ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

蓼科散歩3

2007年03月31日 | Weblog
蓼科のような、自然の中を散歩すると(昔を知ってい
ると全然物足りないのだが)、いろんな感覚が刺激さ
れることを感じることがある。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、など。
こういうのが、世に言うところの散歩の効能だろうか。
知らず知らずの内に、脳が活性化すると。

たとえば、目を閉じ聴覚のみに集中したとする。
普段は意識しない、いろんな音が聞こえる。
自然の中は、実に音に溢れている。
しかもそれらの音は、決して騒音という耳障りなもの
ではない。
風が梢を揺らす音、遠くに川のせせらぎ、小鳥の鳴き
声、絶えず何かが聞こえている。
正に環境音楽の世界だ。

徐々に脳がほぐれてきた時、思索に耽る。
夢想が夢想を呼ぶ。
想像力は無限。
そん瞬間が突然訪れる。
想像が跳躍し、制御不能。
時には、脳が溶け出し、存在そのものが無化され、自
然の中に消えていく感覚。
自然と一体化。

って、訳の分からないことを書いているが、実際は夢
想というより妄想かもしれない。
妄想が妄想を呼び、肥大化すると、単なる誇大妄想。
それが想像なら、誇大想像とはならない。
想像の飛翔とか、なんとなく肯定的な表現となる。
その差はどこにあるのか。
何らかの欲が入ると妄想、そうでなければ想像、その
中間が夢想。
違うな、想像には全てが含まれる。
全体が想像で、その中に夢想、妄想が含まれる。
ということは、想像が肯定的に捉えられる時は、予め
妄想が除外されているということか。
つまり、「予め除外された想像」は美しいということ
なのだ。

と、どうでも良いことを考えながら散歩するというの
も、散歩の楽しみ。
なわけないか。
むしろ、何も考えずに、いろいろ観察するのが面白い。
或いは、自然の中では「ルソー」。
街の中では「永井荷風」。
なったつもりの散歩、これかな、極意は。
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蓼科散歩2

2007年03月30日 | Weblog
お腹も満たし、いよいよ散歩の開始。
まずは下りなのだが、ゆるい階段状のその道は、北側
でもあり踏み固められた状態の雪が残っている。
つまり、滑りやすく、歩き辛いということだ。
脇の、踏み固められて無いところをゆっくりと歩く。
誰でも同じようなことを考えるのだろう、そこを歩い
た人の足跡が残っている。
その道を下ると、今度は、一気に上りとなる。
上りは、いま下ったところとは違い、かなり急な坂道
だ。
その分距離は短いのだが(つまり谷状の地形を下って
上るということ)、いきなり足にきてしまった。
如何に、ここのところ鍛えられてないか。
非常に情けない。
別に、本格的登山をしているわけではないのだ。
本格的散歩だ(いや、慣らし散歩だ)、いましている
のは。

というわけで、何とかのぼり、上の道に出た。
ここは舗装道路で、格別、気持ちの良い道ではないの
だが、本格散歩道は雪が残っていて、まだその時期で
は無さそうなので、この舗装道路を歩くことにした。
しかも、距離的には、大分ショートカット気味。
実は、この後、スタッドレスをノーマルに換えなくて
はならいことを思い出したのだ。
あれも、ちょっとした労働なので、今は押さえ気味に。

この舗装道路をこのルートで歩くのは、久方の光のど
けき春の日だ。
結構、落石注意などの表示があったりで、山肌もとこ
ろどころむき出しになっていて、ちょっと危険な匂い
がする。
実際、落石の痕跡もあった。
落石防止網が、かろうじて石を堰き止めていた所を見
ると、一応役に立ってるんだ防止網も、と納得してし
まった。
でも、あれ以上の規模だと、ひとたまりもないのだろ
ね。

そして、暫く進むと、面白いものを発見した。
一見、なんでもない単なる大きな石なのだが、よく見
ると(よく見なくても)木が石の周りに絡んでいる。
更によく見ると(これは本当によく見ると)、それは
どうやら根のようだ。
つまり、木の根が、この石を支えている状態になって
いるのだ。
謂わば、天然落石防止帯。
この石だけは俺が守ってやる、という、木の強い意思
がひしひしと伝わってくる。
うん、なかなか良いものを見せてもらった。
これがあるから散歩も止められない、かな?
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蓼科散歩

