pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

ラグタイム@日生劇場1階G列下手

2023-09-24 19:21:12 | 観劇/コンサート

  

脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
翻訳:小田島恒志
訳詞:竜 真知子
演出:藤田俊太郎
振付:エイマン・フォーリー

<出演>
石丸幹二 井上芳雄 安蘭けい 遥海 川口竜也 東 啓介 
土井ケイト 綺咲愛里 舘形比呂一 畠中 洋 EXILE NESMITH
新川將人 塚本 直 木暮真一郎 
井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希
原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、山野靖博

<あらすじ>
ユダヤ人のターテ(石丸幹二)は、娘の未来のために移民となり、遠くラトビアからニューヨークにやってきた。
黒人のコールハウス・ウォーカー・Jr.(井上芳雄)は才能あふれるピアニスト。
恋人のサラ(遥海)は彼に愛想をつかし、二人の間に生まれた赤ん坊を、ある家の庭に置き去りにしてしまう。
赤ん坊が置き去りにされたのは、裕福な白人家庭の母親 マザー(安蘭けい)の家だった。
偏見を持たず、正義感にあふれるマザーは…


芸大の先輩、石丸さんに憧れてこの世界に入ったという井上芳雄さん。その石丸・井上共演というこの舞台。観ないわけにはいかないじゃないくらいの気持ちでチケットGETしかも演出は藤田俊太郎氏

作品はアメリカの人種問題に深く切り込んでいます。真っ白な衣装の白人達、カラフルな衣装の黒人達、灰色っぽいくすんだ衣装の移民達というように、ひと目で人種がわかる演出になっています。

井上くんが黒人ピアニストと聞いた時にはちょっと違和感を持ちましたが、直前まで出演していたムーランルージュの舞台より、体格までよくなって見えるのは姿勢のマジック?役者おそるべし。

現代の日本では肌で感じることの少ない理不尽な差別から愛車をめちゃくちゃにされ、愛する人の命まで奪われ、復讐心から次第にダークサイドに堕ちていくコールハウス。。なんか、昨日みたヨゴロウザに重なる。。黒人のくせに!と、敵意をむきだしにして車をめちゃくちゃにする白人消防団のリーダー格を蜷川組常連の新谷さん。彼を殺すまでは執念で破壊活動を続けるコールハウスがどんどん過激になっていきます。そして。。。

石丸さん演じるターテもまた差別を受け、娘を奪われそうになるなど苦労を重ねますが、得意の切り絵にヒントを得て新たな仕事を開拓し、後半は身なりもきちんとして娘も生き生きとしてきます。このユダヤ人父娘にも、黒人親子にも優しく平等に接し、大きな愛で包み込むのが白人の「マザー」安蘭けいさん。

悲劇を超えたラストはこの三つの人種が溶け合うような素敵な演出になっています

印象的な曲が多く、ダンスも圧倒的。コールハウスのパートナー、サラを演じる遥海さんの美しい歌声がとても印象的でした。

一幕、よーく見ていないとわからなくなる早い進行。何回か観るとわかってくるかな。一回しかいけないけど

「ぴあ」と「おけぴ」の貸切公演だったため、カーテンコールでは安蘭さん、井上くん、石丸さんからご挨拶がありました。石丸さんは25年前に本場アメリカでこの公演を観た際、カーテンコールで白人、黒人、移民、黄色人種が入り交じる客席からわれんばかりの声援と拍手を目撃されたそうです。人種のるつぼ。まさにストレートに人々の胸を衝いたということですね。


ひげよ、さらば@PARCO劇場I列センター

2023-09-23 19:07:41 | 観劇/コンサート

原作:上野 瞭「ひげよ、さらば」(初版1982年理論社より出版)

脚本・演出:蓬莱竜太

音楽:稲本 響

出演:
中島裕翔 柄本時生 音月桂 忍成修吾 石田佳央 一ノ瀬ワタル 屋比久知奈

江原パジャマ 小口隼也 田原靖子 月那春陽 益田恭平 松田佳央理
中村梅雀

<あらすじ>
峠に住む野良猫たち、しかしその峠は野良犬たちに狙われていた。
統率力を持って動く犬たちに、勝手気ままに暮らす猫たちが住む峠が支配されるのは時間の問題であった。
そして、猫の「片目」は一匹だけそんな状況に危機感を持っていた。
 
