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森羅万象 ~ 歩く印象派

「富国強兵」の国策に浮かれる中国指導部

2013年11月28日 01時55分43秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

毎日新聞 2013年11月26日 02時33分

 中国国防省が東シナ海の大半に防空識別圏(ADIZ)を設定した。圏内を飛行する航空機が国防省の定める規則に従わないと戦闘機の緊急発進を行うという。

 きわめて乱暴で危険だ。東シナ海上空は、これまで半世紀以上も日本、韓国、台湾の防空識別圏が存在し、それによって平和な秩序が保たれてきた。防空識別圏について国際法上の根拠はまだ確立していないとしても、長い実績がある。

 それを中国が一方的に、武力によってこの空を排他的に占有すると宣言した。アジアの安全に挑戦する挑発的な行為といわざるをえない。

 東シナ海は沖縄の在日米軍基地にも近い。北朝鮮のミサイル危機が起きると東シナ海上空を日米の戦闘機、 警戒管制機が飛ぶ。中国はそのたびに戦闘機を緊急発進させて追い出すつもりか。米中の武力衝突がどれほど危険なことか、「富国強兵」の国策に浮かれる中国 の指導部に頭を冷やしてもらいたい。

 米国が懸念するのは当然だ。6月の米中首脳会談で、米中は「新型大国関係」を確認し、米国は太平洋で中 国海軍が行動することを認めた。だが、西太平洋が中国の縄張りになったわけではない。国際ルールに不慣れで危険な独善的行動の目立つ中国軍が洗練された行 動をとることが前提だろう。

 中国艦隊が外洋で行動するには、その上空を管制機や護衛機、対潜哨戒機が飛ぶ必要がある。外国軍を中国 大陸に接近させない「接近拒否戦略」だけではなく、外洋進出のためにも中国軍は東シナ海、南シナ海の制空権がほしいのだろう。中国軍は太平洋上で米中対決 を望むようにみえる。このさい米国ははっきり警告のメッセージを出すべきだ。

 日本政府は、中国政府に防空識別圏の撤回を求めた。防空識別圏自体は領土主権とは違うが、圏内に日本の 領土である尖閣諸島が含まれている。島の上空で中国軍用機が行動することは明らかな主権侵害になる。島の領有権紛争を棚上げにするというこれまでの中国政 府の主張に照らしても筋が通らない。

 識別圏に領土問題がからむのは韓国も同様だ。中国は識別圏を白紙にし、そのうえで自国識別圏設定につい て先発各国に協議を求めるのが常識だ。日中には米中のような軍事対話がないことも危うい。日米、米韓は同盟関係にあり、中国との軍事摩擦が米国を巻き込む 可能性は大いにある。

 習近平政権は中国が米国をしのぐという「中国の夢」に酔っている。だが、中国自身の高度成長を可能にしたのはアジアの平和秩序があったればこそだ。それを破壊するとは、暴力的な文革の夢を見ているのか。


「悪意」ではなく「恐怖」・韓国から日本を見る目

2013年09月28日 13時08分28秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

以下はジョルダンニュース(9月26日)http://news.jorudan.co.jp/docs/news/detail.cgi?newsid=JD1380126051128より

 

旧暦の8月15日は、今年は新暦で9月19日だった。
中華圏や韓国では「中秋節」と言い、日本の「お盆」となる。先祖の霊が地上に降りてくるとい う日だ。この日をはさんで中華圏では「秋のお休み」。今年は気が早いところでは9月14日の土曜日からの1週間を休むところも多かった。大学などの教育機 関でも休講になるところが多いが、だいたいは18日から20日まで本格的な連休となった。今年は20日が金曜日だったため、そのまま週末も含めて18日か ら22日までという大型連休だった。