2007年03月29日 | Weblog
今年は、体力再強化の年(今決めた)なので、そろそ
ろ始動しなくてはと思い、まずは散歩と、まだ部分部
分に雪が残っている蓼科に来た。
車で30分ほどのなので、普段のコースとしてもなん
ら問題ない。
この時期の蓼科は、人っ子一人いない、というのは大
袈裟だが、メインのヴィーナスラインからはずれると、
殆ど人の姿を見ることはない。
まして、散歩などしてる人間は皆無に近い。
車を適当なところに止め、舗装してない道を選んで歩
く。

その前に、腹ごしらえで、来る途中にある「レ.ポム」
というフランス料理屋に寄った。
外見、プロヴァンス風の一軒家で、中はちょっとペン
ションの食堂風といった、まあ今ひとつの内装なのだ
が、出す料理は基本を押さえたフランス料理で、ちゃ
んとしている。
決して、プロヴァンス風料理を出すわけではないが、
オーソドックスな、基本ビストロ系料理で、それより
はちょっと上品なものを食べられる。
本日のランチとして、スープに「魚介のスープ」とメ
インに「鶏のコンフィ」(いくつか選択肢はある)を
頼む。
「魚介のスープは」予想していたものより、ワイルド
で、所謂フランスのビストロに普通にある(カフェで
もいい)「スープドポワソン」で、鰯などを使った
漁師風スープ(雑魚中心)だった。
当然、癖も強く、これ以上だとちょっと、といったレ
ベルの臭さ(許容範囲の質)で、微かにサフランの匂
いがする。
要するに個性のはっきりしたスープで、こういうのは
久しぶりに味わった。
最後に飲んだ同じタイプのスープが(東京の典型的ビ
ストロ)、あまりに臭く不味かったので、今回もちょ
っとヒヤッとしたが、ルイユなども付いてそれも混ぜ
て飲んだが、充分美味しく飲むことが出来た。

そしてメインの「コンフィ」だが、これも基本的なコ
ンフィの味で、普通に美味しかった。
付け合せの「ふきのとうのフリット」(天ぷら)の苦
味が、コンフィの脂をぬぐってくれ、いいアクセント
になっていた。
個人的には、ジャガイモ中心にどかっとほしいところ
だが、この点が、ビストロよりちょっと上品と言った
所以だ。
これにデザートの「プリン」と珈琲が付いて1500
円。
充分に、価値がある。
後、自家製のパンが付くのだが、自家製を売りにして
いる店で出すのは、むしろ自家製じゃない方が良いと
思うのが多い。
ここは、その点もしっかりしていて、ちゃんとしたパ
ンを出してくれる。
変に格好をつけて、中身中途半端な店が多かったりす
るが、ここは、一見大したこと無さそうだが(気楽に
という意味で)、中身はちゃんとしている店の代表。
フランス料理の基本を知るにはうってつけの店だと思
う。
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私の名盤コレクション3

2007年03月28日 | 音楽


「そして、いよいよ最後の五枚目だ」(私)
「えっ、最後ですか」(T君)
「一応、五枚位にとどめないと、際限なくなるから」
(私)
「で、何ですか」(T君)
「<無伴奏チェロ組曲>」(私)
「いきなり、クラシックですか」(T君)
「唐突に思うかもしれないが、バッハは、自分にとっ
てはクラシックの入り口でもあるし、イーノからミニマ
ルミュージックに行くと、意外にもバッハなどのバロッ
クとの共通点があることが分かり、バロックの良さを理
解する事となったわけだ」(私)
「ロックからクラシックに到達、ですか」(T君)
「そして記念すべき、初めて自分で購入したアルバム
が<無伴奏チェロ組曲>だったというわけだ」(私)
「なるほど」(T君)
「となると、もう一つ記念すべきジャズのアルバムを入
れたくなるんだよね、マイルスの」(私)
「<Bitches brew>ですね」(T君)
「そう、ジャズというよりフュージョンの不朽の名作だ
けど」(私)
「じゃあ、六枚ということで」(T君)
「となると、女性ヴォーカルでも誰か入れたいよね」(私)
「こういうことですね、際限がなくなるというのは」(T君)
「That's right」(私)

「ということで、T君の三枚目は?」(私)
「そうですね、<ソフトマシーン><can><ジョン.ケ
イル>のどれかですね」(T君)
「<ボンゾドッグ ドゥーダーカフェ>は?」(私)
このとんでもない名前のグループは、何を隠そうT君か
ら初めて教えられたのだ。

