作:井上ひさし
演出:鵜山仁
<キャスト>
和田正人 石井一孝 久保酎吉 石田圭祐
小嶋尚樹 大原康裕 小椋 毅 植田真介
川辺邦弘 松角洋平 一色洋平 荘田由紀
江戸の三大俳諧師の一人と称される夏目成美こと、蔵前札差井筒屋八郎右衛門の寮から
四百八十両の大金が盗まれた。
容疑者は食い詰め者の俳諧師、小林一茶。
蔵前札差会所見廻同心見習いの五十嵐俊介は、お吟味芝居を仕立て、自身が一茶を演じながら、
彼をよく知る元鳥越町の住人たちの証言をつなぎ合わせていく。
そこに浮かび上がってきたのは、俳諧を究めようともがき、一人の女性を命懸けで奪い合った一茶と
宿敵・竹里の壮絶な生き様と事件の真相だった...。
ま~た間違えてサザンシアターに行ってしまうところでした。。しかも、開演時間を1時間早目に勘違い
まあ、早目だったんでゆっくり本や文房具ながめられてよかったんですけど
今回のお目当ては、10年前(か!)に北村有起哉さんが演じた小林一茶を、あの「ごちそうさん」の源ちゃん、和田正人さんが演じること。D-BOYSの方だったんですね。
いや、面白かったです。劇中劇の構成になっていて1幕は説明が多く、ちょっと意識が飛びそうになりましたが、2幕はぐっとよくなり、ひきつけられました。一茶と言えば、素朴な俳人というイメージが強いですが、なかなかの野心家。石井一孝さん演じる竹里は、一茶を俳句に導いた恩人ですが、たちまちライバルになり、やがて追い抜かれる。その間の二人の裏切り裏切られるさまが結構壮絶。
劇中劇は、実は町内の人々と一茶のパトロンが、お金もうけのために仕組んだこと。一見善良な町人と見えた人々が、金ほしさに嘘をついて一茶を落とし入れようと画策します。善良そうに見える人々の裏に潜むいやらしさ、狡猾さ。「和を持って尊しとなす」が、たちまちなれ合いと排他精神で淀んでいく。どきりとさせられる場面です。
最後に一茶や竹里に逃げられたと見るや、さっさと次の獲物を探そうとする姿に、恐ろしさを感じました。
石井さんの町人姿は初めて見ましたが、濃ゆい彫りの深いお顔にヅラが意外とよくお似合い。滑舌も良く、こまつ座舞台にも全く違和感がありませんでした。和田正人さんも、こまつ座常連の役者さんたちの中で熱い演技でした。荘田さんは鳳蘭さんのお嬢さんですが、捨て身の演技(色っぽい場面もあり)で好感が持てました。
こまつ座は、このあと「戯作者銘々伝」「父と暮らせば」「国語元年」など、ラインナップすごいです。がんばれ私