いつも韓国で仕事をしている私も、この18日からの休みに日本行きの飛行機を取ろうとしたが、1か月 前の予約では満席で取れなかったため、仕方なく前日の17日の便でかろうじて席が取れた。しかし、韓国でのテレビのニュースを見て「ひょっとして」と思 い、18日を一週間前に控えた11日に再度18日の予約を入れて見たところ、なんと簡単に取れてしまった。そして、18日の日に韓国から成田行きの飛行機 に搭乗して重ねて驚いた。韓国の人がほとんどいなくなっていたのだ。

連休ともなれば、特にアウトドアの山歩きが流行っている韓国では、日 本での山登りの客が増えてきていて、連休初日などはかなり前から日本行き飛行機の予約を取らないと席が取れないという状態だった。しかし、今回はいつもの 「連休ラッシュ」がなかった。いや、直前になってそのラッシュが消えた。

実は韓国内のニュースを見て「これは連休初日の飛行機が取れるか も?」と思ったのは、他でもない、日本の福島原発の事故による大量の放射能汚染水漏れのニュースが韓国でもこの期間にあり、特に韓国では日本からの魚の輸 入を停止するなどの措置が取られた、ということがあったからだ。
韓国ではソウルなど大都市で「日本居酒屋」が大流行していて、当然「日本製の魚の刺し身」などは多くの人に好まれている。日本で労働問題などでなにかと話題になることも多い大手居酒屋チェーンも進出していて、大繁盛していた。

し かし、2020年の東京オリンピック招致に成功した7日前後から、この大量の放射能汚染水問題のニュースが世界中に配信され、韓国でも多くの人の口にこの 話がのぼっていて、私も「日本は大丈夫ですか?」と聞かれることが非常に多くなっていた。そして、この連休が終わった途端、韓国系の航空会社が韓国-日本 便の大幅な減便などを行うことを発表した。韓国だけなく、このところ増便を繰り返していた台湾や中国からの日本への旅行客も、特に東京やその近辺へ行く飛 行機を中心に激減している。

一部の「嫌韓」と呼ばれている人たちは「韓国なんか来なくてせいせいする」と言っている人もいるようだが、これは韓国だけの話ではない。観光客の世界的な「日本忌避」が始まっていることを覚えておいたほうがいい。
国 土交通省・観光局の統計によれば、2013年1-8月の日本への外国からの入国者はおおよそ686万人で、そのうち韓国からの入国者が26%の180万人 と、一番多くかつ過去最高となっている。続いて台湾からが147万人(21%)、中国からが84万人(12%)、となっていて、この3国・地域だけで日本 への入国者数の70%近くを占める。

2020年の東京オリンピックでも、当然のことながら韓国からの観光客は一番多くなることが予想され る。逆に言えば、韓国や、台湾を筆頭とした中華圏からの観光客が減ると、日本のオリンピック、ひいては「日本復興」の掛け声も、特に観光立国を考えれば大 きな打撃を受ける可能性もあるのだ。

そして1週間の日本での休暇を終え、韓国の職場に戻ってきたとき、コンビニエンスストアに入って驚い た。このあいだまでコンビニの棚にあった「売れ筋」の日本製ビールの数や種類が半分以下に激減していたのだ。テレビをつければ「日本は、魚が危ない。水が 危ない」などのニュースも毎日のようにやっているが、一方で韓国の政府は日本からの魚の放射能汚染の全数検査を行うことを発表し「日本製は危なくない」と いうことをかなり力を入れて宣伝している。しかし、友人の韓国の人に聞いたら「韓国の政府の言うことはみんなあまり信用していない」と言う答えが返ってき た。
そう言われて、外務省が出している「日本製品を輸入禁止にしている国のリスト」を再度見てみた。韓国だけの「日本の水産品輸入禁止」がニュー スになっているが、中国、タイ、台湾なども含め、多くの国が韓国どころではない日本製品の輸入禁止措置をとっていることがわかる。韓国だけではないのだ。

韓国に限らず日本を見る外国人の目が、この半月ほどのあいだに、180度変わった。
オリンピックどころではなくなってきた、というのが実感だ。

(参考1)観光局統計の外国人観光客の入国統計

(参考2)外務省・日本製品の輸入禁止や制限をしている国のリスト

【ニュース解説チーム】
執筆者:m

 