「中々決められないですよ」(T君)
「それじゃあ今回は特別に、全部合わせてで許しましょ
う、お客さん今回だけですよ」(私)
仮想番組で何をやってるんだか。

「でも、最後の一枚は決まってます」(T君)
「何?」(私)
「ピンクフロイドの<Meddle>邦題は<おせっかい>」
(T君)
「ほー、そう来ましたか」(私)
邦題は今一だが、ブッチャーの入場曲で有名になったあ
れが入ってるアルバムだ。

「ピンクフロイドの中では、一番好きなんですよ、曲は
最後の<エコーズ>で」(T君)
「<Meddle>が一番だったとは意外だね」(私)
「<狂気>とかも良いんですけど、何故かこれなんです
よ」(T君)
個人的な思い入れは、傍からははかり知れないものがあ
る、というほどの大袈裟なことではないが、どこまでも
プログレ一筋のT君ではあるようだ。
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私の名盤コレクション2

2007年03月27日 | 音楽
「三枚目はキングクリムゾンつながりで、ロバート.フ
リップとブライアン.イーノの競演アルバム<Eveninng
star>かな」(私)
「ヴォーカル無しのあれですか」(T君)
「そうそう、この頃からヴォーカル無しでも良いと思
うようになったんだ、あれは確か、輸入レコード屋で
偶然発見して、これは掘り出し物だ、と勝手に思い興
奮して買った覚えがある」(私)
「昔の、特に輸入レコード屋はそういったお宝発見的
雰囲気ありましたよね」(T君)
「中央線沿線に、そういった店が多かった」(私)
「僕は、高円寺だったんで、よく行きました」(T君)
「おおー、純情商店街か」(私)
「そういうところではなく、もう少し裏の方ですよ」
(T君)
「こっちは、吉祥寺だね」(私)
「吉祥寺辺りも多そうですね」(T君)
「他だと、下北沢とか」(私)
「ああ、あそこもありそう」(T君)
と、街案内をしたいわけではなかった、話を戻そう。

「<Eveninng star>だけど、ロバート.フリップの独
特なギターがイーノの音に(具体的な楽器は忘れた)絡
みつき、地平線に吸い込まれていく、そんな感じかな、
言葉で表現すると」(私)
「環境音楽の誕生」(T君)
「<Ambient music>とイーノは言ってるからね」(私)
「僕はあまり聴いたこと無いですが、良いですか」(T君)
「イーノだけに、良いの」(私)
「...」(T君)

「さあ、四枚目だけど、今度はイーノのソロアルバムを
挙げたいけど、いくつかある中であえて選ぶとすると
<Thursday afternoon>かな」(私)
「どういうのですか?」(T君)
「更に、ambient色が強くなった、より退屈なミニマルミュ
ージック的音楽だよ」(私)
「そんなん、良いんですか」(T君)
「そこが良いんだよね、しかも、アルバム全体で一曲
だけ」(私)
「うわー」(T君)
「こういう音楽を聴くと、ドラマチックな音楽がうる
さく感じられるよ」(私)
「そういうもんですか」(T君)
「単調な世界に浮遊する快感」(私)
「単調な世界に立ち竦む、じゃあないんですか」(T君)
「上手いこというねえ」(私)

つづく。
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私の名盤コレクション

2007年03月26日 | 音楽


NHKFMで「私の名盤コレクション」という番組を
やっているが(今月で終わり)、多分、殆どのこれを
聞いている人は、「自分の名盤コレクション」を想像
して楽しんだ、筈だ。
私に関しては、言わずもがな。
そこでここは是非とも、プログレ仲間でもあるカフェ
のT君(ここのところやたら出番が多い)に参加して
もらわなければ、と思った。

「まず、ビートルズは外せないな、なんと言っても原
点だから」(私)
「しょうがないですよね」(T君)
「名盤は<ホワイトアルバム>で決まりだけど、その
中の一曲をということになると、<Happiness is a
warm gun>とか挙げたいところだが、ジョージハリス
ンが好きだったので<Piggies>を」(私)
「チェンバロが印象的な」(T君)
「そう、で次は、いきなりプログレでキングクリムゾ
ンの<Islands>」(私)
「もう、来ましたか」(T君)
「曲は、同名の<Islands>で」(私)
「<宮殿の>のエピタフとかムーンチャイルド他にも
良いのありますけどね」(T君)
「ああ、でもほら、基本的にへそ曲がりだから」(私)

