pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

2011年舞台めぐり総括

2011-12-31 22:31:32 | 私の好きなもの

大晦日ということで、大掃除もおせち料理もなんとか間に合い、紅白はあんまり興味なしなので、日記を見直して今年の舞台めぐり総括を試みました。

ストレートプレイ・・・24
ミュージカル・・・・・15
落語・・・・・・・・・・・32
コンサート・・・・・・・8
映画・・・・・・・・・・15

と、いうわけで今年は観劇と落語が半々に近い感じの一年でした。(3月の震災後、中止になったり余震が怖くて行かなかった落語会が3つありました。)どの舞台もそれぞれの感動がありましたが、私なりにジャンル別にBESTー1を決めてみました。

【ストレートプレイ】串田和美演出「十二夜」 
1月の公演だったのに、いまだにあの舞台を思うとうっとりします。

【ミュージカル】「ダンス・オブ・ヴァンパイア」
今年は新作もいくつかありましたが、心の底からわくわくして何度も通いたくなったのはやはりこの作品でした。

【落語】SWAでの喬太郎「任侠流山動物園」
三遊亭白鳥作。こんな楽しい落語はあとにも先にもないでしょう!SWAの解散は本当に残念です!

【コンサート】「ミュージカル・ガラコンサート」今井さん、シルビアさん、柳瀬さんの素敵な歌声にうっとりでした

【映画】「英国王のスピーチ」と「猿の惑星 創世記」が甲乙つけがたかったです。

この他に「レ・ミゼラブル」と「オペラ座の怪人」のそれぞれの海外版記念コンサートも印象的でした。

ブログにはアップしませんでしたが、今年は仕事で落語家さんと交渉して落語会を開くという貴重な経験もさせてもらい、無名でも頑張っている落語家さんたちのご苦労もちょっとだけ垣間見ることができました。

あとわずかで今年も終わります。大晦日にこんな風にゆっくりと一年を振り返ることができる幸せがいつまでも続きますように。震災で苦労されている方々に、一日も早く平穏な時が訪れますように。みなさま、良いお年をお迎えください。

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90ミニッツ@PARCO劇場B列下手

2011-12-30 23:28:35 | 観劇/コンサート

作・演出:三谷幸喜
出演:西村雅彦 近藤芳正

【あらすじ】  
交通事故で重症を負った9歳の男の子が病院に運ばれた。整形外科副部長(西村雅彦)は、父親(近藤芳正)に手術の説明をする。少年の父親は、輸血を拒否。父子の住む地域の風習で輸血は認められていないと言うのがその理由。手術をしなければ、少年は危ない。残された時間は90分。副部長の必死の説得は少年の父親の意思を変えることは出来るのか?


ネタバレ満載(東京公演が追加になったそうなので、これからご覧になる方は読まないでください。)

 

テーマは「倫理」。笑いを封印したというこの舞台は、明らかにかつて実際にあったあの宗教絡みの一件が元になっている。

当時のそのニュースは今考えただけでも吐き気がするような出来事で、確かドラマにもなったんじゃなかったかなあ。命と信仰や信念、どっちが大事か。ただし、この作品の一番気持ちが悪いところは、瀕死の子供が「生きたい」あるいは「死にたくない」と言っていることがわかっている時点でもなお、妻の言い分や地域の因習に抵抗できないことを言葉のあやをもって正当化しようとする父親の態度でした。この場面では、本当に心の底から嫌悪を感じました。三谷作品の喜劇性を期待してこの劇場に来た人も多いのか、ちょっとした場面(両者のエゴのぶつけ合いが空回りするところとか)で笑いが起きていましたが、私にはそれが理解できませんでした。結果はまあ、良い方に転がったにしても、あの父親は許せない。一番大事な決断を他人にさせたくせに「あと3分そのままだったら承諾書にサインしてた」と、ぬけぬけと言う厚顔。信じられない。

・・・・ストーリーはそんなでしたが、二人の演技はものすごかったです。西村雅彦さんの舞台はたぶん初めて観たかと思いますが、ドラマや映画と全然違う。ご本人が意識してなのかどうかわかりませんが、完璧な母音法による台詞まわし。まるで日下武史さんを見ているようでした。近藤さんも、エゴ丸出しの父親をリアルに演じ、本物のモンスター・ペアレントのようでした。「90ミニッツ」は息子の命の尽きることが予想されるまでの時間のことです。舞台もきっかり90分。帰り道、助かった息子とその両親は、これからどういう人生を歩むのかなあと思いをはせました。今年最後の観劇は、今年を象徴する「心の重い」作品になりました。