群馬・太田→栃木・足利 越境通学 打ち切り紛糾

2013年09月25日 20時46分10秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

東京新聞 2013年9月25日 夕刊

 半世紀にわたって「特例」として続いている群馬県太田市から隣接する栃木県足利市の小中学校への「越境通学」について、太田市が今月、二〇一四年 度からの中止の方針を示し、保護者が猛反発している。二十四日夜の説明会は三時間近く紛糾、「なぜ今変えるのか」「子どもの気持ちを考えて」と反対意見が 相次いだ。太田市教育委員会は在校生の転校に一定の猶予期間を設ける検討を始め、十月中にも最終判断する。 (美細津仁志)

 「太田の子どもは太田で育て、教育すべきだ」。今月三日の太田市議会一般質問で、清水聖義(まさよし)市長は今後、教育事務委託料に予算付けしな い考えを明らかにした。越境通学は長年、市議会で議論されてきたが、地元ではデリケートな問題として、多くは語られてこなかった。だが「ズルズル行っても 仕方がない」と、清水市長が大なたを振るった格好だ。

 太田市高瀬町の児童生徒百十六人のうち四十八人が約二キロ先の足利市立山辺小中学校に通う。地元の毛里田(もりた)小中学校までは約四キロと遠いためだ。最寄りの駅と郵便局など、生活圏は足利市にある。

 委託料は一九六四年に太田市が足利市と結んだ規約を元に足利市に支払い、山辺小中学校への越境通学を担保している。二〇一三年度は五百八十七万円。

 越境通学が廃止となれば在校生の転校は不可避で、太田市教委は九日付で関係する四十世帯に、新年度の方針を通知した。

 それによると、山辺中に通う生徒には部活動や受験などを考慮し、卒業までの通学を保証。一方、山辺小に通う児童には、一四年度から太田市側の毛里田小か駒形小に転校してもらう。小中学校の新一年生にも太田市側への入学を求めている。

 説明会は二十四日夜、地元公民館で非公開で行われ、父母三十八人に市教委が方針を伝えた。父母側は「猶予期間は設けないのか」「納得できない」な どと述べ冒頭から紛糾。「山辺小中学校に通えるから、引っ越してきた」「子どもの人権はどうなる。大人の事情ではないか」と迫る場面もあった。説明会は午 後七時半から約三時間に及んだ。

 渋沢啓史(ひろし)教育長は、小学一~五年の在校生について、「既に足利市から出ている入学許可証をほごにはできない」と理解を示した。終了後、清水市長に新年度以降も委託料を継続してもらう考えを明らかにした。

 受け入れ側の足利市教委の担当者は「太田市からの委託がなければ受託しようがない」と話している。

◆越境通学特例の経緯

 太田と足利の両市が委託料に基づく越境通学の規約を結んだのは1964年。太田市高瀬町から約4キロ離れた毛里田小中学校が遠いため、約2キロ先の山辺小中に通えるようにした。

 85年には山辺小とほぼ等距離の太田市側に駒形小、87年にはその先に城東中がそれぞれ開校し、同町から通学できるようになっている。

 近年は、毛里田小と駒形小でスクールバスが運行され、太田市側に通学する割合が増えている。本年度は町内の児童、生徒計116人のうち、48人が山辺小中へ通う。足利市に支払う委託料は約587万円。


南海トラフ:静岡県「複合」初想定…富士山噴火、原発事故

2013年06月27日 22時38分37秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

 毎日新聞 2013年06月27日 19時58分(最終更新 06月27日 20時29分)

 

 静岡県は27日、南海トラフ巨大地震の際、富士山の噴火や中部電力浜岡原発(同県御前崎市)の事故がそれぞれ重なる複合災害を初めて盛り込んだ地震被害想定を公表した。東電福島第1原発事故を踏まえ、「最悪のシナリオ」を想定した。

