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森羅万象 ~ 歩く印象派

いま一番怖い福島原発4号機―むき出し燃料プール崩壊なら首都壊滅

2012年06月29日 21時56分26秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012/5/16 10:03 J-CAST

   なにやら東京電力福島第一原発の事故原子炉はこのところ落ち着いているようなことになっているが、実態は4号機の危険はむしろ高まっているのだという。米国の著名な原子力技術者アーニー・ガンダーセン氏はこう警告しているのだ。

「私は大変危険な状態にあると考えています。地震と津波、さらに隣の3号機の爆発で4号機建屋の外壁は吹き飛び、鉄筋が剥き出しになっています。日本政府と東京電力はこのことを正しく認識していない。
   放射能が飛散すれば、その範囲は首都圏まで及び、4000万人以上の人が避難しなければならない。人類史上、最悪の事態になる」

稼働原子炉の2・8倍の核燃料棒1500本

   4号機の燃料プールに入っている使用済み燃料棒は1500本以上で、稼働原子炉で使用される2.8倍の量だ。京都大学の小出裕章助教は「地震で燃料プールが破壊され燃料棒が剥き出しになれば、広島型原爆の4000倍から5000倍の放射能が飛散する」と言う。

   これに対し、東京電力は4月26日(2012年)から、自社のホームページで「4号機は補修工事が行われており、危険性はありません」と安全 宣言をしている。しかし、どんな補修がされたのかは詳しく触れておらず、井上貴博アナは「プールの底が抜ければ燃料棒は溶融を起こし、メルトダウンが起き ます」と伝えた。

高放射線で取り出しクレーン設置困難

   なぜ4号機対策が手こずっているのか。燃料プールから燃料棒を取り出すことが容易ではないからだ。小出助教はこう解説した。

「燃料棒取り出しのためのクレーンが破壊され、新しいのと交換しなければなりませが、高放射線の中でこのクレーンをどうやって設 置するかが問題です。また、燃料棒の取り出しはキャストと呼ばれる筒の中に燃料棒を入れるのですが、必ず水中でやらなければいけない。空気に触れると周囲 の人間がバタバタと死ぬぐらいの放射線が出ます」

   コメンテーターの片山善博(前総務相)は「政府は昨年、原子炉は冷温停止状態になったと事故の収束宣言を出しました。東電がホームページでたった1行安全宣言を出したからといって、責任を免れることはで来ません。国民にきちんと説明する義務がありますよ」

   福島原発が再び地震・津波に襲われる怖さもあるが、つくば市を襲ったような巨大竜巻が通過する可能性も考えなくてはならない。


火星は水の星だった 30億年以上前の大洋の地図発表

2012年06月28日 00時23分25秒 | 地球の不思議・宇宙の不思議

写真:火星探査機「マーズ・エクスプレス」の観測から存在が推定される大昔の火星の大洋(青く着色した部分)=欧州宇宙機関提供拡大

火星探査機「マーズ・エクスプレス」の観測から存在が推定される大昔の火星の大洋(青く着色した部分)=欧州宇宙機関提供

 

 欧州宇宙機関(ESA)は、30億年以上前に火星の表面に存在したと考えられる大きな海の地図を発表した。火星を周回中の無人探査機「マーズ・エクスプレス」の観測から作図した。

 現在の火星は寒く、水は主に氷の形で存在する。しかし地下60~80メートルまで調べられるマーズ・エクスプレスのレーダー観測で、氷を多く含むと考え られる堆積(たいせき)物が北半球の広い範囲で見つかった。これらの氷は火星が温暖だった40億年前ごろや地熱の放出が多かった30億年前ごろには解け、 海を作っていたらしい。

 大昔の火星に海があったらしいことは、地形などからこれまでも推定されていた。

 

朝日新聞2012年2月9日より


政権交代が終わった日

2012年06月27日 07時26分18秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

消費増税 衆院可決 政権交代が終わった日

2012年6月27日 07時04分 東京新聞

衆院本会議で消費税増税法案が可決され、席を立つ野田首相(中)=26日午後、国会で(千葉一成撮影)