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がんばれ白黒かあさん

2011-12-29 21:50:03 | 

秋ごろから公園で仔猫を連れて遊んでいた白黒ハチワレ猫かあさん。寒くなってから見かけなくなり、どうしているのか心配していましたが、久しぶりに会えました。陽射しの暖かい道路用地の柵の中、誰も入っていかれない場所でぐーっと伸びをしたり、アスファルトの上でごろんごろんと転がったりしていました。

「久しぶり!」と声をかけると、「にゃーーーっ」と、寄ってきました。写真とらせてね、と携帯を向けたら、ちょっと横むいてしまいましたが、チャメよりふたまわりほど大きい巨猫肝っ玉かあさん。まるまるとしていて毛並みも悪くなかったので、きっと親切な誰かにごはんをいただいているのでしょう。人を怖がらないのはそんな理由なのかも。または誰かの飼い猫だったのかな。近くのアパートの庭先にも、ほかの猫が日向ぼっこをしていました。たくましい野良ちゃんたち。良いお正月が迎えられますように。

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GOLD「カミーユとロダン」@シアタークリエ3列センター

2011-12-28 23:34:58 | 観劇/コンサート

作曲◇フランク・ワイルドホーン

脚本・作詞◇ナン・ナイン

訳詞◇森雪之丞

上演台本・演出◇白井晃

出演◇新妻聖子、石丸幹二、伊礼彼方、根岸季衣、西岡徳馬 他


イザベル・アジャーニの映画でも激しく描かれていたロダンとその弟子で愛人だったカミーユ・クローデルの物語。

冒頭で年老いたロダンが亡きカミーユとの日々を回想するシーン、まだ少女のようなカミーユに石を手渡し、ガウンをそっと脱がせる場面がとてもとても印象的でした。少女の頃から粘土をこねくり回すのが大好きだった少女が、やがて石の中に鮮やかなイメージを描き生き生きとした作品を生み出すようになる。彫刻家ブーシェに認められパリに出てロダンと出会い、恋に落ちる。そしてめぐりくるドロドロの日々・・・・才能があるのに女だからと認められない。ようやくブリュッセルの個展で認められるようになったかと思ったらロダンが迎えに来て女の芸術家に無理解なパリに逆戻り。ロダンは糟糠の内妻と別れようともしないし、自分がいくら素晴らしいものを生み出しても認められないのに、カミーユが新鮮なインスピレーションを与え続けたロダンはどんどん出世していく。。。なんでよ!という感情が爆発し、次第に錯乱し、精神のバランスを崩してゆく。。。。という、ものすごいドロドロしたストーリー。

前に座っていた関西人らしき方は、幕間で「フランス人のドロドロやん・・・」ともらしていました。まさにそんな感じ。見ていて切なく重い気持ちなりました。でも、この愛憎劇で壊れていくカミーユ・クローデルを新妻聖子さんがものすごい迫力で歌い上げ、怖いほど。石丸さんもずるくてもろい老彫刻家を渋く演じて歌も素晴らしかったのですが、「カミーユとロダン」というより、「カミーユ・クローデル」のタイトルにしたほうがいいんじゃないかというくらい新妻さんが光っていました。故郷にいる頃の少女らしい目の輝き、ロダンと恋に落ちた頃の艶っぽさ、才能が認められないことへの苛立ちや芸術家ロダンへの嫉妬、狂気に堕ちて行く様・・・・もう、凄かったの一語に尽きます。特にロダンとの口論。。。あなたはなんでローズ(内妻)と別れないの私の作品のイメージを盗んだでしょう私が認められそうになると、ロダンのおかげとみんなが言う。自分の才能なのになんでなんでなんでと、答えようのないすさまじいやりとりに、ふと、夫婦喧嘩ってそんな感じだよな〜と思ったりして。憎い、恋しい、憎い、恋しい、めぐりめぐって、今は恋しい〜という八代亜紀さんの演歌が浮かんでしまいましたよ。

