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森羅万象 ~ 歩く印象派

集団枯死「ナラ枯れ」拡大 菌運ぶ害虫の駆除追いつかず

2010年10月31日 23時33分28秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

大文字山から京都市街を望むと、ナラ枯れした木が目立つ=京都市左京区、原写す
2010年10月31日22時10分朝日COM

 ナラやカシなどの広葉樹が集団枯死する「ナラ枯れ」が拡大し、昨年度の被害地域と面積はいずれも過去最悪の23府県、2511ヘクタールに達したことが林野庁の調査で判明した。今年度は新たに静岡県などでも発生が確認され、専門家からは「被害拡大は確実」との見方も出ている。

 ナラ枯れは樹木の伝染病が原因で、害虫のカシノナガキクイムシ(カシナガ)が運ぶ「ナラ菌」によって起きる。特にミズナラやコナラが被害を受けやすく、各自治体は枯れた木の伐採や殺虫剤による虫の駆除などの対策を進めているが、被害拡大に追いついていないのが現状だ。

(ナラ枯れの被害が深刻な「大文字山」=28日、京都市左京区、朝日新聞社ヘリから、小林裕幸撮影)
 林野庁によると、2000年度のナラ枯れ被害は12府県、356ヘクタールで確認。一時は下火になったが、昨年度は新たに宮城、大阪、岡山の3府県で初確認されるなど一気に広がり、被害面積も前年度の約1.7倍に達した。昨年度に被害が大きかったのは、新潟県(482ヘクタール)や愛知県(408ヘクタール)、山形県(342ヘクタール)などで、特に愛知県は前年度の約13倍に拡大した。

 今年度の被害は各自治体が調査中だが、夏の記録的な猛暑と少雨が、病原菌の感染で弱った木に追い打ちをかけた可能性も指摘されている。

 奈良県では8月、10年ぶりに被害を確認。県北部では初めて、東大寺の背後にある若草山周辺の林でナラ枯れが見つかった。静岡県や伊豆諸島(東京都)では今年初めて確認されたほか、京都市の東山一帯や神戸市の六甲山系など景観美に優れた観光地の被害も目立っている。

(カシノナガキクイムシが侵入し、フラスが根元にたまった木。防除のためのシートも巻かれている=京都市、原写す)

(石木歩、小林正典)

“時間”はあと50億年で終わる?

2010年10月30日 18時36分13秒 | 地球の不思議・宇宙の不思議
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたキャッツアイ星雲。太陽はこのような最期を迎えると考えられている。 Image courtesy NASA/ESA2010年10月29日 19時30分 (ナショナルジオグラフィック)

2010年10月29日 19時30分 (ナショナルジオグラフィック)

 宇宙が誕生して約140億年。今後も延々と存在し続けると考えている人は多い。しかし、“時間”そのものがあと50億年で終わるとする新たな研究成果が発表された。偶然にも、太陽が最期を迎える時期と重なっている。

 この予測は、われわれが住むこの宇宙は多元的宇宙の一部であるとする永久インフレーション理論に基づいている。その広大な構造は無数の宇宙から構成されており、各宇宙はさらに無数の孫宇宙を生み出すことができるという。

 多元的宇宙の問題は、「起こり得ることは何回でも無限に起こり得る」としている点だ。この理論では、例えば「地球サイズの惑星が無数にある」確率を計算することなど、ほとんど無意味になってしまう。

 アメリカ、マサチューセッツ州にあるタフツ大学のケン・オルム(Ken Olum)氏はこの点について、「イベントAが2回、イベントBが4回起きる場合、イベントBの発生率はイベントAの2倍と考えるのが普通だが、この理論では違う。なぜなら2回も4回もなく、常に無限だからだ」と説明する(同氏は今回の研究に参加していない)。

 とはいえ、この多元的宇宙の確率に関する問題は、宇宙学者にとっては問題でも何でもないらしい。

 カリフォルニア大学バークレー校の理論物理学者ラファエル・ブソー(Raphael Bousso)氏らの研究チームは、「宇宙全体で無数の人が宝くじに当たるのなら、当選の確率など誰も気にしない」と今回の論文中で述べている。

