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森羅万象 ~ 歩く印象派

「浜岡」住民投票 熟した民意の表れだ

2012年08月31日 19時08分26秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012年8月31日 東京新聞社説

 浜岡原発(御前崎市)再稼働の是非を問う住民投票条例の制定に、静岡県知事が賛意を表明した。政府も「過半が脱原発を望む」と国民的議論を総括。福島事故から一年半。民意は熟しつつある。

 十六万五千百二十七人の「民意」は、重い。

 福島第一原発事故のあと、原発再稼働の是非をめぐって住民投票を求める市民の動きが盛んになった。だが、大阪市では五万人、東京都では三十二万人 を超える有効署名がありながら、それぞれ議会が条例案を否決した。橋下徹市長、石原慎太郎都知事とも反対意見を付けていた。静岡県の川勝平太知事も従来、 再稼働は「マルかバツの単純な問題ではない」などとして、住民投票には、消極的な立場を取ってきた。

 選挙で選ばれた首長や議員は「代表制の否定だ」と、住民投票を嫌う傾向がある。「直接民主主義はまだ地に着いていない」という川勝知事の言葉もあった。

 しかし、福島事故からやがて一年半、国民は原発事故の惨状を目の当たりにし、福島県民の悲しみを感じ取り、電力会社や国の事故対応を見守ってき た。ましてや、静岡県は長年、東海大地震の脅威に向き合ってきた土地柄だ。二十九日には南海トラフの巨大地震で浜岡原発を最大十九メートルの津波が襲うと 公表された。署名は、一時の感情によるものではありえない。生活実感からにじみ出た、やむにやまれぬ行動であり、積もり積もった危機感の表れなのだ。

 「今を生きる大人の責任として、原発問題とはしっかり向き合わなければならない」。川勝知事に県民投票への賛同を求める手紙を手渡した母親グルー プの言葉である。住民はただ反対を唱えるだけでなく、自らが使うエネルギーの選択も含め、原発問題の現実に真っすぐ向き合おうとし始めたのだ。それは二〇 三〇年の原発比率をめぐる「国民的議論」の結果にも、色濃く表れたばかりである。

 原発関連の住民投票条例は、一九八二年の高知県窪川町(現四万十町)以来、七市町村で制定された。このうち、新設をめぐって、九六年の新潟県巻町 (現新潟市)と〇一年の三重県海山町(現紀北町)、〇一年には使用済み燃料を再利用するプルサーマル計画の是非を問う新潟県刈羽村でも実施され、いずれも 計画中止の契機になった。

 今度は、静岡県議会が署名簿と真摯(しんし)に向き合って、その重みをよく考える番ではないか。


土星を横切るタイタン 無人探査機が季節の変化とらえる

2012年08月30日 18時48分46秒 | 地球の不思議・宇宙の不思議

土星を横切るタイタン 無人探査機が季節の変化とらえる

2012.8.30 10:41 宇宙
土星と、その前を最大の衛星タイタンが横切る様子。無人探査機カッシーニがとらえた(NASA提供)

土星と、その前を最大の衛星タイタンが横切る様子。無人探査機カッシーニがとらえた(NASA提供)

 土星の前を最大の衛星タイタンが横切るシーンを、無人探査機カッシーニがとらえ、米航空宇宙局(NASA)が29日、画像を公開した。

 太陽を約29年かけて周回する土星では、地球より長い時間をかけて季節が変化する。カッシーニが土星に到着した8年前に比べると、冬を示す薄い青みを帯びた部分が北半球で薄れ、南半球で濃くなっているという。

 タイタンの直径は地球の約4割。カッシーニは季節によって土星や衛星の様子がどのように変化するかを調べている。(共同)


山で発病、遭難急増 今年すでに23人…富山

2012年08月29日 19時32分13秒 | 山関係のニュース(報道されたもの)
2012年8月29日読売新聞 より
多くの観光客や登山客でにぎわう室堂駅周辺(今月16日)

 富山県内で今年起きた山岳遭難(8月27日現在、計87人)で、「発病」が原因となったのは23人に上り、昨年1年間の22人を上回ったことがわかった。

 中高年の登山ブームが背景にあり、高地での発病リスクに詳しい医師は「気圧が低く酸素が薄い高所では、持病が悪化する危険性が高い。体調が少しでも悪いと思ったら、無理をしないでほしい」と注意を呼びかけている。

