家庭内映画館

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映画の感想・・・(15)

2005-07-18 02:42:41 | Weblog
「レディ・ジョーカー」監督:平山秀幸/出演:渡哲也、吉川晃司、他/2004・日本・121分<レンタル>

「グリコ・森永事件」をベースに書かれた、高村薫の大ベストセラー小説の映画化。
...何と言うか、もちろん原作が”人間ドラマ”であることは重々承知しています。が、それと同じくらいの比重でサスペンスとして描かれていると思っていました。しかし、この映画はあくまで”人間ドラマ”として、正直サスペンス部分はないがしろにされていると言っても過言ではないような作りですね~。

就職差別で日之出ビールをクビにされた兄を持つ物井清三(渡哲也)がその兄の死をキッカケに4人の競馬仲間(大杉漣、吉川晃司、吹越満、加藤晴彦)と共に日之出ビールを脅迫し、20億の金を要求する。人質は350万キロリットルのビール...とにかく「地味」です(笑)。「重厚」とかではなく「地味」です。個人的には「太陽を盗んだ男」のような雰囲気になるものだと思っていたんですけど...とにかく誘拐も脅迫も身代金強奪もおまけのような感じで、あくまで人間ドラマとして描かれていますね。

原作を読んだのはもうかなり前なので細かいところまで憶えてませんが、結構変わっていますね。と言うか、あの長さはそのままでの映画化はさすがに難しいんでしょうけど...それで”人間ドラマ”としての方向に持っていったんでしょうけど絶対に間違いですね。どうせそのままの映画化が無理ならサスペンス映画として、エンターテイメント作品に仕上げた方が良かったのでは?まぁ日本では「重い人間ドラマ」は格調高くて「エンターテイメント」は軽く見られるような風潮があるんでしょうがないですけどね~。

なんか救いが無くて最後の最後まで見ていて痛々しいほどの哀しい映画でしたね(もしかしたらあれは”ハッピーエンド”なのかも知れないけど)...長塚京三、國村隼、岸部一徳、吉川晃司あたりは凄く良かったので本当にもったいないと思います。