 南海トラフ巨 大地震の被害については、昨年8月の国の被害想定をほぼ踏襲し、津波や建物の倒壊などで静岡市で1万2700人、浜松市で2万3180人が死亡するなど県 内の最大死者数を10万5000人とした。しかし複合災害による具体的な被害規模や避難誘導方法は示しておらず、今後の避難計画策定などが課題となる。

 富士山の活動については、噴火前から活動縮小まで段階的な対応を定めた。「地震による機器故障や通信遮断で火山観測ができず、降灰で人員や資材搬入が困難となり建物倒壊の危険もより高まる」と、複合災害の対応の困難さを強調した。

 富士山は、南海トラフで発生したマグニチュード(M)8.6の宝永地震(1707年)の49日後に噴火するなど火山活動と大地震の関連が指摘されている。国や山梨県も交えた「富士山火山防災対策協議会」は先月、溶岩流出ルートから避難対象は両県で最大約75万人と試算した。

 浜岡原発からの放射性物質の拡散も想定。「地震による建物倒壊で屋内退避や避難所確保に著しい支障が出る」と、原子力災害への対応に大きな制約が加わる懸念を盛り込んだ。

 昨年10月、原子力規制委員会が従来8~10キロ圏だったUPZ(緊急防護措置区域)を30キロ圏に拡大。同県は原発の単独、複合災害に備え、UPZの住民を中心に約96万人の広域避難計画を策定中。

 同県は「複合災害時や(世界遺産登録に伴う)登山者増加への対策はめどが立たず、今回の想定をもとに県内各市町と協議し、具体的な対策を打ち出していきたい」と話している。【山本佳孝、樋口淳也】


気象現象:鳥海山上空 同時に「環水平アーク」と「暈」

2013年06月13日 19時10分10秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2013年06月13日  毎日新聞

山形と秋田の県境の霊峰・鳥海山(2236メートル)の上空に水平の虹「環水平アーク」と

太陽の回りにできる光の輪「暈(かさ)」の二つの珍しい現象が出現した。

 いずれも、太陽光が大気中に散らばる氷の結晶の中を通過する際に屈折して起きる。

中でも環水平アークは、太陽高度が高い時間帯に、条件がそろわなければ現れないといい、

山形地方気象台は「暈と環水平アークを同時に見られるのはとても珍しい」と話す。

 出現したのは5月18日の正午過ぎ。鳥海山の秋田側の登山口の祓川駐車場(1180メートル)。

登山者 らが「水平の虹が出ている」と叫んだ。見上げると太陽を丸く囲む暈といっしょに、環水平

アークが出ていた。環水平アークは「地震雲」とされるが科学的根拠 はない。また暈は観天望気で

「天候悪化の兆し」とされる。環水平アークは30分ほどして消えてしまった。【佐藤伸】


普通の地震では考えられないような現象が起きている可能性もある

2013年06月02日 21時58分26秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2013年6月2日 20時43分 東京新聞

首都圏の地震頻度、高止まり 巨大地震確率も押し上げ

 東京都や神奈川県など首都圏を震源とする「首都直下地震」が起きると想定される地域で、マグニチュード(M)3以上の地震の発生頻度は東日本大震災後2年近くたった昨年末でも大震災前より高い状態であることが、遠田晋次・東北大教授らの2日までの分析で分かった。

  大震災を受けて頻度は上がり、その後下がっていくと予想されたが、元に戻るペースが遅く、将来の巨大地震発生の確率も押し上げているという。今後数年間は 高止まりが続くことも考えられ、遠田教授は「普通の地震では考えられないような現象が起きている可能性もある」と注意を呼び掛けている。

(共同)

つぶやく福島作業員 政府・東電に振り回された2年間

2013年05月06日 01時26分43秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2013年5月5日 07時09分  東京新聞

 東京電力福島第一原発事故の発生当初から収束作業に従事し、現場の様子をツイッターでつぶやき続け、その内容を七万超の人が注目している「ハッ ピー」さん。福島第一の近くに家があり、作業員としてここで長年働いてきた。このほど本紙の取材に応じ、二年間を超える収束作業で感じた疑問などを語っ た。 (片山夏子)

