
原題 : The Front Page(1974)
1974年,アメリカ,ユニヴァーサル映画=CIC配給
キャスト:ジャック・レモン/ウォルター・マッソー/
スーザン・サランドン/キャロル・バーネット/ヴィンセント・ガーディニア
監督:ビリー・ワイルダー
原作:ベン・ヘクト/チャールズ・マッカーサー
脚本:ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
音楽:ビリー・メイ
《あらすじ》
1929年6月。シカゴの刑事裁判所内の記者クラブでは、翌朝裁判所の庭で行われる警官殺しの死刑囚ウィリアムズの絞首刑の取材のために、記者たちが集まっていた。シカゴ・エグザミナー紙のデスクであるバーンズも、トップ記者のヒルディにその記事を書かせようと思うのだが、ヒルディの姿はどこにも見当たらない。ちょうどその時、バーンズのオフィスにヒルディが颯爽と現れ、結婚してフィラデルフィアへ行くから記者を辞めると言い出し……。
ウィリアムズ処刑の前夜、新聞記者たち、保安官、市長、ウィリアムズの情婦らが入り乱れ、事態は混乱をきわめる。
《この一言》
“ J・P・モルガンのところへ爆弾入り小包を送りつけてやったんだ。
ところが、送料不足で送り返されてきた。
アパートの屋根がふっとんだよ。 ”
ジャック・レモンとウォルター・マッソーの黄金コンビ。
かなりの爆笑映画でした。と当時に、ものすごく皮肉が込められてもいました。昔の映画はすごいんですねー。それにしても、スーザン・サランドンがおそろしく若くてびっくり。
記者稼業にうんざりし、ピアノ弾きのお嬢さんと結婚し、そのおじさんが経営する広告屋に雇ってもらい、安楽に暮らそうと決意する新聞記者ヒルディ。しかし、彼は優れた記者であったがゆえに、デスクのバーンズはけっして彼を逃そうとしません。ありとあらゆる手を使ってヒルディを引き止めようとしますが、フィラデルフィア行きの夜行列車が発車するその夜、ちょうど警官殺しで翌朝処刑されるウィリアムズが逃亡し、たまたまその場面に遭遇したヒルディは、後輩の新人記者に仕事をまかせておれず、自分を待つ婚約者をほったらかしたまま、ついつい記事を書くのに熱中してしまうのでした。
たった一晩のお話ですが、内容は恐ろしく充実しています。まず、ウィリアムズがなぜ警官を殺すに至ったのか、彼の受けた死刑判決の妥当性は、能無しの保安官と選挙を控えた市長との癒着、特ダネを得るためなら手段を選ばない記者たち……みどころが満載でした。それぞれの事柄を皮肉たっぷりに描いていながら、最高のユーモアで飾られた作品です。面白い。とにかく、オチが最高に笑えました。映画の結末は、登場人物たちのその後……を羅列してくれるのですが、もう、爆笑でした。面白すぎる! こういうのっていいなあ。うまいなあ。
ストーリーも大変にすばらしいものですが、キャラクターにも各々にとぼけた味わいがあって、魅力的です。とくにバーンズ(ウォルター・マッソー)の悪辣さが良かった! 黒い! 粘着! 強烈な人物です。
それからウィリアムズ。最初に画面に彼が映ったときは驚きました。とても死刑囚らしくない。ひょろひょろの気の弱そうな男なのです。気弱そうに見えて平気で過激な行動に出るらしいことは、精神科医との面談で判明するのですが(そしてこの精神科医の先生もたいがいおかしな人で;)、なんともユニークな人物です。
ほかにも色々、細かいところで皆が面白かったです。とにかく良く出来ている。
舞台は2、3場面しか変わらないし、全体的に地味なのですが、とにかく面白かった。あまり安っぽい感じもしないし。やっぱりストーリー、テンポ、役者が良ければ、なんでも面白いのかもしれません。
ということで、私はとても気に入りました。楽しかった!