半透明記録

もやもや日記

滅亡映画2本立て

2008年04月01日 | 映像
今日から新年度!
張り切ってスタート!

という明るくあるべきであろう日に、「滅亡…」とか言ってしまうあたり我ながらとても私らしい。しょうがないのです。私は「滅亡もの」が好きでたまらないのす。専門家になろうかと思っているくらいです。


さて、だいぶ前のことですが、ツタヤで借りてきたのは2本の滅亡映画です。

まず1本目は筒井先生原作の『日本以外全部沈没』


《内容》
突如として地球全土を襲った大地震によって、日本列島以外の陸地はほとんど水没してしまった。生き残った世界中からの避難民は大挙して日本へと押し寄せるが―――。
小松左京の傑作小説『日本沈没』を大胆にパロディ化した筒井康隆原作『日本以外全部沈没』の映画化。



とにかくとても低予算だったのだろうなあ、ということがうかがえる作品。それは劇場予告を見た時点でも思っていたのですが、実際に観てみると本当に安づくりです。
しかし。
予算を掛ければ面白くなるというものではないのです、映画と言うものは。そのことをあらためて考えさせられました。

この作品ではとにかく主演以下多くの役者さんがとにかく素人くさい。唯一本職だと感じさせる村野さんと藤岡さんってやっぱ役者だな~、すごいな~というほどに、他の出演者の演技が……もごもご。まあ、外国の人がほとんどだから仕方ないと言えば仕方ないけれども、主役級の若者3人組はもうちょっとどうにかならなかったのだろうか。いちおう役者さんなのだろうに。うーむ。

要所要所の演出も実にくさい。堪え難いほどにベタであります。あの橋の上で出前持ちが転んでお皿を川へ落っことしてしまうあたりとか、キャサリンが落ち目の米国の大スターと固く抱き合う場面(当然スローモーションで)とか。とにかく清々しいほどに演出過剰です。『シベリア超特急』を思い出すではないですか。あれも名作だった。このくらいの勢いがあると、それだけで面白いですね。


それで正直に言うと、私はこの映画を安っぽくてバカバカしい、本家『日本沈没』映画化に便乗して制作されたお気楽でいい加減なものだろうとあなどっていたのです。
ですが……筒井先生、ごめんなさい。私が大幅に間違っておりました。泣いて謝ります。いや、ほんと泣きそうになりました。

たしかに予想どおりの要素はあるにはありましたが、それだけでは到底済みませんでした。この結末は原作の通りなのでしょうか。もしも「滅びの美」というものがあるとするならば、この結末にはたしかに「美」がありました。これが泣かずにいられるだろうか。あー、原作も読まねば!


物語は、人間の卑しさ、傲慢、みじめさ、そして人間の美しさ、善良、希望もろもろを全てを水の底へ沈めてしまいます。そして人類がたった一瞬間、真にひとつになるときがあるとすれば、それは―――。ああ、そうだ。私はいつだって、こういうものが観たいのだ。あまりにも悲観的な結末。ところがこの悲しみに満ちた結末が美しいとしたら、このことをいったいどう考えたらいいのだろう。


というわけで、期待を良い意味で裏切られまくった、筒井作品の恐るべき底力を思い知らされた良作でした。



さあ、2本目はこちら『トゥモロー・ワールド』



《あらすじ》
2027年、人類はすでに18年に渡って新しい人間を生み出すことがなかった。子供が産まれなくなったのであった。
若い頃は活動家であった主人公はある日、かつての仲間であり恋人でもあった女と再会する。過激な活動グループのリーダーとなっていた彼女の頼みにより、彼は「トゥモロー号」を目指すことになる。



あちらこちらで良い評判を聞いていたので、観てみたかった作品。

しかし。
私個人としては、どうもあまり響かない物語でした。見誤っているのかもしれません。が、どうしても理解できない。というよりも、単に好みではないだけなのかも。お決まりの「自己犠牲」のオンパレード。気に入らないですね。私のようなひねくれ者は、やればやる程白けます。

だけれども、じっくりと考えていけば、興味深いテーマであることは否定できません。子供が全く産まれなくなり、ゆっくりと滅んでいくだけの人類の世界に、滅亡へと加速するように争い殺しあう人類の世界に、たったひとつ奇跡のように新しい命がもたらされたとしたら。手遅れかもしれないけれども、期待を抱かずにはいられない。希望を抱かずにはいられない。
そこは分かる。

私が理解できないのは多分、「子供はかわいいけれども、大人であるあいつらは憎くてたまらない」というところなのでしょう。これはこの映画の脚本が原作がどうとかいうことに関係がないかもしれません。そしてまた、ひょっとしたらこの映画でもそのおかしさを皮肉的に描いていたのかもしれません。私が気付かなかっただけで。とにかく、この点がいやに引っかかって仕方がありませんでした。

この作品にも原作があるらしいので、そちらを読むべきかもしれません。そしたらもうちょっと理解できるかも。

唯一とても素晴らしいと思ったのは、この映画の「音」。音がどの場面でも素晴らしく自然なのです。明け方、すぐそばで鳴いているらしいカラスの声、木々が高いところでその葉をざわめかせる音などなど。その効果が最高に良かったです。





そういうわけで、「(勝手に)滅亡映画対決」はどうやら『日本以外全部沈没』に軍配があがったようです。これまた意外な展開だったわー。



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