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森羅万象 ~ 歩く印象派

やはり原発はコスト合わず! 今回の東電が実証

2011年03月31日 21時18分49秒 | 歩く印象派
>世界中の原発保有国はこれを肝に命ずるべきだ!

復旧・賠償…巨額のコスト 売り上げも激減 窮地の東電

2011年3月31日10時36分朝日COM

 東京電力はすでに山積みの経営課題に押しつぶされそうな状態にある。計画停電や節電で、電気の売り上げは激減。一方、発電所の復旧、処理、高騰している燃料の調達で巨額の費用が出て行く。そして、福島第一原発事故の損害賠償という巨大なコスト要因が待ち受ける。

 電力会社は基本的に地域独占なので、計画停電や節電のお願いをしても、利用者が逃げ出すことはない。

 それでも減収は避けられない。今夏は、7月末のピーク時に想定需要より2割弱も少ない供給力しか確保できない見通しだ。電気料金は一定期間内の使用量で計算されるので、ピーク時の電力消費を夜間に回すなどの対応が増えれば単純に2割減収とはならないが、「かなり減るだろう」(東電幹部)という。

 一方、費用は平時よりかさみそうだ。東日本大震災で福島第一・第二原発は全基が停止しており、再開どころか一部の廃炉が確定的になっている。当面は、火力発電所の増強で電力不足を解消するしかない。設備投資負担が集中することになる。

 燃料も問題となる。火力は液化天然ガス(LNG)を主体に、石油や石炭などを燃料とする。最近は中東・北アフリカ情勢の悪化で原油価格が高騰。ほかの燃料も比例して高まっている。

 電力会社は、LNGを20年近い長期契約で調達しているが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・上席エコノミストは「今は世界的にLNG供給に余裕があるが、中長期的には値上がりする恐れがある」という。

 また、1~4号機の廃炉コストもある。原発1基の廃炉には通常でも600億円(110万キロワットの場合)かかるとされる。ただ、今回は損傷した燃料の取り出し方や、漏れ出した放射能の閉じこめ方も定まっておらず、費用が膨らむ可能性が高い。30日の記者会見で、勝俣恒久会長は「まだまだ(廃炉)費用の試算にまでいかない」と述べた。

 さらに、福島第一原発事故で避難した住民の避難費用や休業補償、放射性物質の検出によって出荷できなくなった農作物や牛乳などの補償といった負担もある。

 原子力損害賠償法に基づくもので、今回のように地震や津波による事故の場合、電力会社が保険のように支払った政府補償契約から、原発1事業所あたり1200億円までは支払われる。

 ただ、それを超える賠償額の場合、電力会社の賠償負担は無限責任とされている。政府が必要と認めれば、補助金や低利融資などの援助もするが、それは電力会社が自らの財力で全額を支払えない場合の制度だ。

 会見で、記者から「株主資本まではき出すのか」と問われ、勝俣会長は「そういうことを考える余裕はないが、大変厳しい状態になると思っている」と答えた。

 震災前、2千円ほどで安定していた東電の株価は、30日の終値で500円を切り、466円まで急落している。(中野和郎)

「東電とメディアが癒着」会長認める

2011年03月31日 21時16分57秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
 東京電力の勝俣恒久会長(71)が、東日本大震災発生から20日目の30日、ようやく会見し、福島第1原発が深刻な状況に陥っていることを謝罪した。

 会見では、勝俣会長が地震発生の11日に中国を訪問していたこと、その際、メディア関係者を同行していたとの一部報道に質問が及んだ。勝俣会長は訪問を認め、メディア関係者の渡航費用を東電側が一部負担したことを明らかにした。「全額ということではない」「詳細はよく分からないが、多分多めには出していると思う」などと述べた。同行者の立場は「OB」「勉強会の方々」としたが、「癒着を認めるのか」と突っ込まれる場面もあった。

 [2011年3月31日8時23分 日刊スポーツ紙面から]

原発新設の「白紙」検討=被災者支援、支給額引き上げ―菅首相

2011年03月31日 20時31分08秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
時事通信 3月31日(木)15時49分配信