カミーユ・クローデルという人は精神を病んで修道院で一生を過ごし、一歩も外へ出ることなく亡くなったと聞いて、なんとなく若くして亡くなった人なのかと思ったら、78歳と案外長生きをされたそうです。また、ロダンはカミーユが修道院に入った後、70歳を過ぎてようやくローズと正式な結婚をしたそうです。ローズが忍従の人だったかと思えばカミーユに銃口を向けたこともあったとかで、彼女もまた辛い日々を送ったんだろうなあと想像します。芸術家というのは、やはり自己中なんでしょうね。だからこそ作品に集中できるのかも。

「黄金のありかを教えるが、つかんだ黄金は君のものだ」という言葉がとても印象的。

上演中、石丸さんと新妻さんの視線の絡み合いが半端ではなく、前方席でなおそのあまりの熱さにこのふたりは素でも愛情関係になってしまうのではと心配するほど(余計なお世話)でしたが、カーテンコールの時にはもうすっかり「ドロドロのカミーユとロダン」ではなく俳優石丸幹二さんと女優新妻聖子さんに戻り、さわやかで粘り気の少しもない笑顔で並んでいらっしゃいました。役者さんて、すごいです。

余談ですが、わたし的にものすごいサプライズがありました。劇場に入って席を探している私の前にモジャモジャ茶髪長身の若い男性が歩いていました。あれアルフレートそう。浦井健治くんです。アルフのヘアはやはり地毛だったんですね。大きなマスクなれどオーラまでは消せず。そして幕間。なんと浦井くんと同じ列のセンター通路側にまたまた大きなマスクの井上芳雄くん!そしてそして、井上くんに気づいた浦井くんが通路にしゃがんでたぶんクリエのスタッフ(ネームプレート下げてました)と三人で楽しげにおしゃべりしてるではありませんか!終演後は二人仲良く下手扉から楽屋方面に行かれました。伊礼彼方くんがカミーユの弟ポールで出演していたし、エリザつながりの石丸さんや東宝仲間の聖子ちゃんもいるので、楽屋では3人ルドルフで盛り上がっただろうなあ・・・と思います。

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Merry Christmas!

2011-12-25 18:17:33 | 雑感

今年は「心の重い年」ではありますが、いつものようにクリスマスはやってきました。

ひととき、楽しい聖夜になりますように。

我が家もイブは娘たちそれぞれに友人たちと盛り上がったようなので、今夜みんなでささやかなクリスマス・ディナーを楽しみたいと思います。

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ダンス・オブ・ヴァンパイア千秋楽@帝劇2階H列センター

2011-12-24 21:35:30 | 観劇/コンサート

帝劇100周年最後の作品、ダンス・オブ・ヴァンパイア千秋楽。やっぱり見届けないと・・・・という誘惑の天使に敗北し、イブだというのに全てのしがらみをかなぐり捨てて行って参りました。クロロック城、またの名を帝劇城は、そんな腐女子でいっぱい。おかあさんだよどう見ても・・・という人もいっぱい。いいよね、夜だけちゃんとクリスマス・イブのテーブルを用意すれば。・・・と、言ってみる。

さすがにこれだけテンションの高い舞台の千秋楽とあって、役者さんたちも熱かったです。楽しいアドリブもいっぱいでした。いつも圧倒的オーラで劇場を支配する山口祐一郎閣下、いやクロロック伯爵ですが、今日はまた一段と輝きを増し、2000席を越すあの広い帝劇の2階の果てまでも風と振動を感じるほどの迫力の歌声でした。あんな人は他にはいません。。。

最近は何度もリピート観劇をするほどの情熱や元気もなくなり(それを老化という)疲れ気味ですが、この作品だけは違います。できれば定期買って通いたいほど。なんでかな〜と考えてみました。・・・この作品て、ものすごくかっこいい正義の味方が出てくるわけでもなく、悲劇のヒロインがいるわけでもない。一番かっこいいのは悪役の吸血鬼クロロック伯爵。勧善懲悪でもなければハッピーエンドでもない。信頼できそうな教授は実は「感情なんてつまらん!」という超理系の人。なにせヒヨコのようにぴったり寄り添って自分を頼りきっている助手を吸血鬼の餌食にして研究材料にするという恐ろしいオチですから。