 物理学の世界では、幾何学的カットオフ(geometric cutoff)と呼ぶ数学的手法でこの問題を回避してきた。無限に続く多元的宇宙を途中で打ち切り、その有限のサンプルを使って確率を計算するというものだ。

 しかしブソー氏らの研究チームは、「この手法には隠れた落とし穴がある」と述べている。

「カットオフ(宇宙の有限化)手法を単純な数学的ツールとしては使用できない。なるべく正しい予測を出そうと考案されたカットオフ手法だが、時間の終わりまで予測してしまうのである。

 つまり、永久インフレーション理論の中でカットオフ手法を使用して確率を算出すると、カットオフそれ自体、そして時間の終わりが“あり得る出来事”になってしまうのだ」。

 このような奇妙な欠点があるにはあるが、ブソー氏らは永久インフレーションを確かな概念だと考えている。同理論の根底にあるアインシュタインの相対性理論などの科学的な前提は、「どれも問題らしい問題がなく代替の見あたらない理論」だという。

 実際、多くの物理学者は永久インフレーションについて、標準のインフレーション理論から生まれるべくして生まれた当たり前の拡張版だと考えている。オリジナルのビッグバン理論にまつわる問題のいくつかは、インフレーション理論によって解決された。

 ビッグバンの初期モデルでは、宇宙の両端にある物質はあまりに遠く離れているため、相互に作用したことがないとされる。つまり初期宇宙は一様ではなかったという考え方だ。

 また、宇宙の現在の膨張率なら、宇宙の全体的な形状は時間の経過とともに屈曲していなければおかしい。さらに、宇宙誕生の瞬間、宇宙全体は重くて安定した粒子「磁気単極子」で満たされたはずである。

 しかし、数年前からビッグバンの名残である放射線が観測されているが、結果はまったく逆の内容を示している。初期宇宙は一様であり、現在の宇宙は平坦で、磁気単極子などまったく観測されていない。

 これらすべての問題を解決する標準インフレーション理論は、宇宙は誕生直後に一気に膨張した後、しだいに安定して現在観測されるような平坦で一様な宇宙が作られたとしている。

 永久インフレーションは標準インフレーション理論の次のステップであり、宇宙論の難問をいくつかクリアすることができる。例えばこの宇宙の誕生前は何が存在していたかという疑問には、「別の宇宙があった」と答えることができ、なぜこの宇宙には生命が誕生し得たのかという問いには、「あらゆることはあり得るから」と答えられる。

 しかし永久インフレーション理論も、多元的宇宙の確率の問題が示すようにまだ完璧ではない。

「多元的宇宙で確率に有効性を見出すなら、多くの宇宙を終わりに導くカットオフも現実のものと考えなければならない」と、研究チームのリーダーであるブソー氏は指摘する。カットオフを計算するために使用する公式を当てはめると、誕生から137億年の宇宙はあと50億年ほどで終わりを迎えるという。

 現実のカットオフがどのようなもので、時間の終わりがどのように訪れるのか研究チームも答えを見出せていない。ただし、もし本当に起こるとしたら、何の予兆もなく突然に訪れると予想されている。そして、カットオフの到来を人間の目で確認できるとしても、地球から見ることはできないだろう。

 誕生から45億7000万年ほど経過した太陽も、約50億年後に寿命を迎えると考えられている。その頃には太陽は中心核の燃料を失い、外層のガスを放出し始める。膨張した太陽は赤色巨星と化し、最終的に惑星状星雲となって一生を終えるのだ。

 このときに地球がどうなるのか不明だが、太陽の死後も地球上に生命が存在できると考える科学者はほとんどいない。

 論文は、コーネル大学図書館が運営するWebサイト「arXiv.org」で先月から公開されている。

空に巨大な目玉が出現?!