ある時、峠に記憶を無くした猫が辿り着いてくる。
名前は「ヨゴロウザ」。
自分の名前しか覚えていない。
名前からして飼い猫であったことは推察されるがそれ以外のことは何も覚えていなかった。
「片目」は「ヨゴロウザ」と出会い、野良犬たちと対抗する組織を作るために
「ヨゴロウザ」を峠のリーダーに担ぎ上げようとする。
 
「片目」は「ヨゴロウザ」のことが気に入り、「ヨゴロウザ」は「片目」を慕った。
「片目」は「ヨゴロウザ」に峠での生き方、戦い方など色々なことを教えていく。
そして、リーダーに求められること、それぞれの猫たちの性格、犬の怖さなど・・・
頑なな心を持った峠の猫たちも、リーダーシップを発揮していく「ヨゴロウザ」に対して徐々に心を開いていく。
 
ヨゴロウザと片目が様々な試練を経て、たどり着く道とは・・・


「ひげよ、さらば」といえば、かなり昔にNHKの人形劇番組でやっていたような記憶がありますが、猫のビジュアルがいまいち好みではなかったせいかほとんどみていませんでした。なので、まったく予備知識なく、キャッツの日本版みたいな感じかなあ。。蓬莱隆太さんの演出も楽しみ~くらいの感じで渋谷へ。

・・・・良い意味で裏切られました

もう、開幕直後からぐわっと来てしまうハードな衝撃。こここれって、児童文学じゃなかったけ?「ナミダ」という名の猫が・・猫が・・犬に襲われて命を・・・その描写のリアルさに、思わず涙腺決壊その「ナミダ」が横たわり、朽ちていった同じ場所に横たわる、記憶をなくした猫のヨゴロウザが。

そこから繰り広げられる物語は、侵略と抵抗、団結、裏切り、恐怖支配、復讐、薬物依存にサバイバルに無理心中・・・ めちゃくちゃハードな生存競争なのでした。

主演のヨゴロウザは、最近推しの中島裕翔さん。思い返せばこの方の舞台「ピーターパン」はものすごーく楽しみにしていたにもかかわらず公演中止で観られなかったような。今回初主演なのですね。テレビドラマでも真面目な好青年の役が多い中島さんですが、無垢で弱々しい元飼い猫のヨゴロウザが、過酷な環境の中でどんどん逞しく鋭くなっていくさまが凄かったです。

暗い秘密を抱えながらヨゴロウザをある意味導いていく「片目」柄本時生さん、凄い。何気なく毛繕いする様子、干物を食べている様子、階段を上り下りする様など、猫の動きそのものでした

ミュージカル界からは屋比久知奈さん。歌います。動きがなめらかで、雄猫たちを魅惑しまくる色っぽい雌猫、その名も「星からきた猫」

猫たちの丘を侵略し、喰い荒そうとする犬たちとの壮絶な戦いを見るにつけ、外猫たちの過酷さを思いました。そして、ヨゴロウザが何故記憶をなくしたかという理由にも涙 生きたかったんだよね。

休憩をはさみ2時間50分、息をのみながらの観劇となりました。観てよかった。過酷なラストとは対照的な笑顔のカーテンコールに、ちょっとほっとしました。

それにしても、片目の言った言葉「おまえ、飼い猫だったのか。もしかして、キャットフード食べたことあるのかめちゃくちゃうまいんだろ?俺なんかたまたま見つけた缶詰のフタを舐めたことあるけど、この世のものと思えないくらいうまかった」に、なんか泣けてしまいました

 


2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星』@Theatre Milano-Za1階L列センター

2023-09-21 21:51:39 | 観劇/コンサート

作:中島かずき

演出:いのうえひでのり

出演:古田新太 早乙女太一 早乙女友貴 久保史緒里 高田聖子 粟根まこと 山本千尋/池田成志 ほか

企画&製作:ヴィレッヂ 劇団☆新感線

あらすじ∶
元禄、大江戸八百八町――。

口入れ屋の藤壺屋主人・半兵衛(古田新太)は、裏で世のため人のため、悪党を始末する〝引導屋〟の元締めとして知られている。だが、実のところは顔の怖さを買われただけの、気弱で温厚、虫も殺せぬ置きもの。表も裏も、真の元締めは女房のお伊勢なのだった。