バンパイアたちは高貴にして邪悪、上品にして下劣。そのギャップがなんとも魅力的です。「神は死んだ」と美しく気高く嘆き歌い上げたかと思ったら「吸いつくせ〜」と襲いかかる。なんでもアリ。最後はみんなヴァンパイアになっちゃったよ!みんなで踊っちまおう!という超祝祭的空間。まるで乱痴気騒ぎの神デュオニソスが舞い降りてきたみたいなあの感じがたまらなく心を開放してくれるんですね。「たっぷり血を吸えヴァンパイア!モラルもルールもまっぴら!」と。そうだそうだ!と元気になっちゃう。

カーテンコールのご挨拶で、浦井くんの「天皇陛下も『心の重い年』とおっしゃっていましたが・・」を受け、石川教授が「この作品は、心の闇を吹き飛ばすような力がある」というようなことを言っていたのがとても印象的でした。元気もらったので、明日からまた頑張れます!

ダンスだけでももう一回観たいです!

ミュージカル『ダンスオブヴァンパイア』12月24日千穐楽カーテンコール

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立川志らく独演会@よみうりホール2階右列

2011-12-23 22:42:41 | 落語・講談

年末恒例談志師匠の「芝浜」が聴けなくなり、その死を悼む人たちもこの独演会のチケットを買い求め、今日のチケットは完売。ネットオークションでは3500円のチケットが数万円になっていたとか。何も知らず10月のうちに買っておいてよかったです。ロビーでは、志らく一門のお弟子さんが勢揃いでした。

幕が開くと、しばし沈黙の志らく師匠。「・・・・・期待しすぎです。」と言いつつ、やはり話題は談志師匠。弟子であるミッキー・カーチスさんと共にブルースハープで「故郷の話をしよう」を演奏し、師匠を偲んでいました。

先日ニューオータニでおこなわれた「お別れ会」の後、受付にお金(会費?)が忘れられており、その金額がなんと42万円。落語「芝浜」で魚屋が拾った財布に入っていたお金が42両。「師匠やりやがったな〜」と。

今日の落語は前座なし、仲入りをはさんで「富久」と「芝浜」。どちらも大ネタで、通常、しゃぶしゃぶとステーキを一緒に食べるようなこういう構成はありえないんだそうですが、そういう意味でも志らくファンにとっても、談志ファンにとっても、今日は特別な会だったのでしょうね。どちらの噺も「渾身」という言葉がぴたりとはまるものでした。

きっと今日は談志が降りてくる・・・との言葉どおり、「芝浜」で、おかみさんがお正月には亭主に大好きなお酒を飲ませてあげようと、真実を打ち明けたときのしぐさ、熱さが、テレビで見た談志師匠のそれとぴったり重なりました。私は談志ファンではなく、あくまで志らくファンとしてここにいるのに、なぜか涙がこぼれてしまいました。

志らく師匠。心の底から談志師匠が大好きだったということがびしばし伝わる落語会でした。

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ダンスオブヴァンパイア@帝国劇場1階S列センター

2011-12-21 22:04:14 | 観劇/コンサート

もうおしまいにしようと思ったのですが、chat noirお姉さまの「行きましょうよ!」という甘いささやきに導かれ、3たびのクロロック城参り。尽きない欲望のままに伯爵様の夜の舞踏会へ行ってまいりました。

いや、参りました。一階前方席や二階席では味わうことのないおいしい体験。S列は後方なれど、前は通路で役者さんが走り抜ける走り抜ける。客席上手扉から入ってくる雪まみれのアルフレートも、サラとアルフが気持ちよくデュエットしている間に音もなく後方扉から闇の中を舞台に向かい、歌い終えて下手通路から帰ってくる伯爵様も、赤いブーツを抱えて忍び寄るクコールさんも、歌いながら客席にさまよう怪しいヴァンパイアたちも、通路でもめるプロフェッサーとアルフも、墓場から蘇ったご先祖様たちもつぶさに目撃し、感じることができる好ポジション。A席おそるべし。

初演から何度観たかわからないこの舞台ですが、体中で楽しさを感じられました。好きだわ〜この作品。

今回はよくお祭りで売っているサイリウムの棒が配られ、カーテンコールでみんなで踊りながら振りました。きれい!ノリノリの伯爵様は、最後、頭にサイリウムを繋ぎ合わせたものを頭にかぶって登場!どこまでもサービス精神旺盛な祐一郎伯爵様。

