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森羅万象 ~ 歩く印象派

南海トラフ:静岡県「複合」初想定…富士山噴火、原発事故

2013年06月27日 22時38分37秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

 毎日新聞 2013年06月27日 19時58分(最終更新 06月27日 20時29分)

 

 静岡県は27日、南海トラフ巨大地震の際、富士山の噴火や中部電力浜岡原発(同県御前崎市)の事故がそれぞれ重なる複合災害を初めて盛り込んだ地震被害想定を公表した。東電福島第1原発事故を踏まえ、「最悪のシナリオ」を想定した。

 南海トラフ巨 大地震の被害については、昨年8月の国の被害想定をほぼ踏襲し、津波や建物の倒壊などで静岡市で1万2700人、浜松市で2万3180人が死亡するなど県 内の最大死者数を10万5000人とした。しかし複合災害による具体的な被害規模や避難誘導方法は示しておらず、今後の避難計画策定などが課題となる。

 富士山の活動については、噴火前から活動縮小まで段階的な対応を定めた。「地震による機器故障や通信遮断で火山観測ができず、降灰で人員や資材搬入が困難となり建物倒壊の危険もより高まる」と、複合災害の対応の困難さを強調した。

 富士山は、南海トラフで発生したマグニチュード(M)8.6の宝永地震(1707年)の49日後に噴火するなど火山活動と大地震の関連が指摘されている。国や山梨県も交えた「富士山火山防災対策協議会」は先月、溶岩流出ルートから避難対象は両県で最大約75万人と試算した。

 浜岡原発からの放射性物質の拡散も想定。「地震による建物倒壊で屋内退避や避難所確保に著しい支障が出る」と、原子力災害への対応に大きな制約が加わる懸念を盛り込んだ。

 昨年10月、原子力規制委員会が従来8~10キロ圏だったUPZ(緊急防護措置区域)を30キロ圏に拡大。同県は原発の単独、複合災害に備え、UPZの住民を中心に約96万人の広域避難計画を策定中。

 同県は「複合災害時や(世界遺産登録に伴う)登山者増加への対策はめどが立たず、今回の想定をもとに県内各市町と協議し、具体的な対策を打ち出していきたい」と話している。【山本佳孝、樋口淳也】


<どうすれば安全安心>富士山は「噴火スタンバイ状態」 ガラス粒の火山灰、広域に

2013年06月27日 21時39分51秒 | 歩く印象派

毎日新聞 2012年09月27日 東京夕刊

専門家によっては「数年以内に噴火の可能性がある」との見方が出ている富士山。過去に起きた噴火の記録をひもとけば、溶岩流や大量の火山灰などもう 一つの荒々しい姿がのぞく。今起きたら、首都圏を含む広い範囲に莫大な被害を及ぼすことは確実。何に留意し、いかに備えるべきなのか。【井田純】

 ◇コンタクトレンズ厳禁/パソコンダウンの恐れ/大規模停電の可能性も

 

 「昨年の大震災で日本列島が東西に引っ張られ、マグマが出やすくなった、という考えが成り立つ。日本の 活火山のうち危険度の高い20前後は、どれが噴火してもおかしくない」と語るのは京都大の鎌田浩毅教授(火山学)。最大の心配は富士山だ。首都圏に近く、 江戸時代の「宝永噴火」から約300年間噴火がない分、マグマがたまっていると考えられるからだ。「火山活動と密接な関連のある低周波地震も観測されてい る。富士山が“スタンバイ状態”にあることは確かです」

 

 注目されているのは、大震災4日後に静岡県東部で起きたマグニチュード6・4の地震。独立行政法人・防 災科学技術研究所などによると、この時、富士山のマグマだまりには、宝永噴火時の推定値を上回る1・6メガパスカルの圧力がかかっていた。「あれほどの力 が加われば噴火があってもおかしくなかった。私たちの表現を使うと『マグマだまりの天井にひびが入った』ということです」

 

 いざ噴火の時、まず最初に飛び出すのが噴石。「宝永火口も平安時代の貞観噴火の火口も、長い時間がたっ てふさがっている。最初に火口が開く際に、その岩を水蒸気が飛ばす。これが噴石です」。風向きによっては火口から10キロ以上の場所に達する場合もある。 登山客らが直撃を受ければ、即、命にかかわる。

 

 その後に始まる本格的な噴火にはいくつかのパターンがある。昨年1月に噴火した新燃岳(鹿児島、宮崎 県)では、大量の火山灰が被害をもたらした。91年の雲仙・普賢岳(長崎県)噴火では火砕流が発生、多数の人命を奪った。果たして富士山はどのタイプか。 鎌田教授は言う。「実は、富士山ではこれまでありとあらゆることが起きている。いわば『噴火のデパート』なのです」。火山灰、火砕流、溶岩流、さらには噴 火によって山自体がなだれのように崩れ落ちる現象「山体崩壊」の可能性すら排除できないという。

 宝永噴火では、10日以上も火山灰が降り続き、横浜で10センチ、江戸で5センチの厚さに積もった、と伝えられる。火山灰による具体的な影響はど のようなものか。新燃岳に近い宮崎県都城市の危機管理課の職員は「車が通るたびに火山灰が舞い上がり、降灰集中地域の住民のほとんどがマスクを着けた。目 に入ると危険なので、コンタクトレンズは厳禁」と話す。

