― さて、きょうは夏場所を振り返っていただきましょうか?
(玉椿) 「うん」
<金精山>
― 今場所は金精山関の8回目の優勝でした。まずは金精山関の話からはじめましょうか。
(玉椿) 「金精山、すごかったね。一番一番を見れば淡々と報告してるだけで、派手さはないんだけどさ、ああいう相撲を十五日間続けるってのに鬼気迫る迫力を感じたよ」
― 鬼気迫る迫力ですか。勝利への執念……みたいなものですか?
(玉椿) 「そういうのとは違う気がする。実際に見ればわかると思うんで、報告メールを十五日分並べるよ」
__________
<初日 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
焼肉の食べ放題に行ってきたせいか、なかなか順調な滑り出し。
<二日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
昨晩というか今朝、久しぶりに稽古したが、モチベーションが上がらず。そこで久々に洋物屋外で稽古するとモチベーション爆上がり。満足のイク濃密な稽古になった。
<三日目 ○>
今日の取り組みは白星。
屋外で全裸で稽古できるのは、元気の源である。理想は森の中だな。
<四日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
昼間から屋外で稽古するというのは、理想の環境だと思う。
まらずもう力士も原点に帰って、屋外で競い合うべきではないだろうか。
<五日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
文句なしの横綱まらずもうが取れ、大満足。
<六日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
安定したかつ豪快なまらずもうがとれて大満足。
<七日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
精液を増やすには、筋トレと質の良い睡眠が大事らしい。気合い入れて筋トレして、気合い入れて寝ようと思う。
<八日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
なかなかの出来。
<九日目 ●>
お疲れ様です
今日の取り組みは黒星。
立ち合いを合わせることができず、土が着く。無念。
<十日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
稽古の途中で寝落ちし、起きると見事に勃起。
他人のまらずもうを見るのも勉強になるものだ。
<十一日目 ○>
お疲れ様です。今日の取り組みは白星。
土俵際での辛勝に不満。
もっと豪快に勝ちたいものだ。
<十二日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
満足のイク出来。
<十三日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
危なげなく、安定した出来。
面白いコメントが浮かばないのが残念。
<十四日目 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
またもや土俵際の勝利で不満が残る。
<千秋楽 ○>
お疲れ様です。
今日の取り組みは白星。
文句なしの勝ち方を千秋楽でできて満足である。
__________
(玉椿) 「な? すごいだろ」
― これは……すごいですね。
(玉椿) 「厳しい修行を自らに課す行者みたいな雰囲気だよな。まらずもうを座禅とか滝行とか千日回峰行とかそういうものと捉えてるのかもしれん」
― こわくて声をかけにくいですね。
(玉椿) 「道を究めるには、これくらい厳しい姿勢で取り組まなくちゃいかんのだろうな」
― ちなみに金精山関のお気に入りの相撲は十日目だそうですね。
(玉椿) 「厳しい修行を続けていると、毎日のルーティーンの微妙な変化にも敏感になるからね。修行の果てにたどりついた境地って感じがするね」
― 毛呂乃関や玉椿関にはそういう部分は皆無ですもんね。
(玉椿) 「まじびびるよ」
<毛呂乃>
― つぎは毛呂乃関の相撲を振り返りましょうか。毛呂乃関ご本人的には印象に残っているのは十日目の相撲だそうです。
(玉椿) 「まらが床に突き刺さったあげく、家を破壊した相撲な」
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●毛呂乃(9-1)
「マーラって悪魔って意味でしたっけ」と今更ながら股間の悪魔を悪魔と思う毛呂乃。「今朝は問題。泣く起床詰まり」。寝ながら床深くまらを突き入れ、起きた時には抜けなくなってしまう「起床詰まり」に泣いた一番。どれだけ抜こうと暴れても抜けず、むしろその刺激でまらはますます大きくなり抜けなくなるばかり。なんとか引き抜こうと家の中でもがいたが、その結果、家屋も倒壊、もう「建ってません」。肝心のまらが立っていることを立証したくとも、抜けないものは仕方ない。股間の悪魔を「化け物か!」と自ら罵るも、その悪魔、化け物が勝利の邪魔をする。どうしても今日中には引き抜けず、ここで痛恨の黒星。
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― いい相撲ですね。毛呂乃関って負けた相撲のほうが輝く印象がありますよね。
(玉椿) 「わしが好きなのは十三日目の相撲。これも負け相撲だ」
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●毛呂乃(11-2)
大事な終盤戦、今日の相撲をたずねられると、「いや、しませんから」。なんと相撲を取らないという。「エスキモーはうんこ我慢しまくっていっぺんに出して快楽を得るとか聞いたことが。というわけで今日はたってません」と、青ざめて震えながら、それでいて恍惚の表情を浮かべる毛呂乃。案の定、尻穴には自身のモノが詰まっている。お得意の一人アナルファックだが、完全に埋めこんで抜いて見せる気が一切ない。我慢しまくって快楽を得ているのだ。しかも一睡もしていない。一日このありさまで明日まで我慢を決め込む模様で、勃ちが確認できないうえで寝起きの瞬間もないため相撲にならず、快楽のために1日をまるまる棒に振っての黒星、やはり最終盤にひと波乱。優勝の行方はいかに。
__________
― ああなるほど。これもいい相撲ですね。
(玉椿) 「エスキモーがうんこを我慢することで快楽を得ている、なんて真偽不明の噂をききつけて、それを実際に試してみる性へのあくなき探求心。毛呂乃らしさが発揮されてるって意味ではこれがいちばんの相撲だと思うね」
<玉椿>
― 玉椿関は……たいした相撲はとってませんね。ご本人からアピールしたい相撲はありますか?