2010年10月30日 18時34分10秒 | 地球の不思議・宇宙の不思議
2010年10月28日 18時0分 (ギズモード・ジャパン)

 こちらはイギリスで撮られた写真です。photoshopじゃないですよ!
虹が完全に円をなしていますね。
しかも輝く太陽が瞳孔のようで、巨大な目玉にも見えます。

こちらの写真をとったのは、カメラマンのリアズ・リマリアさんです。
運転中に偶然出会って、あわてて車を止めて撮影したそうです。

この「虹」は実際は暈(かさ)とよばれる現象で、虹は光が水滴によって屈折され
てできるのに対して、暈は雲の中にある氷晶によって屈折されてできるそうです。

それにしても、このタイミングでカメラマンさんが通ってるなんてすごいなぁ。

太陽規模の恒星、4分の1に地球大の惑星 日米チーム

2010年10月29日 06時14分06秒 | 地球の不思議・宇宙の不思議
2010年10月29日4時50分朝日COM

 太陽ほどの大きさの恒星の4分の1に、地球型の惑星があることが東京工業大の井田茂教授ら日米のチームの観測からわかった。今回、観測できたのは恒星の近くを回る惑星だけで、恒星から遠い惑星まで含めると、さらに増えそうだという。生命がいそうな惑星が見つかる可能性も高まった。

 観測結果は29日付の米科学誌サイエンスに掲載される。

 チームは、ハワイにある口径10メートルの望遠鏡で5年かけ、太陽に近い大きさの166個の恒星を観測した。このうち22個に、地球の3倍以上ある惑星が33個あった。3倍未満の惑星は観測できないが、惑星の重さと数の関係から計算すると、恒星の23%に地球の半分~2倍の重さの惑星が存在すると考えられるという。

 惑星がある恒星は、惑星の重力でわずかに揺れる。その揺れによって地球から見る恒星の色がわずかに変わる。この色の変化を調べ、惑星の重さや軌道を計算した。

 井田教授は「太陽系外の惑星についての初めての統計的なデータだ。23%は最低値で、むしろ太陽のような恒星は地球サイズの惑星を持っているのが普通なのかも知れない」と話した。(東山正宜)

青年万博訪問団「かごの中の鳥」 中国に取材妨害され

2010年10月29日 06時10分40秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2010年10月29日4時0分朝日COM

 【上海=奥寺淳】尖閣諸島沖の漁船衝突事件の影響で延期された「日本青年上海万博訪問団」の運営で、主催者の中国側が神経をとがらせている。日本の大学生ら約700人が28日、中国館などを見学したが、記者との接触を禁止。カメラの前に私服警官らが立ちはだかるなど露骨な取材妨害が相次いだ。

 関係者によると、28日朝、滞在中は記者の取材を一切受けないよう指示されたという。自由時間でも中国側関係者が同行し、記者と話そうとする若者に「おしゃべりもしてはいけない」と阻止。日本の大手メディアのカメラマンが写真撮影しようとすると、カメラの前に地図を広げ、妨害した。ホテルからの外出も自粛するよう言われ、参加した女性は「私たちはかごの中の鳥みたい」と戸惑った。

 同訪問団総団長の菊田真紀子・外務政務官は「報道の自由や学生たちが意見を述べる機会は確保されないといけない」と述べた。報道各社の抗議を受け、29日は日中のメディアそれぞれ1社のみ同行が認められることになった。

超大国 中国はアメリカと同じ位「ならず者」Who's the Rogue Superpower?

2010年10月28日 23時04分16秒 | 歩く印象派
大国の生態 自分勝手に振る舞ってすんでしまうのが現実(09年、建国60周年式典で北京を行進する人民解放軍) CDIC-Reuters


クルーグマンは中国が経済大国の責任を果たしていないと批判するが、大国とはそういうものだ
2010年10月22日(金)17時54分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授=国際関係論)

 ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンの意見には賛同できることの方が多いが、クルーグマンが10月17日にニューヨーク・タイムズ紙に寄稿したコラムの場合はそうはいかない。その中で彼は、尖閣諸島沖で中国漁船の船長を逮捕した日本政府に対し、中国が強硬な対抗措置に出たことを批判した。特に強く批判したのが、中国がレアアース(希土類)を輸出禁止にして日本に圧力をかけた問題だ。

 クルーグマンは中国が人民元相場を低く抑えていることにも矛先を向け、こうした行動は中国が「ルールに従う意志のないならず者の経済大国」である証拠だと述べた。

 私も尖閣沖での中国の行動が行き過ぎた愚かしいものだ、という点には同感だ。この一件をきっかけに、アジア諸国の間で強大化する中国への警戒感が強まり、各国が中国の影響力に対抗しようと共同歩調を取り始めるかもしれないからだ。