写真

 消費税率引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革関連法案は二十六日午後の衆院本会議で民主、自民、公明三党などの賛成多数で可決、参院に送付 された。消費税増税法案の採決で、民主党では小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相ら五十七人が反対し、十六人が棄権・欠席した。元代表は当面は党に残留しな がらも、離党・新党結成に踏み切る意向を示唆。民主党は事実上の分裂状態となった。消費税増税への反対の世論が根強い中、野田佳彦首相はこうした民意に耳 を傾けず、今国会中の成立を目指す意向を表明した。

 二〇〇九年の夏が、はるか昔に感じられる。一二年六月二十六日は、政権交代が終わった日だ。

  国民の圧倒的な期待を受けて政権を獲得した民主党はこの日、消費税増税の関連法案をめぐり、事実上の分裂状態に陥った。政権交代のけん引車だった小沢一郎 元代表と民主党政権の初代首相・鳩山由紀夫氏を含む五十七人が反対するという、過去に例をみない事態。野田佳彦首相ら執行部も元代表らも、民主党に寄せら れた約三千万人の民意を分断させてしまった罪は大きい。

 首相は党が割れるのを覚悟の上で、衆院選では約束しなかった消費税増税を実現しようとしている。そして衆院選で戦った自民、公明の両党と組む「疑似大連立」に踏み込んだ。

  民主党を押し上げたのは、霞が関と癒着して劣化した自民党政治に代わり、国民が主役の政治を実現してほしいという国民の期待だ。だが、期待はすぐに失望に 変わってしまった。マニフェストの主要政策は、ほとんど結実していない。その理由について民主党は、財源確保の見通しが甘かったことを上げるが、もしそう ならば、霞が関の既得権にもっと切り込む道もあったはずだ。だが野田政権はその道を取らなかった。政権を取り、自民党時代から続く「主権在官」の体質に染 まってしまったのだろう。

 政権の変質は消費税増税以外でも、ひっそりと進む。原子力基本法、宇宙航空研究開発機構法を改正。原子力と宇宙は平和利用に限るとの理念を捨て、軍事利用への道を開いた。自民党と連携し、そのタカ派的な体質まで引き継ぐようになると、どれだけの国民が想像しただろうか。

 民意と無関係なところで政治が動いている。正すのは、私たちの一票しかない。そのためにも、次の衆院選まで、政権交代が終わった日のことを記憶にとどめておく必要がある。 (関口克己)

<社 会保障と税の一体改革> 高齢者に偏りがちな社会保障制度を子育て世代に広げ、安定財源確保のための税制改正を進めるとした取り組み。現在5%の消費税率 を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることが柱。3党は6月21日に関連法案の成立で正式合意。関連法案は26日に衆院を通過した。

(東京新聞)

 

「原子力の憲法」こっそり変更

2012年06月21日 06時21分34秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012年6月21日 東京新聞朝刊

 二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年 ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。 

 設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。

 基本法の変更は、末尾にある付則の一二条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」 とした基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とし て」行うとした。

 追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。

 修正協議前に衆院に提出された自公案にも同様の表現があり、先月末の本会議で公明の江田康幸議員は「原子炉等規制法には、輸送時の核物質の防護に 関する規定がある。核燃料の技術は軍事転用が可能で、(国際原子力機関=IAEAの)保障措置(査察)に関する規定もある。これらはわが国の安全保障にか かわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」と答弁。あくまでも核防護の観点から追加したと説明している。

 一方、自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。

 日本初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹らが創設した知識人の集まり「世界平和アピール七人委員会」は十九日、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表した。

◆手続きやり直しを

 原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法が変更されたことは、二つの点で大きな問題がある。

 一つは手続きの問題だ。平和主義や「公開・民主・自主」の三原則を定めた基本法二条は、原子力開発の指針となる重要な条項だ。もし正面から改めることになれば、二〇〇六年に教育基本法が改定された時のように、国民の間で議論が起きることは間違いない。

