All Things Must Pass

森羅万象 ~ 歩く印象派

ナチスドイツと障害者「安楽死」計画

2016年07月28日 00時29分54秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評

 

相模原の事件には戦慄を覚えました。

かつてナチスは知的障害者らをおよそ20万人殺したという。


この本の存在は今回初めて知りました。

未読ですが(ぜひ読もうと思います。)

amazonのカスタマーレビューが参考になりました。

 

 

こちらも参考になります。

優生思想の本質(http://www.geocities.jp/wan_ojim/sub4c.htm)

驚くべきことに茨城県の教育委員にはとんでも発言をする人も(2015年)

http://mamari.jp/13450

この記事も

http://news.infoseek.co.jp/article/20160727jcast20162273737/


石原不況

2012年11月27日 05時33分50秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評

中国人エリートは日本人をこう見る [著]中島恵

[文]永江朗  [掲載]2012年11月23日(週刊朝日)

■中国人エリートと手を結ぶべきか?

 中国で日本車が売れなくなっている。影響は部品メーカーにまで及ぶ。「尖閣ショック」と呼ぶメディアもあるようだが、ぼくは「石原不況」と呼ぶべきだと思う。この際、責任の所在をはっきりさせよう。
 もっとも、すべての中国人が反日感情を抱いているかというと、そうでもない。すべての日本人が中国嫌いではないように。
 中島恵の『中国人エリートは日本人をこう見る』は、中国人若手エリート約百人に聞いた、日本観・日本人観である。
  びっくりしたのは、小泉元首相の人気がけっこう高いという話。靖国神社参拝で対立の種を蒔いた張本人ではないか、と思ったが、小泉のように白黒はっきりす るほうがわかりやすいということらしい。人気があるからといって、靖国神社参拝に賛成している中国人が多いということではない。
 登場するのは日本への留学生をはじめエリートたちだ。高い教育を受け、経済的にも恵まれている。都会育ちで、家庭環境もいい。
  彼らは冷静に日本と日本人、中国と中国人、そして世界を見ている。日本はいい国だといい、日本人に対してもよい感情を持っている。中国のGDPが日本を追 い抜いたことについても浮かれてはいない。国民一人当たりではまだ大差があるからだ。「中国に負けた」「日本はもうダメだ」と悲愴感ばかりの日本人よりも ずっとクールである(と、つい自虐的に悲愴感にひたってしまう)。
 しかし、親日的なのがエリート層だということに注意を払わなければならない。貧しい、地方の、高い教育を受けられない人びとは、反日的な感情を抱いているだろう。それは中国社会の矛盾かもしれないし、もしかするとその矛盾を政治が利用しているのかもしれない。
 国家間の対立を煽って状況がよくなることなどあり得ない。歴史を振り返ればそれは明らかだ。暴走老人よりも中国人エリートと手を結び、新しい日中関係を築いていくべきだ。


原子力は人間の手には負えない

2011年10月30日 23時25分40秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評

書評

春を恨んだりはしない―震災をめぐって考えたこと  [著]池澤夏樹

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)  [掲載]2011年10月23日   [ジャンル]社会 

表紙画像 著者:池澤夏樹、鷲尾和彦  出版社:中央公論新社 価格:¥ 1,260

■全身で受け止めた被災の全体像

 震災をめぐる思索の書である。作家は女川、大船渡、陸前高田 などに足を運ぶ。被災者を診た医師、夫を亡くした理髪店の母子などに会い、耳を傾ける。大勢の遺体が打ち上がった海岸に足を運び、光景を瞼(まぶた)に刻 み込む。あの日に起きたこと。その全体像を全身で受け止めんとする。
 「これらすべてを忘れないこと。今も、これからも、我々の背後には死者たちがいる」「人間はすべての過去を言葉の形で心の内に持ったまま今を生きる」「原子力は人間の手には負えないのだ」……思いは言葉を紡ぎ出す。
 思考は日本列島へと及ぶ。四季のめぐる美しい国は古来、天災の勃発する国だった。それが「無常」「諦念(ていねん)」「空気社会」などの国民性を形成したのではないのか——。
 3・11以降、震災にかかわるいくつかの本を読んだ。評者にとって、共感度の高い本だった。この国にはまだ、まっとうな作家がいる。そんな安堵(あんど)感がよぎった。
    ◇
 中央公論新社・1260円