「これで二枚だけど、T君は?」(私)
「僕も、ビートルズを挙げたいところですが矢張り<
バーズ>のどれかですかね」(T君)
「T君にとっての原点的音楽、<ポセイドンの目覚め>
的グループってとこか」(私)
「ええ、そうなんですよ、でもアルバムはなかなか絞
れないですね」(T君)
「じゃあ好きなグループ、歌手だけで良いよ」(私)
もう気分は、仮想番組作りだ。

「次は、<ドアーズ>ですね」(T君)
「おおー、来たか」(私)
年は若いのに、ドアーズなどが出てくるところが、T君
の音楽趣味の真骨頂。

「ドアーズだったら曲も決まりやすいか」(私)
「<ハートに火ををつけて>ですかね」(T君)
「こっちだったら、<Riders on the storm>かな」
(私)
「ああ、<La woman>に入ってる」(T君)
「<The end>も良いよね」(私)
「ああ、<地獄の黙示録>で始めにかかる」(T君)
「そう、でも、これじゃあT君の名盤コレクションじゃ
なくなっちゃうね」(私)
ついつい自分寄りになってきてしまった。
ここで、軌道修正。

つづく。
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フィギュア

2007年03月25日 | Weblog
昨日タイトルに「フィギュアー」と書いたが、「フィギュア」
が正解のようだ。
昔は「フィギュアースケート」といってたような気が
したが、気のせいか、というより間違って覚えていた
のだろうか、まあその辺の事情はどちらでもいい、兎に
角これからは「フィギュア」に訂正。
しかも、結果を見ると「キム.ヨナ」(この名前も昨
日から今日にかけてしっかり覚えた)が、三位ではな
いか。
解説者が前日に言っていたが、腰の具合が悪かったの
だろうか。
まさかHometownn decisionはないと思うが、実力的に
はこのキム.ヨナと自信を持った浅田の二強が、これ
からのフィギュア界を引っ張るのではないか、と思っ
ている。

とまたまた、それ程興味の無い「フィギュア」につい
て評論家面してしまったが、それより久しぶりの日本
代表戦だ。
2軍のペルー相手にどうなのかと。
ただ2軍といっても、南米チームは層が厚いので、1
軍との差はそれほどあるものではない。
スタープレイヤーがいない程度で、ディフェンスに関
しては大体しっかりしているものだ。
だから、寄せの早いディフェンスでなかなかシュート
に持っていけない。
パスも、横に回せるが、有効な縦パスが通らない。
相手の攻撃も(この点は有名選手が来てない影響がも
ろ出た)同じように今ひとつ。

このまま0対0か。
流れの中からの得点、その気配は無い。
こんな状況で中村のコーナーキックから得点。
そして、二点目も。
その二点目の得点だが、高原だったが、久しぶりにF
Wらしい姿を見た。
WCまでの高原は、全然良いと思えなかったが、ここ
にきての「フランクフルト」での活躍を見るにつけ、
やっとFWらしいFWになってきた。
昨日の得点も、難しい体勢からのシュートで、日本人
選手では久しく見られなかった良いシュートだった。
この状態なら、間違いなく日本の代表FWだ。
やはりFWはエゴイストであるべきだなの。
後は、この状態をずっと維持できるかだ。
怪我して終わり、それだけはやめてほしい。
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フィギュアー

2007年03月24日 | Weblog
リアルタイムでまず見ることは無いのだが、ニュース
で流れていたので、日本人選手と韓国人選手のダイジェ
ストを見ることとなった。
もともとこの手の競技は、印象という曖昧な要素が入
るので、すっきりとした基準で決着がつかない。
つまり、容姿という点だけでも不利有利があり、そこ
に表現力という、これまた主観的な要素が入り、芸術
性という言葉で無理やり納得させるという感がある。

しかし、今回の韓国人選手キム…は、明らかに他の日
本人選手より滑らかで、動きがある演技だった。
印象という曖昧な基準であるが、その印象でこれだけ
差を感じるのは、彼女の容姿もかなり影響しているも
のと思われる。
素材の違いは矢張り大きい。
日本人の「ミキティー」(こういうアイドル化はどう
にかならないか)などは、どうしても「硬い」という
印象を受ける。
浅田選手は、恐いもの知らずの状態から次の段階に上
手く移行できるか、というところで、迷いがあるのだ
と思う。