◆まるで戦場

 二〇一一年三月十四日昼、3号機原子炉建屋で水素爆発が起きた時、ハッピーさんは近くで作業をしていた。突き上げる衝撃、すさまじい爆音に襲われ、がれきがバラバラ降ってきた。

 「ここで死ぬかもしれない」

 まるで戦場だった。建屋から煙が上がり、すすで全身が真っ黒になった人、防護服が血に染まった人もいた。怒号が飛び交う様子はとても現実とは思えなかった。

 ハッピーさんがツイッターを始めたのは水素爆発から六日後の二十日のこと。

 理由は二つあった。一つは情報が錯綜(さくそう)し、不安をあおる報道もあったこと。もう一つは、福島県南相馬市に小さな子どもと住む知人に、現場で起きていることを冷静に伝え「必要以上に心配することはないよ」と伝えるためだったという。

 つぶやきの中で自分のことを「オイラ」と書き、「です」ではなく「でし」で結ぶことが多い独特のメッセージ。初めのころ、読み手は子どもがいるお母さんが多かった。「助けられました」「救われました」というお礼や温かい言葉が寄せられた。

◆命は二の次

 ハッピーさんのつぶやきには現場で感じる政府や東電への率直な疑問が多い。

 政府や東電が、根拠のない楽観的な見通しを示したり、きちんと説明しない発表をするたびにいらついた。事実をありのまま伝えないことで、かえって不安をあおっていると感じたという。

 事故発生当初、作業工程の調整がなされないまま、現場に指示が飛んだことにも閉口させられた。電気系と配管系の作業が同じ場所で同じ時間にぶつかり、片方の作業ができなくなるなどの混乱が起きた。

 混乱の跡は、二年たった今も福島第一の各所に残る。ほぼ同じ場所に汚染水の移送ホース、電源ケーブルや機器を制御するケーブルが乱雑に設置されている点などがそうだ。緊急作業だったとはいえ、誤作動や漏電の恐れがあり、今後の不安要因になっている。

 「総理が二十四時間作業しろと言っているから何とかしろ」。こんな指示が現場に飛んだこともあった。無理やり二十四時間体制のシフトを組んだが、作業効率が落ちた。

 現場の状況も考えず毎月発表された工程表にも悩まされた。「政府がやるって発表しちゃったから作業を急いでくれ」と言われ、準備もできていないのに夜中に駆り出されたこともあったという。

 特に、防護服を着ての夏の作業では何度も倒れそうになった。「休め」とは言われるが、工程表はそのまま。作業員の命や安全は、二の次になっていると感じた。

◆コスト優先

 一一年九月、ハッピーさんの耳に、政府と東電が「冷温停止」に「状態」をくっつけて新語をつくり、年内にも福島第一が「冷温停止状態」になったと宣言する、との情報が入ってきた。

 だが、溶け落ちた核燃料の状態もわからない。原子炉の冷却にしても、ポンプ故障だけでなく、配管の詰まりや破損などで止まる可能性がある。原子炉の温度計が不安定な動きをし始める中で、炉内が一〇〇度以下と言えるのかどうか…。「冷温停止なんてあり得ない」と思った。

 さらに十一月ごろには、「事故収束」まで宣言するらしい、との情報が入ってきた。

 「まさか」と思ったが、十二月に実施する予定だった2号機の格納容器の穴開け作業が年明けに延びるなど、宣言の妨げになるかもしれない危険な作業は延期され始めた。

 これまでも「選挙があるから、それまで危険な作業はするな」「担当大臣が明後日、海外に行くから今日中にやれ」と現場で指示されるなど、政治の動きに振り回されてきたが、まただった。