■原発より危ない、動かしている連中

2011年08月30日 21時16分56秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評

表紙画像 著者:飯田哲也、佐藤栄佐久、河野太郎  出版社:NHK出版 価格:¥ 1,050

■原発より危ない、動かしている連中

 猛暑が続く。今年の夏は電力不足で大パニックになるだろ うとか、熱中症で死人がたくさん出るだろうといわれたけれども、とりあえず本稿執筆時点(8月15日)では、大きな問題はない。原発を止めると産業が止ま る、日本経済はダメになるぞ、といった脅迫も眉につばして聞くようにしたい。
 原発なんて、なければないで済むもの。そして、誰も近くに住みたい とは思わないもの。それなのに人口減少と財政難に苦しむ地方を、札束で頬を張るようにして受け容れさせてきた。その挙げ句の果ての3・11なのに、九州電 力&佐賀県知事による「やらせ」事件のようなことが起きる。原発利権って、よほどオイシイものなのだろう。
 飯田哲也・佐藤栄佐久・河野太郎の『「原子力ムラ」を超えて』は、日本の原子力政策・原子力行政が、いかに歪んだ構造にあるのかを明かす。副題は「ポスト福島のエネルギー政策」。
  飯田哲也は大学と大学院で核工学を専攻し、大手鉄鋼メーカーで原発にかかわった。現在は環境エネルギー政策研究所所長。佐藤栄佐久は前福島県知事。原発問 題で政府と対立したため、でっち上げの汚職事件で逮捕された(と私は考えている)。そして河野太郎は自民党代議士。佐藤も河野も、自民党政治のなんたるか を肌身で知っている人である。
 実際に原発を動かしているのは、電力会社と原発のハードを作る電機メーカーである。そこでは作って動かすことが最 優先される。専門知識のない役人や政治家は追認するだけ。学者たちもそこにからめとられている。安全性その他をチェックする機関もない。原発は危ないもの だけど、原発を動かしている連中はもっと危ない。
 かつて石炭から石油へのエネルギー転換では、たくさんの人がひどい目にあった。石油から原子力へでは、後世にまで影響を及ぼすひどい事故を起こした。大事なことを政治家や役人や学者や企業にまかせるのはもうよそう。

 

朝日COM 20110830


警告の書、異例の売れ行き 「三陸海岸大津波」

2011年04月09日 14時47分00秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評

警告の書、異例の売れ行き 「三陸海岸大津波」

2011年4月9日 05時07分 (2011年4月9日 08時34分 更新)

 吉村昭さん

[拡大写真]

 作家の故吉村昭さんの記録文学「三陸海岸大津波」が東日本大震災以降、幅広く読まれている。文庫本の発行元である文芸春秋には注文が相次ぎ、5万部を緊急増刷。妻で作家の津村節子さ んが増刷分の印税を被災地に寄付するなど、一冊の本から新しい人のつながりが生まれつつある。同書は明治、昭和に三陸を襲った津波を、被災者の生々しい証 言をもとに描き、1970年に発表された。波の高さが40~50メートルにも及ぶなど、今回の津波被害をほうふつとさせる記述も多く、歴史の教訓を伝える 「警告の書」。


アインシュタイン予言の「重力波」とらえろ 宇宙の「暗黒時代」に迫る

2010年07月19日 19時04分41秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評
7月19日7時55分配信 産経新聞

 アインシュタインが存在を予言した謎の波動「重力波」をとらえる大規模計画が日本で動き出す。空間のわずかなゆがみを地底の望遠鏡でキャッチし、原始宇宙の神秘に迫る。物理学の歴史に残る大発見を目指して激しい国際競争が始まる。(長内洋介)

 ■神岡の地下に専用望遠鏡建設へ

 アインシュタインの一般相対性理論によると、重力は「時空のひずみ」を生む。トランポリンに重いボールを乗せると、重さで布が曲がるように、星の周りでは重力で空間がゆがみ、時間の進み方も遅くなる。

 星が回転運動をすると、空間のゆがみは「さざ波」のように周囲へ広がる。これが重力波だ。1916年の一般相対性理論で存在が予言されたが、直接の証拠はまだ見つかっていない。

 重力波は、重い中性子星やブラックホールが激しく動いたときに強く出る。約137億年前の宇宙誕生時にも、巨大なエネルギーに伴う重力波が放出されており、その名残をとらえれば、現在の天文学では不可能な原始宇宙の姿を探ることができるのだ。

 重力波の検出は近代物理学の土台となった相対論の検証に加え、新たな天文学を切り開く大きな意味を持っている。

 文部科学省は6月、東大宇宙線研究所が提唱した重力波望遠鏡「LCGT」の建設にゴーサインを出した。ニュートリノ観測で知られる岐阜県・旧神岡鉱山の地下にレーザー干渉計を設置し、2014年に初期観測が始まる。