 菅直人首相は31日午後、共産党の志位和夫委員長と首相官邸で会い、東日本大震災と福島第1原発事故の対応をめぐって意見交換した。「2030年までに原発を14基以上新増設する」との政府の目標について、首相は「白紙、見直しを含めて検討する」と表明した。会談後、志位氏が記者団に明らかにした。
 政府は昨年6月、エネルギー基本計画を策定。二酸化炭素の排出抑制を念頭に原発推進の立場を鮮明にしていた。原発の新増設を見直す場合、エネルギー政策の抜本的な転換につながることになる。成長戦略の柱の一つでもある原発の海外展開にも影響を与えるのは必至だ。
 首相は志位氏との会談で、「使用済み核燃料の問題をどうするかも含め、安全性の見地から構造的な原子力政策の再検討を行いたい」と強調。福島第1原発の現状に関しては「安定的な冷却の見通しが立っているわけではない」と説明した。
 一方、首相は、地震や津波などで住宅が壊れた世帯が対象の被災者生活再建支援法について「300万円の上限(支給額)は引き上げが必要だ」との認識を示した。「町を高台に移し、新しい町づくりをするという計画が出てくることも念頭に置く」とも言及した。 

放射性物質:飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告

2011年03月31日 11時27分07秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
毎日新聞 2011年3月31日 11時08分

【ウィーン樋口直樹】東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、同原発から約40キロ離れた福島県飯舘村で測定された放射線レベルが、国際原子力機関(IAEA)の避難基準を超えていたことが30日、分かった。IAEAはウィーンでの記者会見で、同原発から20キロ以内を避難指示圏に設定している日本政府に対し、状況を「注意深く」評価するよう勧告したことも明らかにした。

 IAEAのフローリー事務次長は会見で、飯舘村での放射線レベルの測定値が「IAEAの作業上の避難基準のひとつを上回った」と述べた。その上で「我々は(日本政府に)状況を注意深く評価するよう勧告し、日本は既に評価中であることを示唆している」とも述べた。日本に対し事実上、地元住民への避難指示圏の見直しを促したものとみられる。

 IAEAのこうした見解は、福島第1原発からどこまでの範囲の住民に避難指示を出すべきかを巡り、新たな議論を呼びそうだ。

 IAEAによると、今月18~26日に同原発から25~58キロ圏で土壌のヨウ素131とセシウム137の量を調べた。その結果、飯舘村は土壌1平方メートル当たり約200万ベクレルだった。IAEAの避難基準の約2倍に相当するという。ヨウ素131かセシウム137かは明確にしていない。同村の測定値は1カ所のみで測られた散発的なデータで、あくまで初期的な評価だという。

 飯舘村は、避難指示圏の外側に設けられた屋内退避指示圏(福島第1原発から20~30キロ)のさらに外側にある。福島第1原発から遠く離れた場所で放射線レベルが突出していることについて、日本の文部科学省は「地形や風向きの影響と考えられる」としていた。

 一方、天野之弥事務局長は30日の会見で、原発の安全対策などに関する初めての高官級会議を6月20~24日にウィーンで開催すると発表した。IAEA加盟国の首相や外相などに招待状を送るという。

福島第1原発:沸騰水型の構造裏目に

2011年03月31日 09時39分13秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
毎日新聞 2011年3月30日 23時56分

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の原子炉は、「沸騰水型軽水炉(BWR)」と呼ばれる。国内の商用炉の6割を占めるが、今回の事故によって起きた大量の放射性物質の放出や汚染水の問題は、この構造が裏目に出た可能性がある。核燃料が過熱によって損傷し、核燃料を厳重に閉じ込めるはずの「原子炉圧力容器」の底部から外部に漏れ出していると関係者は見ている。【日野行介、須田桃子、下桐実雅子、江口一、関東晋慈】

◇燃料、溶接部から漏出か

 二ノ方寿(ひさし)・東京工業大教授(炉心安全性)によると、福島第1の原子炉は、水滴を含んだ蒸気を乾かす装置が圧力容器(高さ約22メートル)の上部にあるため、燃料棒の核分裂反応を止める制御棒は容器の底から通す構造になっている。圧力容器は厚さ約16センチの鋼鉄でできているが、底部には制御棒や中性子計測管を貫通させる100本以上の配管がある。