幕間のクコール劇場では「終りのない音楽」のメロディーが流れたと思ったら、いきなりナンネールになったりアマデ(ヴォルフ?)になるクコール。最後は「このままのクコールを愛してほ〜し〜い〜」と、美声を響かせでいました。山崎くんがちょこっと登場して「・・・やるじゃん」とつぶやいて消えて行きました。

本当に本当に素敵な舞台そして今回もダンサー・東山竜彦さんにロック・オンでした。なんて素敵

24日の千秋楽をねらってますが・・・無理ですよね〜

・・・・・・というのは昨夜のご報告。話は変わりますが、あの「家族ゲーム」の森田芳光監督が61歳の若さでお亡くなりになったんですね。驚きました。ご冥福をお祈りいたします。

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柳家三三で北村薫。<円紫さんと私>シリーズより「空飛ぶ馬」@草月ホール1階SC列

2011-12-17 23:46:21 | 落語・講談

悪友うさぎさんから北村薫作品を勧められたのは12年ほど前。「スキップ」のドラマで松坂慶子さんが植木等の格好してたのもそのころかと。面白くて、次から次へと読んだなあ・・・中学時代から北村薫ファンだったという柳家三三さんは、北村作品に登場する謎解きの名人、噺家・春桜亭円紫さんのイメージにぴたりです。

客席が暗くなると舞台に黒いスーツに黒いシャツ姿のスレンダーな三三さん登場。静かに「空飛ぶ馬」を語り始めました。きっちりと。ドラマチックに。朗読劇というのはよくあるけれど、一つの小説を本もなく語るというのは相当大変な作業だと思いますが、三三さんの語りのむこうには、北村薫の世界がくっきりと。やっぱりすごいです。

作品の中に出てくる円紫さんの人情噺「三味線栗毛」の場面では、きちんと紋付袴に着替える三三さん。作品どおり、三味線の音色についてのマクラから。ここで、噺家さんの出囃子、どなたかリクエストありますか〜と投げると、客席からは「桃月庵白酒さん!」と声がかかりました。三味線のお師匠さん、白酒さんの出囃子をしっかり弾きこんでいました。「三味線栗毛」は、よく喬太郎さんが演じる「錦木検校」のオチを少し変えた噺でした。盲人で按摩の錦木が大名の次男に施術するうち「将来は大名になる骨格」と言い当てます。次男である武士は「もしそれが実現したら、お前を盲人の最高位『検校』にしてやる」と約束する噺です。オチが優しく、なごやかな気持ちになれました。

10分間の休憩後は、再び洋装の三三さんが物語の後半を語ります。最後の「今夜は丁寧に髪を洗おう。いよいよ数を増す白銀の天の使いに、私はそっと呼び掛けた。ーそれまでは雪よ、私の髪を飾れ。」で、じーんとしました。なんかこう、ラジオドラマを聞いたあとのあの充実感。(これはアフタートークで作者もおっしゃっていました。)いいですね。。。。

トークでは、北村薫さん登場。お写真では見たことがありますが、本当ににこやかでおっとりした紳士でした。それでいてなかなかおちゃめなのは、あの作風どおり。落語への造詣も深く、喬太郎さんのBS11「喬太郎の粋ダネ!」からの話題が多かったです。オチのつけかた、噺の仕方で落語の雰囲気がガラリと変わるという話に、三三さんも深く頷いておられました。

この「空飛ぶ馬」に続き、来年5・6・7月には「夜の蝉」シリーズがあるそうです。通し券もあるようなので、チェックしなくちゃね。

3月の震災直後、この会のチケットを手放したことを思い出しました。あれから9ヶ月。何事もなくホールに出かけられる幸せをかみしめました。

 

 

 

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その妹@シアタートラムL列センター

2011-12-16 23:13:09 | 観劇/コンサート

[作] 武者小路実篤
[演出] 河原雅彦

[出演] 市川亀治郎/蒼井優/秋山菜津子/段田安則/
      鈴木浩介/水野あや/内田亜希子/西尾まり

[あらすじ]
将来を嘱望されながら、戦争で失明してしまった画家・広次。その芸術的才能を信じる妹・静子は、目となり杖となって盲目の兄に寄り添う。絶望の淵から文学の世界に新たな希望を見出した兄と、その大成を願う美しき妹。しかし、共に苦難の道を歩もうとする二人の前に、残酷な現実と世間の思惑が立ちはだかる。人が人を思うことの美しさと哀しみを宿した兄と妹の運命に、武者小路実篤が託した思い……。(公式HP)