 とはいえ、大国がその権力を振りかざそうとするのは何も中国に限った話ではない(アメリカと中南米の関係についての歴史を振り返ればすぐに分かる)。しかし、大国としての地位を揺るぎないものとして確立するその前に、威張り散らしてしまうのは愚かなことだ。
日本と喧嘩をするのは賢くないが

 アメリカが超大国に上りつめるために取った賢い戦術の1つは、イギリスに宣戦布告した1812年の米英戦争を除き大国との勝ち目のない喧嘩を避けることだった。

 世界で最も強力で先進的な経済大国という地位を確立するまで、単に他の大国ともめるのを避けただけではない。ユーラシア大陸で大国同士が血みどろの戦いで力を使い果たすのを横目で見ながら、地政学上の力の均衡が危うくなったときだけ介入した。その結果、アメリカは第2次大戦後の世界で独占的な地位を手に入れた。

 戦略としては完璧とはいえないし、誇れるものでもない。この上なく自己本位的だったが、おかげでアメリカはその後数十年間にわたって優位な立場を確立することができた。

 中国に頭の切れる指導者がそろっているなら、彼らも同じような策に出ていたはずだ。中国はアメリカが中東や中央アジアなどで力を使い果たす間、見て見ぬふりをし、その間にも他の国と有益な関係を築き上げて、自分たちの長期的な発展計画を実現しようとするはず。特に今のような時期に、近隣諸国と些細なことで喧嘩をするなど馬鹿げたことだ。この点について、私とクルーグマンは同意見だ。

 だが、同意できない点もある。中国を「ならず者の経済大国」と呼んだことだ。そして「中国の尖閣問題への対応は......世界で最も新しい経済超大国が、この地位に見合う責任を負う準備ができていないことの何よりの証拠」と結論付けたことだ。
「ルール破り」の常習犯はアメリカ

 まず、この見方は中国(とその他の大国)が国際社会に対して「責任」を持つことを前提にしている。アメリカの指導者は、世界に対して大きな「責任」と「義務」があると主張したがる。だがこれは自らの利益(または利益と信じたもの)のために取った行動を正当化するための言い訳に過ぎない。どんな国の指導者もまず自国民に責任がある。だからこそ国際間の協力はとらえどころなく、主権国家同士の利害の衝突が決まって発生する。

 さらに中国がルールの中で動いていない「ならず者」大国であると主張すれば、「国際的ルールの多くは中国ではなくアメリカとその同盟国によって作られたもので、アメリカもアメリカ人にとって都合の悪いルールは容赦なく無視してきた」ことに頬かむりすることになる。

 例えばアメリカは国連憲章の作成を手助けしたにも関わらず、国連安全保障理事会の承認がないまま99年にはセルビアと、03年にはイラクと戦争を行った。国連憲章にのっとればアメリカの行為は違法だ。同様にアメリカは第2次大戦後、1オンス35ドルと定めたブレトンウッズ協定をつくるのに主導的な役割を果たしたが、この協定がアメリカにとって役に立たなくなると、71年に金本位制を放棄した。

 東シナ海で発生した中国人船長の拘束事件やレアアース禁輸問題から学ぶべき本当の教訓は、大国が必要だと感じたときにはルールを無視し、大抵の場合はそれで済んでしまうものだということ。中国の指導者たちはアメリカや世界全体にとっていい政策だろうがなかろうが、これまでの基準やルールに一致していようがいまいが、彼らが有益だと信じる政策を追い求める――そう考えるべきだ。

 中国と我々の利益が激しく対立することが少なからずあるのははっきりしている。中国の指導者は時に自分たちの利益を注意深く計算し、それを達成するため優れた政策を実施する。大損害を出すような失敗をすることもあるだろう。アメリカ政府の指導者たちと同じだ。見識と洞察力にあふれた行動をするときもあれば、軽率につまずいて惨事を引き起こすこともある。

 それが現実だ。要は十分に「責任ある」行動ができていないアメリカが、中国に「責任ある」行動を求めるのは賢明でも有益でもない、ということ。キューバのグアンタナモ収容所で裁判をすることなく外国人を拘束し、アルカイダが潜伏していると思われる国に無人戦闘機でミサイルを落としているのは中国ではなくアメリカだ。

Reprinted with permission from "FP Passport", 21/10/2010. © 2010 by The Washington Post Company.

