【脚本・作詞】ノ・ウソン【演出】板垣恭一 【訳詞】森雪之丞 【上演台本】中谷まゆみ
【キャスト】橋本さとし/一路真輝/浦井健治/昆夏美/石井一彰/宇野まり絵/竹下宏太郎/コング桑田/大澄賢也
【あらすじ】
19世紀末のロンドン。クリスマスの夜にイギリスの名門アンダーソン家で2発の銃声が響く。邸宅にいたのは家長アダム・アンダーソンと双子の弟エリック・アンダーソン、そして2人に愛され、今はアダムの婚約者となったルーシー。
その事件直後から、ルーシーは行方不明となり・・・。
難事件解決が人生の楽しみそのものであるシャーロックホームズの元に、アンダーソン家の3人の男が次々と調査依頼にやって来る。
一人は、アンダーソングループの会長でもある長男のアダム。
一人は、兄の陰に隠れるように生きる弟エリック。
そしてもう一人、ボディーガードを伴って現れたのは、2人の叔父でアンダーソングループ副会長である野心家のポビー。
単純な失踪事件ではなさそうなこの案件にホームズは彼自身の偏執的好奇心をそそられ、本格的捜査に、助手のワトソンと共に本格的に着手する。
ほどなくアンダーソン家の周辺人物が一人ずつ殺害され始め・・・。
シャーロックホームズシリーズは、子どもの頃にはまってたくさん読みました。バスカヴィル家の犬とか、まだらの紐とか。アンダーソン家の秘密・・・いかにもありそうなタイトルだと思ったけれど、これはコナン・ドイルの作品じゃなく、韓国発のオリジナルミュージカルなんだそうです。同じところが舞台でも、ジキル&ハイドのようなロンドンの香りがしないのは、私の先入観でしょうか。
今回は推理ものということで、全く何の予備知識も入れずに劇場に行ったので、結構新鮮でした。一幕終わったところでも謎が謎のままなので、あちこちで推理してる声が聞こえて、ふんふん、それもありか。。。などなど、考えるだけでも楽しかったです。4日が東京千穐楽ですが、地方公演もありなので、ここでのネタばらしは控えますね。
推理部分もほとんど歌であらわされているので、ミュージカル慣れしているつもりの私でも聞き逃しそう。曲調も難しいので、橋本さとしさん大変だろうなあと思いました。久しぶりに観る一路さん(名古屋でみた「モーツアルト!」以来かも。)も難しいメロディーの連続。でも、さすがにお二人ともベテランの貫録でした。さとしさんは、歌い上げるシーンも多く、お上手になられたなあと実感。
そしてそして、この舞台の最大のお目当て、双子のアンダーソン兄弟2役の浦井くん
朝日劇評でも扇田先生がほめていましたが、まるでジキル&ハイドの「対決」のように瞬時にして人物が入れ替わる難しい場面を素晴らしい集中力で演じきって歌いきって・・・もう、母のような心でその成長ぶりを見守ってしまいましたよ。特にどちらかというと傲慢冷徹な長男アダムの時の浦井君は、これまで見たこともない(「暗くなるまで待って」の犯人もちょっとそんな感じだったけど。)ような、とがったナイフのような人になっていました。
バックに流れる音楽はいかにも推理物といったポップな感じで、とっても良かったです。さとしさんはさとしさんなんで、随所に「関西おやじ風」が垣間見えましたが、あの日本人離れした風貌とのギャップがなんとも言えないです。今日は浦井くんとのからみの場面で思わずくすっと笑っちゃうところがあったり、台詞がまわらなくなるアクシデントなどもあり、カーテンコールの時に「今日はいろいろあって土曜日の昼公演らしい舞台で・・・」と、いろいろ謝っているさとしさんでした。
一度ではよくわからない部分もあったし、浦井君の演じ分けももう一度は観たいので、DVDを購入するか、もう一回いっちゃおうか。。。と、画策中です。
次回作、Jack the Ripperに続くよ~みたいな終わり方。でもね、でもね、一路さんが悪いわけでは全然ないけど、ワトソン君は男性にしようよ~
偶然劇場でご一緒だった(帰りの電車でもらったメールで気づいた~)うさぎさん情報によれば、アダムスファミリーでさとしさんとご共演予定の今井清隆さんが客席にいたらしいです。幕間にもっとロビーうろうろすれば良かった~