  収束宣言後、事故現場では、コスト優先の契約が目立つようになり、危険手当や給与の削減など作業員の雇用条件が悪化した。事故後に福島第一に導入された設 備類は、保守管理のことを十分考慮していない仮設のものが多い。耐久性のあるものに交換すべきだと東電に提案しても、「予算がない」と却下されることも増 えた。

 ハッピーさんは、東電が会社再建を急ぎながら、事故収束も進めることに大きな疑問を感じている。コスト優先では、経験豊かな作業員も雇用が安定しないため集まらず、廃炉作業も進まない、と危機感を抱いている。

 「国がいくら税金を投入しても、東電の借金になるだけ。東電が民間企業である以上、コストを優先するのは当然。これでは廃炉は遅々として進まない。世界を揺るがした原発事故なのだから、国と東電は収束作業を専門に担う組織をつくって強力に進めるべきだ」

(東京新聞)


沖縄タイムス 社説[政府式典と天皇]政治利用の疑いが強い

2013年04月15日 23時09分46秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

 

社説[政府式典と天皇]政治利用の疑いが強い

沖縄タイムス 4月15日(月)9時27分配信

 サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に、政府主催で開かれる「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」には、根本的な疑問がつきまとう。
 はっきり言ってこの式典は政府主催の行事にはなじまない。安倍政権は自らの勇み足を認め、政府式典を取りやめたほうがいい。そもそも天皇・皇后両陛下は、式典出席を望んでいるのだろうか。あえて推測すれば、とてもそのようには思えない。
 昭和天皇は戦後、全国各地を巡幸し、戦後巡幸が一段落した後も、国体や全国植樹祭などの行事に出席するため各県を訪問した。だが、激しい地上戦の舞台となり米軍政下に置かれた沖縄には、戦後、一度も足を運んでいない。
 1975年初訪米の際、「米国より先に沖縄にいくことはできないか」との意向を周辺に漏らしたといわれるが、沖縄に反対論が根強く、実現しなかった。
 87年に開かれた第42回国民体育大会(海邦国体)への出席も、病気のため急きょ取りやめになった。戦争責任の問題も、米国による沖縄の長期占領を進言した「天皇メッセージ」の問題も、ついに本人の口から語られることはなかった。昭和天皇の晩年の歌が残っている。
 「思はざる病となりぬ 沖縄をたづねて果たさむ つとめありしを」
 現在の天皇の沖縄訪問は、皇太子時代を含めると、すでに9回。昭和天皇が果たせなかった「つとめ」を自分なりに意識して果たそうとしているようにも見える。
    ■    ■
 昨年12月、79歳の誕生日に際して記者会見し、沖縄についてこう語っている。
 「沖縄はいろいろな問題で苦労が多いことと察しています。その苦労があるだけに、日本全体の人が皆で沖縄の人々の苦労している面を考えていくことが大事ではないかと思っています」
 この言葉を、足し算も引き算もせず、字義通り解釈したい。記者会見では「沖縄の人々の被った災難というものは、日本人全員で分かち合うということが大切」だとも語ったという。
 「4・28」式典への出席は、政治利用の疑いが濃厚だ。
 安倍政権から式典出席を要請され、「国民統合の象徴」である天皇は、あっちたてればこっちたたず、の状況に追い込まれている。
 今回の式典開催は、自分の歴史認識を強硬に押し通そうとする安倍晋三首相の「イデオロギー過多政治」の典型である。
    ■    ■
 自民党は以前、4・28を「主権回復記念日」にするための国民の祝日法改正案を国会に提出したことがある。今回の政府主催の式典は、その流れの延長にある。
 だが、沖縄にとって4・28は真逆の日だ。立法院は62年2月、「施政権返還に関する要請決議」を全会一致で採択した。国連の「植民地解放宣言」を引用しながら、沖縄分離を「正義と平和の精神にもとり」「国連憲章に反する」と厳しく批判している。


