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森羅万象 ~ 歩く印象派

〔ルポ〕事故から25年、チェルノブイリは今

2011年04月21日 19時46分58秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

「石棺」付近で強い放射線  時事ドットコムより

チェルノブイリ原子力発電所4号機の「石棺」

チェルノブイリ原子力発電所4号機の「石棺」

 史上最悪の放射能漏れを起こした1986年4月26日の旧ソ連チェルノブイリ原発事故から25年。ウクライナ政府は「負の遺産」 のイメージ転換を探り始めたが、原発周辺の放射能汚染は依然深刻で、強制立ち退きとなった住民11万人以上が帰還できる見通しは立っていない。ウクライナ 政府のプレスツアーで3月末、同原発を訪れ、現状を探った。

(モスクワ支局長 奥山昌志)

 炉心溶融事故が起きた原発4号機。コンクリート製の「石棺」で覆われているが、近づくと放射線量計が毎時5.24マイクロシーベルトを表示し、「ピッピー」と警告音が鳴り続けた。通常の50倍を超える放射線量だ。

放射線量と人体への影響

放射線量と人体への影響

 「石棺内部には溶解した核燃料が約180トン残っているが、放射能が外部に漏れないよう新たなシェルターを建設する国際プロジェクトが開始された」。原発の周囲30キロの立ち入り規制区域管理局のハロシャ局長は記者団との会見でこう強調した。

 事故直後に建設された石棺は老朽化が進んでおり、放射能漏れの懸念がある。このため、欧州連合(EU)や日本などの支援で新シェルター建設が計画され、昨年から基礎工事が始まった。

住民帰還の見通し不明

荒れ果てる家屋

荒れ果てる家屋

 ただ、建設費15億4000万ユーロ(約1830億円)に対し、拠出額が6億ユーロ不足しているため、ウクライナ政府は今月19日に国際会議を開き、追加支援を求める。新シェルターは100年の耐久性を持つとされ、完成すれば安全性向上に役立つと期待される。

 しかし、近い将来、立ち入り規制区域内に住民が帰還するのは困難とみられている。原発職員ら約5万人が住んでいた原発近郊の町プリピャチでは無人のアパートや学校、レストラン、商店などが荒れ果てるままに放置されていた。

 コンクリートやアスファルトの割れ目に盛り上がるコケに線量計をかざすと、毎時2マイクロシーベルトを超え、土壌の放射能汚染をうかがわせた。

チェルノブイリ地図

チェルノブイリ地図

「負の遺産」利用に批判も

1986年4月26日、史上最悪の原発事故が起きたチェルノブイリ原発4号機建屋

1986年4月26日、史上最悪の原発事故が起きたチェルノブイリ原発4号機建屋

 その一方で、事故から25年を迎え、ウクライナ政府は原発への「観光ツアー」の解禁で、「負の遺産」を観光資源として利用する道を探り始めた。

  ウクライナ非常事態省は、所定の手続きを取れば、研究者やメディア関係者だけでなく、観光客にも原発訪問を許可している。専門ガイドのユーリー・タタル チュクさん(38)は「今年は事故25周年や福島原発事故でチェルノブイリへの関心が高まり、訪問者が増えた。1日で8グループが訪問したこともある」と 話した。

 しかし、こうした動きを批判する声も根強い。チェルノブイリ原発の元技術者で、大量被ばくで障害者認定を受けたアナトリー・コ リャジンさん(61)は「事故原発をビジネスに利用して潤うのは一部の政府関係者らだけ。政府は被ばく障害者への医療支援の支出を制限しており、必要な手 術が受けられないケースが増えている」と指摘している。

◇〔用語解説〕チェルノブイリ原発事故

国際原子力事故評価尺度<br />チェルノブイリと福島は「レベル7」<br />スリーマイルは「レベル5」と評価された

国際原子力事故評価尺度
チェルノブイリと福島は「レベル7」
スリーマイルは「レベル5」と評価された

 1986年4月26日未明、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号機で運転試験中、炉心溶融と爆発が起き、大気中に大量の放射性物質が放出された史上最悪の原発事故。

 当時のソ連政府が発表した死者数は消防士ら33人だが、大量に被ばくした事故処理作業員らが多数死亡。子供の甲状腺がん多発など深刻な健康被害ももたらしたとされる。

 原発の周囲30キロ圏では住民約12万人が強制立ち退きとなり、現在も立ち入り規制が敷かれている。

 


流出放射能、4700兆ベクレル=高濃度汚染水、海に500トン超―福島第1原発

2011年04月21日 19時37分16秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2011年4月21日 13時15分

 

 東京電力は21日、福島第1原発の2号機取水口付近から一時期流出していた高濃度の放射能汚染水につい て、流出量は少なくとも約520トン、放射能量は約4700テラベクレル(テラは1兆)と推定されると発表した。保安規定で同原発1~6号機から1年間に 放出が許容される量の約2万倍に相当するという。記者会見した松本純一原子力・立地本部長代理は、今回の事故で水素爆発などにより大気中に放出された放射 能と比べると、100分の1程度と説明。半径30キロ以内の沿岸や沖合計16カ所で海水調査を行っており、「きちんと海洋への影響を評価したい」と述べ た。

 流出は2日朝に発見され、6日朝に工事で止めた。1日昼ごろの取水口付近の放射線量は比較的低く、その当時は大きな流出はなかったと みられるが、1日から大規模な流出が始まったと仮定。流出状況の写真から、毎時約4.3トンの流出が120時間続いたとして、流出発見当日に採取した汚染 水の濃度を掛け合わせた。 


燃料溶融の可能性認める 東電、福島第1原発

2011年04月21日 18時47分43秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

 福島第1原発でロボットが撮影した映像について説明する東京電力の担当者=20日午後、東京・内幸町

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2011年4月21日 01時46分

 福島第1原発事故で、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は、1号機の燃料溶融について「炉心の状態が確認できないが、決して溶融していないと断定して申し上げているわけではない」と燃料溶融の可能性を認めた。20日の記者会見で話した。

  松本部長代理は、炉心溶融のイメージとして「炉心がドロドロに溶けてぼたぼたとたまっている状態。被覆管が割れて燃料棒が飛び出してくる形状もあると思う が、それらを炉心溶融ととらえている」とした上で、燃料が溶融しているか損傷しているかについては「わたしどもとしては急いで定義することは考えていな い」とした。