たばこ値上げで禁煙挑戦者急増

2010年10月28日 06時13分03秒 | 私の目の前での喫煙はお断り
産経新聞 10月27日(水)21時6分配信

 10月からたばこのほとんどの銘柄で1箱110円以上の値上げが実施され、禁煙挑戦者が急増している。禁煙外来に喫煙者が殺到して医療用の禁煙補助薬が不足する事態が起きているほか、薬局・薬店では禁煙補助商品が売れ行きを大きく伸ばしている。半面、日本たばこ産業(JT)はたばこ販売の急激な落ち込みに危機感を募らせている。

 「10月に入り、禁煙補助薬があっという間になくなった」。こう話すのは、東京・日本橋の「中央内科クリニック」の担当者だ。同クリニックの禁煙外来には10月に入って2週間で、9月下旬に比べて倍以上の新規患者が詰めかけた。

 しかし、現在は禁煙外来の新規患者の受け付けを見合わせている。処方する禁煙補助薬が間に合わないためで、担当者は「患者はせっかく決心してやってきたのに、断るのは非常に残念」と嘆く。

 禁煙外来で主に処方される禁煙補助薬は、米製薬大手、ファイザーの「チャンピックス」。これを含めた受診者の自己負担額は1万2千~1万8千円程度だが、1日に1箱ペースの喫煙者なら1カ月分のたばこ代程度で収まってしまう。禁煙成功率も6割程度と高い。

 ファイザーは8月まで毎月約7万人分のチャンピックスを供給していたが、9月は約17万人分、10月に入ると6日時点ですでに約8万人分を供給しているという。同社はこのまま供給し続けるのは困難と判断し、12日以降、新規患者向けの「スターターパック」の供給を停止。治療中の患者への供給は継続できるが、供給体制が完全に整うのは来年1月という。テレビCMも自粛している。

 一方、医療用と違って医師の処方がいらないOTC(一般用)医薬品の禁煙補助薬や禁煙補助商品の売り上げも伸びている。スイス製薬大手、ノバルティスファーマの禁煙補助薬「ニコチネル」は9月の出荷が前月比で3割増え、同社は「10月はそれ以上ではないか」とみる。禁煙補助商品を手がけるマルマンでは、「禁煙パイポ」の10月の売り上げが出荷ベースで前年同月の2倍以上で推移している。

 JTは、今年10月から来年9月までの販売本数が前年同期より25%減ると予測しており「壊滅的なダメージになる」と危機感をあらわにする。禁煙挑戦者がこのまま増え続ければ、減少幅はさらに大きくなる可能性もある。


中国はなぜ横暴か A Beijing Backlash

2010年10月28日 06時11分54秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
「平和的台頭」を捨て去り、権益を脅かす者には牙をむく。「新・超大国」と世界の新しい関係

2010年10月26日(火)12時07分
ジョシュア・カーランジック(米外交評議会研究員)、長岡義博(本誌記者)、アイザック・ストーン・フィッシュ(北京特派員)

[2010年10月13日号掲載]

 中国人民解放軍きっての外国通、熊光楷(ション・コアンカイ)上将(大将)は最近いら立っている。ただし怒りの対象は中国の庭先である黄海に原子力空母を派遣すると表明したアメリカでも、沖縄の尖閣諸島沖で中国漁船の船長を逮捕した日本でもない。最高指導者だったトウ小平の「遺言」が、世界から間違って解釈されていることに我慢がならないからだ。

 中国政府は、これまでトウが90年代初頭に残した「才能を隠して外に出さない(韜光養晦)」という方針を忠実に守って外国と付き合ってきた。熊に言わせれば、最近この言葉は国外で「能力を隠して再起を待つ」とか「野心を隠して爪を研ぐ」と誤訳されている。「この言葉の真意は自分の力をひけらかさないということにある。それが中国人の伝統だ」と、熊は先月広州市で開かれたあるフォーラムで主張した。

 とはいえ世界から誤解される原因は、むしろ中国自身の横暴な態度にもある。最近の尖閣問題で中国政府は街頭での反日デモを黙認し、丹羽宇一郎駐中国大使を夜中に呼びつけ、日本の製造業に欠かせないレアアース(希土類)の輸出を止めてついに日本を譲歩させた。東シナ海だけでなく南シナ海の権益を「核心的利益」と呼び(「核心的利益」はこれまで中国政府が他国に譲れない対象と考えているチベットや台湾にしか使わなかった言葉だ)、インドとの領土問題も再燃させようとしている。