 真空パイプを一辺が3キロのL字形に置き、2方向にレーザー光を同時発射し、鏡で反射して戻るまでの時間を継続的に測る。重力波が届くと空間がゆがみ、片方の距離が長くなるので、戻る時間にずれが生じる。これを光の干渉現象で検出する仕組みだ。

 検出するゆがみの量は、わずか100億分の1メートルの1億分の1。地球と太陽の距離が原子1個分だけ伸びたことが分かるほどの驚異的な性能だ。振動や温度変化が少ない地下に設置し、世界最高感度を実現する。

 ターゲットは地球から6億光年の範囲で、2つの中性子星が互いに高速回転するときに出る重力波。同研究所の黒田和明教授は「本格的な性能で観測すれば、1年に数回は確実に検出できる。疑いの余地はない」と発見に自信をみせる。

 重力波は、その存在を間接的に証明した米国研究者が1993年にノーベル物理学賞を受賞。直接検出に成功すれば受賞は確実視されており、関係者の間ではすでに候補者の名前が挙がっているほどだ。

 本格観測を見込む2016年は、相対論の発表から百年の節目。ライバルの米国と欧州も、このころ既存施設の感度を日本と同水準に引き上げる計画で、三つどもえの競争が始まる。黒田教授は「少なくとも他国と同時、あわよくば一番乗りを目指す」と意気込む。

 現在の天文学は、宇宙誕生から約30万年間の様子を見ることはできない。原始宇宙は素粒子だらけで、当時の光は粒子に邪魔されて真っすぐ進めず、地球まで届かないからだ。しかし、重力波はあらゆる物質を素通りしてくるので、「暗黒時代」の宇宙も映し出す。

 国立天文台の藤本真克教授によると、原始宇宙から来る重力波の強さを調べることで、宇宙が火の玉状態(ビッグバン)の直前に急膨張したとする「インフレーション理論」を検証できる可能性がある。急膨張が終了してビッグバンが起きた時期が正確に分かれば、宇宙論の大きな前進だ。

 一方、重力波が相対論の予言よりも弱かった場合は「革命」が起きる。空間は3次元ではなく、実は人間には見えないミクロの「余剰次元」が存在する初の証拠になるからだ。重力波の一部が余剰次元の空間にしみ出たと解釈でき、宇宙は最大11次元だとする「ブレーン(膜)宇宙理論」が現実味を帯びてくる。

 「そうなればノーベル賞がいくつあっても足りない大事件。予想もしない物理学や天文学が生まれるだろう」と藤本教授。人類の宇宙観は、重力波の発見で一変するかもしれない

フレイザーの金枝篇を希薄にして、1Q84は先に進む。

2010年05月05日 08時38分09秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評
kaeruchan-usagichanの投稿  2010-05-09 10:31:00

フレイザーの金枝篇を希薄にして、1Q84は先に進む。
テーマ:書評
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(画像:ジェゼフ・キャンベル/神話のイメージ から引用)

「私が人間であると云うのは偏見です。私はインドに居た頃は仏陀でしたし、ギリシアではディオニュソスでした。アレクサンドロス大王とカサエルは私の化身ですし、ヴォルテールとナポレオンだった事もあります。リヒャルト・ヴァーグナーだった事があるような気がしないではありません。十字架に架けられた事もあります」
(フリードリヒ・W・ニーチェ/コジマ・ヴァーグナー宛ての手紙から引用)

マサユキ「1889年1月3日、ニーチェはトリノ市のカルロ・アルベルト広場で昏倒したと伝えられています。何故、突然に昏倒したのでしょうか? 俗っぽい言い方ですが、“神は死んだ”“隣人愛よりも遠人愛を求める”と言い過ぎた故の末路であり、神の祟り、なのかもしれません。より高い位置を目指して理論武装をしたとしても、人間には限界があるのかもしれません。

僕は “PLANET OF TEDDYBEAR くまの惑星”という小説を書きました。2002年に初稿を、2009年2月にリライトを試みました。アメリカインディアンが崇めるグレートスピリットや、キリスト教とイスラム教の共通するが呼称の違う唯一神のことを詳しく書こうと努めました。それはタブーに触れていたのかもしれません。リライトを始めてすぐに僕は体調がすぐれなくなり、仕事を休む機会が増えました。それからは用心しながら執筆していったのですが、リライト終了後の翌日、お酒を飲んでいないのに肝臓の辺りが痛み出し、熱を併発したので、僕はまた仕事を休みました。恐怖を感じました。ニーチェの昏倒に近い、と思ったのです。…いかがわしい、と皆さんは思われるかもしれませんね。それでも、発病する原因が何かあった、と思うのです」