 ましてや福島原発事故の後である。

 ところが、設置法の付則という形で、より上位にある基本法があっさりと変更されてしまった。設置法案の概要や要綱のどこを読んでも、基本法の変更は記されていない。

 法案は衆院通過後の今月十八日の時点でも国会のホームページに掲載されなかった。これでは国民はチェックのしようがない。

 もう一つの問題は、「安全確保」は「安全保障に資する」ことを目的とするという文言を挿入したことだ。

 ここで言う「安全保障」は、定義について明確な説明がなく、核の軍事利用につながる懸念がぬぐえない。

 この日は改正宇宙航空研究開発機構法も成立した。「平和目的」に限定された条項が変更され、防衛利用への参加を可能にした。

 これでは、どさくさに紛れ、政府が核や宇宙の軍事利用を進めようとしていると疑念を持たれるのも当然だ。

 今回のような手法は公正さに欠け、許されるべきではない。政府は付則を早急に撤廃し、手続きをやり直すべきだ。(加古陽治、宮尾幹成)

<原子力基本法> 原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた法律。中曽根康弘元首相らが中心となって法案を作成し、1955(昭和30)年12 月、自民、社会両党の共同提案で成立した。科学者の国会といわれる日本学術会議が主張した「公開・民主・自主」の3原則が盛り込まれている。原子力船むつ の放射線漏れ事故(74年)を受け、原子力安全委員会を創設した78年の改正で、基本方針に「安全の確保を旨として」の文言が追加された。


再稼働反対11000人の抗議を報道せず。市民の声を無視するマスコミに不信感【目がテン】

2012年06月18日 21時55分03秒 | 歩く印象派
2012年6月18日 13時00分
大飯原発の再稼働に反対する市民ら11000人

6月15日、大飯原発の再稼働に反対する市民ら約11,000人が首相官邸前に集まり、デモ行動を行った。

一般市民や俳優の山本太郎氏、脱原発キャラクターのもんじゅ君らが官邸前に集まり、「再稼働反対!」「こどもをまもれ!」と訴えた。

福井県敦賀市の高速増殖炉もんじゅをモデルにした「もんじゅ君」は、ツイッターで脱原発を分かりやすく発信し、92000人以上のフォロワーを誇る注目のキャラクターだ。

もんじゅ君もこの日の抗議活動に参加し、その様子を赤旗新聞に発表した。

なにかのグループや組織でもなく、だれにたのまれたわけでもなく、1万1千人、金曜の夜に仕事が終わったあとに集まって、しゅくしゅくと、礼儀正しく、「再稼働反対!」「こどもをまもれ!」と声をあげていました(しんぶん赤旗より引用)


   (画像:Amazon)

国民の声を報道しない日本のマスコミ

大勢の人たちが野田首相に脱原発を訴えたが、この様子はまったく報道されなかった。インターネットのYouTubeやブログ、Twitterなどでは、抗議活動の情報が流されたが、テレビや新聞では一切報道されなかったことに不満の声があがっている。

大飯原発の再稼働が正式に決定した翌16日も抗議デモが行われたが、この日の様子はNHKで

総理大臣官邸前には、大飯原発の運転再開に反対する人たちがおよそ400人集まり、抗議活動を行いました(NHKニュースより引用)


と報じられた。

ネット利用者の間では、なぜ再稼働決定前の抗議に1万人以上が集まったことを報じず、400人の小規模な抗議活動だけをテレビ放送したのか疑問だとの声があがっている。

日本のマスコミは無視を決め込んだが、海外では米ロイター、英BBC、独シュピーゲルを始めとする各国のマスコミが、日本の1万人規模の抗議活動を報じている。

ジャーナリストの田中稔氏はTwitterで

昨夜の首相官邸前に集まった1万1千人のことをマスコミは無視した。それでいて本日午前中の再稼働決定時の官邸前400人だけを某局が報道。かなり意図的な気がする


と発言しており、このほかにも
「一万一千人が首相官邸前に反原発デモが集まっても、ロクに報道もされないなんて。いつものことだが…。メディアが変われば日本もすぐ変わるんだが」

