pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

第54回大手町落語会@日経ホールL列センター

2019-04-27 22:54:24 | 落語・講談

連休初日は大手町で落語。世の中の皆さんのように10連休じゃないんですけどね。。。

最近は大手町よみうりホールへもよく行くせいか、日経ホールへの行き方を失念してしまい、駅員さんに道を尋ねると、「この先行くと経団連のビルがあって、あっちが読売新聞のビルで、そっちが産経新聞社で、日経は。。」と、よく説明してくれました。話を聞きながら、ここってやっぱり日本の経済の中枢なんだなあとあらためて感じました。いつも地下鉄利用なんであまり実感していませんでしたが都内とはいえ、のどかな地域で緑を見ながらチャリ通勤な身にはまぶしいかも。

さて、落語会の方は、贔屓の さん喬・権太楼・白酒師匠のそろいぶみ。期待を裏切らない会でした。今回初めて若手(30才)のホープ、小痴楽くんも登場。友人の評価はちょっと・・・だったのですが、なんの、今っぽい間の取り方が意外に良く、これからはこういう噺家さんたちが新しい落語を作っていくんだなあと感じました。神田松之丞くんや、わさびくんなどとよく一緒に若手の落語会を開いているとのことで、ちょっとそっちにも興味が出てきました。粗忽長屋、とても良かったです。

お待ちかねの権太楼師匠の「疝気の虫」。Youtubeでしか聴いたことがなかったのですが、もう、面白さ大爆発笑った笑ったお隣のエリートっぽい若紳士も拍手しながらの大爆笑でした。この噺、志らく師匠で初めて聴いたとき、ミクロの決死圏(映画)みたい!と感動しましたが、権太楼師匠のはとにかく「虫」がかわいい!疝気の研究者らしいお医者さんに箸でつかまれて「痛いんですけど~」と悲鳴をあげたり、みんなで旦那さんから奥さんの体に移動していくところが遠足みたいでものすごくかわいかったです「地獄八景亡者戯」もそうだけど、こんなすごい噺が江戸時代に作られているなんて、ほんとにすごい!

続く白酒師匠も「権太楼師匠の一番弟子とふたりで、『いいトシしてすげえなあ。。』と、舞台袖で見入ってました。」と。白酒師匠の「お見立て」も楽しかった~

トリのさん喬師匠は、「ほんとは百川やろうと思ってたんですが、白酒が方言のきついやつ(お見立て)やったんで、だぶっちゃうので別の何をやろうか喋りながら考えてます。」と。本当にお客さん見ながらネタを決めるんですねえ。。。そして始まったのは唐茄子屋政談。大店の若旦那が人生を甘く見すぎて勘当され、叔父に救われて唐茄子(かぼちゃ)屋になり、苦労して人の気持ちを慮れるようになる人情噺ですが、師匠、ほんとにすごいです!

貧しい母子に唐茄子で稼いだお金をあげたにもかかわらず、大家にそのお金を巻き上げられ、泣きながら抗議する場面。本当に、こんなに食うや食わずの貧しい母子になんでそんな非情なことをするんだと訴える姿にじわっと涙が出ました。行商に出た先でも、売り声ひとつ出せない若旦那を助けてくれる町の人の人情も。いや、久しぶりに落語で泣きました。吉原近くの田んぼで、華やかに遊んだ昔を思い出して歌う小唄もさすが師匠!堪能いたしました。

G.W.は落語会ふたつとランチとレミゼの予定。あとはたまったお掃除と衣替えをして、猫王子とごろごろします。ハワイで羽のばしてる友達がうらやましいけど、いいもんね

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良い子はみんなご褒美がもらえる@赤坂ACTシアター1階V列下手

2019-04-24 22:26:08 | 観劇/コンサート

  

作トム・ストッパード
作曲アンドレ・プレヴィン
演出ウィル・タケット
指揮ヤニック・パジェ

出演

堤真一 橋本良亮(A.B.C-Z)
小手伸也 シム・ウンギョン 外山誠二 斉藤由貴

川合ロン 鈴木奈菜 田中美甫 中西彩加 中林舞 松尾望 宮河愛一郎

舞台はソビエトと思われる独裁国家の精神病院の一室。 
誹謗罪でつかまった政治犯の男(アレクサンドル・イワノフ)と、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われた男(アレクサンドル・イワノフ)。 
全く異なる状況、立場で同じ精神病院へ送り込まれた二人。 
社会から完全にはみ出している人間を、社会はどう扱うのか…? 