と、一端の評論家のごとく見てしまうのもテレビ局の
思う壺か。
他の局は他の局で、シンクロに力をいれ、メダルがど
うのと大騒ぎの態。
全く、同じような状態のテレビ局が二つ。
毎度のことではあるが、この「メダルフェチ」振りは
何とかならないか、と思っても何ともならないことは
判っている。

それより不思議に思ったのはシンクロでのソロ。
シンクロの意味から逸脱していると思うのは自分だけ
か。
どう見ても、「スイムダンス」だろう、あれは。
共時性などという意味はどうでもいい、ということな
んだね。
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トリップ2

2007年03月23日 | 食べ物


昨日のトリップ改めトリッパは、なんせ1キロほどの量
なので、とても食べきれるものではない。
そこで、何人かにおすそ分けすることにした。
概ね好評であった。
まあ、こういう場合「旨くなかった」という人もあま
りいないので、当然といえば当然だ。
自分で、店で食べたものより美味しいと思っているの
だから、それだけで充分といえば充分だ。
しかし、ここが情けないのだが、やはり周りからの評
価も少しはほしかったりする。
やはり、人間であったか。

このハチノスというのは、内臓系の中では食べやすい
ものではないかと思うが、どうなんだろう。
同じ牛の胃袋に、「ギアラ」という、まるで怪獣の名
前のような、他の胃袋の名前とは明らかに異質な名前
の胃袋があるが、一度食べたことがあるが、いやに脂
っぽく好みではなかった。
残りの「ミノ」「センマイ」はさしたる印象も無い。
煮込みには「ハチノス」が一番適しているから、つま
り旨いから、これだけポピュラー(ヨーロッパでは)
になっているのではないだろうか。

他の、内臓系では、レバーは今や普通の食材なので置
いといて、「腎臓」がなんと言っても旨い、というか
好きだ。
フランスだと「ロニョン」。
独特な味があり、鮮度が落ちると一気にアンモニア臭
がする、個性的な素材だ。
一度、そのアンモニア臭のロニョンを食べさせられた
ことがあるが(単にその店の素材が悪かったのだが)、
口の中が、アンモニア臭でいっぱいとなり、まるで.
..を飲んでるかのごとくだった覚えがある。
素材の落差が大きいのが内臓系なんだ、とその時認識
した。

そもそも初めて食べたときは、確かそれが腎臓だとは
思ってなかったような気がする。
初めてパリに行ったとき、ホテルの近くの「イタリアン」
で食べた時だ。
その店は、イタリア系の客ばかりの、日本人など一切
いない店で、突然陽気にカンツォーネなどを歌いだす
ローカル色の強い店だったと思う。
そんなところに闖入した日本人が、訳も分からず腎臓
料理を注文する。
むこうにすれば、ちょっとした珍事だったのではない
だろうか。
ところが、その腎臓が旨かった。
トマトで煮込んだものだったが、ややしっかりした味
付けのちょっと濃厚なものだったが、腎臓によく合っ
てた。
と、かすれた記憶ではそういうことになっている。

その後、フランス料理でもあることが分かったし、食
べたこと無いが、イギリス料理にもあった。
「キドニーパイ」というものが有名らしい。
しかし、どうもイギリスとなると、食指が全く反応し
ない。
偏見たっぷりのイギリス食文化観であるが、フィッシュ
アンドチップス以外に食べるもの無し、というもので
も無いのかな。
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トリップ

2007年03月22日 | 食べ物


TRIPE、牛の胃袋であるハチノス(第二胃袋)を
手に入れたので、早速(本当は冷凍庫にいつまで置い
といても、と思ったのだ)調理することにした。
店では何回か食べたことがあり、好きな食材なのだが、
自分で扱ったことは無い。
一応内臓なので、匂いもそれなりにある。
レシピを見ると、下湯でが、それら匂いを取るのに重
要らしい。

