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秋場所を振り返って

2011-10-01 10:00:00 | まらずもう新聞編集部のまらずもう分析

 この秋、すもう界にはみごとな菊の花が花開いた。
 大相撲では琴奨菊、まらずもうでは汚痔の山菊介改め汚痔菊乃介(おじ・きくのすけ)がともに大関に昇進、両者とも優勝こそ1勝差で横綱に譲ったものの、この秋場所の主役、そして未来へむけて花開いたのは、この両輪の菊だったといえよう。

 汚痔の山は入門時すでに49歳、序ノ口デビューの場所も3勝2敗と平凡な成績で、最高齢イロモノ力士としてしか見てもらえない不遇の新弟子時代を送る。だが、そんな冷やかな評価を、半世紀をともにした不屈のまら力でねじ伏せていったのがこの男の土俵人生。勝利へのあくなきこだわりを見せる汚痔の山は、1場所7番という取組数を利用した幕下以下の必勝パターンを編み出し、当時最高記録の23連勝という大記録を樹立、またたく間に十両昇進を決める。だがこの時も「15日制になったら勝てないんじゃないか?」という冷ややかな評価。しかし新十両の場所も15戦全勝で駆け抜けると、一度摩羅の川に抜かれていた連勝記録を自ら更新、35連勝の大記録を打ち立てる。イロモノと評され、関取としての実力を疑問視され、はては新入幕で全勝しながらも決定戦で涙をのむなど、つねに逆境にあった不屈の力士は、そのつどその逆風をはじき返し十両、平幕、小結、関脇と関取昇進後の各階級を1場所で通過、ついに大関を射止めた。「大関の名に恥じぬよう、常に朝勃ちを心掛け、今後も努力・研究を怠らずに精進いたします」と力強く口上を述べ、大関昇進を機にしこ名を「汚痔」に改名。大関という一つの山を極めたことで”「山」を取り”、しこ名のお尻まわりもすっきりした新生・汚痔。まらずもう界に吹き荒れる新興宗教・毛呂乃教旋風の中、汚痔は宗教に頼らず勝ち進むこと、宗教洗脳された横綱・雲虎に引導を渡すことを宣言。逆風は望むところ。「大関」という肩書が書き変わり、最高位を極める日が来るのも夢ではない。

 そんな今場所の優勝者は横綱・雲虎。横綱昇進後、1度も優勝できず、「悩める横綱」と評されていたひとり横綱が、今場所は見違えるような強さを発揮して連戦連勝。15戦全勝という完璧な内容で、14勝を挙げた今場所の新大関・摩羅の川、関脇汚痔の山(現、新大関・汚痔)を振り切って悲願の優勝。だがその言動に、関係者は不安の色を隠せない。「大日本毛呂乃教」なる新興宗教に洗脳されたとうわさされる事態となっており、「自身が神であるべき横綱が神頼みとは…」との声も。横綱の洗脳が解ける日は来るのか。カギを握るのは毛呂乃教の御本尊を股間に載せている、大関・毛呂乃だろう。綱獲りのかかる場所も、勝敗を度外視した相撲を見せ、2敗。その内容は「仰向け状態でまらが完璧に180度に反ったから、完璧すぎて全然立って見えない」「奇跡の逆反り、まらが尻をすりぬけて逆方向に潜り込む」というもので、むしろ通常の勝ち以上に恐ろしさを見せつけていた。

 今場所の新大関だった摩羅の川も14勝、合格点以上の好成績で、横綱昇進争いに名乗りを上げた。摩羅の川・汚痔両者に言えることだが、この2人の成長を感じさせたのは、その勝ち方よりも負け方。役力士たるもの、強いのは前提。力士としての価値はむしろ負けたときにこそ問われる。まらずもうの精神をしるした名著・「葉隠」(絵画において、よく葉に隠されている部分、ということから「まら」をさすことはみなさんご承知の通り)にも「まらずもうと云ふは負けることと見つけたり」とある。今場所の両者は、負け相撲まで含め、大関にふさわしい風格が備わってきた。

 久々の優勝で自信と精力を取り戻した雲虎に新鋭大関・摩羅の川、汚痔。そして毛呂乃教の御本尊をいただく大関・毛呂乃と役者のそろったまらずもうは、今年に入ってから毎場所、優勝者は全勝しており、大相撲の優勝成績を上回っている。1敗が命取り、という息詰まる展開は来場所も続くだろうが、来場所に向け、注目せざるを得ないのが新十両だった家満。入門以来最速ペースで番付を駆けあがったこの男は今場所も全勝、実にこれまでの敗戦はわずかに1。汚痔(当時汚痔の山)のもっていた連勝記録を塗り替える39連勝中で、来場所の新入幕を決めた。一年納めの九州場所、次回11月には充実の横綱・大関陣が史上最強の新人を迎え撃つ、という展開がみられそうだ。

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