(2008.8.23 16:54)
このニュースのトピックス:自民党
赤坂濱寿司(東京都港区赤坂)
赤坂の繁華街にある寿司店。政治家の利用も多い。
8月18日夜、この店に集まったのは、自民党の麻生太郎幹事長、大島理森国対委員長、公明党の北側一雄幹事長、漆原良夫国対委員長。いわゆる2幹2国(にかんにこく=自民、公明両党の幹事長、国対委員長の意)と呼ばれる会合である。
この日の2幹2国は秋の臨時国会の召集時期が主要議題だったようだ。自民党はインド洋での海上自衛隊の補給活動を継続するために臨時国会での新テロ対策特別措置法の期限延長を決めたいとして、審議日程確保のために8月下旬召集を主張。これに対して、公明党は期限延長に慎重で、9月下旬召集を求めていた。臨時国会の召集時期は、同法の成否に絡むだけでなく、衆院解散・総選挙の時期や民主党による矢野絢也元公明党委員長の国会招致問題などにも関連するため、どういう結論が出るのかが注目されていた。
ところが、この会合はどこで開かれるのかということが報道陣に対しては明かされていなかった。このたため、会合場所を知りたい報道陣と知られたくない出席者の間で、この夜、実につまらない場外戦が展開された。
大島氏は地元の青森・三沢空港から東京・羽田空港に午後9時前ごろに到着。大島氏を乗せた車は首都高速道路をまっしぐらに都心に向かった。報道陣の車は羽田空港から大島車を追ったが、振り切られてしまい、行方を見失った。
漆原氏はこの日、公務を終えて、いったん東京都杉並区の私邸に帰宅した。これは、報道陣を追い払うためのカムフラージュだったのかもしれない。夜になると、私邸から出発し都心へ向かった。
一方、この日、あたりが暗くなった後に、麻生氏の個人事務所から麻生氏の私用車が発進した。待ち構えていた数台の報道陣の車が後を追った。麻生車に麻生氏本人が乗っているかどうかは確認できなかったが、車の追跡には成功。麻生車は東京・赤坂の料亭「浅田」に横付けされていた。
浅田は正面玄関が面している細い道路とは別に、裏口が赤坂「田町通り」に面している。この田町通りにあるのが、2幹2国の会合場所となった赤坂濱寿司。麻生氏が追いすがる記者をまくために浅田を素通りしたのか、それとも浅田でも別の会合に出たのかは不明だが、いずれにしても報道陣が浅田の正面側をうろうろしている間に、麻生氏はさっさと濱寿司に入店していた。
![](http://www.e-wasabi.jp/g157600v%5B1%5D.jpg)
4氏が赤坂界隈(かいわい)のどこかで会合していることだけは分かった報道陣は浅田周辺を中心に探索を開始。午後10時前にようやく会合場所を探り当てた。
濱寿司は正面が田町通りに面しているが、脇の通路がその一本奥にある赤坂・みすじ通りにも通じている。このため、10時ごろから、濱寿司の表と裏、つまり田町通りとみすじ通りには40~50人の報道陣があふれた。
結局、この日の会合は自公両党の痛み分け。翌19日になって、福田康夫首相は両党の主張を足して2で割るように、9月中旬の召集を表明したのだった。
それにしても、こんな結論ならば、出席者たちがそこまでして報道陣をまく必要があったのか疑問だ。そもそも、どうしても記者の目を遠ざけたいというのなら、国会議事堂や自民党本部がある永田町に近い赤坂ではなく、もっと記者団に見つかりにくい街にすればいい。会合場所の選び方が実に中途半端だ。もしかして、何らかの意図があって、わざと報道陣に見つかりやすい場所を選んだ-と考えるのはうがち過ぎか?(政治部 五嶋清)