一キロほどの白ハチノス(黒と白があるらしい)をま
ず下湯でする。
二回ほど湯でこぼし、二時間ほど、匂い消しの酢など
を入れたお湯で下湯でする。
そのゆでたハチノスを、5ミリほどに切り、いよいよ
本格的な煮込みに入る。
セロリ、玉ねぎ、人参などの香味野菜を細かく切り一
緒に煮込む。
それと、インゲン豆も。
「カスレ」のイメージで、豆はどうしてもほしい。
で、普通にスーパーに売っていると思い、近くの西友
に行くと、乾燥豆は大豆と小豆ぐらいしかないではな
いか。
そこでその足で、他のローカルスーパーをあたる。
状況は同じだった。
以前は、どこのスーパーにもあったような気がしたが。
単なる気のせいか。
本当は、前から無かったのか。
いや、確か一回買ったことがある。
などと、自問自答しつつスーパーを、「インゲン豆を
求めて」彷徨う。
こんなこと、誰が想像しただろうか。
「失われた時を求めて」じゃあないんだから。
結局、後日、他のスーパーで手に入れたのだが、こち
らの想像してた普通にビニール袋に入れたものではな
く、ちゃんと小分けしたビニールにきっちりパックさ
れたもので、量も少なく求めていたものとは違うのだ
が、今回はよしとした。

そして、その豆も使い三時間以上煮込む。
レシピにはスープを使うとあったが、丁度無添加コン
ビーフ(今一旨くなかったので冷凍してあった)があっ
たので、それを細かく切りダシ代わりに使った。
最終的に豆も柔らかくなり、煮詰まってきて味を確認
すると、ややしょっぱい。
本当は、「カスレ」っぽい姿のものにしたかったのだ
が、急遽トマトを入れ、結局イタリア風になってしまっ
た。
これで、塩味はばっちり。
フランスからイタリア、トリップからトリッパにトリップ
だ...うん?
煮込み時間が長いので、ハチノスはぷりっという感触
ではなくしこしこ柔らかい状態で、個人的には好きな
味となった。
店で食べるのより旨い(何故かと言うと自分の好みの
味だから)。
これでハチノスも、晴れて、レパートリーのお仲間入
りと、相成りましたです。
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トーキングヘッズ

2007年03月21日 | 音楽


T君との会話は、まだまだ続く。
ちょうど、「トーキングヘッズ」がかかっていた。

「トーキングヘッズのリーダー誰でしたっけ」(T君)
「ええっと、あれだよ」(私)
ふと、思い出せなくなった。
最近、こういうケースがいやに多い。
ついさっきまで、覚えていたのだが。

「ブライアンでもなく...」(T君)
「そんな名前じゃあない」(私)
「なんでしたっけねえ」(T君)
「大体、T君のほうが若いんだから」(私)
一回り以上T君のほうが若いのだから、同じように瞬
間認知症になられても。
ここでしばし、話題を変える。
そして十分ほどどしたとき、神は降臨した。

「そうだ、デビッド.バーンだよ」(私)
「そうそう」(T君)
「いやー、すっきりした」(私)
「良かったどす」(T君)
「人の名前って、どういうわけか忘れ易いのってある
よね」(私)
「しょっちゅう忘れる名前、確かにあります」(T君)
「たとえば、デニス.ホッパーがそうだった」(私)
「ああ、出だしニューシネマの」(T君)
「あの<イージーライダー>の監督だけど、彼の場合
は、グラスホッパーと関連付けてから忘れないようにな
った」(私)
「バッタですか」(T君)
「兎に角、記憶を引き出すきっかけがあればというこ
とだね、グラスホッパーというラベルが、デニス.ホッ
パーの引き出しに張ってあるということかな、因みに
<イージーライダー>は今見ても、というより当時よ
り今見たほうが、良さがよく分かって良いんじゃない
かな」(私)
「そうですか、僕は<バーズ>とかが好きだったんで
かかってる音楽が印象的です」(T君)
「確かに、<ワイルドで行こう>ばかりが有名になっ
たけどそれだけじゃないものね」(私)
「監督としては他にもありますか」(T君)
「<ラストムービー>という、カルト的というか、前
衛的な映画があって、個人的には嫌いではないけど、
これがきっかけで監督のオファーは来なくなったみた
いよ」(私)
「一般的に言って、失敗映画ですか?」(T君)
「おおごけ映画だろうね、でもデニス.ホッパーが本
当に撮りたかった映画はこれか、と思ったよ」(私)
「そうなんですか」(T君)
「興味あるんだったら、一応保存版として持ってるか
ら貸すよ」(私)
「お願いします」(T君)