 一方、商用原子炉のもう一つの型「加圧水型(PWR)」は、制御棒を上から差し込む構造だ。

 現在、福島第1で発生している高濃度の汚染水や放射性物質は、圧力容器の底から漏れ出したものだと専門家は見る。

 奈良林直・北海道大教授(原子炉工学)は2号機について「溶け落ちた高温の燃料が配管の表面や溶接部分を溶かして穴を開け、管内を伝わって少しずつ格納容器内に漏れ落ちたのでは」と推測する。小林圭二・元京大原子炉実験所講師も「損傷しているとすれば底の部分だろう。貫通部の溶接部分が損傷して隙間(すきま)ができ、ここから漏れている可能性が高い」と指摘する。

国側も圧力容器の損傷の可能性を考えている。経済産業省原子力安全・保安院は30日の会見で、1~3号機の汚染水の起源について「圧力容器内で燃料棒が損傷してできた核分裂生成物が圧力容器の弁や管、(容器の底にある)制御棒の入り口とか弱いところから格納容器に出て、さらに漏れ出たと推測する」と話した。原子力安全委員会の代谷誠治委員も30日の会見で「1~3号機は圧力容器内が高温なのに圧力が上がっていない。程度の差はあれ、圧力容器に損傷がある可能性は高い」と指摘した。本来なら、燃料棒を冷やすための注水によって大量の水蒸気が発生し、炉内の圧力は高まるはずだからだ。

 これに対して東電は「水が外に出ているのは確かだが、どういう壊れ方か想定できない。大きく穴が開いているわけではない」と、圧力容器の損傷を明確には認めていない。

 1時間当たり1000ミリシーベルト以上と、極めて高い放射能を帯びた汚染水が大量に見つかった2号機では、2度にわたって圧力容器内が空だきになり、燃料棒が露出。燃料の壊れ方が1~6号機で最も大きいと考えられる。

 さらに、圧力容器を納めた格納容器の一部「圧力抑制プール」付近で15日に爆発音があり、同プールの破損が懸念されている。こうした状況で、燃料の破片を含む水が直接、同プールの穴から外部に流出した可能性がある。2号機同様、圧力容器と格納容器内の圧力がほぼ等しくなっている3号機でも、同様の仕組みで燃料が漏れ出ている可能性は否めない。

 原発で起こりうる重大事故については、配管から核燃料が漏れる可能性が国際会議で議論されたこともあり、配管や溶接部分のもろさはBWRの弱点と言える。二ノ方教授も「炉心が溶ける恐れがある場合、下部に貫通部分がある構造は弱みになる」という。

 しかし奈良林教授は「今回はその弱点が安全弁的な役割を果たしている可能性がある」とみる。燃料が漏れ出るにしても、少しずつ出ることによって、圧力容器の底が一気に抜けて大量の核燃料が格納容器内の水と反応し水蒸気爆発を起こす「最悪のシナリオ」が避けられるからだ。仮に水蒸気爆発が起きれば、これまで以上に大量の放射性物質が飛び散って周囲に近付けなくなり、原子炉の冷却ができなくなる恐れがある。


 福島第1の各原子炉では核燃料の冷却が進められている。

 奈良林教授は「現在は収束に向かい始めるまでの最終段階。汚染水が海に漏れないよう対策を施し、さらに安定的に炉心を冷却できるシステムが確立できれば、半年から1年の間に冷却を終えられるだろう」と予測する。
 ◇日本の商用原子炉の型◇

 沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)があり、BWRは燃料の核分裂で発生する熱で冷却水を沸騰させ、蒸気を隣接する建屋に送ってタービンを回す。一方、PWRは炉内の圧力を高めて1次冷却水の沸騰を抑え、その熱を2次冷却水に伝えて蒸気を作りタービンを回す。これにより、放射能を帯びた水は格納容器内に閉じ込められる。世界全体ではPWRが多く、79年に事故を起こした米スリーマイル島原発もPWR。国内では6割弱がBWRだ。

<福島第1原発>1~4号機廃炉へ 地元住民「命には代えられぬ」

2011年03月31日 09時38分24秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
毎日新聞 3月31日(木)8時3分配信

