私の初戦はフィリピン系の相手、ジョージによれば1階級上げてきたらしくオアフかマウイのチャンピオンだと言う。ジョージは相手がわるいので経験ぐらいに考えていただろうが、しかしここまで一生懸命やってきたのだから負けたくはない絶対にしずめてやると意気込んでいた。カーンとゴングがなって20秒ぐらいあれと思ったらダウンしていた。レフリーがカウントを数えていたのだ。あれれなんで俺こんなことしてるんだろと思いながらファイティングポーズをとって再開、コーナーに戻ってきた時ジョージはすごい剣幕でまくしたてていた。たぶんあの時くらったのはスイッチしながらのフックだったと思う。日本ではこういうパンチをくらうことはないがアメリカでスポーツを競技してる人間は子供のころからいろいろなスポーツをしているのでバランスがいい、だからこういう奇想天外なパンチがうてる。ここでは日本の常識が通らんなと気を引き締めて3ラウンドを戦いぬいたが、結果私の逆転ギリギリ勝利ジョージは負けたと思ったらしいが、勝利をおさめることができた。基本的にむこうの競技者はリング外ではあいさつすることはない。さらに私は勝った相手にはあいさつには行かないと言うポリシーがあったのでそのままリングをおりて控室と言うか競技者が待機しているところに戻って行った。そして試合が終わって帰る時、廊下を歩いているとさっきの相手が、そしてすれ違う前に向こうがニコッと笑うのでこちらもニコッと笑いかえす。かえした後であれはホモのサインじゃないだろうなと心配したが、彼がニコッと笑ったのはnextと言う意味だ、現に3か月後の試合では2回戦で当たった時にすごい闘志で向かって来たことをおぼえている。自慢になるがこの時も私がまたまたギリギリの判定で勝利したが、しかしこの時日本にはない雰囲気アメリカは競争の世界だなあと思わされたものである。ゴールデングラブで優勝した奴が偉そうに「優勝したとたんに俺の首をみんなが狙いに来るから気が抜けない」と言っていた。思い切り歯がうくようなセリフだが強ち向こうではおおげさではない、なぜならむこうは完全な競争社会だからだ。英語のことわざに「double or nothing」と言うことわざがあるがこれは強者が弱者から得ると言う意味である。日本語では一か八かとなっているが、しかし直訳すれば2倍得れるか何も得れないかということで敗者は何も得ることがないむしろ奪われると言う意味合いが強いだろう。向こうの人間は一度負けた相手には闘志むき出しで挑んでくる。これ以上負けてはいけない、競争社会においては負けたら何も得ることができないnothingになることをおそれるからだ。そういうルールを彼らは子供のころからたたきこまれているようにさえ思える。それに比べたら日本人は甘い、少し聞き苦しい言葉で申し訳ないが、負けた相手のところにあいさつに行って「ありがとうございました」じゃないだろ。本当に勝ちたい気持ちがあれば「i will beat you next」だろ。日本人が試合後あいさつに行くのは自然であるがしかしこういう競争社会では不自然である。あの時彼が廊下ですれ違った時にニコッと笑ったのは「次はお前ぶちのめすぞ」と言うサインで、私もただにっこり笑って「see you later f○c○ you」とサインで答えただけである。普段はこういうことは書かないが、しかし勝負事と言うのはこういう厳しい一面があって、特に競争社会ではそれがむきだしになることもある。
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