先場所初日の稲妻勃起はリスクが大きいと判断した毛呂乃。稲妻勃起を封印し、それに代わる技として元気玉勃起を習得した。元気玉勃起は、地球上の全生命体の勃起する「元気」を少しずつ分けてもらう技。全世界の朝立ちしているまら、稽古に励んでいるまらの先端から少しだけ元気を吸い取る。そしてそれを自分の力にしてしまう。まらに雷を呼び込むという稲妻勃起と違い、身体への負担も少なく、「全世界から少しずつ」であるがゆえに吸い取られた側の影響も微小、昨日の魔封波勃起のように西東京を停電に巻き込んだりするような危険性もない。停電に見舞われた東京都民の抗議を受けさすがに反省したのか、毛呂乃にしては珍しく人様の迷惑も考えた環境にやさしい技だ。今日が初めての実用化とあって、勃起力を集めるのに多少の時間はかかったものの無事に白星。技の完成度を尋ねられても「まずまず」と納得の表情。
だがこの技でもなお、人様に迷惑をかけてしまうのが毛呂乃。毛呂乃所属のアホリ部屋には、幕下飛埒王がいるが、今日は全く勝てそうな気配がなくあっさりと土俵を割って今場所初黒星。一方、同郷の月乃猫は元気あふれる相撲で昨日までの4連敗が嘘のよう。どうやら同部屋の力士からうっかり元気を吸い取り過ぎ、その余った元気を本人に返さずに月乃猫に回してしまったらしい。このあたりの無駄なエネルギーのやりとりをしてしまったことで、毛呂乃自身の評価は「まずまず」にとどまったのだろう。おかげで自身も困惑するほどに突如元気になってしまった月乃猫。毛呂乃の取組自体だけでなく、月乃猫を通してもこの技の効果の凄まじさが見て取れる。
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