「話は戻るけど、よく忘れる名前、<シザーハンズ>
の監督もそうだね」(私)
「えーっと、誰でしたっけ」(T君)
「この場合、関連付けはエリザベステーラーだね」(私)
「というと」(T君)
「エリザベスべステーラー本人ではなく、だんなの名
前」(私)
「誰ですか」(T君)
「リチャード.バートン」(私)
「...」(T君)
「つまりバートンだよ」(私)
「上の名前は?」(T君)
「そこが問題なんだよ、バートンは直ぐ出るようになっ
たけど上がね、現に今も上が」(私)
どうやら、リチャード.バートンではまだ不完全のよ
うだ、うーむ。
コメント

ミツバチのささやき

2007年03月20日 | 映画


T君との会話は続く。
いつしか、映画の話に。

「この前、Aちゃんからヴィデオ借りました」(T君)
Aちゃんというのは、スノッブなM氏の弟で、M氏は
ジャズ、弟はロック野郎という、音楽にうるさい兄弟
なのだが、今回は何故か映画。

「で、中身は?」(私)
「ミツバチのささやきです」(T君)
「なんで、また?」(私)
「ちょっと、前から興味があったんです」(T君)
「それだったら保存版で持ってるのに」(私)
「ええっ、そうだったんですか」(T君)
「それと<エルスール>も」(私)
「エルスール?」(T君)
「知らなかった、同じ監督の代表作だよ」(私)
「誰でしたっけ?」(T君)
「スペインのヴィクトル.エリセ」(私)
「スペイン映画でしたか?」(T君)
「それも知らなかったの?」(私)
「まあ」(T君)
「いづれにしろ<ミツバチのささやき><エルスール>
のどちらかは、良質映画マイベストテンにノミネートし
たいくらいのものだよ」(私)
「それくらい、良い映画ということですか」(T君)
「そう」(私)
「でも、何でAちゃんが持ってたんですかね?」(T君)
「多分、無垢な少女の世界というのが琴線に触れたのだ
と思うよ」(私)
「そういえば<赤い風船>なんてのも好きでしたから
ね」(T君)
「何となく共通点は解るでしょう」(私)
「確かに」(T君)
「映画としては<ミツバチのささやき>の方が全然上だ
けどね」(私)
「というと?」(T君)
「精霊と共に生きる少女の世界、その詩情性とでも言
いますか」(私)
「流行のスピリチュアルな世界ですね」(T君)
「でも、今人気のカバトットとは比べられないよ」(私)
「胡散臭いですものね」(T君)
「そんな胡散臭い世界ではなく、心の基層に押し込ま
れた自然と一体であった世界、なんだよね描かれてい
るのは」(私)
「なるほど」(T君)
「決して守護霊の話ではないからね」(私)
「なるほど」(T君)
コメント

懐かしの味

2007年03月19日 | 食べ物


昨日の続き。

「懐かしい味と言えば、ラーメンもそうだよね」(私)
「普通の食堂で出すあのラーメン」(T君)
「しかし、その普通の食堂もないんだよね今は」(私)
「やたらと凝ったラーメン屋は多いですけどね」(T君)
「別に、凝ってもらわなくて良いんだけどラーメンは」
(私)
「何時間もかけた門外不出のスープ」(T君)
「完全に勘違いの世界だよ」(私)
「そして、行列のできるラーメン屋、絶対行きたくな
いですよ、そういう店には」(T君)
「異議なし」(私)
「普通のラーメンで良いんですよね」(T君)
「そう、それ以上を望まないのがラーメンのラーメンた
るところだと思うよ」(私)
「昔は、どこで食べても、ラーメンという共通の味が
ありましたよね」(T君)
「何故かと言うと、昔はどこでも鶏がらを使ってたか
らだと思うよ、つまり鶏がらのスープの香りイコール
ラーメンの香りだったんじゃないかな」(私)
「今は、とんこつ背脂ぐつぐつの世界ですからね」(T君)
「それを食べると決まって言うことがあるよ」(私)
「見た目よりあっさりしてますね」(T君)
「That’s right」(私)

それにしても、何故これほどまでにラーメンは偉くなっ
てしまったのだろう。
「こだわりの味」という神話に騙されてるだけにすぎな
い、と思うのだが。

「具はナルトとメンマ、それに海苔だけで良い」(私)
「チャーシューは?」(T君)
「無くても良い、それ程好きじゃないから」(私)
「値段も、500円程」(T君)
「高級食材を使えば旨いと言うものではないからね」(私)
「結局、昔のラーメンですよね」(T君)
「つまり、幻の味」(私)
「昔ながらのラーメンというのはどうですか?」(T君)
「駄目なんだよね」(私)
「どこか違うと」(T君)
「そうなんだよ、多分、昔のラーメンの体験を含めた
総体が基準になっていて、記憶の中にしか存在しない抽
象化された味になってしまっているんだよね、自分の中
のラーメンは、つまりもう世の中には存在しない味、だ
から幻の味と」(私)
「うーむ」(T君)
「別に、どうしても食べたい対象でもないから良いん
じゃないの」(私)
「そうですよね、大して好きでもないですものね」(T君)
「まあ、そういうこと」(私)
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ナポリタン

