ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ストローブ=ユイレ

2006年12月14日 | 映画


映画少年Yが、ブレッソンの「シネマトグラフ覚書」
(先日、アマゾンで買ってくれと頼まれていた)を取
りに来た。
この本は、ブレッソンが映画について感じたことを、
その都度メモしたのではないか、と思われるような、
正に覚書で、ブレッソン映画の真髄がよく分かる本。
しかし、残念ながら絶版で、今回も結局古本でしか購
入できなかった。

そして、先日観てきたストローブ=ユイレのことを話
すと、Yも行って来たというではないか。

「で、どうだった?」(私)
「あれが...映画ですか」(Y)
「なに観たの?」(私)
「「労働者たち、農民たち」です」(Y)
「どういう映画だった?」(私)
「普通の山のどこかで、人が出てきて、延々と会話す
るというものでした」(Y)
「その会話も、詩の朗読みたいな?」(私)
「そうそう」(Y)
「基本的にはこちらが観た「あの彼らの出会い」と同
じだね」(私)
「しゃべり方は棒読みに近いし、物語性はないし、そ
んな状態が一時間以上続くんですよ」(Y)
「こちらが観たのは、五章に分かれて、一章十五分ほ
どだからその分辛さはないかもね」(私)
「いやー、参りました。ガルレの後だから余計に感じ
たかもしれないですが」(Y)
「ちょっと連荘で観るのはどうかな、大体ガルレの後
にストローブ=ユイレなんて人いないよ」(私)
「すいません、貧乏性なもので、ついつい東京に行く
と詰め込みたくなっちゃうんですよ」(Y)
「ある種の強迫観念みたいなものかもよ」(私)
「重々承知之介」(Y)

「じゃあ結局、ストローブ=ユイレはYとしては駄目
か?」(私)
「いやっ、そうとも言えないんです」(Y)
「だって、辛かったんだろう?」(私)
「そうなんですが、そればっかりでは...」(Y)
「これが映画か?と疑問を持ちつつ不思議な魅力を感
じてしまう僕、ってところか?」(私)
「そんなところです」(Y)
「会話の内容は分からないが、独特なリズムが、ちょ
っと強調された鳥の鳴き声川のせせらぎと同調し、い
つしか映画の魔力に引っ張り込まれる僕、ってところ
か?」(私)
「そんなところです」(Y)
「その魔力で寝ちゃったわけね」(私)
「まあ、それは...」(Y)

ストローブ=ユイレ、なかなかすんなり結論できない、
不思議な映画を撮る監督であることだけは現時点で分
かった、が、お互いまだまだですな。

補足
最近、旦那の方のダニエル.ユイレが死去。
つまり、結果的に遺作を観たことになる。
これも何かの縁だろうか。
な、わけないか。
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