「この国のマスメディアにジャーナリズムはない。一年以上、各地でこれだけデモや抗議行動が続き、今夜に至っては首相官邸前に1万1千人が集まった。こんなことは近代日本の歴史上なく、革命の只中と言っても過言でない。それを一切報道しないメディアの役割とはなんだ?」
不自然な報道を行うマスコミへの不信感を表すツイートが目立った。


千葉、神奈川で相次ぐイワシ大量死 「大地震の前触れか」と怯える声も

2012年06月17日 23時23分15秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2012年6月15日 18時53分 (2012年6月15日 19時29分 更新) JCAST NEWS

  千葉県と神奈川県の海岸に、カタクチイワシの死骸が大量に打ち上げられた。千葉では2012年4月以降、魚の「大量死」が10か所で報告されている。

   海岸を埋め尽くす死骸。海面に浮いているものは、すくいあげてもすぐに底から次々に別の死骸が上がってきて回収しきれないほどの量だ。見たこともないような光景に、「大地震の予兆ではないか」とのささやきも聞かれる。

イナダやサメに追われて岩場に入り込んだとの見方

   神 奈川県三浦市の海岸で2012年6月14日、カタクチイワシの死骸およそ1万匹が打ち上げられていた。現場に赴いて調査した神奈川県水産技術センターの職 員はJ-CASTニュースの取材に、「幅が約8メートル、奥行き約25メートルの、ごく限られたスペースの岩場に死骸が集中していました」と説明、死後数 日はたっているだろうと推測する。ほかの魚の死骸は見当たらなかった。

   地元の漁業関係者からは、近年カタクチイワシが増えているとの 目撃情報が同センターに伝えられていたという。死んだイワシが流されてきたのなら広範囲にわたって漂着しそうなものだが、特定の狭い場所に集まっているの が不思議だ。この職員は、「はっきりとした原因は分かりません」としつつも、「おそらくカタクチイワシの群れが岸の近くを泳いでいたときに、イナダやサメ のようなカタクチイワシをエサにする生物が群れを追い、逃げ場を失った結果岩場に入り込み、『大量死』につながったのではないか」と話す。

   こ の半月ほど前の6月3日、千葉県いすみ市の大原漁港もカタクチイワシの死骸が大量に埋め尽くしていた。その量は200トンを超えるともいわれる。ニュース 映像を見ると、港近くの海面は死骸でビッシリだ。千葉県の水産総合研究センターに取材すると、それ以前にもいすみ市や勝浦市など房総半島の港で、イワシの 大量死が起きていたと語った。県の勝浦水産事務所の調査結果として、2012年4月上旬からこれまでに10か所の港から報告が上がっていると担当者は明か す。

   一定数の魚が磯に入り込んだりして海岸に打ち上げられる現象は、実は時折発生しているという。ただしこれほど大規模なのは、千葉県でも珍しいそうだ。

神奈川の事例同様に「イワシを捕食する魚に追われてどんどん岸に近づいた」結果、酸欠になって死んでいったのではと考えているようだが、はっきりとした原因は究明されていない。東日本大震災の前週にイルカ50頭打ち上がる

   連続で発生したこの「怪現象」は、インターネット上でも話題を集めている。根拠はないが、「放射能の影響か」との声や、「大地震がくる前兆ではないか」と恐れる書き込みも見られた。

   千 葉県の水産総合研究センターの担当者はこれらの意見に、「どうでしょうかね」と首をひねる。1998年にも房総の漁港で大量のイワシの死骸が上がったが、 甚大な被害をもたらすような地震は直後に起こらなかったと説明する。神奈川県水産技術センターに聞いても、同じような反応だ。人間には備わっていない地震 予知の「センサー」がはたらいたのではとの見方もあるが、大地震とイワシをはじめとする海洋生物の異常行動との間に因果関係は証明されていない。