 ◇原発抜きに語れぬ地元経済 雇用喪失、不安抱え

 福島第1原発1~4号機について、東京電力の勝俣恒久会長が廃炉の方針を示したことに対し、避難指示に従っている地元住民の多くは当然と受け止めた。一方、地域経済は原発抜きには語れず、「失われる雇用をどうするのか」と、避難生活から戻った後のふるさとの将来を心配する声も出た。【岩佐淳士、神保圭作、渡辺暢、清水隆明】

 ●地元町長

 福島第1原発は大熊町と双葉町にまたがって立地しており、両町とも全域が避難指示区域。1~4号機がある大熊町は、西に隣接する田村市に役場の機能を移転している。

 渡辺利綱町長は「事故があってから、廃炉はあり得ると考えていた。これまで原発に依存しすぎていた面もあり、廃炉で雇用の場を失うことになるだろう。しかし、思い切った町づくりができるゼロからの出発と考え、町民の生活の再建を目指したい」と話した。

 5、6号機のある双葉町の井戸川克隆町長は自らも埼玉県加須市の旧騎西高校に避難しているが、「町民の安全を最優先で考えれば、やむを得ない。安全に収束してもらうことに尽きる」と語った。

 ●避難住民

 大熊町から田村市総合体育館へ避難している無職、青木三造さん(75)は「地元は地震にも津波にも耐えた。原発さえなければ、食事の配給の列に並ぶような生活をする必要もなかった。原発はいらない。5、6号機も廃炉にしてほしい」と怒りをあらわにした。

 福島市のあづま総合運動公園の避難所でも、同原発から半径20キロ内の浪江町から来た農業の男性(61)が「東電の関連会社で働く息子も働く場を失うかもしれないが、孫の命には代えられない」と語った。一方で「地元の雇用や税金のことは考えてもらわないと。安全を説明した上で、5、6号機は発電を続けてくれればいい」と話す双葉町の女性もいた。

 いわき市の御厩(みまや)小学校の避難所では、東電の協力企業に勤め、原発構内で配管を断熱材で覆う仕事をしてきた作業員の男性(49)が「止めて当たり前だ。原発のせいで避難する目に遭っているんだから。仕事は減る。その分は火力(発電所)でもつくればいい」と憤った。

 加須市に避難している双葉町の運送業、斉藤啓一さん(34)は「原発関係で働いている町民は確かに多い。でも、映像で見て、あの状態で今後、(原発を)使うことはあり得ないと思うし、町民全員が反対するだろう。避難所にしばらくいることになるが、仕事が見つかるか、これからどう生活していくのか」と不安を隠さなかった。

 ●福島県知事

 30日夕、会見した福島県の佐藤雄平知事は、廃炉について、「総合的なエネルギー政策の見直しを国に提言していく」と繰り返すにとどめ、東電が廃炉の対象に挙げなかった5、6号機の将来についても明言を避けた。

 東電に対しては「事態を一刻も早く収束させること」と求めた。また、勝俣会長が周辺住民の避難生活が長期化するとの見通しを示した点について「極めて残念なこと」と述べた。

東電会見に住民怒りの声「5、6号機も廃炉に」

2011年03月31日 00時37分05秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
読売新聞 3月30日(水)20時44分配信

 東京電力の勝俣恒久会長が福島第一原発1~4号機について、「廃止せざるを得ない」「(住民が地元に戻れるのは)数週間では厳しい」などと述べたことを受け、福島県内各地で避難生活を送る住民からは、「5、6号機も廃炉に」「一刻も早く先行きを示せ」などと、改めて怒りの声が上がった。

 東日本巨大地震後、東電の最高責任者が記者会見に応じたのは、13日の清水正孝社長以来17日ぶり。2時間以上にわたり、報道陣の質問に応じた勝俣会長は「最大限の補償、おわびをしたい」とし、情報提供の遅れが相次いでいることについて「情報を隠すということは全くないが、ミスが生じたりタイミングが遅れたりしているのは申し訳ない」と謝罪した。

 同県田村市の市総合体育館に避難している大熊町大河原の無職市川武さん(68)は「こんな事故を起こしたんだから廃炉は当然」と語り、「避難生活はすでに2週間以上。体じゅうが痛く、心も休まらない。いつまでこんな生活が続くのか」と憤った。