 熊がどんなに外交方針が誤解されていると主張しようと、かつて「平和的台頭」を掲げて近隣諸国との協調をうたった中国の姿勢は過去のものになったようだ。どうやら、この国は近隣諸国やアメリカに対して、自らの軍事力と経済力を無視すれば痛い目に遭う、と見せつけたくなったらしい。
権力闘争が外交に影響か

 最近の中国の行動を見れば、「実力をひけらかさない」という言葉と裏腹の言動ばかりが目につく。人民解放軍は先月、上海協力機構のメンバーであるカザフスタンに爆撃機を飛ばし、合同訓練を実施。中国空軍が外国の領土で爆撃訓練を行うのは初めてのことだ。

 また米国防総省が原子力空母を演習目的で黄海に派遣すると発表した8月には、人民解放軍の研究機関である軍事科学院の羅援(ルオ・ユアン)少将が人民日報系英字紙で「中国から一番借金をしている国が中国に挑戦したらその結果がどうなるか想像せよ」と警告した。

 これまで穏健派とみられていた中国外交官の態度も傍若無人になり始めている。国連事務次長であり、中国の国連職員トップのは先月上旬、オーストリアで開かれた事務総長との夕食会で酔っぱらい、「あなたが私を好きじゃないってことは知っている。でも私もあなたが好きじゃない」「(国連本部のある)ニューヨークには来たくなかった。絶対に嫌だった」と暴言を吐いた。

 しまいには、日本の検察当局が中国人船長の釈放を決定した際には、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は国連総会の演説で領土問題を意味する「核心的利益」を「断固として守る」と強気に宣言した。「偶然の出来事ではあったが、尖閣の事件をきっかけに中国は世界に向けて超大国宣言をした」と、中国人政治学者の趙偉宏(チャオ・ウェイホン)は言う。「遅かれ早かれ、そうなると分かっていたが」

 東シナ海では、尖閣諸島問題だけでなく米韓軍事演習での原子力空母派遣にも激しくかみついた。さらに同じく「核心的利益」である南シナ海の石油資源の採掘権については外国からの異議を一切認めず、そのせいで南シナ海を航行するアメリカや日本の船舶にとって中国海軍の脅威が高まっている。台湾と非公式ながら強い関係を維持しているシンガポールやフィリピンなど東南アジア諸国にも高圧的な態度を取っている。

 海洋権益にとどまらず、中国は領土紛争を抱えるほかの地域でも緊張を高めている。中国が一部の領有権を主張するインド北東部アルナチャルプラデシュ州では今年5月、中国人男性スパイが拘束された。

 中国の強気な態度は、その外交政策の潮流が大きく変化したことを表している。トウ小平の「才能を隠して外に出さない」という方針を受けて、中国政府は90年代後半のアジア通貨危機のさなかに近隣諸国への「微笑外交」を始めた。多くの近隣諸国に、中国は毛沢東時代にカンボジアのポル・ポト派やビルマ(ミャンマー)の共産ゲリラを支援した革命路線で介入主義の国、という記憶がまだ色濃く残っていた頃だ。

 この「超ソフト路線」は大いに成果を挙げた。90年代後半から00年代前半にかけて、中国はASEAN(東南アジア諸国連合)とのつながりを強めた。もう1つのアジアの大国インドとの関係も見直し、世界をリードするインドのIT企業と中国企業の業務提携が相次いだ。アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権の「敵か味方か」的な外交姿勢とは極めて対照的な中国の協調路線を、アジア諸国の外交官は称賛した。

 最近の姿勢転換はある意味、中国が掲げてきた「主権の維持」「内政不干渉」という原則の延長線上にある。しかしそれ以上に、世界的な経済危機によって中国はアメリカや多くの近隣国よりはるかに強力な地位に押し上げられた。中国の指導部や外交当局は今や、国際社会でわが物顔で振る舞えると思うようになった。中国政府の高官が欧米当局者に公然と市場システムと資本主義の崩壊を語っているだけでなく、一般の中国人までほかのアジア諸国からもっと分け前を取れると思い始めている。