   た だし、気になる記録が残っていた。2011年3月11日に発生した東日本大震災の前週となる3月4日、茨城県鹿嶋市の下津海岸にイルカの仲間である「カズ ハゴンドウ」52頭が打ち上げられていたのだ。うち22頭は地元の人たちの手で海に帰されたが、なぜ海岸に迷い込んだのか、原因ははっきりしないままだっ た。

   太平洋をはさんで米ロサンゼルス南部のヨットハーバーでは、震災直前となる米国時間3月9日、カタクチイワシの死骸が数百万匹の単位で浮いているのが見つかったと報じられた。

   いずれも巨大地震の前触れだったかどうかは分からないが、今回のようにカタクチイワシの大量死が頻発している現状は、少々不気味ではある。


大飯原発のオフサイトセンターは津波で壊滅必至?

2012年06月13日 21時44分34秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

012年6月13日 17時00分

オフサイトセンター(OFC)という施設をご存じだろうか。正式名称は、緊急事態応急対策拠点施設と 言い、読んで字のごとく原子力発電所に緊急事態が発生した際、拠点となる施設である。平時には原子力防災専門官や原子力保安検査官という国の職員が常駐 し、緊急時には経産省など関係各省と自衛隊、県、市町村、電力会社の職員が集まる。

1999年に茨城県東海村で起きた臨界事故の教訓とし て、全国の22カ所にOFCが2000年から設置されてきた。設置の基準は、原発から20キロ以内。もちろん、宮城県の女川原発にもあったし、福島県の福 島第1原発にもあった。だが、いずれのOFCも、東日本大震災の直後からまともに機能しなくなった。原因は、津波である。

2012年6月 12日付の東京新聞が「女川の教訓は」という記事で、女川原発のOFCの現状をルポしている。OFCの2階は津波が直撃した影響で、「机やパソコン、 ファックス機が泥だらけになってひっくり帰り、積み重なる」という「見るも無残な状況」だったと言う。そして、屋上の塀には「加工場のトタン屋根」がぶら 下がる。

他方、NHKの報道によれば、福島第1原発のOFCは「地震発生直後に停電」し、「非常用のディーゼル発電機も故障して動かず、 通信手段や重要な設備の多くが使えなくなっていた」。また、「放射性物質が内部に入るのを防ぐ設備が十分でない」こともあり、「事故から5日目には現地対 策の拠点がおよそ60キロ離れた福島県庁に移される」ことになった。

大飯原発のオフサイトセンターは立地に問題あり

東京 新聞は、津波で壊滅した女川原発のOFCと再稼働が予定される大飯原発のOFCを、立地条件で比較している。前者の海抜は8メートルで、海までの距離は 500メートル。後者の海抜は2メートルで、海までの距離は100メートル。つまり、津波の発生を想定した場合、大飯原発のOFCの立地条件は女川原発の それよりも悪いのである。

記事では、「これでどうやって住民を守るのか」と大飯原発のOFCに疑問を投げている。東海村の事故が教訓と なって設置されるようになったOFCは、大地震と津波の前では実質的に役立たずであった。ならば、震災以降にはじめて再稼働させる原発には、最低でも、そ の役立たずであったことを教訓にすべきではないか。

国会の事故調査委員会による福島第1原発事故の調査報告はこれから。

原子力規制庁もいまだ発足せず。くわえて、津波に弱いOFCは放置されたまま。こんな状態で、ほんとうに大飯原発を再稼働させていいのだろうか。

(谷川 茂)


深海魚、静岡県で相次ぎ出現…大地震の前触れ?