  県警地域室によると、登山中に救助要請があった山岳遭難者数は、今年1月から8月27日までの累計で87人。このうち「発病」が原因だったのは23人 (26・4%)で、昨年同時期の遭難者92人中16人(17・4%)を大きく上回った。今年7月28日には北アルプス・剱岳(2999メートル)に向かっ ていた横浜市の男性(60)が手前の前剱(2813メートル)で心臓発作を起こし、死亡した。持病の狭心症が悪化したとみられる。

 11年 の1年間の山岳遭難者132人のうち「発病」は2番目に多い22人(16・7%)で、2人が死亡した。最も多かったのは「転倒」の38人(28・8%)。 3番目は「滑落」15人(11・4%)だった。11年までの5年間、「発病」による遭難者は全体の2割前後で推移し、遭難原因の1~2位を占めている。

 国立登山研修所(立山町)で医療講師を務める黒部市民病院の田辺隆一医師(60)は今年、「発病」が多い理由について、「天候の良い日が多かったため、慣れない中高年が登山をするケースが多かったのではないか」と話す。

  田辺医師によると、標高2450メートルの立山・室堂付近では、気圧と空気中の酸素量が平地の約8割に下がる。酸素量が減ると、心拍数は多い人で2~3倍 になり、最高血圧は200程度まで上がる。狭心症や不整脈などの持病を持つ人は、心臓に血液を送る冠状動脈の血流量が減り、発作を起こす危険が高まるとい う。

 血糖降下剤を服用する糖尿病患者も注意が必要。運動量の多い登山では、思った以上に血液中の糖を消費するため、低血糖に陥り、意識が もうろうとして昏睡したりすることがある。また、脳や肺に水がたまる脳浮腫や肺水腫などの急性高山病を発症することもある。寝不足や風邪気味の状態だと症 状が悪化しやすく、ひどい場合、呼吸困難や神経まひに陥ることがある。

 田辺医師は「高山病は、高所に着いてから30分ほど休み、体を慣らすことで発病リスクを軽減できるが、持病のある人は事前に医師に相談してほしい」と話す。

 日本登山医学会(東京)はホームページ(http://www.jsmmed.org/)で注意点などを紹介、メール(bureau1@jsmmed.org)で質問も受け付けている。

(2012年8月29日 読売新聞)


福島第一事故 安全装置 ベント妨げる

2012年08月29日 07時04分10秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

東京新聞2012年8月29日 07時01分

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 昨年三月の東京電力福島第一原発事故で、早い段階で原子炉への注水に向け、ベント(排気)をしようとしたのに、配管の途中にある安全装置の設計が 悪く、対応が遅れる大きな原因になっていたことが、東電の社内テレビ会議映像から分かった。放射能を閉じ込めるための安全装置が、逆に事故を深刻化させて いたことになる。

 事故では、2、3号機とも高圧で注水する装置が使えなくなり、消防車などで注水しようとしたが、原子炉(圧力容器)の圧力が高く難航した。

 炉の圧力を下げるには、格納容器に蒸気を逃がす弁(SR弁)を開け、合わせてベントをする必要がある。だが、ベント配管の途中に設置されている「ラプチャーディスク(破裂板)」と呼ばれるステンレスの円板が、ベントの障害となった。

 ディスクは、配管にふたをする役目をしており、一定の圧力がかからないと破れない仕組み。誤ってベント弁を開けてしまっても、放射性物質が外部に漏れ出さないようにするのが目的だ。

 しかし、ディスクの設定圧力が高すぎ、早く炉の減圧とベントをして一刻も早く注水をしたいのに、なかなかディスクが破れず対応が遅れ、その間にも核燃料が過熱していく悪循環を起こした。

 テレビ会議の映像には、「ベント前に炉心損傷ということになっちゃう」(十三日午前五時すぎ、3号機への対応で)、「ラプチャーが開くのを待っているところ」(十四日午後十時ごろ、2号機への対応で)など、もどかしい現場の様子が何度も出てくる。

