脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

私が「試合に出るか」と聞くわけ

2016-12-23 | Weblog

西洋人は目をやられるよりも鼻をやられるほうがいやがる。おそらく狩猟民族は獲物をさがすために嗅覚が必要だから、その嗅覚をつぶされることを本能的におそれているからだと思っている。名前は忘れたがよく試合に出てくる白人の選手がいた。彼はジムでも一生懸命トレーニングはしていたのだが、いかんせんうたれ弱い、鼻に一発強いパンチをうけたら戦意喪失してしまい、そこから立て続けにパンチをもらってTKOで負けてしまうというパターンが多かった。私は彼がすごく悔しがっている姿を何度も見たが、しかし勝ったのを見たことがなかった。これだけ負けたら普通はやめるが、しかしそれでも試合に出てくる彼を不思議に思っていた。向こうのトレーナーは絶対に競技者を否定することはしない。お前なんかやっても無駄だとか、反省とか言ってダメ出しをするようなことはまずない。よく日本人は反省会なんて言うのをするが、はっきり言って無意味だと思う。たいていの場合ネガティブなことばかり聞かされてダメ出しでおわってしまうからだ。向こうでは終わってから反省会と言ってごちゃごちゃとネガティブなことを言い合うことはしなかった。そんなことをするよりもよりも試合前にビデオを見たりミーティングをしたりして自分がどう戦うかなどを分析する。はっきり言ってそつちのほうが合理的だ。コーチや監督も試合前の分析よりも後になって言うほうが楽だし威厳を保てるから自然と権威主義の中ではそうなるのだと思っている。監督にしてみればその競技者のために反省会をするのだろうが、しかし負けた人間の中にはそっとしておいてほしいという人もいるはずだ、なぜそういう気持ちを大切にしないか不思議である。日本のスポーツのしきたりはデリカシーにかけるし、人権蹂躙じゃないのかとさえ疑ってしまうようなことや発言さえも多々ある。その白人が試合に出場し続けることができるのはトレーナーが彼を否定しないからだ。おそらくお前はだめだとかやめてしまえと言われていたら彼は出場できなかったであろう。私自身も競技してきてただの一度たりとも否定的なことを言われたり、否定されることはなかった。私のような性格は日本だったらあいつはだめだとさじをなげられるだろう。たぶん日本だったらここまで続けることはなかったであろうし、ここまで実績をのこすことはなかったであろう。時々ジョージと言い争いになることもあった。ジョージが言ったことをまったく聞かずにリングに上がることもしばしばだ。それでも勝って帰ってくるとお前は天才だとほめてくれる。そしてもし負けたとしても俺の言うことを聞かんからじゃなんてことは言わないだろう。私に比べたら日本の競技者は超従順だ、気持ちをしっかり持てとか気持ちで負けるなとか軽々しく言うが、しかしその前にその競技者をいかなることがあっても肯定し続けてあげなくてはならない、それが時には競技者の自信につながるのだが、まさにそれが私が支えられ競技していくことができた理由であり、私のコーチ論であり、オリーブの理論である。

私は女でも容赦なくウーロンとかルナチクス、ヒッポリト星人などとえげつないあだ名をつけるが、しかしただの一度たりとも会員を否定するようなことを言ったことはないと言えるし、それはみんなが認めていることだと思う。うちのクラブはへたれ運動音痴大歓迎だが、そういう人たちはみなそれぞれ弱さをかかえている。運動音痴であったり、メンタルが弱い傷つきやすいとか様々であるが、私が時々試合に出るかと聞くのはもちろん本気だが、それは俺は君をダメだと思っていない、そこまでできると信じているよと言う敬意でもある。もちろん試合に出るためには努力しなくてはいけないが「これぐらいのことをしなければ試合にでれんぞ」と言われるのと「期待しているから頑張れ」と言われるのではモチベーションが違うし、そういう努力は後につながると思っているがまさにそういう人たちがトレーナーになってくれたり、サポートしてくれるのがうちのクラブだ。うちのクラブのすごくいいところは決してネガティブなことは言わないことだ。我々の世代の体育会出身者は人前でどなられたり、ののしられたり、ネガティブな発言をされているのでおなじようなことを少なからずする人もいるが、しかしうちはそういうネガティブなことを言われたり態度に出されるということがないので、そういう雰囲気はない。うちではボクシングを何十年やってきた人で例え実績があったとしても、その人にそういうネガティブなにおいを感じたらトレーナーを頼むことはまずない。 

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