軌道エレベーター派

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デブリの量が限界に

2011-09-21 18:43:51 | その他の雑記
宇宙ごみの量が限界に、飛行士や衛星に危険及ぼす可能性

 米国の学術機関である全米研究評議会(NRC)は1日、地球の軌道上にある「宇宙ごみ」の量が限界に達しており、これ以上増えれば衝突を引き起こし、宇宙飛行士や衛星に危険を及ぼすとの研究報告書を発表した。(略)現在作動中の軍事用や商業用衛星など約1000個の衛星が脅威にさらされているという。(9月2日付ロイター)


 去年、有志のロードマップ会議に出た際にもこのことが話題になって「もうデブリは限界寸前らしいよ」と言い合っていたのですが、NASAも悲鳴を上げてますね。デブリの数が限界を超えると、まるで原子炉内の核分裂反応のように、デブリ同士が衝突して新たなデブリを増やす連鎖反応に陥ると言われています。そうして増殖したデブリが雲のように地球の上空を覆い、宇宙開発が不可能になる。この現象を「ケスラーシンドローム」と呼ぶのですが、この記事にその提唱者であるケスラー氏のコメントが載ってます。省略した記事の中に「2006年12月の9949個から2011年7月は1万6094個に急増している」とあるのは、2009年のコスモス2251とイリジウム33の衝突によるものが大きいのでしょう。

 また、NASAは先日、大気観測衛星UARSが23日頃に大気圏に再突入して、破片が地上に落下すると明らかにしました。人に当たる確率が3200分の1なんだそうで。3200分の1だから何だと言いたいのでしょう?

当たったらゴメンネ!
たぶん即死だけど(ゝω・)vキャピ
by NASA ってか?

 私も日頃衛星の恩恵にどっぷり漬かって生活している身で、原罪意識をくすぐるような書き方はしたくありませんが、こうも無秩序・無責任に宇宙開発を進めてきたことを、各国とも少しは反省して欲しいものです。犬の散歩でさえ糞を飼い主が持って帰るというのに、宇宙のこの有り様は何なんでしょうか。
 宇宙損害責任条約は、宇宙開発において被害が生じた場合に加害国が補償することを定めているのですが、決まりがあるからといって逸脱行為が生じないわけではなく、あまり意味を成していません(NASAのような機関であれば、被害が出たら補償においても信頼できるかも知れませんが、個人は請求できないので、日本政府がちゃんとしてくれないといけませんね)。
 国際法について誤解されやすい点なのですが、原則として批准しなければ拘束されませんし、一般法化(批准しなくても拘束されると解釈されうる)していても、違反国への罰則がないので結局規制効果はなく、宇宙関連の国際法のほとんどが、規制面では機能していないと言っていいでしょう。このため、宇宙開発で迷惑をかけても知らん顔でいる国が多く、またどの国も叩けばホコリが出るような立場でもあるので、現実問題として、宇宙というのは無法地帯です。

 宇宙開発というのは、スペースシャトルやISSなど、ケレン味のある上っ面の「夢」ばかりを見せつけて、こうした負の面と向き合わずにきた節があります。しかし、それは私たち一般大衆の方が、見たいものしか見ようとせず、いいとこ取りしてきたせいなのかも知れません。関係者は「ケスラーシンドロームで、TVの衛星中継も天気予報もGPSもあらかたダメになるのと、多少不便でも宇宙に行けるのとどっちがいい? あなた方が決めなさい」と、たまにはズバっと選択を突きつけて、関心と世論を喚起して欲しいものです。

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