(玉椿) 「べつにないけどさ。なんか言い方がきつくないか?」
― じゃあ一点だけ気になったことがあるんで。
(玉椿) 「おう、なんでも聞いてくれ」
― さいきんお気に入りのとんかつ屋の話を。
(玉椿) 「みのや。いい店なんだよ。80過ぎの老夫婦がふたりでやっててさ、旦那さんはひまさえあると、もくもくと豚の脂身をこまかくみじん切りにしてんの。たぶんあれを溶かしてラードにするんだろうね。んでラードづくりにあきるとさ、話好きなんだろうね。客に野球の話とか時代劇の話とか振ってくるの。クラシックな巨人ファンでさ。いかにも東京のじじいだろ。今年はジャイアンツ弱いけど、秋広の話とかするときはすげえうれしそうなんだよね」
― 雰囲気のよさげな店ですね。味はどうなんですか?
(玉椿) 「衣が硬めでクリスビーな感じっての? バリバリさせながら食うのがいいね。ラードで揚げてるから衣がうまいんだよね。800円のロースかつ定食にしなくても、580円のとんかつ定食でじゅうぶんうまい。やわらかい肉がいいならチキンカツでもうまいよ」
― へえ、うまそうですね。
(玉椿) 「あとさ、豚汁がうまいんだよ。具は豚と白菜だけのシンプルな豚汁なんだけど、あれたぶん鰹節かな? 魚介系の香りがすっと立ち上がるんだ。さいしょ飲んだとき驚いて声が出ちゃったよ」
― 玉椿関のご近所なんですよね。どうやって行くんですか?
(玉椿) 「最寄りは南北線の西ヶ原から徒歩10分くらいかな。駒込か巣鴨からでも15分かからないくらい。ただ道はすごくわかりにくいから、【駒込 みのや】とでも検索かけてくれよ」
― 近いうちに行ってみますね。
(玉椿) 「店主が高齢だし、いつ廃業しても不思議じゃないからね。早めに行っとくのをすすめるよ」
<播潟>
― さいごは播潟さんで印象に残った相撲についてうかがいましょうか。
(玉椿) 「相撲内容はべつにどうでもいいんだけどさ」
― 失礼ですね。
(玉椿) 「七日目と十三日目の相撲が印象的っちゃ印象的だね」
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〇播潟(2-2)
「勝ってました」といつもながら淡白な報告。それだけじゃ記事にならんから朝めしのメニューくらい書けと突っ込まれ「レトルトカレーです」と取って付けたような回答。報告は淡白だが、朝食はがっつり濃厚である。
●播潟(2-5)
「負けました。理由はわかりません」といつもながらの塩コメント。報道陣からは「書くこと思いつかなくても、なんかでっちあげろ。朝めしのメニューでも、朝ニュースの占い結果でもなんでもいいから」と叱られると「けさは米を切らしてたので買い置きのインスタントラーメンを食べました」とのこと。まらは元気がないが、食欲は朝から元気である。
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― 同じような内容の相撲ですね。もうちょっと話の引き出し方を工夫したほうがいいんじゃないですか?
(玉椿) 「朝からレトルトカレーとかインスタントラーメンとか、胃袋が若いよな。まらずもうは弱いくせに食欲は若者並みだな」
― 内臓が丈夫なんでしょうね。うらやましいことです。
(玉椿) 「それだけ若い胃袋があるなら、もうちょっと勝ってほしいよな」
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