたりするひと月でした。やっぱり面白い。シェイクスピア
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ハムレット(2回目)@さいたま芸術劇場1階S列センター

2024-05-22 21:59:16 | シェイクスピア

 ←与野本町駅前の薔薇、ほんとにお見事

再びのハムレット。今回はぐっと後ろに下ってS列真ん中。遠いかと思いきや、通路後方で一段あがってとても見やすいお席でした。1回目の鑑賞では、ハムレットの大熱演に圧倒されまくりで気づかない部分もありましたが、今回あーなるほど、そういうことかと感ずるところが多かったです。一番?だったフォーティンブラスの件。

あの王子の胸は崇高な大望にふくらみ、いかなる結果が待ち受けるかは眼中になく、はかない頼りないいのちを運命にさらし、死と危険に敢然と挑戦する、それもただ卵のかけらほどの問題のためだ。真の偉大さとはなにか。たいした理由もないのに軽挙妄動することではなく、名誉がかかわるとあらば、たとえ藁しべ一本のためにも死を賭して闘う理由を見出すことこそ偉大なのだ。       小田島雄志訳

ボローニアスを誤って刺し殺した後、ノルウェー王子フォーティンブラスが僅かな土地の奪還のためにデンマークを通過する光景に感動し、自らもそうあらねばと思ったんですね。フォーティンブラスを呆然と見つめる静かな姿は激情にかられてのたうち回る姿とは全く違うハムレットでした。

また、あんなに激しく叫びまくらなくたって。。と感じたクローディアスも、後方から観ていると、なんとなく納得してしまいました。

最後にレアティーズとの死闘。剣先に毒を仕込んだレアティーズの剣がぽーんと飛んでハムレットの剣と一瞬で入れ替わる場面。お見事でした!

そしてもうひとつ。これは父の亡霊の意志で復讐に走った王子の話ではなく、「正しくあろう」として暴走した王子の話なんだなと漠然と思いました。一幕最初に新王である叔父は「次の王ハムレット」と明言しているわけですから。黙っておとなしく代替わりを待ち、愛するオフィーリアを妻にして幸せにデンマークを治める道だってあったのにね。

オフィーリアが狂乱し、死を迎えた時、ハムレットに突き返された黄色いドレスを着ていたのが痛々しかったです

それにしてもこのお話の中で一番気の毒なのって、やっぱり父を殺され、妹が発狂の末に事故死、親友と思っていたハムレットを陥れようとして失敗して自分の命も落としてしまったレアティーズだなあ。。

さて、今月はハムレット祭り次回は吉田羊さんの「ハムレットQ]を見届けてきます!

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碁盤斬り〜柳田格之進が映画に!

2024-05-18 21:56:55 | 映画/DVD

なんとなくテレビをみていたら、草彅剛さん主演の映画「碁盤斬り」のCMが。

〜浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。

 

しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。

え!?なにこれ、柳田格之進私が初めてみっちり聴いた志の輔師匠の落語「柳田格之進」じゃありませんか!STORYを読むと微妙に脚色されてますが、間違いない!しかも父のために自ら犠牲になろうとするお絹さんは清原果耶さんじゃありませんか。こりゃ、観なくちゃ!猿の惑星の新作もあるし、久しぶりに映画館に行かなくちゃ!

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ハムレット@彩の国さいたま芸術劇場大ホール最前列センター

2024-05-14 21:38:41 | シェイクスピア

作 W.シェイクスピア

翻訳 小田島雄志

演出・上演台本 吉田鋼太郎 

出演

柿澤勇人・・・ハムレット

北 香那・・・オフィーリア

白洲 迅・・・ホレーシオ

渡部豪太・・・レアティーズ

豊田裕大・・・フォーティンブラス ほか

櫻井章喜・・・オズリック ほか

原 慎一郎・・・マーセラス ほか

山本直寛・・・ローゼンクランツ ほか

松尾竜兵・・・ギルデンスターン ほか

いいむろなおき・・・黙劇役者 ほか

松本こうせい・・・フランシスコー ほか

斉藤莉生・・・ヴォルティマンド ほか

正名僕蔵・・・ポローニアス ほか

高橋ひとみ・・・ガートルード

吉田鋼太郎・・・クローディアス/亡霊

役者1・・・原 慎一郎


さい芸リニューアルオープン第一作「ハムレット」!劇友うさぎさんと共に行ってきました。まさかの最前列どセンター今年の運を使い果たしましたかね

音楽も舞台装置も最小限、台詞勝負のこの舞台。いや、圧がすごかったです今までいくつものハムレット舞台を観てきましたが、とにかく熱い!柿澤ハムレット全身でハムレットの苦悩、怖れ、不安、決意を表して舞台をのた打ち回り、叫び、涙と汗でぐちゃぐちゃになりながらの大熱演でした。こんなハムレット、ほんとに観たことありません。柿澤くんの身体能力の高さ、台詞回しの確かさがなくては成り立たない舞台だと思いました。あれだけ膨大な台詞、ひとつも聞き取り辛いところがないのは流石!ひざから崩れ落ちる場面も剣で戦う場面も動きの美しいのなんの。

白洲迅さんのホレイシオもハムレットと年齢的なバランスが良く、お互いの信頼関係が説得力を持って伝わってきた感じです。

与野本町に着く直前まで河合先生の「謎解きハムレット」を読み、ハムレットが何故唐突にオフィーリアに「尼寺へ行け」と言ったのかというハムレット最大の謎について読んでいました。そこに拠れば、最愛のオフィーリアを穢れのない存在にしておくために自分の感情を封印してその言葉を言い放ったという解釈でしたが、あまりにその表現が過激だったせいか、私にはそうは思えませんでした。ほんとにいきなりあんなこと言われたらどんなに愛してたって混乱しますよね

今回、レアティーズ渡部豪太さんの舞台はじめて観ましたが、立ち姿もきれい。妹オフィーリアへの深い愛情も感じられ、父を奪われ妹をも失った絶望、ハムレット殺しの陰謀をためらう姿なども胸に迫るものがありました。ハムレットとのフェンシングシーンもとても美しく迫力がありました。

今回、とにかく役者さんが舞台ギリギリ前のセンターで演技することが多かったので感情が伝わりすぎて怖いほどでした。狂ったオフィーリアの叫びも鼓膜がキーンとなるほど。ハムレットの汗やら、クローディアスのしぶきやら、いろんなものが飛んできました

難は、今回通路での芝居も多かったので、最初にフォーティンブラスが登場し、デンマークを通過していく大事なシーンが未消化でした。もう一度後方席で観る機会があるので、ちゃんと見届けたいと思います。

暗殺された先王、暗殺した弟王、吉田剛太郎さんの二役でしたが、ふたりともよく喋る喋る先王も幽霊だって忘れるくらい喋ってましたねその先王のおヒゲが熱演のあまり取れそうになってハラハラドキドキ見えちゃいけないものも見えるのが最前列ってもんですこの臨場感がたまらない

ちょっと残念だったのは、何故あの状況で最期にハムレットが国の全てをフォーティンブラスに譲ると言い残したのか良くわからなかったことかな。

最後の最後、あれだけのものすごい熱量で叫び、のたうちまわっていたハムレットが「後は。。沈黙」と瞳を閉じる場面がとても印象的でした。そして、「おやすみなさい。優しい王子様」とゆっくりとハムレットを包み込むホレイシオに泣けてしまいました

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