 東電の宮田浩一・原子力安全グループマネジャーは「ベントをしたいと思った時にできなかったことが最もつらい状況だった」と振り返る。

 経済産業省原子力安全・保安院は事故の反省を踏まえ、ディスクがベントの妨げにならないよう見直すべきだとの考えで、原子力規制委員会に対応を引き継ぐ見通しだ。

 北海道大の奈良林直教授(原子力工学)は「欧州ではディスクを迂回(うかい)するルートを設け割れなくてもベントをできるようにしている国もある。日本はこれまで『格納容器から漏らさない』との呪縛にとらわれており、それが設計にも反映されていた」と話している。

(東京新聞)


懐かしの家電で昭和感じて 足立区制80年 きょうから記念企画

2012年08月28日 21時56分51秒 | 歩く印象派

2012年8月28日東京新聞

 

トーストとホットミルクと目玉焼きが一度に調理できる「スナック3」を披露する増田さん=足立区で

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 昭和三十年代に使われていた家電などを集めた展覧会「タイムスリップ 昭和家電 増田健一コレクション」が、二十八日から足立区大谷田五の区立郷 土博物館で開かれる。「三種の神器」といわれた白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの懐かしい家電から、時代の空気を感じられる展示会だ。 

 足立区が区制八十周年を記念して企画した。昭和の家電コレクターで、「大阪市立住まいのミュージアム」研究員の増田健一さん(49)が集めた家電や生活用品約六百~七百点を展示する。三種の神器に加え、「平凡」などの雑誌や粉末ジュースなどがところ狭しと並ぶ。

 増田さんは小学生の時、写真集を見て当時の家電に興味を持ったという。十八歳のころから、古道具屋などを回り、コレクションを始めた。白黒テレビにビデオをつなぎ、当時の歌謡番組を再生しながら、古い冷蔵庫で冷やしたビールを飲むのが楽しみという。

 今回の展示品でお気に入りはトーストとホットミルク、目玉焼きを一度に調理することができる東芝製の「スナック3」だという。増田さんは「何でも 取りあえず作ってみようという気概を感じる。商品としてはあまり売れなかったが、そういうところがこの時代の良さ。ぜひ、みなさんにも懐かしんでもらいた い」と語った。

 十月八日まで。入場料は高校生以上二百円。問い合わせは区のホームページ参照。(土屋善文)


関電「でんき予報」に“不信感” 任意調整できる供給力…数値は自由自在?

2012年08月26日 20時51分37秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012.7.14 19:00 Sankei Bizより

 
関西電力の「週間でんき予報」の一例。大飯原発再稼働なのに数値が…と疑問の声も

関西電力の「週間でんき予報」の一例。大飯原発再稼働なのに数値が…と疑問の声も【拡大】

  • 関電本店に掲げられた巨大な「節電協力」の垂れ幕。需給逼迫の危険性を訴えるが、実態は…=大阪市北区(香西広豊撮影)
  • 本店に掲げられた巨大な「節電協力」の垂れ幕。関電は需給逼迫の危険性を訴えるが、実態は…=大阪市北区(香西広豊撮影)

 7月2日にスタートした関西電力の節電要請から約10日が経過した。当初の一昨年夏比15%以上の節電目標は、大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町)のフル稼働を受け、10%以上に緩和された。

  しかし、関電のでんき予報では、なぜか再稼働後のほうが使用率予報が高くなっているケースが多い。再稼働により供給力が上積みされ、再稼働前後で最大需要 はほとんど変わっていないにもかかわらずだ。なぜ、でんき予報の使用率が改善されないのか? その背景には、関電の“ある思惑”が見え隠れするのだ。

 「節電に対する取り組みを非常に深めていただいている」

 9日、関電本店(大阪市北区)で節電目標の引き下げを発表した香川次朗副社長は、管内で昨夏以上の節電が進んでいるという見方を示した。

 産経新聞の調べでも節電要請開始後、関電管内では昨夏に比べ最大電力が約130万キロワット減少していることが判明。管内の一般家庭や企業が、昨夏以上に厳しい節電に取り組んでいる実態が浮き彫りになった。

ここで利用者(管内の顧客)が節電対策の目安としているのが、関電が連日発表する「でんき予報」だ。特に、企業などの大口需要家にとっては、関電の需給見込みが翌日の生産計画などに影響することもある。