2007年03月18日 | 食べ物


最近、無性に正統派「ナポリタン」を食べたくなる。
本格的イタリアンではなく、大衆洋食屋で発展したあ
の「ナポリタン」だ。
ところが、今や、そういう「ナポリタン」を出すとこ
ろが殆ど見当たらない。
すでに、絶滅危惧種のお仲間入りか。
そんな話をカフェのT君にする。

「そう言えば、確かにないですね」(T君)
「そもそも、洋食屋というものがなくなってきたから
ね」(私)
「町の洋食屋は、ファミリーレストランが出来ると共
に消滅ですからね」(T君)
「それと共にナポリタンも」(私)
「僕もたまに食べたくなりますよ」(T君)
「でしょう?」(私)
「あのケチャップ味の」(T君)
「そう、ちょっとべちゃべちゃした」(私)
「バターで玉ねぎを炒め」(T君)
「むしろ、マーガリンだよ」(私)
「そこにハム」(T君)
「それも、プレスハムね、或いは赤いウインナー、絶対
粗挽きじゃなくて、赤いやつね」(私)
「安っぽさが良いんですよね」(T君)
「そして湯で上げではないスパゲティ、ここもポイン
トだね」(私)
「湯で置きスパゲティですね」(T君)
「そう、アルデンテなんてもってのほかだよね」(私)
「どこかないですかね」(T君)
「そう言えば昔は、純喫茶というところでも出していた
ね」(私)
「何が純だか分からないと言うあの純喫茶」(T君)
「白鳥なんて名前が多かった」(私)
「なくなりましたね、正統派純喫茶も」(T君)
「暗めで、ソファー、ゆったり出来る空間ではあった」
(私)
「入り口も暗くて、中々入り辛いのも特徴ですよね」
(T君)
「常連が、煮出し珈琲とともに長々スポーツ新聞を読
むところ」(私)
「それと、競馬の予想」(T君)

ナポリタンから純喫茶、どちらも郷愁の世界だ。
懐かしいという感情は、年とともに確かに増すもので
ある。
今、世の中には、「懐かし親父が」が蔓延しているら
しい。

「それはちょっとあれだよね」(私)
「あまりどっぷりは」(T君)
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ブランド2

2007年03月17日 | Weblog
スノッブなM氏が買ったチーズ屋の正体が判った。
「マリー.アンヌ.カンタン」という、高島屋ではな
く伊勢丹に入ってる店だった。
パリにある店で、チーズの質にこだわった評判の店ら
しい。
要するに、マリーさんが厳選した、チーズのセレクト
ショップというもののようだ。
しかし、こういう店はパリにあってこそという気がす
る。

たとえば、「ピエールエルメ」とかのパティスリーだっ
た場合は、レシピ通りに日本で作ってほぼ本店と同じ
ものが提供され、値段もかけ離れたものにはならない。
ところが、チーズの場合は、本店から輸入しなくては
ならない。
多分、パリでも、この「マリー...」は他の店より
は高いと予想される。
それが日本に来れば、ただでさえ、現地の二三倍の値
段のチーズが、更にその倍くらいのものになる。
つまり、「高級チーズショップ」というブランド的価
値を付けると、こういうことにってしまうのだ。
老舗と言われるデパートの戦術と言ってしまえばそれ
までなのだが、もし、本当にチーズが好きなのであれ
ば、わざわざ高いこういう店で買うことはしないので
はないか。
別に、チーズに高級店のブランドはいらない。
「フェルミエ」でなんの問題も無いのだ。

お金に余裕があって、どこそこの何はこの店でないと、
などと決まりのある、高級志向の人たちが使うのだろ
うが、ブランドよりは自分の基準、の私には一生縁が
無さそうである。
但し、貰う事に関しては、なんら問題は無い。
そういう時には、好奇心がむくむくと湧いてくるので
ある。
この点では、どうにも都合の良い人間であると思う。
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