冷却ステージ完成に向けた情報収集

2015-04-09 13:25:21 | 雪の結晶撮影
 桜の花の盛を過ぎつつあった4月8日、 目覚めると天気予報が見事に当たり、 ここ立川では雪が降っていた。 自宅周辺の外気温は2℃で、さすがに雪の形も六華の結晶の形をなしていない。 4日付けのブログでは「来シーズンの雪を待つ」そんなタイトルの記事を書いたばかりだが、 こんな降雪のチャンスを見逃す手は無い。 大慌てで雪の結晶撮影装置を車に積み込んで、 朝食後すぐに河口湖を目指して出かけて来ました。 標高の高い河口湖町でなら、それなりの雪が落ちているはずですし、 昼過ぎまで雪が降る期待がもてますから。

 ところで今回の撮影行の主目的は冷却ステージの完成に向けた情報収集のための実験なのだ。 冷却ステージは最終的にはバッテリー駆動でまとめる予定なのだが、 今のところペルチェ素子を1~2Aの電流でドライブ可能な小型・可搬型のバッテリーの入手は済ませてないし、制御回路の製作も全く手付かずのままだ。 そんな中で、「何を実験する積もりなのか?」 それをお話しておきましょう。

 屋外に放置した車の屋根、 あるいは着用している羽毛服の袖に落ちた雪の結晶は外気温がマイナス2℃程度であっても、 きちんと結晶の形を留めている。 なのに、撮影のために、それをすくい取って写真撮影のために試料搭載ステージに載せると、 短時間の内に結晶の形が崩れてしまうのだ。

 その結晶融解の時間を延ばすために僕が今までに採用していた方法はレンズフィルターの丸い枠に食品包装に使用される透明なラップフィルムを張って、その上に雪片を載せると言うものだ。 この方法はラップフィルムの温度が例え0℃であっても、載せた雪片への伝導による熱の流入が抑えられるために、結晶の融解に依る形の崩れが抑制されるのだ。 しかし室温状態にあったそのフィルタを使ったステージはかなりの長時間外気温に曝さないと氷点下の温度になってくれないし、 絶対に外気温より低い温度になる事はありえない。

 さらには雪片を乗せる作業のために金属枠を手で保持したり、 発熱したカメラ本体の影響を受けるために、 外気温がマイナス5℃程度になっていないと、フォーカス合わせや視野合わせ等の作業時間が十分に取れない問題があったのだ。

 作ろうとしている冷却ステージでは、試料を載せるスペースの温度を積極的に冷やして、撮影に必要な時間、雪の結晶の型崩れが生じ無い試料ステージを作りたいのだが、 その際には出来るだけ少ない電力消費でそれを実現したいのだ。

 今回の実験は電気エネルギーは使わずに、ステージを構成する放熱フィンを氷水で冷却する事で、どの様な効果が出るか? それを見てみたい。 そしてその効果をラップフィルムステージや、 ガラスフィルターステージとの比較したデータを得たいのだ。


 高速道路を河口湖ICまで走り、 河口湖畔に向かう途中で交通量の少ない、

 こんな郊外の空き地に車を止めて実験を開始した。

ちなみに、この車を置いた場所の外気温度は0~マイナス1℃程度でした。


 実験に使用した3種類の試料ステージ



雪片を載せた冷却ステージとラップフィルムステージの写真。
冷却ステージも角穴部分にはラップフィルムを張ってあります。



冷却ステージはアルミ材の冷却フィンを、氷水(0℃)を入れた黄色の容器に浸漬して強制水冷しています。

[ 結果 ]

 3種類のステージで融解による型くずれの時間が大きく異る様子をGIF画像のアニメーション化しましたので御覧ください。 いづれも写真の撮影間隔は約10秒です。 また最初の雪片の融解状態の違いが大きいですが、 これはステージ上に雪片を載せてから、フォーカス合わせをしてシャッターボタンを押すまでの融解状態の違いです。 ほぼ同サイズの雪片を選んび、出来るだけ早く作業を進めて、一枚目のシャッターを切ったのですが、 こんなに違いが出てしまいます。


 ラップフィルムステージ。


 ガラスフィルターステージ。

冷却ステージを使用した場合のそれはTop画像をご覧下さい。


 今回の実験で、ステージを氷水に浸漬しただけの冷却ステージでも、 試料雪片の型崩れの時間が今までの方法と較べて倍以上に伸びる様子が確認出来たのです。

 冷却ステージ >> ラップフィルムステージ > ガラスフィルターステージ


[ 今後に向けて ]


 冷却ステージ制御回路はペルチェ素子の仕様上の最大電流で駆動する必要は無さそう、 多分500mAも電流を流せば使い物になる予感がするのです。 だから、最大駆動電流1アンペア程度を想定した電池や制御回路を準備して見るつもりです。
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