このタイトルを見たとき、どういう意味?と疑問でしたが、HPによると、英語の原題であるEvery Good Boy Deserves Favourは、五線譜を覚えるための英語の語呂合わせ。一番下からミ(一点ホ)、ソ(一点ト)、シ(一点ロ)、レ(二点ニ)、ファ(二点ヘ)で、この音は英語ではE,G,B,D,F,つまり" Every Good Boy Deserves Favour "と頭文字を覚えれば、どの線にどの音が引っかかるのか譜読みするときにすぐ思い出すことができます。 
つまり私たち日本人がルート2の値を「ひとよひとよにひとみごろ」と覚えるような言葉遊び、語呂合わせの一環です。 
この語呂合わせのように「社会はそういうものだから、従っていればいいのだ」と教え込まれ、そして何の疑問もなく「社会はそういうものだから」と生活をしている自分たち。 
自由な世界に生きているはずが、実はとても不自由なのでは?という投げかけということのようです。

舞台の上には、35名のオーケストラ。この舞台には堤さん、橋本さん、堤さんの息子役のシム・ウギョンさんと、3人のアレクサンドル・イワノフ(息子はサーシャという愛称で呼ばれてます)。オーケストラは、橋本イワノフの妄想という設定ながら、要所要所に流れる音楽は厚みがあってとても素敵です。

体制に抗ってハンストをする堤イワノフは、嘘をついて(自分の信念を曲げてでもという意味?)でもここを出てという息子の願いにも答えることができず、次第に衰弱して行きます。死を賭してでも自分の信念を貫くのか、息子の為にも信念を捨てて生きるのか、苦しみ、葛藤する様は胸を打ちます、精神病院の医師、小出さん(最近メキメキ出てきましたね)いい声!重苦しい舞台に軽妙さを加えています。

想像することの自由と言論の自由。互いの「自由」を通して、「自由な世界」が故に他人と異なることへの「不自由さ」を感じる現代社会に、ストッパードが贈るアイロニー。 

・・・と、いう解説なのですが、堤イワノフの「一歩も引くことなく精神の自由を求めるが故の不自由(拘束)」はびんびん伝わってきました。ラストも印象的。・・・が、妄想イワノフの不自由のほうは、今ひとつわかりにくかったです。お席が遠いせいもあるかな息子サーシャの教師、斉藤由紀先生の存在もよく掴めませんでした。ちょっと残念。

オケも素晴らしかったし、ところどころに入るダンスも良かったです。・・・が、いまひとつすとんと胸に落ちるものがなかったのが残念かも。

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長いお別れ/中島京子

2019-04-22 22:40:39 | 私の本棚

最近、BSで昔の名作ドラマが流れていて しばらく向田邦子さんのお正月ドラマが続いていましたが、今は山田太一氏の「早春スケッチブック」です。まだ50代くらいの山崎努さんと岩下志麻さん、若い若い鶴見辰吾さんや河原崎長一郎さん、中学生くらいの二階堂千寿ちゃんなどがご出演の、心を揺さぶられるドラマです。

このドラマの山崎努さんがものすごく印象的なせいなのか、先日久しぶりに本屋さんの棚から本に呼ばれた(時々あるんです。)感じがして振り向くと、「長いお別れ」というタイトルとともに、「早春~」よりもずっとおじいちゃんになった山崎さんが微笑む家族の間でちょっとしかめっつらで佇んでいました。そして、2019年5月映画公開!の文字も。

ああ、映画の原作本かあ。。と、一度は通り過ぎましたが、タイトルに惹かれて購入。お正月にクロスワードパズルの懸賞で当たった図書カードあったし。

著者を確かめないで本を買うことはあまりないのですが、これはあの「小さいおうち」を書いた中島京子さんの本だと気づいたのは帰宅してからでした

内容は、退職校長で図書館長なども歴任した老人にじわじわと認知症の兆候が出始め、家族を巻き込んでやがて。。。という、今となってはどこの家庭にも起こりうる物語です。

仕事にかまけて婚期を逃している娘、海外に住んでいる娘、自分の老いや不調よりも夫の介護に必死になる妻、みんないっぱいいっぱいでも、やっぱりお父さんのために頑張らなければと、様々な工夫を重ねる様が温かいです。

