軌道エレベーター派

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スペースシャトルの功罪 その2

2010-04-21 22:57:43 | その他の雑記
 山崎直子飛行士の乗るスペースシャトル「ディスカバリー」、無事に帰還できて何よりです。このことは喜ばしく思っています。

 1週間前に書いた「スペースシャトルの功罪」という記事で、触れるのを忘れていた点があります。それはシャトルの軍事利用についてです。
 前回私が書いたことは、シャトルの「表の仕事」についてでした。しかし軍事利用されているのはもはや常識とも言っていい。ミッションの半分以上が軍事衛星の軌道投入であるという記述も読んだことがあるので、実はこっちの方では大活躍して重宝されていたのか? という疑問が残ります。だとすると、一概に失敗作と決めつけるのは早計だったでしょうか。
 それどころか、大衆受けしやすいシャトルのイメージを隠れ蓑に、せっせと軍拡競争にいそしんでいたのだとしたら、アッパレな策略と言えるかも知れません。
 これは推測ですが、日本人宇宙飛行士たちが搭乗した時に軍事上のミッションが行われた場合は、当然守秘義務のようなものを負うのでしょうね。少なくとも、彼らがまったく知らない、関与していないなどというのはありえないでしょう。ですが、別にけしからんとは思ってるわけではありません。世間の事業は、すべからく裏の事情や利益が動かしているんですから。私だって「シャトルに乗せてやる」なんて言われようものなら、大概のことは見て見ぬふりしますワ。

 このシャトルの軍事利用に日本が関与していたのが濃厚な件といえば、某国営放送肝入りのハイビジョンカメラを「エンデバー」に搭載したSTS-99のミッションが有名でしょう。ニュースでアナウンサーが「災害予測に役立つ」などということをしつこいまでに連呼していたのがイタかったです。
 ちょっと宇宙開発に興味を持っている(でもって、私のようなスレッカラシな性格の)人で、そんなことを真に受ける奴なんかいない。百歩譲って安全のためにデータを利用するとしても、それだけで終わるはずがなかろう。
 レーダー観測も行ったこの時のミッションで、ミサイル誘導などのための地形データ作成といった戦略目的や、当時緊張が高まっていた朝鮮半島の偵察などに重点が置かれていたことは疑いようがなく、そんなに無理をして、美辞麗句の厚化粧を施さなくてもいいだろう、と思った記憶があります。

 スペースシャトルが、こうした「裏の仕事」でどれだけ役立ったのかはわかりませんが、私自身の結論は前回と変わりません。ようは上っ面にしか目を向けなくていいのか? ということです。今回こんな興ざめなことを書いたのはそのためであって、シャトルの外見に魅入られてはいけない。
 人命を盾にしてものを言うのは本意ではありませんが、列車のラストランみたいに「さよならスペースシャトル、ありがとうスペースシャトル」なんて、安っぽい幕引きで終わらせるのは、犠牲者に対する恥知らずな冒涜ではないのでしょうか。
 良くも悪くも、スペースシャトルが宇宙開発の中心となって活躍し、様々な失敗をしたという経験と歴史から教訓を得ようとしなければ、きっと同じ失敗を繰り返すのではないでしょうか。

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