久しぶりのシアタートラム。本当にこの劇場は見やすいです。今回最後列でしたがオペラなしでも大丈夫でした。

さて、この舞台。武者小路実篤さんはバリバリ華族出身ということで、私にはとても信じがたい世界観に貫かれていました。
階級がはっきりとしていたこの時代、「親の残した資産のみで生計を維持し、働くことを前提としない生活をする人たちがいた。」ということを頭に入れておかないと、理解に苦しんんでしまいます。漱石言うところの「高等遊民」もそうでしょうか。

そんな広次(亀治郎さん)と静子(蒼井優さん)の兄妹の物語。兄が戦争で光を失い、両親とも死別状況になって、ふたりは叔父の家に身を寄せていますが、妹が叔父の知り合いのクセのある資産家の息子に見初められ意に沿わない結婚を迫られそうになったことから、経済的な見通しもなく家を出ます。ふたりが頼ろうとする友人、西島(段田さん)もまた自力で資金を作るような感じではなく、無理しているうちに妙な感情も生まれ、妻に疑念を持たれてしまいます。そして結局生きて行くために妹自身が一番苦しい選択をするという、なんだかあんなにあがいて落ち着くところは結局そこなの・・・・という物語なのです。

この話、誰も「お金がないなら働けば」という意識を持ってないのですね。兄は失明して絵がかけなくなったら小説でなんとかなるんじゃないかと思っているし、友人・西島もお金を作る術はなく自分の本を古本屋に売るか妻の実家に頼むかしかしてないようだし。最後は結局妹が身売りみたいに嫁ぐことを決め、兄の面倒は誰がみるんだということになると、叔父の家の小間使いに頼むからだいじょぶと。

亀治郎さんも段田さんも素晴らしいし、蒼井優ちゃんもこの時代の気丈で育ちの良いお嬢様をきちんと演じて素敵なのですが、どーもこの世界観についていけない。「騒いでないで働けよ。お金ないんなら。」と、ツッコミまくっているばりばり平民の自分がいました。。。。

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ぬくぬく・・・

2011-12-13 22:20:44 | 

寒くなってきました。私も通勤にはダウン着用のこのごろ。

気になっているのは公園の猫親子です。少し前は公園の横を通ると「にゃ〜」っと寄ってきた白黒ハチワレのお母さん猫と、遠慮がちなキジトラ仔猫の姿が最近はまったく見られなくなりました。

誰かに保護されていればいいけれど。この寒空の下、野良ちゃんたちはどうやって寒さをしのいでいるのでしょうか。

寒さ対策なんてたぶん考えたこともない我が家の猫王子は、床暖房の上でぬくぬくしてます。シアワセものめ!

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ア・ラ・カルト2 役者と音楽家のいるレストラン@青山円形劇場Fブロック二列目

2011-12-09 23:54:38 | 観劇/コンサート

       

作・演出・出演◇高泉淳子     出演◇山本光洋 本多愛也 中山祐一朗

ミュージシャン/中西俊博(violin)クリス・シルバースタイン(bass)竹中俊二(guitar)林正樹(piano)
日替わりゲスト/石井一孝


今年もあとわずかとなり、暮と言えば恒例のア・ラ・カルト。最初に行ったのいつだっけ・・と遡ったら2006年12月でした。ゲストはあの時と同じ石井一孝さん。白井晃さんや陰山泰さんがいなくなって2回目ですが、高泉淳子さんと小粋なギャルソン、音楽家たちのすてきな舞台は今年も健在でした。

石井さんはショータイムで、何故か金髪のオスカルヘアで登場!クイーンを熱唱でした。

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SWAクリエイティブツアー/First Last@よみうりホール2階最前列センター

2011-12-05 23:20:58 | 落語・講談

         


先日の本多劇場があんまりにも楽しかったので、発作的に最終公演に行くことを決めてしまいました。もう、しばらくこの素敵な4人組を一度には見られなくなると思うと、なんだかさみしい・・・・(もちろん、個々の落語会はあるんだけど)