目的地にたどりつけなくなったり、入れ歯を何度もなくしたり、少しずつ、少しずつ遠くなっていく記憶、語彙を失い、言葉が構成できなくなり、意味不明の言葉を紡ぐ老人。

でも、口から出る言葉は意味不明でも、きっと何かちゃんと、言葉にならなくても何かを言おうとしているんですよね。

私の義母も重度の認知症ですが、昔は華道のお師匠さんでしたので、お花を持って行くと目を輝かせて花瓶に生けようとします。そして、何を言っているかはわからないけど、いろんなお話を昔のようにちょっとオーバーアクション気味に私に話してくれます。春には伊豆スカイラインの緑が幾重にも重なってそれはそれは綺麗なこと、晴れた日には初島や大島までが光った海の向こうにくっきりと見えること。きっと何度も私に話してくれた美しい風景や、亡くなった義父と出かけたたくさんの旅の話をしているんだろうなあ。。などと思い、相槌を打ちながら、ほかの人にはきっと???な会話を楽しみます。

この作品にも、恋が実らず落ち込む娘に「そう、くりまるなよ。」と慰める父がいます。「でも、くりまるよ」と思わず返す娘。そんな言葉はないとわかっていても、会話として成り立っちゃうんですよね。すごくわかる。

そんなリアルな表現も、作者の中島さんの実体験から来ていると知って、なるほど~と頷くことがいっぱいでした。骨折して入院した父の退院後をどうするかで悩む娘たちにも本当に共感します。そして久々の一気読み

映画も観にいこうかな。

映画バージョンのカバーを外したら、オリジナルの「おじいちゃんが椅子に座っている」イラストが出てきましたまなざしが老人の心の孤独を物語る、井筒啓之さんの素敵な絵です。

 

 

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ミュージカル『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』@日生劇場1階K列センター

2019-04-19 22:41:24 | 観劇/コンサート

  

原作:ヴィクトル・ユゴー

脚本:ロバート・ヨハンソン
音楽:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ジャック・マーフィー
演出:上田一豪

<出演>
グウィンプレン:浦井健治・下之園嵐史(子役)
デア:衛藤美彩
ジョシアナ公爵:朝夏まなと
デヴィット・ディリー・ムーア卿:宮原浩暢(LE VELVETS)
フェドロ:石川禅
ウルシュス:山口祐一郎

中山昇/上野哲也/宇月颯/清水彩花/
榎本成志/小原和彦/仙名立宗/早川一矢/
藤岡義樹/堀江慎也/森山大輔/
石田佳名子/内田智子/岡本華奈/栗山絵美
コリ伽路/富田亜希/安田カナ/吉田萌美

<あらすじ>
“The paradise of the rich is made out of the hell of the poor”
─金持ちの楽園は貧乏人の地獄によって造られる─
(小説:「The Man Who Laughs」より)

1689年、イングランド、冬。“子供買い”の異名を持つコンプラチコの手により、見世物として口を裂かれ醜悪な笑みを貼り付けられた少年、グウィンプレンは、一行の船から放り出され一人あてもなく雪のなかを彷徨う。そのさなか、凍え死んだ女性が抱える赤ん坊、後のデアを見つけ、道すがら偶然辿り着いた興行師、ウルシュス(山口祐一郎)の元へ身を寄せた二人は彼と生活を共にすることとなる───
青年となったグウィンプレン(浦井健治)はその奇怪な見た目で“笑う男”として話題を呼び、一躍有名人になっていた。盲目のデア(衛藤美彩)と共に自らの生い立ちを演じる興行で人気を博す二人は、いつしか互いを信頼し、愛し合う関係となる。

そこへ彼らの興行に興味を持った公爵のジョシアナ(朝夏まなと)とその婚約者、デヴィット・ディリー・ムーア卿(宮原浩暢)が来訪する。
醜くも魅惑的なグウィンプレンの姿に心を惹かれたジョシアナは、彼を自身の元へ呼びつけ誘惑する。突然の愛の言葉に動揺するグウィンプレンがウルシュスらの元に戻ると、突然牢獄へと連行され、そこで王宮の使用人、フェドロ(石川禅)より衝撃の事実が明かされた───