「中国の行動には粋がった傲慢さがある」と、日中関係の専門家である国立シンガポール大学の藍平児(ラン・ピンアル)は言う。中国は今年、経済規模で世界第2位の日本を追い越す見込みだが、それが本格的な中国の時代の到来を告げる鐘になるかもしれない。

 しかし中国の変化の最大の理由はほかにある。2012年に予定されている政府指導部の世代交代をめぐる緊張だ。

 2年後には胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が退任する予定で、国家副主席の習近平(シー・チンピン)が後継として有力視される。ただ、トウ小平や人民解放軍内に強力な支持者層を誇っていた前国家主席の江沢民(チアン・ツォーミン)と違い、胡も習も軍部内に強い支持基盤を持っていない。

 その結果、党が軍を自由に操るのが難しくなった。その上、大局的な外交戦略や穏健派の中国外務省を無視し始めた軍上層部は、中国海軍の勢力拡大といったタカ派的政策を推し進めようとしている。

 例えば、深セン経済特区設立の30周年に当たった今年8月末、胡錦濤が出席して盛大な式典が開かれる予定だったが、なぜか突然日程が11日も延期された。式典の2日前には、高級全国紙「光明日報」に「深センの経験した政治改革についてむやみに比較をしてはならない」と、誰かを当てこする記事が載った。

 その「誰か」は温首相だとみられている。温は式典に先立つ8月中旬、深センを訪れ「停滞や後退は中国を死に至らしめる」と、政治改革の必要性を訴えていた。温は党内の軍を含む一部エリート層から敵視されているらしく、領土問題に関する強気の国連演説も彼らに配慮したのかもしれない。

 強力な権力基盤を持たない胡や習は、軍部に迎合する必要性を重々認識している。中国政府高官さえ、来年以降も政権内では緊張が続くと嘆いている。

 強硬姿勢を強めているとはいえ、中国にも中国なりの理屈がある。尖閣諸島沖の漁船衝突事件も、取り締まりの正当性を強調する日本とは異なる理屈で捉えている。

 日中間には97年に締結された日中漁業協定があり、尖閣諸島周辺においては自国領海内で他国の船舶が違法操業しても、それを取り締まることが原則的に禁じられている(仮に拿捕した場合でも、速やかに釈放されることが多い)。そのため中国は、今回の尖閣問題における日本側の一連の対応を日中漁業協定に違反した行為と解釈している。

 日本側は退去警告した後、中国漁船が巡視船に体当たりして逃走したと説明しているが、中国人政治学者の趙は「日本側による停船命令、そしてその後の逮捕や国内法の適用は明らかに協定を超えた行為で、中国側は挑発されたと受け止めている」と指摘している。
好意的イメージを失う?

 ただし強気一辺倒の姿勢を貫けば、中国は大きな代償を払うことになる。中国とASEANの自由貿易協定(FTA)が今年発効し、中国は東南アジア諸国最大の貿易相手国になったが、アジア全域からの反発で10年にわたって培ってきた好意的なイメージが台無しになるかもしれない。オーストラリアのロウイー国際政策研究所が今年まとめた報告書は「ほとんどのアジアの国は中国の台頭をアメリカへの戦略的対抗手段として利用するより、アメリカへの依存を続けるだろう」と分析している。

 ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所の調査によれば、アジアのエリート層のほとんどは向こう10年間この地域に平和をもたらすのはアメリカで、逆に最も脅威なのは中国だと考えている。

 それ故、東南アジア諸国はアメリカの軍事的な存在感の拡大を歓迎している。同じ共産主義国として中国と親密な関係を築けるはずのベトナムはアメリカと戦略的対話を始め、アメリカがベトナムにウラン濃縮技術を提供する原子力協定の締結に向けて交渉に入った(ウラン濃縮技術は中国がかつてベトナムに提供しようとしていた)。ベトナムは今後10年以内にシンガポールを除けば東南アジアで最も親密なアメリカの同盟国になるかもしれない。

 最近中国が熱心に接近しているインドネシアも、今年アメリカとの軍事協力を含む新たな「包括的協調関係」を樹立する。先月ニューヨークで開かれた米・ASEAN首脳会議で、インドネシアのマルティ・ナタレガワ外相はアメリカを南シナ海の領有権問題から排除するよう求めた中国の申し出を公然と拒否した。