あるとき、金さえ積めば誰彼かまわず斬り殺す〝狂犬〟こと、はぐれ殺し屋の宵闇銀次(早乙女太一)が現れる。引導屋を潰し、裏稼業の独占を目論む黒刃組に依頼され、半兵衛を待ち伏せして斬ろうとする銀次。だがその瞬間、天號星の災いか、二人を雷が直撃! 半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。

そこへ銀次を追って上州から人斬り朝吉(早乙女友貴)がやってくる。朝吉は「銀次の首は自分がもらう」と言い始め、銀次の身体に入った半兵衛は、命からがら逃げ出すはめに。

一方、半兵衛の身体に入ったものの、引導屋の主人とは名ばかりと知って失望する銀次。だが自らの野望を叶えるため、この身体を利用することを思いつく……。

天號星に翻弄されながら、己を生きようとする二人。その運命が交差する先にあるのは果たして――!


いやー面白かった〜スカっとした〜

このところの暑さに負けて予習もせず、大好きな新感線舞台なのにチケット発券も当日なら劇場の場所も当日検索するというていたらく

新劇場Theatre Milano-Zaは、あの新宿ミラノ座跡地だし、西武新宿駅から徒歩1分とのことでナメてましたが、西武新宿駅を降りた途端、いつもの歌舞伎町の猥雑な感じの中にどどーんと立ち上がった東急歌舞伎町タワーにはちょっとびっくりでした。最後にミラノ座で観た映画はSNOW WHITEだったかな。

さて『天號星』。最初のシーンに登場する引導屋の娘、いぶきさんの殺陣、動きがあまりにも美しく、だだだだれこんな人、新感線にいたっけか?と思ったら、鎌倉殿の十三人で善児さんの弟子?トウさんだったあの方でした!中国武術を3歳から習い、世界ジュニア武術選手権の金メダリストですって美人だし、これからもひっぱりだこじゃないですかね。このいぶきさんと早乙女太一・友貴 兄弟の殺陣が本当に舞うように美しく、それを見ているだけでもうおなかいっぱいになるほどです。

入れ替わりの話なので、半兵衛にの中に入っちゃった銀次、銀次の中に入っちゃった半兵衛がそれぞれの動きをするわけですが、これがまたほんとにすごい。最初はなんとなく慣れなくてぎこちない感じが、それぞれの感情の変化につれてどんどん変化していくのです。どこがどのようにと説明できないのがもどかしいのですが、何回か(ある人物の意識のあり方によって入れ替わったり戻ったりします)変わる中の人物が、客席からもわかる。「あー今は本物の半兵衛だとか、今は銀次が入っちゃった半兵衛だ。。とか。」そこがすごいなあと思います。

脇を固める成志さんも粟根さんも高田聖子姐さんも中谷さんも河野さんもちゃんとポジション守ってるし、ほんと新感線すごい。スペシャルなチャンバラは文句なく楽しくかっこよく大満足で歌舞伎町タワーを後にしました。10月にライブビューイングがあるそうですよ。行っちゃうかな

 


リーディングドラマ「終わった人」@草月ホール1階G列センター

2023-09-03 22:44:42 | 観劇/コンサート

原作 内舘牧子

出演 中井貴一 キムラ緑子

あらすじ

快調に突っ走った田代壮介の人生は、50歳に差し掛かったところで急ブレーキ。いきなり窓際にとばされ、そのまま定年退職。

毎日が大型連休、何もやることがない。退屈で死にそうだ。妻と娘は「恋でもしたら?」とけしかける。

惑い、あがき続ける壮介だったが、ある人物との出会いによって彼の運命の歯車が回りだす―—


テレビでは舘ひろしさんが演じたこの作品。面白かったので原作も読んでみました。地方の進学校から東大法学部を卒業し、メガバンクに入行した超エリートという設定は普通とはいえませんが、定年したおじさんたちの「あるある」がいっぱい

定年後のお約束、スポーツジムで次のステップを見つけるわけですが、そううまい話ばかりなはずはなく、落とし穴に落っこちます。肝心なのはそうなったあとどうするか。。。ですよね

中井貴一さんはエリート街道まっしぐらで、転落してもなお誠実にことを収める主人公にぴったり。キムラ緑子さんは妻のほかにも娘さんや愛人(?)など、何役もこなします。お二人とも滑舌良く表情も豊かで、台本を持っているのを忘れるほどでした。

最後はやっぱり夫婦の愛が全てを包むってことですかね