 でんき予報は前日の午後6時ごろに発表される。供給力に対する最大需要の割合を「電力使用率」で示したもので、90%未満であれば「安定した需給状況」としている。

 節電要請初日の2日のでんき予報(1日夕発表)は、電力使用率を「81%」(午後2時台)と予想した。最大電力見込みを2140万キロワットとし、それに対する供給力として、火力をほぼすべて稼働させるなどして2624万キロワットを確保したためだ。

  その後、大飯原発3号機が9日未明にフル稼働を開始。これに伴う揚水発電の能力増強もあって、供給力は計約170万キロワット改善した。しかし、11日 (10日夕発表)のでんき予報はなぜか「88%」(午前11時台)と厳しさを増す予想となった。最大電力見込みは、2日とほぼ同じ2190万キロワット だったにもかかわらずだ。

注意深くみると、大飯3号機がフル稼働して供給力の上限は確かに増強されたものの、その日その日の供給力は減っているのがわかる。ほかでもない、関電が供給力を減らしていたのだ。11日の供給力は2488万キロワットで、2日に比べて約140万キロワットも減少していた。

  実はこの日、関電は赤穂発電所2号機(兵庫県赤穂市、60万キロワット)や海南発電所3号機(和歌山県海南市、同)など火力の4プラントの運転をあえて停 止させ、約250万キロワット分の発電を止めていたのだ。表向きは「供給余力がある間に火力の検査・調整をするため」(関電担当者)というのが理由だ。

 確かに電力需要のピークを間近に控え、不測のトラブルを防ぐために火力のメンテナンスを行うことは重要だ。しかし、疑問は残る。そもそも関電が任意で調整できる供給力を元に弾き出された「使用率」を、純粋な“でんき予報”と位置付けていいものだろうか?

 裏を返せば、関電が供給力をコントロールすれば、使用率の予報値は自由に操作できる。安定した需給を示す「青信号」が続いているとはいえ、管内の家庭や企業が厳しい節電を強いられている状況下で、このような「でんき予報」には不信感を覚えずにはいられない。(香西広豊)


かき入れ時でもPRは「タブー」 じり貧続く関電「オール電化事業」の今

2012年08月26日 20時49分18秒 | 歩く印象派

産経新聞 8月25日(土)18時30分配信

 関西電力が管内の一般家庭、企業など全契約者を対象に要請していた今夏の節電期間が9月7日に終了する。この夏の需給ギャップは何とか乗り切れそうな状 況だが、一方で東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、ずっと辛抱を強いられているのが「オール電化事業」だ。管内に節電を強いる状況下にあっては、 PR活動などもできない。苦境に立つ関電のオール電化ビジネスの現状はどうなっているのか…。

[表] 関電、当初の節電目標「15%」で…東電は「ナシ」ってなんで!?

 自動車に代表される企業のショールーム。7~8月は夏休み中の親子連れの集客アップを目的に、ショールームの多くは子供向けイベントを開催するなど1年の中でもにぎわう。

 しかし、このかき入れ時にショールームを閉鎖せざるを得ないのが、オール電化を紹介する関電のショールーム「はぴeライフスクエア」だ。関電は大阪府堺 市や京都市中京区、神戸市中央区など管内7カ所に同ショールームを展開しているが、現在はいずれも臨時休館している。臨時休館期間は7月2日から9月7日 と、関電の今夏の節電要請期間と合わせている。「節電を要請しながら、オール電化のPRはできない」(関係者)ためだ。こうした臨時休館にとどまらず、6 月には「はぴeライフスクエア ハービス大阪」(大阪市北区)を閉館・撤退した。

 しかも、活動を中止しているのはショールームだけではない。オール電化の営業担当者もその活動を自粛している。その理由について、関電は「この夏、需要 増につながる取り組みを中断し、お客さまなどに対して節電に関する説明やお願いを最優先している」(担当者)と説明。今秋以降に関しては「能動的なオール 電化の販売活動を行っていく予定はない」(同)としている。ただ、顧客や販売店などから商品や料金メニューの特徴、効率的な利用方法について「丁寧に説明 させていただく」(同)と話す。こうした逆風下、関電のオール電化事業は厳しい状況を強いられている。平成23年度の関電管内のオール電化住宅の販売戸数 は前年度比約2割減の7万5千戸に落ち込んだ。ピーク時だった20年度の11万6千戸と比べると35%の減少で、今年度はさらに厳しい状況になる可能性も ある。