本当に醜いのは、刻まれた貧者の笑顔か、それとも富める者の嘲笑か。
運命に翻弄される“笑う男”が辿り着く先に待っていたものとは───


久しぶりに山口さんと浦井君の共演!と楽しみでしたが、「笑う男」というのがバットマンのジョーカーのように口を裂かれているらしいという情報の恐ろしさ(ダメなんです、基本的にそういうの)に、今回はやめとこうかな~と腰が引けておりましたが、観てきた方々の、「面白かったですよ!おすすめ!」というお話についに日生へGO!平日マチネにもかかわらず、「満員御礼」となっていました。

幕開きには─金持ちの楽園は貧乏人の地獄によって造られる─という衝撃的な言葉とともに荒々しい海が現れ、グウィンプレンの孤独の旅路が始まります。ここからデアを拾ってウルシュス父さんのもとにたどり着くまで結構早い展開なので、予習しといて良かったです子役ちゃんうまい!しかし、あんな小さな子を誘拐して口を裂いて見世物に売り飛ばすなんて、ひどすぎです。。。また、デアにしても雪の中、亡くなった母の乳を必死で吸っている瀕死の赤ん坊。。。まさに惨めすぎる人々。。かたや貴族はその家に生まれたというだけで贅沢三昧。今の日本も二極化しているといいますが、こんなもんじゃないほどの悲惨な世界だったわけだ。ユゴーの貧困救済への思いって、本当に強かったんだなあと感じます。実際、ユゴーは貴族院議員だった際には立法議会で貧困撲滅の演説をして保守派の大ブーイングを受けたとか。

また、ちょうど今日、WOWWOWでグレーテスト・ショーマンの放映があったので、日比谷に行く前になんとなくネットで町山智浩氏の「グレーテスト・ショーマン予習・復習」を見ていたら、P・T・バーナムも実際は見世物商売のためにかなりひどいこともしていたらしいとのこと。なんとなくこの作品とかぶるなあ。グウィンブレンとデアを育ててくれたウルシュス父さんも興行師の設定ですが、やはりどこかでコンプラチコとつながりがあったのでは?という疑惑もあったりなかったり興行師といえばM!で活躍したシカネーダー氏を思い出しますが、今回のウルシュス父さん、山口祐一郎氏のビジュアル、永遠のシカネーダー、吉野圭吾さんに似ていました!同じ興行師だから寄せてるのかなあ?そしてやはり腰の入った怪しい動き健在あの手の振りは誰にも真似できません

デア、衛藤さん、無垢な天使のようで良かったです。そもそも乃木坂46ってよくわからないので先入観もないんですけど(生田さんもそう?)あんまりアイドルっぽい感じを受けず、歌声もよかったです。ジョシアナ公爵(どうしても女子アナって聞こえる女子アナと結婚できるのか?とかいう台詞にウケル私)朝夏まなとさん好みです。美しくて気位高く迫力満点なのに案外せつない。

LE VELVETSの宮原さん、今回は悪役~ でも、歌い上げる声の確かさにビビビっときました。次回ジャベールどうでしょう。同じチームの佐藤さん(帝劇でバルジャン中)との「対決」聴いてみたいです

グウィンプレン浦井くん、すごいです。シェイクスピアで鍛え、立ち回りもシャープ。歌声も安定感ばっちりで、大きく感じました。ただ、まあ、貴族とわかってキラキラホワイトの衣装に身を包めるようになったら、ヘアスタイルもばしっと決めたらもっといいのになあと思っちゃいました。

心臓の悪いデアの最期、ウルシュス父さんのお膝に抱かれた姿はパパ・バルジャンとコゼットのようでした。グウィンプレン、せっかく戻ってきたらデアの死が待っていて、絶望なのか共に天国へ行くことを選んでしまうことがちょっと残念神様のお傍に行くことが幸せという宗教観なのでしょうか。

この作品、そこここにいろいろなミュージカルのエッセンスが見え隠れして、いろいろ面白かったです。再演あるかな?

帰りはお買い物のあとに立ち寄った「みはし」池袋店で、若桃のクリームあんみつをいただきました。この季節限定です!おいしい




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