2012年06月09日 18時19分07秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

展示された深海サメ「ラブカ」の剥製(深層水ミュージアムで)

(2012年6月9日08時43分  読売新聞)

 「生きた化石」と呼ばれる深海サメの仲間「ラブカ」が4月、駿河湾で捕獲され、8日から深層水ミュージアム(静岡県焼津市鰯ヶ島)で剥製の展示が始まった。

 深海に住む生物を巡っては、県内では昨年12月にも、牧之原市の海岸で「リュウグウノツカイ」が打ち上げられており、地元住民からは「大地震の前触れか」と心配する声も上がっている。

 展示されるラブカは体長1・3メートルのオスで、4月11日早朝、サクラエビ漁をしていた漁船の網に、他の3体とともに生きたまま引っかかった。

 ラブカは、水深500~1000メートルに生息。肌は黒褐色で、口の中から外に向かって小さく鋭い歯が張り出している。エラ穴がサメよりも一つ多く、6対あるなど、古生代のサメの祖先に特徴が似ているという。

 同館は、捕獲された1体に深層水を掛け流すなどして飼育しようとしたが、半日ほどで死んでしまった。ただ、死後の状態は良いことから、剥製にして展示することにした。

 深海生物が浅い海に出現したり、海岸に打ち上げられたりといった現象は、しばしば「天変地異の前触れ」などと考えられがちだ。昨年12月には牧之 原市の静波海岸に打ち上げられた、長い背びれと尾びれが特徴の「リュウグウノツカイ」も、「地震の前に姿を現す」との言い伝えがある。

海岸に打ち上げられた深海魚「リュウグウノツカイ」(牧之原市役所提供) 

このため、地元住民からは「大地震の予兆のように思えて仕方がない」「動物は自然現象に敏感と言われるので不安」(いずれも焼津市民)といった声も聞こえてくる。

 こうした「前触れ」説に対し、深海魚の生態に詳しい東海大学海洋科学博物館の手塚覚夫学芸員は「季節風で表面の海水が流され、それを補うように海底から海水が上昇する『湧昇流』で運ばれてきたのだろう」と分析。

 

 深層水ミュージアムの八木孝博館長も「地震との関係は不明だが、サクラエビを追って来たのでは」と、懐疑的に見ている。

 

R・ブラッドベリ氏死去 「火星年代記」米SF小説の巨人

2012年06月07日 23時17分34秒 | 歩く印象派

東京新聞 

【ニューヨーク=共同】AP通信などによると、SF小説の古典的名作「華氏451度」などで有名な米国のSF小説の巨匠、レイ・ブラッドベリ氏が 五日夜、ロサンゼルスで死去した。九十一歳だった。ブラッドベリ氏の娘アレクサンドラさんが六日、明らかにした。死因は不明だが、長く闘病生活を送ってい た。

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「現代のSF小説を小説の主流に押し上げた」とたたえた。

 一九二〇年、米イリノイ州生まれ。少年時代から雑誌に投稿、米ソ冷戦や子供のころの夢から着想を得て多くの作品を書き上げた。未来小説の焚書(ふ んしょ)を題材に現代の思想統制などを風刺した「華氏451度」、地球人の火星探検・植民をテーマとした「火星年代記」などで作家としての名声を確立し た。

 他に「10月はたそがれの国」「黒いカーニバル」など邦訳も多数。幻想小説家としても知られる。


科学無視の「トランス脂肪酸批判」に思わぬ弊害

2012年06月05日 21時40分58秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

WEDGE 6月5日(火)14時5分配信

 2005~06年ごろ、「狂った油」、「食べるプラスチック」などと週刊誌などで大げさに書き立てられた物質があったこと、覚えていますか?