 「長期的にはエネルギーをいかに効率よく使うかという視点が必要」。関電の森詳介会長はこう述べ、オール電化事業を継続する考えを示している。だが、国 のエネルギー政策が見えない中、オール電化事業の置かれている状況はきわめて不透明で、今後も厳しい状況が続きそうだ。(香西広豊)


「諸国一ノ宮山歩(さんぽ)」 風媒社

2012年08月25日 10時40分42秒 | 歩く印象派

神々しさに魅了 全国の「一ノ宮」を訪問

[文]佐藤雄二  [掲載]2012年08月23日    以下はブックアサヒコムよりのコピペ

若山聡さん 拡大画像を見る
若山聡さん

表紙画像 著者:若山聡  出版社:風媒社 価格:¥ 1,680

 全国各地に存在する由緒ある神社「一ノ宮」とその御神体の山を訪ねた記録集「諸国一ノ宮山歩(さんぽ)」を、愛知県愛西市見越町の若山聡さん(54)がまとめ、風媒社(名古屋市)から出版された。
  若山さんは岐阜大在学中に山歩きを始め、国内の有名な山のほとんどを登ってきた。40歳を過ぎ、気分がふさぎ込んでいたころに山形県の出羽三山に登った。 そこで感じた「神々しさ」に動かされ、山岳信仰の歴史に興味を持ち、神社参拝と山歩きの両方を一緒に楽しむようになった。
 この本は「民俗学的山 登り」と称し、若山さんが10年近く続けている旅の果実だ。東海に始まり東北から九州まで、これまでに約40カ所の一ノ宮を訪ねた。それぞれの場所で、そ の地域の歴史に思いをはせ、聖域とされる山に登り、体感したあれこれを景観とともにつづっている。
 登頂の達成感がもたらしてくれる若返り気分を「山の霊力度」とみなし、踏破する「難易度」とともに、星の数で表示している。山の熟練者ならではの遊び心といえる。
  「十分な山の知識」が必要な最高難度の五つ星は、山形県の大物忌(おおものいみ)神社と鳥海山。「10歳は若返る」という最高霊力度の三つ星には岐阜県の 水無(みなし)神社と位山(くらいやま)、石川県の白山比●(しらやまひめ、●は口へんにひつじ)神社と白山などを挙げている。
 若山さんが原稿をまとめたのは昨年のことだ。「大震災があり、父親が亡くなり、自分が入院し、長男が婚約した。まだ全部の一ノ宮を巡ってはいないが、人生の節目を感じて療養期間中に書き上げた」
 本はA5判246ページ。本体価格1600円。問い合わせは風媒社(052・331・0008)。


「プルトニウム利用なければ」 「再処理せず」合意ほご

2012年08月24日 18時26分11秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012年8月24日 07時00分

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 東京電力福島第一原発事故の後、核燃料サイクル政策の選択肢を検討した原子力委員会の小委員会が、当初、使用済み核燃料の再処理で出るプルトニウ ムを使う見通しが立たない場合、再処理しないことで合意していたのに、検討途中で合意をほごにしていたことが分かった。事故の影響で、電力会社は原発でプ ルトニウム利用の計画を示せない状態。その現実を無視し、核燃サイクル維持の方向に議論を進めていた。

 プルトニウムは核兵器の材料となるため、国際的にもむやみに保有量を増やすことはできない。日本は現在、約二十六トンの核分裂性プルトニウムを保有している。

 疑念を持たれる状況を解消するため、小委の座長を務める鈴木達治郎原子力委委員長代理は、使う当てがなくても再処理を認めている現状を改善するため、三月から核燃サイクルの選択肢の本格的な検討を始めた。

  当初、委員七人の合意事項として「再処理はプルトニウム利用計画に基づいてのみ実施する」との文言を検討資料に書き込み、この合意を大前提に新たな原子力 政策を練ることになっていた。四月下旬の小委会合では、鈴木氏が「利用計画がある場合に限り、再処理します。よろしいですね。それは確実に書かせていただ く」と了承も取っていた。

 だが、五月以降の小委の資料からは合意の文言は消された。

 本紙の取材に鈴木氏は、原子力委の近藤駿介委員長や推進派の小委委員らから反発があったことを明かした。近藤氏からは「電力会社が『最後は必ず原発で使う』と約束すれば、いろんな理由の再処理があっていい」と、暗に現行施策の継続を求められたという。

