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森羅万象 ~ 歩く印象派

放射性物質予測、公表自粛を 気象学会要請に戸惑う会員

2011年04月03日 11時11分27秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2011年4月2日19時25分朝日COM

 福島第一原発の事故を受け、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった。自由な研究活動や、重要な防災情報の発信を妨げる恐れがあり、波紋が広がっている。

 文書は3月18日付で、学会ホームページに掲載した。新野宏理事長(東京大教授)名で「学会の関係者が不確実性を伴う情報を提供することは、徒(いたず ら)に国の防災対策に関する情報を混乱させる」「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」などと書かれている。

 新野さんによると、事故発生後、大気中の放射性物質の広がりをコンピューターで解析して予測しようとする動きが会員の間で広まったことを危惧し、文書を出した。

 情報公開を抑える文書には不満も広まり、ネット上では「学者の言葉ではない」「時代錯誤」などとする批判が相次いだ。「研究をやめないといけないのか」 など、会員からの問い合わせを受けた新野さんは「研究は大切だが、放射性物質の拡散に特化して作った予測方法ではない。社会的影響もあるので、政府が出す べきだと思う」と話す。

 だが、今回の原発事故では、原子力安全委員会によるSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算の発表は遅すぎた。震災発生から10日以上たった23日に発表したときには、国民に不安が広まっていた。

 気象学会員でもある山形俊男東京大理学部長は「学問は自由なもの。文書を見たときは、少し怖い感じがした」と話す。「ただ、国民の不安をあおるのもよくない。英知を集めて研究し、政府に対しても適切に助言をするべきだ」

 火山防災に携わってきた小山真人静岡大教授は、かつて雲仙岳の噴火で火砕流の危険を伝えることに失敗した経験をふまえ、「通知は『パニック神話』に侵さ れている。住民は複数の情報を得て、初めて安心したり、避難行動をしたりする。トップが情報統制を命じるのは、学会の自殺宣言に等しい」と話してい る。(鈴木彩子、木村俊介)


東電“機能不全” 情報公開錯綜、安全確保の支障に

2011年04月03日 10時10分41秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2011.4.2 19:54 産経

 東京電力福島第1原子力発電所事故で、同社の情報公開が錯綜(さくそう)を続けている。汚染水の放射性物質(放射能)濃度などの計測データで誤り と訂正を繰り返しているほか、公表の遅れも目立つ。背景には最悪の事態を想定した危機管理の不備がある。迅速で正確な情報公開は、周辺住民や作業員の安全 確保の大前提。原発や放射能漏れの状況を把握し的確な対策を打つのが遅れかねないうえ、国際的な不信を招き、協力関係に齟齬(そご)が生じる恐れもある。 政府機関やほかの電力会社もバックアップし、態勢の立て直しが急務だ。  

 「物質の種類や濃度を計算するプログラムの一部にミスがあった」  東電の松本純一原子力立地本部部長代理は1日の会見でこう陳謝し、“機能不全”があらわになった。  経済産業省原子力安全・保安院が同日、計測データに疑いがあるとして改善・再分析を指示し、ようやくミスが判明した格好だ。人体や環境への影響が大きい 放射性ヨウ素やセシウムのデータには問題がないとするが、すべてのデータの信頼性が揺らぎかねないだけに再計算を急ぐ。  

 情報公開は初動から大混乱した。地震発生翌日の3月12日午後3時36分に1号機で水素爆発が発生しテレビは映像を流し続けたが、東電が爆発を発 表したのは、2時間半後の午後6時ごろ。放射能漏れによる避難地域の拡大の恐れもある緊急事態だが、「通信手段が途絶えた」(勝俣恒久会長)というお粗末 さだ。

 混乱はその後も続く。24日に作業員3人が水から被曝(ひばく)した事故をめぐって、26日午前の会見で水からの放射線量が高く危険性を予見する データがあながら、「情報が共有できていなかった」と謝罪。だが午後には別のデータと取り違えており、予見できなかったと訂正した。  27日昼の会見では、2号機の汚染水の濃度が通常運転中の原子炉内の水の約1千万倍と発表したが、二転三転の末に28日未明に約10万倍に訂正した。寿 命(半減期)が約2年と長いセシウム134を、53分と短いヨウ素134と取り違えたことが原因だった。  仮にヨウ素134なら核分裂で生成されたばかりとなり、核燃料が再臨界に達した危機的状況を示すデータになる。保安院が「あり得ない」と指摘し、ミスが 分かった。

 拙速な公表の背景には、「情報隠しと疑われたくない」(幹部)との思いもあるようだ。だが、トレンチ内の汚染水の存在を作業員が確認してから丸1 日遅れで公表するなど、情報伝達の遅れも相次いでいる。  危機管理コンサルティングを手がけるエイレックスの江良俊郎代表は「最悪の事故を想定して態勢を整えてこなかった経営陣の責任。東電の危機管理は機能不 全の状態にあり、第三者も入れて立て直す必要がある」と指摘している。

>「東電の危機管理は機能不全の状態」は相撲協会と同じだね。