軌道エレベーター派

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太陽が二つある世界

2011-09-18 20:03:03 | その他の雑記
まるでスター・ウォーズの世界 2つの太陽持つ惑星発見

 二つの「太陽」を持つ太陽系外惑星が米航空宇宙局(NASA)のケプラー宇宙望遠鏡の観測で見つかり、論文が16日付の米科学誌サイエンスに発表される。米映画「スター・ウォーズ」の舞台の一つ、架空の惑星「タトゥイーン」を思い起こさせる発見だ。(後略。9月16日付朝日新聞朝刊)


 どのメディアも「まるでスター・ウォーズ」連呼してます。確かに、惑星上からはどんな風に見えるのか気になりますね。ただし、今回発見された「ケプラー16b」は、土星型のガスが主体の惑星だそうです。
 天体観測において、惑星自体は直接確認が困難なのですが、このケプラー16bが、地球から見て恒星の手前を通過する際、恒星の明るさが落ちるのを観測して、その存在を確認したそうです。ということは、この星系が極方向を地球に向けていたら発見できなかったかも知れませんし、そのためにまだ見つからずにいる同様の天体もきっと多いのでしょう。
 このような観測法は「トランジット観測法」と呼ばれ、ケプラー望遠鏡自体は、この手法で太陽系外惑星を発見することに特化した人工惑星なのですが、地球上でも世界中の天文台が協力して実施しています。(地球の自転のため)リレーで観測を続けたり、データを補い合ったりして、日本からも天文台が参加しています。
 望遠鏡で見ても針の先ほどの点にしか見えない遠い星でも、このように惑星の有無を知ることができる。ほかにも赤方偏移(自分から遠ざかる物体から放たれた光が届く時、ドップラー効果によってその光の波長が赤の方向にズレる現象)によって遠ざかるベクトルや自転の方向がわかり、宇宙の膨張もこれによって確認できる。あるいは、巨大な天体の近くを通る星の光が曲がる「重力レンズ」で、重力が時空の歪みと等価のものであることがわかり、天体の質量なども推測できたりもします。人間の知恵と技術ってすごいなあ。こうした観測の成果が実を結んで、どんどんユニークな発見が増えることを願うばかりです。

 それにしても、『スター・ウォーズ』をツカミに持ってくるのは上手ですね。これだけメディアが『スター・ウォーズ』に絡めて記事を書いていますから、発表元であるNASAとSETI研の方から、例としてタトゥイーン(えらく治安の悪い星だったが)を紹介したのかも知れません。会見でイメージ画のポスターを後ろに貼っていたし。
 とりわけ科学のトピックというのは理屈っぽくて小難しいと思われがちで、大衆がなかなかについてきてくれないから、耳を傾けてもらうのに苦労するのでしょう。映画を例に出せば、多くの人がビジュアルイメージで想像しやすいですから、上手な宣伝マンがいるのかも知れませんね。軌道エレベーターも見習わないと。

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