 事実関係について、近藤氏は秘書を通じて「小委のことは鈴木氏に聞いてほしい」と答えた。鈴木氏は「座長として意見をまとめるためには仕方なかった」と話した。

 小委の検討結果を踏まえて六月に原子力委が政府のエネルギー・環境会議に示した最終報告書では、将来の原発比率を0%にしない限り、青森県六ケ所村にある再処理工場は稼働させ、高速増殖炉の開発も基本的には続けることが記された。

 核燃サイクルには十兆円以上の巨費が投じられながら実現のめどは立たず、施設の維持だけでも年間一千億円単位の資金がかかる。いずれも電気料金を通じた国民の負担だ。

 政府内では、意見聴取会などの結果を受けて、将来の原発比率についての検討が進んでいる。しかし、核燃サイクルは、ほとんど議論されていない。

 核燃サイクルをめぐっては、経済産業省資源エネルギー庁の原子力政策課長が昨年末、原子力委の近藤委員長に対し、脱原発を検討しないよう文書で圧力をかけていたことも判明している。

<プ ルトニウム利用計画> 日本は「余分なプルトニウムを持たない」と国際公約し、原子力委は電気事業連合会に利用計画を公表させている。1997年には、海 外で再処理して出た分を、2010年までに全国16~18基の原発で使うと公表したが、達成率は2割程度。05年からは日本原燃再処理工場(青森県)から 出る分を、将来18基程度で使うと毎年3月に公表していたが、福島第一原発事故で使う見通しが立たないため、昨年と今年は公表を見送った。

(東京新聞)


原発ゼロ 熟慮の民意が表れた

2012年08月24日 06時40分13秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012年8月24日 東京新聞社説

 

 二〇三〇年の原発比率をめぐる「国民的議論」の結果が出た。負担増を受け入れても安全を優先させたい「原発ゼロ」の民意が読み取れる。国民の覚悟の選択を、政府はただちに尊重すべきだ。

 これで「原発ゼロ」の声は無視できなくなったろう。野田政権が今後のエネルギー・環境戦略に反映させるとした国民的議論の結果が出そろった。意見公募(パブリックコメント)と、全国十一都市で開いた意見聴取会、さらに討論型世論調査である。

 これらの「国民的議論」は、三〇年の原発比率について「0%」「15%」「20~25%」の三つを選択肢とした。意見公募と意見聴取会の会場アンケートは、ともに八割以上が「0%」を支持した。

 とりわけ注目すべきは、国民同士の議論や専門家の話を聞き、その前後で意見が変化したかを調べる「討論型世論調査」の結果である。最多は「0%」支持で、討論前の32%から討論後は46%に大きく増えたのが特徴だ。

 事前の予想では、専門家の話を聞けば「原発ゼロ」支持は減るとの見方があったが、結果は逆だった。このことは「原発ゼロ」の選択が一時の感情などではなく、賛否多様な意見を踏まえ熟慮した末の決定を意味するものだろう。

 しかも、選択する上で何を最も重視するかとの問いには、「安全の確保」が80%強を占めた。原発維持派の大きな論拠である「電力の安定供給」 (15%)や「発電費用」(2%)を圧倒したのは、電気料金が高くなったり省エネなど不便な生活をも引き受ける国民の覚悟の表れである。

 経済界は、脱原発では電力不足やそれに伴う企業の海外移転、失業増など経済が停滞すると主張している。これは、原発で稼いできた東芝、日立製作所 や東京電力が中枢を占めてきた経団連の言い分である。枝野幸男経済産業相が「(原子力)依存度低下は経済のマイナスにつながらない」と反論したように、考 慮すべき材料だが鵜呑(うの)みにすることはできない。

 低成長が定着し、大量生産・大量消費の時代はとうに過ぎ去り、国民の多くは省資源・省エネの暮らしを志向している。討論型世論調査でも、懸念され る電力不足に対し、参加者の七割が「国民、産業とも省エネ余地がある」と、エネルギーを減らすライフスタイルへの転換を提案した。

 国民の重い選択を考えれば、政府が九月までに下す選択は「原発ゼロ」しかない。