ファイナルツアー最終日とあって、今回はかなりデラックスな休憩なし2時間。2時間とは思えない充実っぷり。


退勤時に自転車の鍵をなくすというアクシデントにより、開演ぎりぎりにホールに入ると、5分前なのにもう笑いが起こっていました。舞台では喬太郎さんが言葉でいえない    音頭を熱唱中。あとからお隣りの方に聞いたら、その前も「ブルーライトヨコハマ」のメロディで「ブルーライト芝浜」を歌って踊ってた?そうです。


オープニング・トークは今までのSWAを振り返るという40分でしたが、ほとんど白鳥さんの酔っ払いネタで盛り上がっていました。
続いては彦いちさんと喬太郎さんの「別キャラ」


なんと筋肉自慢の彦いちさんは重量挙げスタイルで登場し、その格好で「芝浜」。金田一耕助スタイルの喬太郎さんは「悪魔の寝床歌」もう、面白すぎで大爆笑でした。


お次は、4人がSWAで作った新作落語で一番好きなネタを披露。白鳥さんは動物園ネタで始まったので、「任侠流山動物園」?と思ったら、パンダのカンカンを襲名したかったパンダウサギを中心とした「真夜中の解散式」白鳥さんの動物ネタ、本当に面白いです。
喬太郎さんは「ハンバーグができるまで」。別れた奥さんがハンバーグを作りに来てくれるちょっぴり切ないお話。奥さんが行ってしまってから、人参の美味しさに気づくところにホロリ。


彦いちさんはタイ人「ムアンチャイ」がボクシングのセコンドになって「頑張れ!」を連呼する「掛け声指南」。トリの昇太さんは雨乞いを生業とする一家の「空に願いを」。運動オンチの少年がリレーの選手になってしまい、運動会に雨が降るようおじいちゃん(このおじいちゃん最高!近所で「イグレシアス」と呼ばれています。何故なら、名前が「ふりお」だから。)に頼みます。おじいちゃんの指導で雨乞い修行をするうちにめきめき体力とバランス感覚をつけた少年は、リレーで一等賞に。しかし、リレーが終わっても雨乞いを頼まれたおじいちゃんは一心不乱に雨乞いを。運動会が終わり夕方になり、みんないなくなった頃に雨が・・・・「おじいちゃん、すごいね!」という少年におじいちゃんがひとこと。


「雨乞いを成功させるコツはな、雨が降るまでやめないことだよ。」


この言葉がなんだか心に残りました。4人のどの話も、別れと未来への希望と励ましが感じられて、笑いながらじーんとしてしまいました。


「古典は、一席覚えるとほめられます。でも、新作はそんなことはありません。でも、僕たちはまだまだ新作を作っていきたい。僕たちがスタンダードだと言いたい」という言葉に、4人の落語家さんたちの前向きさ、落語に対する真摯な姿勢を感じました。ものすごい拍手と手拍子で、落語にはめずらしいカーテンコールとなり、客席をバックに記念撮影までありました。


またいつか4人でやりたい。という言葉を信じて待ちつつ、この落語家さんたちについていこうと思いました。まだまだ熱がさめそうにありません。とってもさわやかな気持ちで有楽町をあとにしました。


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『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン@TOHOシネマズ六本木ヒルズ

2011-12-04 16:11:49 | 観劇/コンサート
出演:
ラミン・カリムルー(オペラ座の怪人)
シエラ・ボーゲス(クリスティーヌ)
ヘイドリー・フレイザー(ラウル・シャヌイ子爵)
セルゲイ・ポルーニン(奴隷頭(ハンニバル)/羊飼い(イル・ムート))他

オペラ座の怪人ファンなら必見!と勧められ、六本木ヒルズへ。ここでの上映も8日までなので、ぎりぎりセーフながら行ってきました。

会場は79席のプレミアスクリーン。「ゆとりのリクライニングシートに専用サイドテーブル、フットレスト完備。上映時間までは専用ラウンジでくつろげ1ドリンクサービス」とのことで、他の会場よりも1000円お高い3000円。ドリンク付きに気付かず売店で買ってしまったアイス・ウーロンを小脇に抱え、グレープフルーツジュースをチョイスしました。サイドテーブルはライトテーブルなのでここにはワインがよく似合う。私のような下戸はダサい限りです

さて、このコンサート。公演はロイヤルアルバートホールで10月1日ソワレ、10月2日マチネ、ソワレの3公演行われ、2日ソワレ公演はイギリス国内、ヨーロッパ圏、北米の映画館で生中継されたそうです。公開版はこの生中継された映像をそのまま上映しているとのこと。日本でも、こういうのぜひやってほしいです!