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(画像:ジェゼフ・キャンベル/神話のイメージ から引用)

「結構トンデモな話なんですよね。異星人の星を探す方法が西洋版こっくりさんだし、オーバーロードが図書館で熱心に読んでるいるのもオカルト本(笑) (中略) 昔、東京12チャンネルでお昼頃よくやってた、妙なSF映画の雰囲気にもちょっと近いんです(笑)」
(大槻ケンヂ/ダヴィンチ2008年10月号からの引用)

マサユキ「上記はアーサーCクラークの“幼年期の終り”に関する、筋肉少女帯の大槻ケンヂのコメントです。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、幼年期の終りは SFの古典であり、シリアスな要素、哲学的な要素も多く含まれています。それをオーケンはわざと“斜に構えて”ジョークを交えてコメントしています。彼のキャラを演じているのかもしれませんが…何かを“避けている”と直感しました。ひょっとしたら…神の祟りを受けないように振る舞っている、と考えられます」

$★☆★ かえるちゃんもうさぎちゃんも笑ってくれるの ★☆★-mythic_image_3
(画像:ジェゼフ・キャンベル/神話のイメージ から引用)

マサユキ「さて、本題に入ります。村上春樹の “1Q84 BOOK2”には文化人類学者JGフレイザーの著書“金枝篇”が紹介されています。奇しくも同時期に発売された大江健三郎の“水死”にも“The Golden Bought(金枝篇)”が引用されているのが偶然ながらも興味深いです。下記に両者を並べますので、比較してみて下さい」

「興味深い本だ。それは様々な事実を我々に教えてくれる。歴史のある時期、ずっと古代の頃だが、世界のいくつもの地域において、王は任期が終了すれば殺されるものと決まっていた。任期は十年から十二年くらいのものだ。任期が終了すると人々がやってきて、彼を惨殺した。それが共同体にとって必要とされたし、王も進んでそれを受け入れた。(中略)その時代にあって王とは、人々の代表として<声を聴くもの>であったからだ。そのような者たちは進んで彼らと我々を結ぶ回路となった。そして一定の期間を経た後に、その<声を聴くもの>を惨殺することが、共同体にとっては欠くことのできない作業だった」
(村上春樹/1Q84 BOOK2 241頁から引用)

「翻訳を読みます。《……どんなに注意を払い、配慮しようとも、人間神が老齢となり衰弱して遂には死ぬのを防ぐことはできない。彼の崇拝者達はこの悲しむべき必然事に関心を払わざるを得ず、これに対して最善の努力を尽くさなければならない。この危難は恐るべきものである。……この危難を避けるにはただ一つの方法しかない。彼の力は衰え始める兆候を示したならば、直ちにその人間神を殺し、その霊魂が恐るべき衰弱によってはなはだしく損なわれないうちに強健な後継者に移さなければならない。(後略)》(中略)――いまね、『水死小説』をぼくが書くことで母とアサがなにを恐れていたか、その正体がわかりましたよ。高知の先生に解読してもらった『金枝篇』をもっと短絡にして、国家の危機を回避するために人間神を殺せと伝えた、若い将校たちをいったんはその方向に導いていた、とぼくが書くことを恐れていたんだ、と思います」
(大江健三郎/水死  309頁から引用)

マサユキ「1Q84に於いては“王殺し”“声を聴くもの”というキーワードに特化された“特殊なシステム”が浮き彫りにされます。疑いもなくそれは大昔の、ある意味、時代遅れなシステムなのですが、1Q84ではどうやらそれが現代に並置されています。

また水死に於いては、王殺しというキーワードは“人間神を殺す”に摩り替わっています。更に文脈から察すると~太平洋戦争末期、日本国内で“人間神と呼ばれる者”を殺害するクーデターが企てられようとしていた、と捉えられます。物語を読み進めていくと~クーデターは未遂に終わり、代わりに加担していた主人公の父親が川で洪水に出くわし、溺死するのが判明します。この段階で王殺しの意味は“希薄”になります。王を殺そうとした者が逆に死んでしまう、即ち特殊な力を備えていない平凡な者の死には、特別な意味は篭められないのです。王殺しは現代に通用しない。諦念を抱いた傍観者がこの物語に佇んでいます。

