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「立合いの乱れ」についての理事長談話。

2011-11-22 13:00:00 | 協会からのおしらせ

 

 大相撲においても長年の問題となっているのが「立ち合いの乱れ」です。相手と呼吸を合わせたい、でも先手を取りたい、と。しかし、先手を取りたいからと言って身勝手な立ち合いをしないことをもって、力士たる態度は評価されるわけです。「手をつけ」だとか「待ったは罰金」だとか、いろんな時期がありましたが、本来は各力士が、力士としての自覚を持ってことにあたるというのが理想であって、制度化するというのは遺憾なことなんですよ。

 で、まらずもうですが、こちらも今場所の立ち合いの乱れは目に余るものがあります。勝ちたいとか、めんどくさいとか、いろいろあるでしょうがね、幕内は幕内としての自覚があるのなら、ちゃんと毎日報告するのが原則ですよ。それを、2日まとめて報告するのを繰り返して何とも思わないだとか、それにのっかって微妙な相撲の勝敗判定を保留して、翌日の結果を見てからまとめて報告するとか、果ては取る前から前日に報告する力士まで出てきています。それも、横綱・大関といった上位の力士まで含まれるんですよ。力士としての、それも幕内としての自覚があるのかと問いただしたいものですよ。

 そもそもまらずもうの力士が、なぜ人々から畏敬の念を抱かれるか。それは、朝まらの状態をわざわざ人さまに公表するからです。幕下ですとか、その辺の力士ならば、そりゃ1日おきでもね、公表すること自体で、たいしたもんだ、さすがプロだ、ってなりますよ。ですが、さらに相撲は番付社会、最上位の幕内力士が、なぜ幕内力士として尊敬されるか。それは、ただ公表するのではなく、そんなことを毎日しこしこ15日間続けるからこそです。毎日相撲を取り、その結果を毎日さらすことのできる強靭な精神と肉体をもった者にのみ許される地位が幕内のはずです。そこのところの自覚が足りないんじゃないかと、今場所は非常に嘆かわしく思います。しかもね、「勝ちました」「毎日勝ってます」なんていうならまだしも、「今日も負けました」なんていう結果をさらすのは、相当な覚悟が要りますよ。でも、それもできるからこそ、力士を名乗っているはずです。それが、微妙な判定の時にせせこましく星勘定をして判定を保留するなど、実に見苦しい。

 相撲はただのスポーツではない、とよく言われます。もちろん最近は、八百長問題などが起こった時の逃げ口上にも使われてしまうのですが、それはそれとして、本質的にただのスポーツではないことは、立ち合いに集約されます。審判が開始を合図するのではなく、お互いに呼吸をはかって立つのが相撲の立ち合い。自分が勝つことだけを考えていたら、これは成り立ちません。相撲の本質には、自分だけでなく、「相手を思う」という心があるのです。それはまらずもうの立ち合いだって同じです。どれだけ他者のことを思えているのか。優勝を争っている他の力士が毎日報告しているときに、優勝に関わる力士が報告を怠ったらどうなるか。本気で優勝を目指しているイタイ力士に、どれほどの心理的影響を与えることになるか、考えたことはあるのでしょうか。そして何より、もっと大切な他者、それはすもうを見に来てくださっているファンの皆様です。人さまに朝まらの状態を報告するという行為は、何よりサービス精神に出発すると考えてよいのではないでしょうか。お客さんが見に来てくれる、お客さんが優勝争いを見てくれる、そんな中で、適切な報告がなされないというのは、なによりファンの皆さんに申し訳ない。力士として、最も欠如してはいかんのはサービス精神です。お客さんに喜んでもらえるのか、幕内には考えていただきたい。

 とはいえ15日連日で取るのは大変ですからね、十両はその準備期間、幕内が本番だと考えています。力士とて生活がありますから、報告しにくい日もありますよ。でもそんな時でも、大関・汚痔はまえもって報告が遅れると伝えてきました。前頭・飛埒王は、毎日の報告が厳しい状況を鑑みて、自ら休場を申し入れてきました。これこそが、対戦相手、そしてファンのみなさまのことまで考えた、本来のまらずもう精神なのではないでしょうか。

 特に、微妙な取組の判定を翌日に持ち越してまとめて報告なんていうのは悪質です。立ち合いの乱れがここまで蔓延している以上、処分を含めこれから今後の対応について検討します。

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