 「灰」といっても、実体はマグマが微粒子となった薄いガラス片だ。目に入れば角膜を傷つけ、吸い込むと 呼吸器系疾患につながる。防災科学技術研究所によると、衣類から作った即席の布製マスクでも大きめの火山灰は防げるという。水で湿らせればさらに効果が高 まる。もちろん、一般的な災害対策と同様、飲用水や非常用食料の備蓄、情報確保のための電池式のラジオは必須だ。

 人体への影響だけではない。火山灰の被害は、首都圏を中心とした交通網、通信インフラに及び、経済活動全般に大きな打撃を与える。

 個人レベルでまず気をつけたいのがパソコンだ。隙間(すきま)から内部に入り込んだ火山灰がパソコンを ダウンさせる危険がある。鎌田教授は「緊急避難的にとりあえずラップでくるむ、という人もいますが、自宅で使う場合、火山灰を家の中に入れないようにする ことが大事。中に入ってしまうと取り除くのは難しくなります」。ドアや窓をきっちりと閉め、場合によってはテープで隙間を塞ぐことが重要になる。また、屋 内に入る前に、衣服などに付着した火山灰を丁寧に払うだけでも効果が期待できるそうだ。

 交通機関への影響も広範囲にわたる。火山灰がジェットエンジンに入ると停止する危険性があるため、空の便はストップ。鉄道、高速道路などは降り積もった火山灰の影響でマヒ状態になることが予想される。

 「社会インフラに与える影響で一番心配なのは、火力発電所です」と言うのは鎌田教授だ。火力発電は、圧 縮した空気と燃料を混ぜて燃焼させ、タービンを回す仕組み。外から取り込んだ空気に混じった火山灰はフィルターを詰まらせ、燃焼効率を下げる。さらにフィ ルターを通り抜けるほど細かい火山灰が燃料に混入すれば、タービン自体に損傷を与える可能性も。また、火山灰が送電線に付着することで漏電を起こし、大規 模停電を起こすことも考えられるという。

噴火がおさまった後の火山灰処理も難題だ。都城市の除去作業では、ブルドーザー、鹿児島市から借りた道路清掃車、さらには手作業も要したという。 「大量のゴミ袋が必要になります。家屋の屋根に積もった灰はいったん下に吹き飛ばしてから処理するのですが、屋根からの転落事故も相次ぎました」と都城市 の肥後信行・新燃岳対策監は話す。

 震災の記憶が鮮明な今こそ、噴火への備えも忘れないようにしたい。

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 ◇降灰前に準備しておくもの

□防じんマスク、防じん眼鏡

□3日分の飲用水(1日約4リットル)と食料

□ラップ(電化製品に火山灰が入らないようにするため)

□電池式ラジオ

□手提げランプや懐中電灯

□予備の電池

□暖房用の予備燃料(寒い時期)

□予備の毛布

□医薬品

□ほうき、掃除機、シャベルなど清掃用具と掃除機用の交換フィルター

□現金(ATM=現金自動受払機=や銀行が利用できない可能性があるため)

 ※防災科学技術研究所のウェブサイトなどから作成

 


気象現象:鳥海山上空 同時に「環水平アーク」と「暈」

2013年06月13日 19時10分10秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2013年06月13日  毎日新聞

山形と秋田の県境の霊峰・鳥海山(2236メートル)の上空に水平の虹「環水平アーク」と

太陽の回りにできる光の輪「暈(かさ)」の二つの珍しい現象が出現した。

 いずれも、太陽光が大気中に散らばる氷の結晶の中を通過する際に屈折して起きる。

中でも環水平アークは、太陽高度が高い時間帯に、条件がそろわなければ現れないといい、

山形地方気象台は「暈と環水平アークを同時に見られるのはとても珍しい」と話す。

 出現したのは5月18日の正午過ぎ。鳥海山の秋田側の登山口の祓川駐車場(1180メートル)。

登山者 らが「水平の虹が出ている」と叫んだ。見上げると太陽を丸く囲む暈といっしょに、環水平

アークが出ていた。環水平アークは「地震雲」とされるが科学的根拠 はない。また暈は観天望気で

「天候悪化の兆し」とされる。環水平アークは30分ほどして消えてしまった。【佐藤伸】


普通の地震では考えられないような現象が起きている可能性もある

2013年06月02日 21時58分26秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2013年6月2日 20時43分 東京新聞

首都圏の地震頻度、高止まり 巨大地震確率も押し上げ

 東京都や神奈川県など首都圏を震源とする「首都直下地震」が起きると想定される地域で、マグニチュード(M)3以上の地震の発生頻度は東日本大震災後2年近くたった昨年末でも大震災前より高い状態であることが、遠田晋次・東北大教授らの2日までの分析で分かった。

  大震災を受けて頻度は上がり、その後下がっていくと予想されたが、元に戻るペースが遅く、将来の巨大地震発生の確率も押し上げているという。今後数年間は 高止まりが続くことも考えられ、遠田教授は「普通の地震では考えられないような現象が起きている可能性もある」と注意を呼び掛けている。

(共同)