四季版も映画もさんざん観てはいますが、これはすごい!ハンニバルのシーンでは、ムチを持ったスレイブ・マスターのセルゲイ・ポルーニンがめちゃくちゃ素敵でした。この方はロイヤル・バレエのプリンシパルに史上最年少で昇格したダンサーだそうです。ムキムキなのに優雅で、釘づけになりました。

どの場面もどのキャストも本当に素晴らしかったのですが、何といってもファントムの迫力と色っぽさが半端ではなく、四季版の格調高くあくまで上品な演出と比べ、なんと官能的な作品なんだろう・・・とあらためてびっくり。映画版もエロかったけど、それ以上。何といっても舞台をそのまま映してこの迫力というのがすごい。テレビの舞台中継などはどんなに良い作品でも印象が変わってしまいますから、この舞台がいかにものすごかったかわかります。7000人のホールの熱狂が伝わるようです。

本編もすごかったのですが、カーテンコールがまたすごい。歴代ファントムに作曲のアンドリュー・ロイド・ウェーバー、キャメロン・マッキントッシュ、そして彼に「僕のエンジェル・オブ・ミュージック!」と紹介されちゃったサラ・ブライトマン、ロンドン初演キャストのマイケル・クロフォード

歴代ファントムとブライトマンの“The Phantom of the Opera”はとにかく圧巻。白髪の老人と思っていた方が朗々と歌い上げるその艶のある歌声に本当に鳥肌が立ちました。そしてブライトマン退場後の“Music of the Nightも絶品

もう、うっとりな3時間。休憩なしでもお尻が痛くならなかったのは、ひとえにプレミア・シートのおかげかと。

 でも、あきらかに1幕終わりのところで(フィルム?)切り替わってるんだから、 休憩入れればいいのに。2幕“Entra'acte”の前にトイレに立った人が多かったので、人ごとながらマスカレードに間に合うかドキドキしてしまいました。

終演後、「こんなにすごいの観ちゃったら、四季観てどう感じるか心配になっちゃうわよね〜」というささやき声が聞こえました。

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ダンスオブヴァンパイア@帝劇2階D列下手

2011-12-03 23:11:26 | 観劇/コンサート

 

今夜は娘2人と一緒に帝劇へ。長女は再演ではまり、次女は初めてですが、エリザベートやモーツァルト!は体験済なので、2人とも他の約束をキャンセルして今日を楽しみにしていたようです。残念ながら2階席でしたが、全体が見渡せて、ダンスや照明もとても綺麗に見えました。

また、今日からはなぜかカーテンコール用(?)にヴァンパイアハンカチを配っていました。ちょっと得した気分。加えて1階のクリスマスツリーの横には伯爵様に食いつかれるサラの等身大パネル。サラの顔は丸く抜いてあって後ろから顔が入れられる、ほら、あの観光地によくあるパネルが設置されていました。みんながその前で写真をパチパチとっているので、そこに顔を突っ込むのは勇気がいるのか、顔参加の人は少なかったようです。この写真では男性が顔をいれてましたが、角度が微妙なのは照れかもね。

2階席はひんぱんにある1階の通路使いがほとんど見えないうえに、なんだか一階前方で見るよりも舞台上が全体的に暗く感じるのでさみしいですが、カーテンコールでは、舞台から東山さんが消えたなあと思ったら、2階の私たちの目の前に来てくれて、ヴァンパイアハンカチを広げてカテコダンスの振りをリードしてくれました。これだけでもう、本当におなかいっぱいなくらい嬉しかったです娘たちも大満足の一夜でした。帰りのロビーでは、クコール・駒田さんが募金箱の横に立ってみなさんと握手をしていました。そうそう、幕間のクコール劇場では、ヘルベルト・馬場さんがグラサンにコウモリ傘姿ですーっと登場。クコールがお掃除したあとに、また紙吹雪をぶんまいて袖にはけていきました。「あれで出てくる時は結構緊張してたんですよ」と、バクロされてました。

 

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