プルトニウム 周辺地域の検査を急げ  東京新聞社説

2011年03月30日 04時22分53秒 | 歩く印象派
東京新聞2011年3月30日

 微量とはいえ、猛毒のプルトニウムが福島第一原発内で検出されたのは、極めて憂慮すべき事態だ。今後の作業に支障をきたす恐れもある。周辺地域に飛散していないか検査を急ぐべきだ。

 検出されたプルトニウムの量は、国内で通常、検出される量と比べると、最大で三倍以上の値を示した。原発の事故に起因していることは間違いない。

 3号機ではウランとプルトニウムを混合した燃料を使っているが、他号機のウラン燃料でも、燃えれば、プルトニウムは生成される。枝野幸男官房長官は、原発の燃料の一部が溶融したことの「裏付けだ」と説明した。

 燃料が冷却されず、「空だき状態」になり、燃料の損傷が進んでいることを示している。原子炉の中枢である圧力容器に何らかの“異変”が起きていることも想像される。なぜ猛毒物質が放出されたのか、その原因を早く究明してもらいたい。

 プルトニウムは放射能の量が半分になる半減期が極めて長い。アルファ線と呼ばれる放射線は透過力は弱いが、いったん人体に取り込まれると、肺などに付着して、がんを引き起こす恐れが強い。東京電力は今のところ「人体に影響のないレベル」という。

 ヨウ素やセシウムとは異なり、重く、遠くまでは飛ばないとされる。だが、毒性が強いだけに、どれだけの量が、どこまで飛散しているのか、知りたい。

 注意したいのは、検査された土壌の採取は、二十一日午後から二十二日朝にかけてだ。二十八日の発表まで、分析にこれだけの時間がかかるものなのか。その後の検出量も含め、周辺地域での詳細な検査を急ぎ、正しい情報を素早く公表してほしい。

 2号機のタービン建屋の外側にある立て坑などにたまった水から、一〇〇〇ミリシーベルトを超える高い放射線が測定されたことも深刻だ。溶融した核燃料と触れた水がタービン建屋を経由して、流れ出たとみられている。

 原発事故に際しては、「止める」「冷やす」「封じ込める」が鉄則だ。だが、原子炉を冷やすために入れた大量の水が、逆に放射線を拡散したわけで、封じ込め策に“ひび”が入ったことを意味する。

 今後、封じ込めつつ、冷やすという、二律背反の作業が強いられる。困難を極めるが、漏水箇所の特定を急ぎ、修復に全力を挙げるほかはない。

岡村行信氏 大津波再来の恐れ、09年に指摘=東電、津波想定に反映せず―審議会で

2011年03月30日 01時46分17秒 | 歩く印象派
時事通信 3月27日(日)17時57分配信

 想定を大幅に上回る津波に襲われた東京電力福島第1原発について、津波の専門家が2009年、原発の耐震安全性を検討する経済産業省の審議会の席上、東北地方に大津波をもたらした869年の「貞観地震」(マグニチュード8.4と推定)に触れ、同規模以上の津波再来の可能性について指摘していたことが27 日、分かった。東電側は「歴史上の地震で、耐震設計上考慮する地震にならない」と述べ、指摘は反映されなかった。

 指摘したのは、産業技術総合研究所の岡村行信活断層研究センター長(地質学)。岡村さんは、史料に津波被害の記録が残る貞観地震について研究。福島第 1、第2原発の敷地付近を含め、内陸部に津波で運ばれた砂が堆積していることや、450~800年周期で津波が起きたことなどを明らかにしてきた。

 岡村さんは、09年6月に開かれた経産省の審議会で、福島原発について貞観地震の知見から「津波に関しては(東電の想定する地震と)比べものにならない非常にでかいものがくる」と指摘。「まったく触れられていないのはおかしい」と再検討を求めた。しかし、東電側は「被害がそれほど見当たらない。歴史上の地震であり、研究では課題として捉えるべきだが、設計上考慮する地震にならない」と答え、消極的な姿勢を示した。

 翌7月の審議会でも、岡村さんは04年のスマトラ沖地震などに触れ、今回の地震のように複数の震源域が同時に動く連動型地震の危険性を指摘したが、東電側は「引き続き検討を進める」と述べるにとどまった。