砂川事件「一審は誤り」 最高裁長官 米に破棄示唆

2013年01月18日 05時52分35秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

東京新聞2013年1月18日 朝刊

 米軍の旧立川基地拡張計画をめぐる「砂川事件」で、米軍駐留を違憲とした一九五九年の東京地裁判決(伊達判決)を破棄した最高裁の田中耕太郎長官 が、十五人の裁判官による非公開の評議内容を当時のマッカーサー駐日米大使に示唆していたことが米公文書で分かった。これを裏付けるため、砂川事件の元被 告三人を含む七人が三十日、最高裁に行政文書の開示を求める。

 文書は、ジャーナリストの末浪靖司さん(73)が二〇一一年九月、米公文書館で発見し、元被告や支援者でつくる「伊達判決を生かす会」に提供。会の事務局が翻訳した。

 文書は田中長官が裁判長を務めた大法廷で審理中の五九年十一月五日付で、マッカーサー大使が米国務長官に宛てた公電。田中長官との非公式会談で、 田中長官が「(東京地裁の)伊達裁判長が憲法上の争点に判断を下したのは全くの誤りだったと述べた」「来年の初めまでには判決を出せるようにしたいと語っ た」などと記されている。

 さらに、田中長官が「十五人の裁判官からなる法廷にとって最も重要な問題は、この事件に取り組む際の共通の土俵を作ることだと見ていた」「裁判官 の幾人かは手続き上の観点、他の裁判官たちは法律上の観点、また他の裁判官たちは憲法上の観点から問題を考えていると示唆した」「下級審判決は覆されるだ ろうと思っている印象を受けた」と報告している。

 また、最高裁が同年十二月十六日に一審判決を破棄した翌十七日、マ大使が米国務長官に宛てた公電には「全員一致の最高裁判決が出たことは、田中裁判長の手腕と政治力に負うところがすこぶる大きい」などと記されていた。

 元被告の一人で、伊達判決を生かす会の共同代表土屋源太郎さん(78)=静岡市葵区=は「憲法の番人である長官が、当事者である米側に審理中の裁 判内容を漏らしていた。この事実を多くの人に知ってもらいたい」と開示請求の必要を主張。末浪さんも「最高裁判決の翌月、日本は日米安保条約改定に調印し ている。政府だけでなく、最高裁が密談して決断を下したのは、法制上も問題だ」と指摘している。

<砂川事件と伊達判決> 1957年7月8日、東京都砂川町(現立川市)の米軍立川基地拡張のための測量に反対するデモ隊の一部が基地に立ち入り、 7人が刑事特別法違反罪で起訴された。東京地裁の伊達秋雄裁判長は59年3月30日、「米軍の駐留は戦力の保持に当たり、憲法9条に違反する」と全員に無 罪を言い渡した(伊達判決)。検察側は高裁を経ずに最高裁の判断を求める「跳躍上告」をした。最高裁は同年12月16日、「安保条約は高度の政治性を有 し、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の対象外」と一審判決を破棄。63年の差し戻し審で全員の有罪が確定した。


元巨人・桑田氏「体罰に愛情感じたことない」 桜宮高2自殺

2013年01月14日 19時02分50秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

産経新聞 013/01/11 23:21

 小学生の時、グラウンドで監督やコーチから殴られない日は無かった。愛情を感じたことは一度もない。体罰が嫌でグラウンドに行きたくなかった。体罰で力のある選手が野球嫌いになり、やめるのを見てきた。

  体罰が減らないのは勝利至上主義があるためだ。プロ野球はそれでもよいが、アマチュアは育成主義でなくてはならない。指導者は、自分が体罰を経験して嫌な 思いがあっても、勝利至上主義のために体罰を繰り返してしまう。疲れている放課後や休日に「指導してあげている」との思いが、暴力的な行為につながってい るのかもしれない。

 スポーツにおいて乗り越えなくてはならないのは自分自身。人から何かをされて強くなるものではない。道具も戦術も進化 した。それなのに指導者だけは進歩せず、昔の指導方法のままだ。もっとスポーツの理論やコミュニケーションを勉強して、時代に合った指導方法に変えなくて はならない。スポーツ界は変わっていくべきだ。