1Q84 に戻ると、“声を聴く”特殊なシステムを持つ宗教団体“さきがけ”が物語上で暗躍したとしても、そのシステムを暴露する小説“空気さなぎ”がベストセラーになり市場に溢れることで、特殊性は無化していきます。“空気さなぎ”がフィクションとしてエンターテイメントとして読者=消費者に認知される程、システムの信憑性は薄れていき、希薄になっていくのです。それは大槻ケンヂがわざと斜に構える戦法と似ているかもしれません。王殺しに関しても、古い王を殺して新しい王に入れ替わるルールに従うよりも、王自身が自分の使命を放棄して“青豆”に殺されることを望む、そんな物語展開になっているのに読者は気が付きます。“深田保”と“深田絵里子”親子は、さきがけのシステムの推進者ではなく、希薄を浸透させる者、だったのです。浸透度は広がっていき、いよいよ BOOK3の“反リトルピープル”=“神はそこにいる”路線に結び付いていきます」

$★☆★ かえるちゃんもうさぎちゃんも笑ってくれるの ★☆★-mythic_image_4
(画像:ジェゼフ・キャンベル/神話のイメージ から引用)

「でもね、天吾くんは暗い入り口をこれ以上のぞき込まない方がいい。そういうのは猫たちにまかせておけばいい。そんなことをしたってあなたはどこにも行けない。それよりも先のことを考えた方がいい」
(村上春樹/1Q84 BOOK3 487頁から引用)

「『悪いけれど今はまだ教えることはできない。あなただけではなくほかの誰にも。もし私がそれを口にしたら、きっとそのとたんに世界中に露見してしまうだろうだから』 月たちが耳を澄ましている。リトルピープルが耳を澄ましている。部屋が耳を澄ましている。それは彼女の心から一歩たりとも外に出してはいけない。厚い壁でしっかりと心を囲まなくてはならない」
(村上春樹/1Q84 BOOK3 526頁から引用)

「何があっても、どんなことをしても、私の力でそれを本物にしなくてはならない。いや、私と天吾くんとの二人の力で、それを本物にしなくてはならない。私たちは集められるだけの力を集めて、ひとつに合わさなくてはならない。私たち二人のためにも、そしてこの小さなもののためにも」
(村上春樹/1Q84 BOOK3 588頁から引用)

マサユキ「春樹さんはBOOK3で“斜に構えた” のだと思います。それは大槻ケンヂのようなジョークではなく、ただ、人間の力を真摯に実直に振るうこと、それだけ、だと思います。淡々としながら実直な筆致のBOOK3の文体が背中を押してくれます。神の祟りは起きません。謎はありません。それを謎と思い、こだわった瞬間に、神の祟りは舞い降りるのかもしれません。沼野充義さんが言う“華麗なる退却戦”の意味が、ここに繋がるかもしれません」

「世界中の神様をひとつに集めたところで、核兵器を廃絶することも、テロを根絶することも、アフリカの間伐を終わらせることも、ジョン・レノンを生き返らせることもできず、それどころか神様同士が仲間割れをして、激しい喧嘩を始めることになるのではないか? そんな事態がもたらすであろう無力感を思えば、人々をミステリアスな疑問符のプールに浮かばせるくらい、まだ罪の軽いほうではないか?」
(村上春樹/1Q84 BOOK2 124頁から引用)

マサユキ「僕は去年の書評で上記を引用して、そして“冗談ではありません”と付け加えました。…先に進むのに時間がかかりましたね、春樹さん^^; 1Q84 BOOK1~3は合計300万部に及び、大量に配布される程、“現代のリトルピープルに象徴されたシステム”は希薄になっていきます。それは、いかがわしいことではありません」

くまちゃん『あとね、20年もおたがいを想っている“天吾”と“青豆”は~“マサユキ”と“ママ”にそっくり、なんだ★ “お腹のなかの小さなもの”は~“くまちゃん”なの♪ くわしくは次回、おはなしするねー♭ 次は5月末あたりに、あっぷ、できればいいなぁ。みんな、やっぱりあてにしないで待っててねー』


上記はhttp://ameblo.jp/kaeruchan-usagichan/entry-10529908691.htmlより

話題の『1Q84』

2010年04月18日 18時32分26秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評
池袋の書店で買えました。

初刷50万部だけのことはありますね。
報道のほとんどが内容よりも発行部数の強調というのが気になりますが。

それと、ちょっと?に思ったのが
TVのインタビューで1、2を読んでない人で「3から読んでます。」というのがありました。

いきなり「3」から読んでどうするんじゃ?

たしかに、1,2より「3」の方が発行部数が多くなりそうという報道の裏づけにはなりますが。