 脂質に含まれる脂肪酸の一種、「トランス脂肪酸」です。トランス脂肪酸は、多く食べると狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患のリスクが高まるとされ、海外で は食品中に含まれる量の上限値を決めている国があります。一方で、日本では「摂取量が海外ほど多くないとみられる」などとして規制が行われず、市民団体や 一部の週刊誌などが強く批判していました。

 そして、福島みずほ・社民党党首が2009年9月、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全・少子化対策・男女共同参画)に就任してすぐ、「食品中の含有量の表示義務化」へ向けた検討を消費者庁に指示したのです。市民団体の一部はやんやの喝采でした。

■別の健康リスクも

 さて、その実態はどうだったのか? 本当にリスクは高いのか? 科学的にリスクを検討する「食品安全委員会」がこの3月、リスク評価書をまとめました。その結果、大多数の日本人にとってトランス脂肪酸のリスクは大きく なく、科学を無視したトランス脂肪酸批判が思わぬ弊害、別の健康リスクの増大すら招きかねないことがわかってきたのです。

 「食の安全」における政治主導がなにをもたらすのかを浮き彫りにする事例です。解説しましょう。

■日本人は摂取量が少ない

 脂質に含まれる脂肪酸は、二重結合の有無によって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸のうち、水素の結び付き方が互い違いになっているものを「トランス型」と呼び、この型を持っている多種類の脂肪酸を総称して「トランス脂肪酸」と呼んでいます。

 反すう動物(牛や羊など)の肉や乳などにも含まれますが、多くは植物油を加工する工程でできます。特に、植物油に水素を添加して硬化(固形化)し、マー ガリンやショートニングなどにする時に比較的多くできます。これらはパンや菓子等の加工食品に多く使われるため、摂取量の増加につながります。

 トランス脂肪酸は悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを増やし善玉コレステロールとされるHDLコレステロールを減らして、心血管系疾患 の一つ、冠動脈疾患のリスクを上げると指摘されています。欧米では冠動脈疾患の患者が多く、トランス脂肪酸も注目を集めました。世界保健機関(WHO)は 2003年、「トランス脂肪酸量は総エネルギー摂取量の1%未満とすべき」と勧告しています。表示を義務化した国もあり特に、06年に米国ニューヨーク市 がレストランでのトランス脂肪酸禁止を通告して、日本でも広く知られるようになりました。

■「欧米では規制されているのに」

 その頃から、「狂った油」、「食べるプラスチック」などと呼ばれ、「欧米では規制されているのに、日本ではなにも行われていないなんて。企業の圧力に国が屈しているのだ」という、お定まりの国と企業批判のストーリーに。

 でも、食べ物、食品成分のリスクは、それをどの程度食べているか、という「量」によって、大きく変わってきます。これまでの栄養調査などから、日本人の 米を中心とする食生活では、トランス脂肪酸の摂取量はそれほど多くはないのでは、と推定されていました。そもそも、日本ではがんや糖尿病、高血圧などのほ かの病気に比べて冠動脈疾患が多いわけではないのです。

 食品の安全の問題は数多くありますから、優先順位をつけて対策を講じる必要があります。トランス脂肪酸は優先順位が低いとみなされ、含有量を食品へ表示 することは、日本では義務化されませんでした。表示が義務化されると、企業は食品中の含有量を測定したり、パッケージを変えたり、コストがかかります。そ こまでやるほど、日本人にとっては深刻な問題ではない、という判断だったわけです。消費者庁は2009年2月、「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」 を公表し、事業者に自主的な表示を促すに留めました。

■食の安全委員会の見解

 当然、市民団体の一部のトランス脂肪酸批判は止みません。表示義務化はとりあえず先送りされたものの、リスクの科学的な検討が十分に尽くされたわけでは なく、不安は解消されないままでした。流通企業は、メーカーに低減を求め、2010年年末には、流通大手一社が「トランス脂肪酸を含む食品は店に置かな い」とまで言いだしたと報道され、混乱が続いたのです。

 しかし、食品安全委員会が2010年から、調査研究も行って検討して来た「リスク評価書」がやっと今年3月、まとまりました。食品安全委員会は、農水省 や消費者庁などのリスク管理機関とは一線を画し、政治家の圧力とも関係がなく、あくまでも科学の観点から分析する役回りです。

