MOBでは1中学3年生までの未成年にたいして顔や頭をたたくトレーニングは断じて禁止しているがそれには理由がある。ひとつは言わずとも医学上の問題であるが子供の頭蓋骨は未発達段階で衝撃をうけると大人よりもかなりダメージをうけやすく後遺症の可能性があるからだ。そしてもう一つ、これは私の意見であるが、子供の頭をたたくというのは尋常ではない、あの小さい頭を見てあの頭にサンドバッグでなぐるような衝撃を与えるのだから、その尋常ではないということをさせるというのは一般的な常識からずれているように思えるのだが、そのずれた感覚を持ってクラブを運営していくことはその共同体の質の問題にかかわると思うからだ。わたし自身子供に試合目的でボクシングさせる親とはかかわることにかなり抵抗がある。なぜならそういう親の中にはずれた感覚を持った人もいるだろうし、そういう人たちと関わることでクラブの健全性がうしなわれていくおそれもあるからである。指導にしてもボクシングができるとか試合で勝ったということをほめるよりも知的なことをほめるようにしている。例えば若い子には君はこういう考え方もできるのかすごい気づかされたよと、本心からそういう感心できる彼彼女のアドバンテージを見つけてほめるようにしている。さらにクラブの偏差値を上げることで自分はこれじゃあいかんと気づくものもいるだろう。私にしてみたらボクシングの技術的なことをほめるのはサルに芸を仕込むのと何らかわりない、パスカルは人間は考える葦であると言っているのだから知的な部分をもっとひきだすようなほめ方をすることで子供そのものの生き方や進路がかわることも大いにあり得る。クラブと言うのはいろいろな立場の人たちが来ているのだからただボクシングだけをさせてそのままの君でいいなんて安っぽい個性をうりにして自分を納得させるよりも、これじゃあいかんと気づかせることのほうが大事なことだと思っている。