脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
翻訳:小田島恒志
訳詞:竜 真知子
演出:藤田俊太郎
振付:エイマン・フォーリー
<出演>
石丸幹二 井上芳雄 安蘭けい 遥海 川口竜也 東 啓介
土井ケイト 綺咲愛里 舘形比呂一 畠中 洋 EXILE NESMITH
新川將人 塚本 直 木暮真一郎
井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希
原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、山野靖博
<あらすじ>
ユダヤ人のターテ(石丸幹二)は、娘の未来のために移民となり、遠くラトビアからニューヨークにやってきた。
黒人のコールハウス・ウォーカー・Jr.(井上芳雄)は才能あふれるピアニスト。
恋人のサラ(遥海)は彼に愛想をつかし、二人の間に生まれた赤ん坊を、ある家の庭に置き去りにしてしまう。
赤ん坊が置き去りにされたのは、裕福な白人家庭の母親 マザー(安蘭けい)の家だった。
偏見を持たず、正義感にあふれるマザーは…
芸大の先輩、石丸さんに憧れてこの世界に入ったという井上芳雄さん。その石丸・井上共演というこの舞台。観ないわけにはいかないじゃないくらいの気持ちでチケットGETしかも演出は藤田俊太郎氏
作品はアメリカの人種問題に深く切り込んでいます。真っ白な衣装の白人達、カラフルな衣装の黒人達、灰色っぽいくすんだ衣装の移民達というように、ひと目で人種がわかる演出になっています。
井上くんが黒人ピアニストと聞いた時にはちょっと違和感を持ちましたが、直前まで出演していたムーランルージュの舞台より、体格までよくなって見えるのは姿勢のマジック?役者おそるべし。
現代の日本では肌で感じることの少ない理不尽な差別から愛車をめちゃくちゃにされ、愛する人の命まで奪われ、復讐心から次第にダークサイドに堕ちていくコールハウス。。なんか、昨日みたヨゴロウザに重なる。。黒人のくせに!と、敵意をむきだしにして車をめちゃくちゃにする白人消防団のリーダー格を蜷川組常連の新谷さん。彼を殺すまでは執念で破壊活動を続けるコールハウスがどんどん過激になっていきます。そして。。。
石丸さん演じるターテもまた差別を受け、娘を奪われそうになるなど苦労を重ねますが、得意の切り絵にヒントを得て新たな仕事を開拓し、後半は身なりもきちんとして娘も生き生きとしてきます。このユダヤ人父娘にも、黒人親子にも優しく平等に接し、大きな愛で包み込むのが白人の「マザー」安蘭けいさん。
悲劇を超えたラストはこの三つの人種が溶け合うような素敵な演出になっています
印象的な曲が多く、ダンスも圧倒的。コールハウスのパートナー、サラを演じる遥海さんの美しい歌声がとても印象的でした。
一幕、よーく見ていないとわからなくなる早い進行。何回か観るとわかってくるかな。一回しかいけないけど
「ぴあ」と「おけぴ」の貸切公演だったため、カーテンコールでは安蘭さん、井上くん、石丸さんからご挨拶がありました。石丸さんは25年前に本場アメリカでこの公演を観た際、カーテンコールで白人、黒人、移民、黄色人種が入り交じる客席からわれんばかりの声援と拍手を目撃されたそうです。人種のるつぼ。まさにストレートに人々の胸を衝いたということですね。