 そして、純粋に科学的な観点から検討した結果、意外なことがわかってきました。

■飽和脂肪酸の増加が目立つ

 食品安全委員会が03~07年度国民栄養・健康調査のデータなどを基に推定した結果では、日本人のトランス脂肪酸摂取量の平均値は、男性で総エネルギー 摂取量の0.30%、女性で0.33%。WHOの目標値である1%を大きく下回っています。また、95パーセンタイル値(トランス脂肪酸の摂取量を多い人 から少ない人まで順に並べた時に多い方から上位5%の位置にある人の数値)は男性で0.70%、女性で0.75%。そのため、食品安全委員会は「日本人の 大多数が WHO の勧告(目標)基準であるエネルギー 比 1%未満であり、また、健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる」と結論づけていま す。

 これなら安心。ところが、その影で、トランス脂肪酸ではなく飽和脂肪酸の問題が浮上していることがわかってきたのです。飽和脂肪酸の摂り過ぎも、冠動脈 疾患のリスク増加につながるとされています。そして、トランス脂肪酸の低減努力が逆に、飽和脂肪酸の摂取量増加につながっている恐れが示されたのです。

■「リスクトレードオフ」が現実に

 食品安全委員会はマーガリンやショートニングなど個別の市販食品に含まれるトランス脂肪酸と飽和脂肪酸の量を2006年度と10年度、調査しました。ト ランス脂肪酸の含有量は、一般用も業務用も大きく低減されています。しかし、その代わりに飽和脂肪酸の含有量が急増していることが明白です。

 トランス脂肪酸を減らそうとメーカーが原料を変えたり製法を変更したりすると、飽和脂肪酸の含有量が増えるという「トレードオフ」が起きるのではないか、という懸念は以前から、指摘されてきました。それが、実際に起きているようです。

 製品のデータ推移から考えて、トランス脂肪酸の摂取量は、先ほど説明した03~07年度国民栄養・健康調査などを基にした数値よりもさらに、減少している可能性が高いでしょう。

 一方、食品安全委員会が、同じ調査などを基に推定した飽和脂肪酸の摂取量は、女性の中央値が20~29 歳で総エネルギー摂取量の7.4%、30~39 歳で7.3%でした。飽和脂肪酸は、「日本人の食事摂取基準(2010 年版)」で目標量が設定されており、 18 歳以上でエネルギー比 4.5~7.0%となっています。女性の20~39歳の半数以上が目標量の上限値を上回っています。

 製品調査で、06年度に比べて10年度の製品で飽和脂肪酸が急増している、という結果を考え合わせると、飽和脂肪酸の実際の摂取量はこの数年でさらに、増加している可能性があります。さて、日本人の飽和脂肪酸摂取量は現在、どの程度の高さでしょうか?

■バランスのよい食生活が重要

 企業は、食品安全委員会の出したリスク評価書におおいに戸惑いました。しかし、多くの企業が、トランス脂肪酸を低減し、多くても少なくてもよくない飽和脂肪酸については適切な含有量になるように、改善努力を続けています。

 特定のものだけを火祭りに上げる市民団体や政治家の手法では、食の安全、健康は守れないことを、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の例は示しています。それに、「海外では規制されているのに、日本は野放し」という聞き慣れたフレーズの危うさも、明らかにされました。

 でも、同じような論法がそこかしこにあると思いませんか? 政治家の中には未だに、トランス脂肪酸の表示義務化にご執心の人もいます。単純な話にはワナがある。そんな警戒感は、常に持ち続けるべきでしょう。

 もう一つ。食生活が乱れ、油ものたっぷり、お菓子パクパク、という生活を送っていたら、トランス脂肪酸も飽和脂肪酸も、摂取量が跳ね上がります。冠動脈疾患もですが、肥満による生活習慣病、がんリスクの上昇なども招きます。

 トランス脂肪酸を注意する前に、適切な量を食べ、栄養バランスに気を配るのが先決。食生活全体に関心を持ち適度においしく食べて、健康な毎日を!


著者:松永和紀(科学ジャーナリスト)

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