 中国の援助に依存するカンボジアでさえ、アメリカとの新たな軍事協力に踏み出した。今年両国が実施した共同軍事演習は「アンコールの番人」と名付けられた。
中国とアジアの「新冷戦」

 同時に、多くのアジア諸国が中国に対抗するための連携を強化している。ベトナムは最近、日本とも原子力協定締結のための対話を開始。インドは国内のインフラ整備に日本から莫大な投資を受け入れた。本来ならば、中国企業が進めていてもおかしくないプロジェクトだ。

 さらにほとんどすべての東南アジア諸国が軍事費支出を増大させている。ストックホルム国際平和研究所の調査によれば、東南アジアの武器購入支出は05年から09年の5年間で倍増。ベトナムは最近、24億㌦でロシア製の潜水艦と対艦攻撃機を購入した。

 ベトナムやマレーシアなど、最近になって兵器を調達した国々が域内で軍事的脅威に直面していないことを考えれば、兵力増強の目的は中国に対抗するためだけだ。

 対する中国も毎年15%のペースで軍事費を増やしている。中国と近隣諸国との軍事的緊張はまだ序章にすぎない。ただそれは「中国対アジア」という新しい冷戦の第1幕なのかもしれない。

反日デモの知られざるメカニズム

2010年10月27日 21時27分20秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
ニューズウィーク日本版 10月26日(火)22時19分配信
ニューズウィーク日本版編集部・長岡義博

 先週の初めにいったん鎮静化した中国の反日デモが週末にまた再発した。朝日新聞の敏腕北京特派員、峯村記者による「反日デモ、中国当局が承認」(22日付朝刊)「反日デモ阻止、内部通達」(25日付夕刊)と一見前後で矛盾するような報道もあったから、中には「何が一体どうなっているの?」と、混乱した人もいるかもしれない。
 
 だが反日デモがいったん鎮静化してまた再発したメカニズムには、実はそれほど矛盾も混乱もない(中国政府は混乱しただろうが)。

 中国人ジャーナリストでブロガーの安替氏が先日、東京で講演会を開いた。その中で、南京生まれである安替が興味深いことを言っていた。曰く、「ネットで情報を得るまでは、世の中のすべての悪いことは日本が起こしていると思っていた」「だから、中国では放っておけば毎日どこかの都市で反日デモが起きる」

 安替氏によれば、中国では「デモがないのが正常、あるのは不正常」だ。つまりデモが起きる背景には当局の何らかの意思が働いている。また今回のデモは北京、上海、広州といった中国を代表する大都市でなく、成都や武漢、鄭州といった中規模の内陸都市で起きた。これらの都市には「市民意識がそれほど高くなく、かつ情報インフラも不足している」(安替氏)という事情も共通する。要するに、これらの都市はまだまだ日本に対する単純な悪意が育ちやすい状況にあるわけだ。

 北京、上海など大都市ではデモを封じ込めたが、内陸の地方都市は「黙認」した――その理由は、ちょうど最初のデモが起きた16日から18日にかけて、共産党の重要会議である「5中全会」が開かれていたことと無関係でないだろう。会議の最大の課題は習近平・国家副主席が中央軍事委員会副主席という次期トップの登竜門ポストに就けるかどうか、だった。ちなみに会議の前には「今回も習氏は軍事委副主席になれない」という情報が飛び交っていた。

 峯村記者の記事によれば、中央政府の公安当局は最初のデモの翌日の17日には「デモが違法行為に当たる」と内部通達を出したという。先々週の週末から先週の初めにかけて、一部の地方政府が出した「ゴーサイン」に対し中央政府はいったん「ブレーキ」を踏んだが、先週末に当局の網からこぼれたいくつかの中規模都市でデモが再発した、という流れなのだろう。

 最初は政治闘争に利用していた大衆運動がそのうち制御不能になって、最後は運動の参加者が「全員追放」された......毛沢東が文化大革命で犯した過ちだ。大衆運動の政治利用という火遊びの怖さを十分知っているからこそ、中国政府は早々にブレーキを踏んだ。とすれば、反日デモはとりあえずいったんこれで収束することになる。

 まさか21世紀の現在、「下放」というカオスが再現するとは思えないが。